2008 のアーカイブ
丸鍋ねこ改造計画(仮)
七位連一・著、ぱこ・イラスト、 MF 文庫 J 。
10月23日(木)読了。
無表情だが可憐な容姿に男子人気の高い丸鍋ねこという変わった名前の少女が居た。
今日もまた、無謀な男子が無碍にその告白をはね除けられた。
そんな彼女の異名はそのガードの堅さから『要塞』。
しかし、だからこそ燃える男も居た。
そんな彼女の在り方を変えたい。
春田リクは、だから『丸鍋ねこ改造計画』を発動したのだった!
前作とのギャップが激しいと見せて根っこの部分は通じてる、そんな気がするコメディでした。
なんでしょう、人間の嫌な部分がよく見えてる人って印象ですね、この作者。
今回は、だからこそいい部分を描こうってところが好感が持てました。
プロット自体はありがちなんですが、色んな意味で容赦のない心理描写で登場人物達に感情移入しやすかったですねぇ。特に、春田リクのいい意味での馬鹿さは好ましいです。ああ、確かに、こういう奴は世の中に必要だよなぁ、と思ったり。まだ続きそうなんで追いかけていきたいと思います。
とまぁ、そんなところで次は『もふもふっ珠枝さま!』です。って、実質『神様のおきにいり』の続きなんじゃないかと思うんですが(;^^)
緋弾のアリア
赤松中学・著、こぶいち・イラスト、 MF 文庫 J 。
10月22日(水)読了。
凶悪化の一途を辿る犯罪に対抗すべく、生まれた武装探偵、通称『武偵』。
その警察にも匹敵する権限を持つ武偵を養成する東京武偵高校に通う遠山キンジは、通学バスに乗り遅れたある朝、衝撃的な出会いを経験する。
空から舞い降りた少女。
『武偵殺し』と呼ばれる事件に巻き込まれた彼を救ったのは、神崎・H・アリア。
その事件を通じて、キンジはその特異体質もあって彼女に目を付けられることになって......
『アストロノト!』の作者の新シリーズ!
いやはや、期待通りの楽しい作品でした。『武偵』という設定に古今東西のミステリやら何やらをミックスして面白い世界観になってます。その辺りの配置も上手いですねぇ。まぁ、アリアに関する一つの謎はミステリ好きで語学が得意な身では目次がネタバレになるという悲しいオチですが、本来この読者層に濃いミステリ読みは少ないからこのぐらいが丁度いいんでしょうね(;^^) そういうバランス感覚でも興味深い作品でした。
今回は導入としてキンジとアリアの立ち位置を明らかにしつつ、次に繋がる内容でした。引きもよかったので否応なく次巻が楽しみになります。
そんなところで、次は『丸鍋ねこ改造計画(仮)』です。
魔女ルミカの赤い糸4~白き雪の愛~
田口一・著、カズオキ・イラスト、MF文庫J。
10月22日(水)未明読了。
屋敷に一人となった留美華を気遣い、お互いの家を行き来しながら琴也はこれまでよりも多くの時間を共に過ごしていた。
だが、彼は悪夢に悩まされていた。目の前で留美華がバラバラにされる悪夢。
また、留美華の側にいると何故か原因不明の体調不良に見舞われるようにもなっていた。
そうして、一見平穏な日々は徐々に綻びを見せ始め、やがてはメルリスが言い残した『魔女の王』を巡る事件へと発展する......
これにて完結。文字通りの『魔女』を扱ってインモラルな雰囲気が持ち味の御華詩でした。
若干、急ぎ足にも感じられましたが広げた風呂敷はおおよそ綺麗に畳まれたと思います。反面、小さくまとまって大きな盛り上がりには欠ける感じでしたが、魔女絡みの設定は非常に印象的なモノでした。この巻のとある場面で由奈が魔女について語ったことは非常に端的にこの作品世界における魔女の在り方を表していたと思います。オカルトとは性的なモノと結びつきやすいですからね。
まぁ、終わり方は基本に忠実って感じでしたがね。作品の雰囲気は好きだったので次回作に期待です。
そんなところで次は『緋弾のアリア』です。
ゼロの使い魔15~忘却の夢迷宮~
ヤマグチノボル・著、兎塚エイジ・イラスト、MF文庫J。
10月20日(月)読了。
遂に"聖戦"が発動し、ロマリアはブリミルの名の下にガリアへの進軍を続けていた。
度重なる"無能王"ジョゼフの凶行にガリアは内部崩壊を始め、軍の実に半数がロマリアに寝返る。
それでも、大国ガリアは士気は低いモノの兵力では未だに優位。
そのため、戦局は膠着しカルカソンヌ北方のリネン川を挟み両軍の睨み合いとなっていた。
ロマリア軍と行を共にしていた才人達一行も足止めとなるが、その戦局を動かす陰謀が蠢いて......
いやぁ、これはこれは面白くなってきました。盛り上がりますねぇ。
前巻の一件で絆を深めたサイトとルイズの予定調和なドタバタはあるモノの、世界情勢は大きく動いています。
特に、"聖戦"と止めるべく取ったアンリエッタの外交策はよいですねぇ。本当に立派な女王ですな。
でもまぁ、今回は舞台と状況から主役は彼女です。その人生の大きな節目となり、今までよりも大きな存在感を今後は出してきそうですね。何はともあれ、もうこれからの展開は目が離せないです、はい。
とまぁ、そんなところで次は『魔女ルミカの赤い糸4~白き雪の愛~』です。
かのこん11~アイはぼくらをすくう!~
西野かつみ・著、弧印・イラスト、MF文庫J。
10月19日(日)読了。
美乃里の奸計により、遂にすべての<八龍>を目覚めさせたちずる。
丁度時を同じくして、耕太はちずるが囚われた薫風高校に到着する。
果たして、耕太は数々の敵が待ち受ける中、ちずるの元へとたどり着けるのか......
うむうむ、広げた風呂敷が美事に畳まれましたねぇ。今回は立派に少年漫画的な燃えだったと思うのですが、世間的にはどうなのでしょうねぇ。アニメとかでもデフォルメされてエロ部分がクローズアップされたりしてますが、日本神話を下敷きにしながらそれにエロネタを交えつつも世界観にあった解釈を成立させてしまう勢いがこの作品の魅力だと思います。まぁ、作者がシリアスよりの話をしてしまってフラストレーションを爆発させてるとかいうのもまた持ち味(;^^)
今回で仄めかされてきた大きな謎はすべて答えが与えられましたが、次からはまた日常に戻るようなので楽しみです。というか、妖怪サイドの話だと、人間サイドの出番が減りますからね。朝比奈さんとたゆらの純愛路線はどうなるのか? 今後の見所はきっとそこに違いありません。
とまぁ、そんなところで次は『ゼロの使い魔15~忘却の夢迷宮《ラビリンス》~』です。
聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 3
三浦勇雄・著、屡那・イラスト、MF文庫J。
10月18日(金)読了。
三人の魔剣の使い手との戦いも乗り越え、傷も癒えた頃。
セシリーが守るべき独立交易都市に災厄としか言いようのない事件が発生する。
正体不明の人外が街を突っ切ったのだ。
多数の死傷者を出し、無力感に苛まれつつも魔剣を持って追うセシリーは灰かぶり森まで至る。
先方に捉えた人外に魔剣が生み出した一閃を浴びせるのだが、なんとその先には......
熱い。本当に熱い御華詩ですねぇ。世界観も違って当然人のあり方もそれに合わせた形なんですが、その根底にある熱さってのは変わらんのですな。また、主人公が女であることも最大限に武器にしていますな。本人は大変ですが。挫折と超越。そうして人は更に先に進んでいける。セシリーのそんな姿勢に周りが感化されていくノリは非常に心地よいです。
それと、一方ではルークの成長というかその閉ざした心が開かれていく物語でもありますな。少しずつ少しずつ厭世的な部分が抜けてきて。前回の事件で過去と向き合って、また、セシリーに感化されて。今回、最後の方の彼は本当に格好いいですなぁ。
少しずつ世界の仕組みが明かされて徐々に物語は核心に迫っていますが、ここからどこへ進んでいくのか? セシリーはその道を貫けるのか? また、ルークは? リサは? アリアは? もう本当に目が離せないシリーズであります。
とまぁ、そんなところで次は『かのこん11~アイはぼくらをすくう!~』です。
レンズと悪魔 6 魔神応報
六塚光・著、カズアキ・イラスト、角川スニーカー文庫。
10月17日(金)未明読了。
バルヒーヨの奸計により博物館を追われたエルバ達。
だが、バルヒーヨの狙いはかつて一つの村を破滅へと追いやった『しろがねの悪竜』を現代に甦らせる鍵となる竜人のエイジだった。
エルバ達は帰るべき場所の奪還し、悲劇の再来を防ぐべく、地下に潜って力を蓄えていたが......
第一部、完。『しろがねの悪竜』という一つの大ネタの終結点で、元々そういった位置づけで書かれた内容でした。
また、区切りに相応しく、今までバラバラと出てきた人物のミッシング・リンクが繋がって八眼争覇の謎についても少し明らかにされてきました。この辺りは世界観がしっかりしてるんで安心して読めました。
ただ、今回、色々決着はついてはいるんですが何だか、間が抜けてる気がするのはどうしてでしょうか(;^^)
どうも、このシリーズは周囲の人間が盛り上がりすぎて中心となるべき人物が霞んでしまう傾向があるように思います。何というか、起きてしまった事件の解決は綺麗にまとまっているんですが、そもそも重大な事件の発端が「そりゃないだろう」ってお粗末さ。反則気味のミステリを読んだときの気分に似ていますねぇ。流石に他の部分はキッチリ締めてるのに、あの部分だけエルバ達は事件を起こすために行動していたようにしか読み取れなくて残念でした。そうでないと解釈しようとするとただの自殺願望にしか見えないですし...... う~ん、本当に周囲の人物が魅力的なだけに逆にそこが目立ってしまいますねぇ。クラヴリー、リデル、デイジーといった面々は大活躍なんですが、なぜに渦中の人物だけ......
まぁ、そんな感じではありますが続きも買ってあるので頃合を見て読みたいと思います。
そんなところで次は『聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 3』です。
ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート
森田季節・著、文倉十・イラスト、 MF 文庫 J 。
10月14日(火)読了。
第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞優秀賞受賞作。
佐女牛明海《さめうしあけみ》はある日、同学年の神野真国《こうのまくに》に呼び出された。
何事かと思う彼女に彼が語ったのは、自分が人殺しであることだった。
明海は、その話を聞いて、直ぐに動き出す。
そう、彼女もかつて......
『イケニエビト』と呼ばれる殺されるためにこの世に紛れ込んだ存在を巡る御華詩。
その運命に音楽で立ち向かう少年と少女の物語は構成も面白く引き込まれるモノで、納得の受賞作ですねぇ。
『人間の存在の拠り所』というモノを揺るがす事件に『イケニエビト』というルールが加わって、その中でどうやって生き残るか? 激しいバトルは無く、いっそ淡々としているとも言えるんですがそれがまた、タイトル通りのビターな味わいでよいですねぇ。甘さ控え目ですが、控え目なだけで、それはそれであったり。
若干、オチが微妙な気もしましたが、総じて印象的な御華詩でした。
とまぁ、そんなところで次は『レンズと悪魔 Ⅵ~魔神応報~』です。
生徒会の日常~碧陽学園生徒会黙示録
葵せきな・著、狗神煌・イラスト、富士見ファンタジア文庫。
10月13日(月)読了。
杉崎達のクラスに転校生がやってきた。
初対面の筈だが、どうしても、杉崎と深夏はついついその名前に反応してしまう。
いったい、何が彼らの気を引いたのか解らず引っかかるモノがありながらも、杉崎を中心に次第にうち解けていく転校生の男子。
こうして、杉崎とどんどん親密になっていった彼の名前は......
相変わらずメタというか、他社作品も巻き込んだりとか。まさかポリフォ●カが出てくるとは思いませんでした。
そんな生徒会シリーズ番外編。まぁ、やってることは同じ気もしますが、本編ではあり得ないシチュエーション(=生徒会室以外が舞台となる)ということで番外編ということすな。いやぁ、ここでこんな方向性で本編の伏線を拾うとは、真冬大喜びですね。
ともあれ、裏設定っぽいのも明かされつつ大きな流れのようなモノには乗っかっているように思えたりもします。番外は番外で今後も続くようなので、本編と共に追いかけてみたいと思います。
そんなところで次は『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』です。
狼と香辛料 Ⅸ~対立の町<下>~
支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
10月10日(金)読了。
『狼の骨』を追って港町ケルーベを訪れたロレンス達一行。
しかし、彼はそこで今まで経験したこともない大きな『商売』に巻き込まれる。
いや、それは『商戦』。
一介の行商人として、状況に対応しきれず途方に暮れるロレンスだったが......
そんな訳でケルーベでの物語完結編。
いやぁ、やっぱり心地よいですなぁ、この舌戦は。
商売を軸に展開される人間模様、そこに行商と町商人との見方の違いやらが絡んで非常に楽しい言葉の押収でした。
なんか、最後の方はもう痛快としかいいようが無いです。
孤独から、仲間を得て、ロレンスが今後どう進んでいくのか? そういった部分にも少しばかり道を示す御華詩でもありましたな。次は予想通りあっちへいくようですし、これからも楽しみです。
そんなところで次は『生徒会の日常 碧陽学園生徒会黙示録1』です。
神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎
あざの耕平・著、カズアキ・イラスト、GA文庫。
10月8日(水)読了。
新進気鋭の音楽家にして神曲楽士、ダン・サリエル。
数々の輝かしい実績を持つ彼は、ある日出会った白銀の虎の姿をした精霊を痛く気に入り、前代未聞の楽士から精霊契約を持ちかけた。
その精霊には契約相手として心に決めた者がいると言うが、自信家のサリエルはそれでもめげず、契約主の座を奪い取るべくその相手のいるその相手のいる田舎町を訪ねた。
そして、彼がそこで出会ったのは......
かつて、
『神曲奏界ポリフォニカ Palette 』
http://www.ktrmagician.com/archives/2007/08/palette.html
で、
>彼の活躍を普通に長編で読んでみたいとまで思うぐらい気に入ってしまいましたが、望み薄ですかねぇ。
とか書いてたんですが、実現するとは。いや、本当に嬉しいです。それだけ魅力的なキャラということですな、ダン・サリエルは。
このシリーズは他と違って連作短編としての構成となるようですが、それはそれでいいですねぇ。また、他シリーズが神曲楽士の活動がメインのところで、こっちは音楽家としての活動がメインってのも面白いです。彼の音楽性には非常に共感できるのです。
最初の話は上述のアンソロジーに収録された短編そのままですが、他の話と組み合わせてこの一冊でダン・サリエルという人間が掘り下げられています。ああ、あと、ユフィンリーも。壊れたようで、確かであんなだよな、ユフィンリー。この二人、確かに似てるんですよね。方や神曲楽士として、方や音楽家として、古い慣習にとらわれず現在のニーズに合わせた形態を模索するって点では。でも、それだけに、ああなるんですな(;^^)
そして、早い段階でこういった話が出たのが素晴らしいと思ったのが第三話『ダン・サリエルと孤高の老楽士』。これで、ダン・サリエルという人間の音楽性がより明確になりました。ただ、傲慢なだけではなく、純粋に音楽を愛する彼の本質がよく出た御華詩でした。
とまぁ、そんなところでポリフォニカは消化したので次は『狼と香辛料 Ⅸ~対立の町<下>~』です。
神曲奏界ポリフォニカ エイディング・クリムゾン
榊一郎・著、神無月昇・イラスト、GA文庫。
10月6日(月)読了。
トルバス・スピリット・フェスタを控えたメガ・フロート<ホライズン>。
そこは今や、荒れ狂う嵐に翻弄される孤島と化していた。
強制的に操られた精霊達の破壊活動がもたらした状況に、事情を知らない人間達は、少なからず彼らへの不審を募らせる。
そんな中、状況は悪化の一途を辿りやがて<ホライズン>自体の崩壊の危機を迎え......
いいですねぇ、崩壊寸前の孤立した巨大建造物での攻防。人間ドラマ。
読んでて感じたのは映画的なテンションってことですな。まぁ、どう映画性があるのかは直観的なので説明しづらいんですが(;^^) しかしまぁ、クガノ・リュネアという精霊を憎む少女の目を通して、精霊と人間の関係をより掘り下げることになったと思います。今回の主役は彼女でしょうね。また、まさかのあのシリーズとの接点も驚かされました。いや、そう来るとはねぇ。告げたのが彼というのも憎い演出です。こういうのがシェアード・ワールドの面白いところですね。
とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎』です。
神曲奏界ポリフォニカ エンシェント・ホワイト
高殿円・著、凪かすみ・イラスト、GA文庫。
10月3日(金)、絶賛読了。
ギリギリながら無事に皆と共に二年生に進級したスノウ。
新入生を迎え、新たな日々が始まると一大イベントの学園祭へと突入する。
スノウはお嬢様やジョッシュ達と組になって音楽カフェをすることとなった。
その準備中、カフェを開く場所探しに訪れた古い聖堂を一行は訪れる。
なぜかブランカは嫌なモノを感じていたが構わず聖堂内を調べるスノウ達は突然光に包まれて......
進級して新章突入と言うことで過去と関わる一大事件の幕開けですね。
まぁ、読んでて既視感があると思ったら途中まで読んでいたキネティック・ノベル版の内容だった訳ですが、本で読めるのは有り難いです。確かに、あの時間軸だとどうしても本編と絡みますしね。何より、一つの核心に触れる内容になりそうで先が気になるのでキネティックを再開しようかと思ったりもしました。
あと、やはりキネティック版だけではということでプリムローズお嬢様とスノウの出会いを書く短編が合わせて収録されているのは嬉しいです。お嬢様は昔から黒かったという御華詩。でも、ええ御華詩でした。今後も、今の話が続く間はそういった短編なり中編なりが併せて収録されると言うことでそちらも楽しみです。
とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ エイディング・クリムゾン』です。
神曲奏界ポリフォニカ リライアンス・ブラック
大迫純一・著、BUNBUN・イラスト、GA文庫。
10月2日(木)読了。
トルバス・インディーズ音楽祭の前日、舞台で起きた悲劇。
神曲を芸術として飽くまで演奏を主体とした一人の青年が、単身楽団の漏電により感電死したのだった。
事件の捜査を進めるマティア達は、意外な容疑者に辿り着くことになった。
なんと、それはかつての冤罪事件で二人が救い、今では掛け替えのない友人でもある、シェリカだった......
いやぁ、シェリカを本編に出した途端にこういう話を持ってくるのは凄いですねぇ。
シェリカとマティアの関係が一気に掘り下げられました。シェリカが、彼女にとってどれほど特別な存在であるのか。マティアのこれから描かれるであろう部分にとって、非常に大きなファクターなのでしょう。
ミステリという性質上、内容に詳しくは触れませんが相変わらずフーダニットは直ぐ解けます。が、だからこそどうやって追い詰めていくのかが楽しみでもあります。やっぱりいいですねぇ、こうやって犯人を理詰めで追い詰めていくのは。王道です。
とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ エンシェント・ホワイト』です。暫くポリフォニカが続きます。
くうそうノンフィク日和
小柳粒男・著、長月みそか・イラスト、講談社BOX。
9月21日(日)読了。
第一回流水大賞優秀賞受賞作。
田舎町のバーレストランの雇われ店長の撒井は、退屈ながらも常連客たちと適当に日々を過ごしていた。
だがある日、特に親しくしていた高校生3人組の中の一人、篠木が魔女となったことから平穏な日々は終わりを告げる。
その後を追って、一人は騎士に、一人は残りの行方を追うこととなった。
そんな彼らを、撒井は見守ることとなり......
ふむ、なんか雰囲気のある御華詩でした。正直、すっきりしないけれども、それも納得できる、そんな印象でした。確かに、昨今のライトノベル系では出てこないタイプの御華詩だったのは間違いありません。
日常と非日常の交錯があり、高校生が命のやりとりをするようになって、それに気を揉む年長者が居て。視点キャラとしての撒井が傍観者であることを自覚しながらも出来る範囲でもどかしいなりに何かをしてやろうとする、でも、素直じゃなくて、その辺の描写に味がありました。ラッキーストライクの煙に巻かれたような、そんな言葉の数々は表現も若干奇を衒ったような言い回しもありますが、捻っていて雰囲気を出すのに一躍買っていますな。また、作者の意図かどうかはともかく、深読みすると、色んなメタファが読み取れます。まぁ、そこまで考えると相当疲れそうですが。
何でしょうね、確かに流水大賞というモノに相応しい内容であったというのは間違いないと感じました。
とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ リライアンス・ブラック』です。
が、先日完結し"文学少女"シリーズの読み返しも考えてるので並行して読み進めることになりそうです。
この広い世界にふたりぼっち
葉村哲・著、七草・イラスト、 MF 文庫 J 。
9月17日(水)読了。
第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞佳作賞受賞作。
孤独な少女は、街と森の境界で狼と出会う。
人語を解する狼をおそれることなく、少女はその求婚を受け入れる。
人と狼の夫婦。
それは、互いに人と狼の稜線を侵す行為でもあった。
かくして、少女と狼の世界はバランスを崩し始める......
全体的に暗い雰囲気の御華詩なんですが、暗いからこそ微かな明かりが目立つというか、そういう趣のある作品でした。
細かい部分では唐突に感じられる部分も多いのですが、そんな中にあって狼と人間の夫婦という部分がしっかり描けているのがよいですねぇ。人と狼だからこそある葛藤というか、そういったモノが自然に感じられれました。『憎しみ』という感情を軸にして世界と距離を置く視点で語られるのですが、そこここに色々と考えさせるモノがあって神話的なメタファが多用されていたようにも感じます。しかし、こんな性格で、ヒロインの名前が咲希(さき)というのは、その名前自体が痛烈な皮肉な気もします。
新鮮なモノを感じさせる作品ではありましたが、シリーズとなるのかどうか、微妙な感じもします。ただ、次回作も読んでみたいと感じさせる内容ではありました。
とまぁ、そんなところで次は『くうそうノンフィク日和』です。
ほうかご百物語 2
峰守ひろかず・著、京極しん・イラスト、電撃文庫。
9月15日(月)読了。
いつの間にやら学内の怪異対策担当となった美術部。
稲葉先生からの情報で屋上の危なげな気の調査に向かった真一とイタチさん。
特に何も見つけられないで居るところに、突如響く犬の鳴き声。
問答無用でイタチさんに襲いかかるのは、一人の犬神使いの少女......
とまぁ、新キャラも早々に投入しつつの第二弾でありました。
今回も、妖怪譚の使い方が楽しいですねぇ。一旦概念的なモノに解体した上で色んな要素を混ぜ込んで時に敢えて曲解してたりで、経島先輩の解説と合わせて効果的に用いられています。特に、河童の御華詩はなるほどなぁ、と思いました。
また、語り部である白塚真一のキャラが一人称ではありがちっぽいようで絵描きマニアというかその辺が絡んで新鮮なキャラになっててそこもいいですねぇ。
てなところで次は『この広い世界にふたりぼっち』です。
偽物語 上
西尾維新・著、VOFAN・イラスト、講談社BOX。
9月9日(火)読了。
様々な怪異に触れた阿良々木暦の妹、阿良々木火憐と阿良々木月火。
人呼んで『栂の木二中のファイヤーシスターズ』。
近隣の中学ではちょっとした有名人である二人は、困った人を助けるちょっとした正義の味方の真似事をしていた。
そんな中、とある事件に際して、彼女たちは出会ってはいけない相手に出会ってしまい......
まぁ、そんな本筋があるにはあるのですが、8割以上が阿良々木暦とヒロイン達の漫才で構成されています。なんというか、こんなに笑ったのは久しぶりです。流石、『200パーセント趣味で書かれた小説』。仕込まれたネタもフリーダム過ぎます。まさか、こんなところで『烏丸ちとせ』なんて名前を目にすることになるとは思いもよりませんでした。
とは言え、阿良々木暦の妹達に対する想いの描写は、いい具合にツンデレで素直じゃない感じが非常によかったです。こういう想いって実際にあるんでしょうねぇ。
それと、読んでてふと思ったのですが、西尾維新の作品ってギャルゲ的に捉えると基本ハーレムルートなのは気のせいでしょうか(;^^) ネタバレるので具体的には書きませんがこれと他2作品は当てはまる気がします。
でまぁ、そんな風に最大限に楽しんだのですが一つだけショックなことが...... ああ、羽川翼! なんでそんなことを! って理由は前作読んでりゃ分かりますが、だからって、だからって、それは、それはぁぁぁぁ! うん、確かにこれなら大騒ぎになるのも解ります(謎
とまぁ、取り乱したところで次は期せずして『物語』繋がりな『ほうかご百物語 2』です。
神曲奏界ポリフォニカ~ジェラス・クリムゾン
榊一郎・著、神無月昇・イラスト、GA文庫。
9月8日(月)読了。
神曲楽士の仕事の一環として、母校であるトルバス神曲学院の特別講師としてかり出されたフォロン。
そんな中来る『トルバス・スピリット・フェスタ』の開催行事として学生達と共に模範演奏を行うこととなる。
だが、その生徒達の中に、精霊嫌いを公言する異端とも言える女生徒が居て......
かなり長く間が空いて途中読み飛ばしがないか不安になりましたが、大丈夫でした。
今回のテーマはタイトルに有るとおり『嫉妬』、キーワードは『眼鏡・三編み』です。うん、これで間違ってない。
そんなテーマの裏で『反精霊主義』というこの世界観の根底である『人間の善き隣人としての精霊』と真っ向から相反するモノが蠢いてこれまでに無い規模の事件が起きようとします。まぁ、まだ前編なので決着は後編ということでその辺りの顛末はまだまだ先のお楽しみのようですが、『反精霊主義』てのは確かにこの世界観ならあるべきモノなんですよねぇ。青の『精霊至上主義現実派』ってこの逆の立場の団体も有るわけですし。そう言えば、青、出ないですね......
とまぁ、そんなところで次はアニメ化決定の『化物語』の後日譚『偽物語 上』です。
"文学少女"と神に臨む作家(ロマンシェ) 下
野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
9月2日(火)読了。
すみれのような笑顔の先輩だった。
困ったとき、苦しいとき、蹲る僕の手をそっと握って立たせてくれた。
数々の物語を読み解いて、その闇を優しく照らす光を見いだしてくれた。
そんな"文学少女"とその作家の御華詩......
素敵な御華詩でした。
この作品と出会えて本当によかったと思える、そんな作品でした。
遂に完結して嬉しくもあり寂しくもあります。
今は、この天から降り注ぐマナのように甘く優しい余韻に浸っていたい、そんな気分です。
決して気楽に読める作品とは言い難い、でも、その重苦しく陰惨な中にも必ず暖かなモノを残してくれる、そんな"文学少女"の在り方。それは又『見立て』を美事に用いた良質のミステリとしての側面も示します。
物語を様々な視点から深い奥まで見通し、登場人物の心情を読み解く。その時、すみれ色のリボンのセーラー服に長い三つ編みを揺らす"文学少女"は、鼻緒だけが赤い黒ずくめの拝み屋のようでもあります。そうして彼女が告げるのは、一見残酷な運命の中に秘められた優しさや思いやり、愛情といった暖かな感情を浮き彫りにし、事件の当事者達を絶望から救う福音。
なんと残酷でなんと優しい物語だったのでしょう。
この中には、人間の感情の闇と光がありありと浮かび上がっていました。
今、私はただただその余韻に浸りたい。
願わくば、狭い部屋の窓辺で、パイプ椅子に体育座りしながら、この本を手に......
藤堂家はカミガカリ 2
高遠豹介・著、油谷秀和・イラスト、電撃文庫。
8月31日(日)未明読了。
ハテシナという世界があった。
そこは、この世界での神話の原形となった世界。
その世界からとある事情でこちらの世界に常駐し、藤堂家の居候となった神一郎と美琴。
一つの大きな事件から暫し、なんだかんだでハテシナからの異邦人を匿うこととなって......
いやはや、軽妙な語り口でサクッと読める芸風はいいですねぇ。
ただ、シリアス場面でも容赦なく笑いを取りに行くのは控えめになってるあたり、やっぱ前作のあれは賛否両論合ったんだろうなぁ、とか大人の事情を感じる2冊目でもありました。個人的にはあれが大好きだったんで、ちょっと笑い的に物足りないモノを感じたりもしました。とは言え、その代わりに『家族』というテーマについてユーモアを交えながら上手いこと描いてるなぁ、とも感じました。そっち方面に進むならそれもそれもありですねぇ。美琴は、今後大変そうですが。
......そして、なんで頑なに表紙に主人公的な神一郎と美琴を出さないんだ、この作品(;^^)
とまぁ、そんなところで次はいよいよ最終巻! な『"文学少女"と神に臨む作家 下』です。
学園カゲキ! 3
山川進・著、よし☆ヲ・イラスト、ガガガ文庫。
8月28日(木)読了。
四月、私立歌劇学園にも様々な夢を持つ新入生が訪れる季節。
これは、新年度が始まって間もないある一日の物語。
アクションスターを夢見てカゲキ・アクションクラブ(KAC)の門戸を叩く新入生、綾平きらら。
小柄なことがコンプレックスの彼女は、部長の趣味で筋トレばかりの部活動に嫌気がさして......
あれ? 拓海と九月は?
という風に、今回は主役のバカップルはそっちのけで歌劇学園の『片想い』をテーマにして5つの視点で語られる連作短編といった体裁でした。『同じ1日を視点を変えながら描く』と言うことで伏線の配置と回収に意識すると中々勉強になりますな。まぁ、叙述トリック風味部分は期待を裏切ってくれなかったのがちょっと物足りないですが(;^^) 構成の都合とは思いますが、ところどころ投げっぱなし感があって気になったりもしますが、芸能特区とも言える歌劇学園という舞台を上手く利用した御華詩でした。正直、2冊目以降がこの短編が長編になったような感じで色んなキャラの視点の物語になっていくのかなぁ、とか思っていたので興味深い。ただ、全体として今までとがらりと雰囲気を変えた実験的な印象は否めませんでした。でもまぁ、ここからまた色んなキャラが活躍する御華詩が出てくればなぁ、と思います。
とまぁ、そんなところで次は『藤堂家はカミガカリ2』です。
ギャルゴ!!!!!3 -地上最強G級大全-
比嘉智康・著、河原恵・イラスト、MF文庫J。
8月26日(火)読了。
物干し竿で地方都市伝説に立ち向かう少年、田中春男、通称ギャルゴ。
人間の女性に持てない代わりに人外に持てるMB(モノホシ・ボーイ)
そんな彼の住む街に、今日もまた地方都市伝説略して地伝が発生する。
今回の地伝は真幌市の女性達の身体の一部に劇的な変化を引き起こして......
前回のオチの後始末をどうするかと思ったんですが、誤魔化さずに上手く伏線として活かしてますねぇ。また、いよいよ全ての地伝の元凶たる噂長(そんちょう)がなんだかなぁ、といった形で存在をアピールし始めたり、物語はしっかり動いています。
......でもまぁ、今回の地伝は『巨乳風邪』という何とも頭の悪い代物なんですが(;^^) まぁ、こんな風邪はさっさと治すに限りますね、ええ。
あと『巨乳風邪』の後にもう一本短編として『死神召喚パラパラ』という話が入ってるんですが何気にこっちがすごくよかったです。生意気な妹の内面となんだかんだで大切にする兄の微笑ましい御華詩でした。表紙もこっちをフィーチャーしてますしねぇ。
とまぁ、そんなところで次ぎは『学園カゲキ! 4』です。
狂乱家族日記 拾さつめ
日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
8月22日(金)読了。
狂乱家族の子育て騒動も一段落したころに届いた『世界会議』への案内。
主催者の意図が全く読めない中、乱崎家の面々は特に危機感もなく家族旅行感覚で臨もうとしていた。
しかし、そんな甘い考えは通用せず、彼らは大きな試練に晒されることになる。
果たして、不解宮ミリオンは何のために『世界会議』を開こうとしているのか......
段々と謎が明かされていく『閻禍伝説』編ですが、今回も大きな謎が明かされて物語も核心に迫っています。
まぁ、そんなのそっちのけで相変わらずの狂乱...... と思ったらちょっと様相が違っています、というかいつも狂乱をまき散らす凶華様が珍しく弄られてたりしてて、今回の中心は不解宮ミリオン、でしょうか。
内容は詳しく触れずに言えることは...... 月香、はっちゃけ過ぎ。前回で家族としての絆が強まったとは言え、方向性が(;^^) まぁ、積極的に動くようになっただけで、そんなにキャラ自体は変わってないような気がしないでもないですが、日日日の年齢的になんでネタがそんなに古いのか。でも、うん、お父さんとお揃いはいいことだと思います。
何はともあれ、色々大変なことになりつつええところで終わってたので次が待ち遠しいです。
とネタバレ避けてどうでもいい内容でしたがこの辺で日日日祭は終了して次は『ギャルゴ!!!!!3~地上最強G級大全~』です。
アンダカの怪造学 Ⅸ Hyper Samurai Soul
日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
8月18日(月)読了。
一つの禁忌の終結から程なく。
”最終兵器”を補強する材料としての”決戦兵器”に怪造学会は掛ける。
それは、もう一つの禁忌『物造』に関わるモノ。
そうして、物造に夢を馳せた祖父を持つ少年と、物造の申し子の母を持つ少女が戦場へと向かい……
いやはや、満を持しての侍少女の戦線復帰の物語。
これまで仄めかされた戦橋舞弓に纏わる謎がどんどんと解き明かされて目の離せない御華詩でした。
『物造』というキーワードですっかり鬼京と舞弓のコンビが定着してますが、今回はそれが非常にいい形で働きましたねぇ。
伊依もすっかり『綺麗事を貫くだけの厳しさ』を得て相変わらず無茶してます。いや、あれを当たり前のように出来てしまうのは本当の強さですねぇ。
また、その裏では全く怪造学の埒外に居る一人の少女の小さな恋物語でもありました。その結末は読んでのお楽しみ。
これまで何人もの大物が登場し、いよいよラスボス戦が近づいています。次はどうなるのか…… 非常に楽しみです。
とまぁ、そんなところで次は『狂乱家族日記拾さつめ』です。
魔女の生徒会長3~案山子たちのグランギニョル~
日日日・著、鈴見敦・著、 MF 文庫 J 。
8月14日(木)読了。
あらゆる学生を受け入れる帝都世紀末学園。
第三大日本帝国「子供の国」に存在する学園の通称「魔界」なC校舎でかつて起こった『みんなの友達』事件。
それは、魔女の生徒会長、剣シロオがどうにか事件を中断させたモノの完全には解決出来なかった事件でもあった。
それから半年が過ぎたある日、事件が再現され、C校舎の総代表「魔王」断花シャムから生徒会に解決の依頼が舞い込む。
果たして魔女の生徒会長は、今度こそ事件を解決出来るのか……
うわぁ、これはすげぇ。いい意味で心地よく騙された感の漂う、そんな御華詩でした。
下敷きにされているのは、サブタイトルの『案山子』ととある登場人物の名前から繋がる『オズの魔法使い』なのですが、日日日の解釈が絡むとこうも凄まじい御華詩になるんですねぇ(;^^)
因みに、タイトルの『グランギニョル』はまぁ、残酷劇とでも訳せるような代物。で、看板に偽りなし。まぁ、元々このシリーズはそう言った側面もありましたが、自覚的にやられるとかなりえぐいので人を若干選ぶ気もします。ただ、全体の雰囲気としては何か文学的ともとれて『ちーちゃんは悠久の向こう』などの新風舎での作品の空気を感じたのは気のせいか…… なんというか、看板に偽りがなかった割には不思議と読後感は悪くない、そんな作品だったように思います。
とまぁ、そんなところでしばらく日日日が続くというわけで次は『アンダカの怪造学 Ⅸ Hyper Samurai Soul 』です。
人類は衰退しました 3
田中ロミオ・著、山崎透・イラスト、ガガガ文庫。
8月12日(火)読了。
かつて栄華を極めた人類は衰退し、現在の『人類』と言えば妖精さんとなった世界。
緩やかに滅び行く人間達は自らの記録を残す壮大な『ヒト・モニュメント計画』に着手する。
その端緒となる都市遺跡の調査の影響で、久しぶりに通電した”わたし”たちの居るクスノキの里。
”わたし”が今までになく忙しく調査の準備を進める中、妖精さんたちは突然里帰りとなって……
相変わらずゆるゆるした雰囲気は語り部の”わたし”の影響ですが、今回は何かこの作品世界の核心に迫る事実が明かされたり相当ハードな危機的状況だったりで濃い内容でした…… が、やっぱりゆるいですねぇ。なんでしょう、こんだけのサバイバルやらバトルをこれだけ暢気で緩く描けるのは何気に凄いことだと思います。最後の落とし方も、”わたし”らしい締め方で安心です。
それと、助手さんが作中で書いてた絵本が面白すぎます。いいなぁ、あのオチ。
とまぁ、そんなところで次は『魔女の生徒会長3 案山子たちのグランギニョル』でここからしばらく日日日作品が続きます。
SHI-NO -シノ- 空色の未来図
上月雨音・著、東条さかな・イラスト、富士見ミステリー文庫。
8月9日(土)読了。
『僕』の元に届いた懐かしい友からの文。
その文に導かれ『僕』は志乃を大阪に残し、高校時代を過ごした福岡の両親の元へと帰る。
そして、『僕』は思い出と対峙することになる。
そもそも、切っ掛けとなった文の差出人。彼女は、既にこの世にいないのだから……
今回は、何かと志乃のストッパー、等というと生やさしい気もしますが非常に微妙なバランスを保つ役割を演じてきた語り部の『僕』の物語。何でしょう、これまでとは少し雰囲気を異にしているようで、よくよく考えれば初期のテーマに立ち返ったようにも感じられるそんな御華詩でした。何故か、読んでて麻耶雄嵩の作品を想い出しました。ミステリとしては異質なんですが、これはこれでありというか。志乃と向き合う『僕』という存在の役割がより深まる、そんな側面もあったように感じます。
こうして、必要な舞台は整った、というところでしょうか。次回はいよいよ、初期から言及されつつも詳しくは語られなかった、あの事件の御華詩。これは楽しみです。
とまぁ、そんなところで次は『人類は衰退しました 3』です。
生徒会の三振~碧陽学園生徒会議事録3
葵せきな・著、狗神煌・イラスト、富士見ファンタジア文庫。
8月5日(火)読了。
碧陽学園生徒会では、夏休み前の全校集会で出し物を行うことが伝統となっていた。
夏休みに向けての生徒達の気持ちを引き締める大切な催しと、生徒会の面々は一丸となり案を検討する。
そうして、今年も、生徒会の名に恥じぬ出し物が……
出来るはずがないのが碧陽学園生徒会と言う訳で、相変わらずの軽妙な漫才でありました。
うん、狭い範囲での漫才でよくこれだけ続くなぁと思ったり、やっぱり富士見以外のネタが多くて大らかだなぁとか思ったり、サラッと楽しめる作品でした。
とは言え、三冊も重ねればそろそろシリーズ要素が出てくるというか、1冊目から続いていた伏線がようやく本編に絡んできそうなような、そうでもないような進展もあったりします。その辺りで用いているメタな構造は結構おもしろいです。
とまぁ、そんなところで次は『 SHI-NO -シノ- 空色の未来図』です。
きみとぼくの壊れた世界
西尾維新・著、講談社。
8月3日(日)未明読了。
『持てる最大の能力を発揮して最良の選択肢を選び最善の結果を収める』ことを心情とする櫃内様刻。
これは、妹を溺愛する彼の友情と恋愛と身近に起こった殺人事件に纏わる物語……
これは、講談社ノベルスで過去に発行された同名小説に加筆・修正してハードカバーの装丁で愛蔵版的に発売されたモノです。勿論、ノベルス版は既読なのですが、間が4年以上開いている上に当時 CGI の掲示板に書いてた感想はスパムに流されて消えるという哀しい運命を辿ったために違いは分かりませんでしたが、なるほど、こういう御華詩だったというのは思い出せました。そうだそうだ、くろね子さんはこういう人ですな。
ミステリだけに下手なことを語れないの大筋が手抜きもいいところですが多分、外してはいないはず。まぁ、全体的にアンチミステリ的であり、安置ミステリでもある、そんな雰囲気の御華詩です。ミステリ入門的とも言えますかねぇ。相当ひねくれてますが。
まぁ、直前に読んだ『きみとぼくが壊した世界』の確認的に読んだのですが、時間は掛かったモノの色々思い出せて有意義な読書となりました。
とまぁ、そんなところで次は心機一転『生徒会の三振』です。
きみとぼくが壊した世界
西尾維新・著、 TAGRO ・イラスト、講談社ノベルス。
7月27日(日)読了。
修学旅行券卒業旅行として、病院坂黒猫と櫃内様刻は二人でロンドンへと向かうこととなる。
しかしそれは、黒猫の親類の笛吹という男の依頼を兼ねてのことだった。
それでも存分に観光を楽しもうとする黒猫と様刻は思いも掛けない事件に遭遇することとなった……
いやはや、確かに、これは本格ミステリ、と行ってもよいのでしょうな。ですがそれだけに、非常に楽しい作品ではあったのですが、内容は全く持って語りようがないです。というか、ネタバレずに語るのが非常に難しい作品と思います(;^^) 古典的な手法を敢えて今使ってみたような実験的な作品というか、2作品ほど有名どころを想い出しますが、それを上げた時点でネタバレでしょうから語りづらい……
しかし、黒猫ってこんなに魅力的なキャラでしたっけ? もう『きみとぼくの壊れた世界』読んでから大分経つ上にこの作品の特殊な性質のためにすっかり分からなくなってしまいました(;^^)
そんな訳で次は予定を変更して急遽半ば記念購入だった『きみとぼくの壊れた世界』(ハードカバー版)です。
シゴフミ2
雨宮諒・著、ポコ・イラスト、電撃文庫。
7月24日(金)読了。
新米消防士の桜井進が偶然受け取った急ぎのシゴフミ。
幼い字で綴られたその内容は、火事場から妹を救って欲しいと求めるもの。
しかも、すぐに出動が掛かり現場はその手紙に記された場所だった。
現場でその手紙の内容を信じ、美事にシゴフミに記された想いを叶える。
それが切っ掛けで進は街の英雄と称えられるようになるのだが……
そんな『英雄になる瞬間<とき>』と、差出人が『猫』という希有なシゴフミに纏わる『青い空、白い猫。』。恋のキューピッドを演じる少女が、自身の恋に葛藤する甘く切ない『キューピッド』の三編。
シゴフミ=死後文という主題から『死』が常につきまとう御華詩。どうしても手放しでハッピーな御華詩にはなりようも無いのですが、暖かくて切ない、そんな感じの雰囲気はいいですねぇ。アニメの方は結構ダークな路線だった気もしますが(;^^)
とまぁ、そんなところで次は『きみとぼくが壊した世界』です。
とある魔術の禁書目録16
鎌池和馬・著、灰村キヨタカ・イラスト、電撃文庫。
7月22日(火)読了。
アヴィニョンでの騒動も終わり、平穏な日々を過ごしていた上條当麻。
ある日、そんな彼の元に天草式十字凄教の五和が訪れる。
その理由は、『護衛』。
何と、『神の右席』が一人、後方のアックアが当麻の右腕を狙うと、イギリス清教・学園都市双方に堂々と宣戦布告をしたのだった。
現れたアックアの『聖人』と『神の右席』の両者の力を併せ持つ圧倒的な力の前に当麻達は……
こないだ再登場したと思ったらやたらと優遇されてますね、五和。おしぼりキャラはいつのことか……
そんな訳で、今回は五和を中心として天草式がメインですねぇ。いやはや、天草式は楽しいよの。
で、その元女教皇様は相変わらずいじられキャラというかなんというか(;^^)
また、天草式との関係の中で当麻がこれまで築いてきたモノの結実も示されます。彼を守るためにこれだけの人間が動くという。ただ、それは彼の望まないことでもあり、複雑なところですがねぇ。
とまぁ、核心は外して曖昧にしつつこの辺りにして、次は『シゴフミ2』です。