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2007 のアーカイブ

地を駆ける虹

 七位連一・著、光崎瑠衣・イラスト、 MF 文庫 J 。
 12月30日(日)読了。
 第三回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞佳作受賞作。

 貧民層と富裕層がはっきりした世界。
 突如『楽園の民』と呼ばれる者達がもたらした『エレメント』と呼ばれる力。
 その能力の発現条件は身に埋め込まれたエレメントの『卵』の孵化。
 斯くして、エレメントさえ持てばどんな貧民でも戦場で名を上げ富と栄誉を獲得できるようになった……

 そんな感じの世界観の中、主人公は英雄を夢見る少年ネイブ。
 だが現実は傭兵団内で一人だけ卵を孵化させて居ない足手纏い。
 劣等感に苛まれつつ、それでいて努力もせず、仲間の優しさにも気づけない。
 唯一の肉親である妹にはいいところを見せたいため傭兵団を率いているかのような嘘ばかり。
 正直、あまり愉快な主人公では無いですが、有る意味、世相を反映した主人公でも有るなぁ、とか感じました。
 「駄目駄目な主人公がとあるきっかけで目覚める」という展開が予想される内容ですが、まぁ、何というか悲惨ですねぇ。

 安易な悲劇。

 最近のトレンドなのかどうか解りませんが流行モノの刺激要素として持つモノを活用しては居ますが、後味の良いモノではありませんでした。
 世界観や演出面ではよく出来ていたし、方向性はともかくプロットも納得いくモノで「なんでこんなのが受賞?」というような内容では決して無かったとは思うのですが、色々考えさせられる作品でした。
 今の世の中、こういうのが受ける時代なのでしょうねぇ、とか思ったりも。

 ネタバレを極力避けて書くと今一核心に触れられませんでしたがおそらく今年最後の読了となるこの作品は「考えさせられる」という点ではよい作品でしたとポジティブに受け止めることにします。

 とまぁ、そんなところで次は『文学少女と月花を孕く水妖』です。

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)

 三浦勇雄・著、屡那・イラスト、MF文庫J。
 12月26日(水)読了。

 『上等。』シリーズのコンビの新作。今回は装いもガラッと変わって剣と魔法のファンタジー世界。
 没落貴族の末裔の新米騎士、セシリー・キャンベル。初の実践で代々伝わる剣が折れ、命の危機に陥った際に自らを救った男が持っていた見かけない剣。鍛冶屋だというその男の剣に魅せられ彼女はその男、ルーク・エインズワースの元に新たな剣を求めて足繁く通うようになる……

 とまぁ、こんな感じの導入ですが、世界は変われど根っこは同じというか、セシリーの根っこに鉄平のノリが宿ってます。いやぁ、いいですねぇ。限界を知った上で出来る限りを尽くすってのは大切なことです。あと、自らの体の一部を捧げて悪魔を召喚する『悪魔契約』と大気中の霊体と呼ばれるモノに干渉して力を行使する『祈祷契約』という魔法的な概念も面白い。多分、根本的なこの両者のあり方の違いと根っこが今後絡んできそうかなぁ、とか思ったり。そして、ルークの使う呪文が可成りツボ。いいなぁ、こういう和風な呪文。『とある魔術の禁書目録』の土御門とか。タイトルにあるとおり、刀鍛冶がモチーフになってるんですがその辺りが効果的です。うん、このシリーズも期待できそうです。

 ……ただ、惜しむらくは槍ヶ岳とか大目玉とか越後屋とか見たいな女性キャラが居ないこと。め、眼鏡分が……


 とまぁ、そんなところで次は『地を駆ける虹』です。

神曲奏界ポリフォニカ アニバーサリー・ホワイト

 高殿円・著、きなこひろ・イラスト、GA文庫。
 12月20日(木)、絶賛読了。

 今回は精霊島学院のお正月休みの御華詩。今回はちょっとこれまでと体裁が違ってスノウ&プリムローズお嬢様の白チーム、ジョッシュ&リシュリーの紫チーム、そしてある意味ポリフォニカ世界で最も愛されているミノティアスメインの三本の短編集です。

『僕の刻を刻む神曲』

 学院は正月休みなれどメイドの仕事に休みは無いという訳で、スノウは本業のメイド仕事。これまで描かれなかった彼女の上司である執事ルークにまつわる御華詩。なんというか、お嬢様が黒いのはもういつものこととして、ルークの精霊と人間の関係に関する考え方はこの世界観の根底の理由付けとして非常にいいですねぇ。これまでも匂わされてましたが本当に、いい設定ですね。
 あと、なんだかんだでデイジーっていい娘ですね。

『セレブレーション・ホワイト』

 分家の出ということで何かと厳しい目にさらされるジョッシュ。彼が本家で七楽門の集まりに出席する御華詩。七楽門について非常に重要な設定が明かされます。それと、スノウの剣の謎もこれで解けます。というか、こっちの方がスノウに関係してますが、それを本人はまだ知らないと言うことでいつ知るのかが楽しみです。


『金平糖の恋』

 ミノティアスが遂にタキシードを仕立てる御華詩。なんというか、この世界の人間と精霊の関係を最もよく表してる存在であるミノティアス。未来の姿も既に出ているだけに、感じるモノもあります。この時点ではまだほぼ牛なんですよねぇ。あと、作中で仄めかされた女性の心を射止めまくってるのってやっぱアイツだよなぁ(;^^)
 なんというか、いかにミノティアスがこのシリーズを通じて愛されているかがよく解る御華詩でした。


 とまぁ、ネタバレさけると何も書けないと思いつつ書いたら抽象的になってしまいました。

 で、次は『聖剣の刀鍛冶』です。

ななついろ★ドロップスPure!! 1

 赤坂香夜・著、いとうのいぢ、たかみ裕紀・イラスト、電撃文庫。
 12月18日(火)読了。

 同名タイトルのゲームのノベライズ。というか、こっちは Pure!! なので PS2 版が下敷きになってますね。
 前に読んだ PC 版のノベライズと同じように石蕗君とすももの一人称が代わる代わるに出てくる形式で、二人の不器用でじれったい初恋模様が描かれてます。ただ、あちらが終盤に絞った形だったのに対して、こちらはすももシナリオを最初からやるって感じですね。

 まぁ、内容的にはよく知ってるので設定とか理解する時間が必要無い分サクッと読めました。というか1巻の時点では新キャラがまだ出てこないので PC 版とほぼ同じだったので筋もばっちり。ただ、原作ゲームで好きなシーン二つが別のシチュエーションに置き換わってたのは残念でした。まぁ、流れ的にそうなったんでしょうが。

 時間からは新キャラ登場。 PS2 版は発売日に買ったのに現時点で未開封に付き小説の方が先になりそうな勢いです。

 と、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ アニバーサリー・ホワイト』です。

魔女ルミカの赤い糸

 田口一・著、カズオキ・イラスト、MF文庫J。
 12月17日(月)、読了。
 第三回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作。

 タイトルの『魔女』は比喩ではなく中世の所謂『魔女』。そこに人間と影の関係をモチーフにした呪いを合わせてるって感じですねぇ。魔女に関する部分は基本に忠実でそれなりにまとまった内容ですね。ヒロインのキャラ付けも確かに、受けは良さそうかもしれません。
 ただまぁ、全体のプロットも基本通りだなぁというかB級映画のノリですね。更に言えば、魔女を扱ったエロゲっぽい御華詩というか(;^^) MF 文庫 J はこういうノリを目指してるのかなぁ、とか邪推してみたり。つか、根源的なモチーフが『ゴーレム×ガールズ』と被ってると感じたのは私だけでしょうか?
 
 とはいえ、話の構成自体はきっちりしてたのでその辺が受賞に繋がったのかなぁ、と思います。ちゃっちゃと済ますべきはちゃっちゃと済ました方がいいってことですね(謎

 とまぁ、そんなところで次は『ななついろ★ドロップスPure!! 1』です。

学園カゲキ2

 山川進・著、よし☆ヲ・イラスト、ガガガ文庫。
 12月13日(木)未明読了。

 いやはや、前巻で受賞に納得の内容ですが今回も非常に手堅い内容です。本当に「登場人物全員が役者」という設定を上手いこと活かした『作中劇と現実の交錯』が内面描写をより深めています。

 プロット的には、親友と、親友の恋人を好きになった少女の御華詩。
 ただ、ここで先の設定が存分に機能しています。

 横恋慕する少女をA
 親友をB
 親友の恋人をC

 とすると、現実でのAが作中劇ではB、現実でのAが作中劇ではAという形で立場が逆転する仕組みです。これだけの仕掛けで正直ありきたりとも言えるプロットの見え方が全く変わってきます。ほろりとくるかと思ったら、とんでもないどんでん返しがあったり、全体としてよくできたエンターテインメントでした。面白ければそれでいいんですねぇ。
 特に派手な能力が出てきたりはしないですし、登場人物もそこまでぶっ飛んだのは居ないというかある程度ぶっ飛んでても全員が役者という設定で中和されてしまうような感じですが、その範囲で非常に味のある人間が揃っていて、前も書きましたが非常に可能性を感じる世界観なので今後に期待です。

 とまぁ、そんなところで、次は『魔女ルミカの赤い糸』です。

刀語 第十二話 炎刀・銃

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 12月9日(日)未明読了。

 12ヶ月連続刊行大河ノベル、遂に完結!
 いやぁ、最後の最後でやってくれたというか、『化物語』あたりから西尾維新に入った人には辛いというか下手するとキャパオーヴァー、戯言シリーズから親しんでる人にはやっとかな展開でしたが、いやはや綺麗に着地させた物です。うん、ジャンプの突き抜け直前展開は人類最強の請負人の性格からして明らかにわざとですしね。ってまぁ、この世界に彼女がいないから最終巻まで出し惜しんだ部分もあるんdしょうが。
 うん、対戦格刀剣花絵巻、収まるべきに収まったというところですねぇ。まぁ、ネタバレを避けつつもある意味根本バラしてますがこの論法でばれる人には予想の範疇のはずたと思うのでそのままにしておきます。
 とまぁ、そんなところで、次は『学園カゲキ2』です。

クダンの話をしましょうか

 内山靖二郎・著、朝未・イラスト、 MF 文庫 J 。
 12月7日(金)読了。

 タイトルから妖怪ネタで『神様のおきにいり』を連想したんですが案の定同じ作者の作品でした。
 予言の力を持つクダンという少女が、その悲しい宿命に逃れようとする御華詩、ですかね。

 元々はドッペルゲンガーの情報収集の為に創られた筈が、学生達の雑談の場となった『コクバン』と呼ばれる認証式の掲示板。そこで繰り広げられる言葉のやり取りから、三人の少女とクダンの交流が描かれます。なんというか、都市伝説と認証式の掲示板のあり方をうまく使っているなぁと感じました。序盤で職業柄突っ込んでしまった部分はしっかり後半でフォローされててその辺もしっかりしていました。

 中でも、二人目の杏悠(あゆ)の御華詩が印象的でした。回りに勝手に天然キャラと決め付けられ、それを演じるうちに本当の自分を強く求めるようになり、その捌け口を掲示板に見つけて…… という実際にありがちなテーマを、ドッペルゲンガーの概念を利用してうまく描かれていると思います。

 全体的に派手なアクションがあったりするわけでもなく、三人の少女が抱えていた問題に『コクバン』と絡んだ形でクダンがかかわっていく、それだけの御華詩なのですが、これがいい雰囲気を持っていました。これは、『クダン』の『災厄を予言して死ぬ』という伝説の処理が活きているからでしょうねぇ。ネタバレるので書きませんが、この解釈が最初に提示されたときはなるほどなぁ、と思いました。そして、この構図は本当に切ない御華詩だけれど色々な可能性を持っていて今後も期待できそうです。そんな風に中々の良作でした。

 とまぁ、そんなところで次はいよいよ最終巻『刀語 第十二話 炎刀・銃』です。

灼眼のシャナXⅥ

 高橋弥七郎・著、いとうのいぢ・イラスト、電撃文庫。
 12月4日(火)読了。

 なるほど…… 前巻が番外ではありましたが今回の話を読む上では確かに知るべき内容ではありますねぇ。

 そんなことを感じた本編の続き。いやはや、これまでの伏線をしっかりと踏襲した上で行き着いているとはいえ、初期の頃だとこの道を辿るということは予想も出来ない展開になってきましたねぇ。シャナと悠二、そして吉田一美との関係も明確になった感じですが、何より、マージョリーと佐藤、田中の関係の方が今回はクローズアップされてますねぇ。

 で、毎度書いてますが、この辺りの心理描写がやっぱり素晴らしい。残された友人達の気持ち、踏み出す佐藤ととどまる田中の間の葛藤、一方では [仮装舞踏会] の面々の大命へ臨む想い。今回は特に登場人物達の内面の動きが重要になってくるだけに見所満載でした。ほんまに、毎度毎度引き込まれます。


 とまぁ、余り書くとネタバレるのでこの辺にして、次は『クダンの話をしましょうか』です。

戦う司書と追想の魔女

 山形石雄・著、前島重機・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
 12月1日(土)読了。

 もう既に続刊が二冊ほど出ていますが、ようやく第五作を読み終わりました。
 今回は、ハミュッツに反旗を翻した一人の武装司書と、とある事象とハミュッツの因縁の交錯する物語。様々な視点を描きながら複数の物語を交錯させて一つの御華詩を組み立てる、人間の記憶が死後『本』となる世界観と合わさったストーリーテリングには毎回感嘆させられます。前巻である秘密が明かされたことでそのことに作中人物の一部も自覚的な部分がまた何とも。

 『幸福』というものがこの作品世界の一つのテーマであると考えているのですが、今回はそこに正義と悪、という概念が絡んできて色々と考えさせられますねぇ。

 まだまだ謎多い武装司書と神溺教団ですが、面白い勢力が加わってきて今後が楽しみですねぇ。もうちょっとペース上げてこのシリーズも追っていこうと思います。

 そんなところで次は『灼眼のシャナXⅥ』です。

神曲奏界ポリフォニカ~ペイシェント・ブラック

 大迫純一・著、BUNBUN・イラスト、GA文庫。
 11月27日(火)読了。

 いつもいつも渋く決めてくれる黒のポリフォニカも6冊目。今回も期待に違わぬ渋さでした。

 高速道路で走行中に首を切断されるという不可解な殺人事件を発端とし、とある家族と縁の深い精霊の御華詩が描かれます。
 その中で『人間と精霊の関係』というポリフォニカ世界での重大なテーゼが描かれます。これは、どこか青のポリフォニカにも通じるモノが有り興味深い内容でした。
 そして、マティア&マナガのコンビはこれまでに無い感情の発露を見せます。その辺の絆の描かれ方も見所ですね。
 更には、何かと過去が謎めいているマティアにも少し異変があったり、これからも目が離せないですねぇ。

 とまぁ、今回はあんまり書くとネタバレせざるを得ないところがあるんでこんなところで、次は『戦う司書と追想の魔女』です。

レンズと悪魔 4 魔神幻世

 六塚光・著、カズアキ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 11月25日(日)読了。

 今回は短編二本と中編一本という若干番外気味の御華詩。
 短編については博物館と探偵稼業の日常的な内容で、ベタなキャラではありますが、テッキの性格が愉快に描かれてていい感じですねぇ。でもまぁ、どちらかというともっとサクラに活躍して欲しいのですが。

 中編の方は『八眼争覇の敗者』の御華詩。これは、これまで目を背けて来た事実で、今後の展開に絡む内容ですねぇ。代償を払っても叶えられなかった望みは必ず7つある訳で、その辺に踏み込んでるのは話の流れ的にも頃合いに感じられました。こういうの見ると余計に比べてエルバの動機が弱く感じられるのは否めないんですよねぇ…… そこも突っ込みどころとして挙がって来てたので今後どうにかなるかもしれませんね。


 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ ペイシェント・ブラック』です。

SHI-NO -シノ- 支倉志乃の敗北

 上月雨音・著、東条さかな・イラスト、富士見ミステリー文庫。
 11月20日(火)読了。

 いよいよ第二部開幕!
 入院生活を脱した快気祝いに鴻池先輩に連れられた焼き肉屋。そのお土産の美術展のチケット。
 それが、僕と志乃を惨劇の待つ館へと誘う……

 とまぁ、そんな感じで人里離れた画家の館を舞台に繰り広げられる惨劇に巻き込まれる二人。だが、志乃の様子がおかしく、僕はそんな彼女を心配したり杞憂したりする余り暴走しつつ、しかし、決して忘れることの出来ない光景と言葉に触れることとなります。

 こうして、志乃の持つ歪みがクローズアップされて来て、衝撃的な、でも、ある意味、順当な僕の記憶。

 う~ん、ミステリとしては今回は見せかけというか逆手にとった感じですが、志乃という少女のあり方がどんどん深められていくのがよいですねぇ。それを越えがたい壁があることを理解しつつ、保護者として見守ろうとする、僕の視点。危ういバランスで成り立つこの物語がどこへ向かうのか、興味深く思いつつ続きを待ちたいと思います。

 で、次は『レンズと悪魔Ⅳ 魔神幻世』です。

うらにわのかみさま~虎と猫と君と僕~

 神野オキナ・著、龍炎狼牙・イラスト、HJ文庫。
 11月17日(土)未明読了。

 八百万の神やら気がついたら邪神やら装置的な神やらまで出てきて神様のごった煮なシリーズ完結!
 いや、結論から言えば非常によい作品でした。丁度よい分量でユウと霧人の物語はこうして綺麗に着地できたのではないでしょうか?

 基本的な構図は、互いに気づかずに相争う陣営の男女が惹かれ合ってしまい…… というモノなのですが、その辺に日本的な温い神様概念が上手く解け合って心地よいところに落ち着けたなぁ、という感じです。安心して読める作品です。あ、そっか、それに通じてあっちの神様か…… というのは穿ちすぎでしょうかねぇとかなんとかいっちゃったりして。しかし、凄くいい場面で致命的な誤植が…… 脳内補完して事なきを得ましたが第二版以降は直っていることを祈ります。

 とまぁ、そんなところで、次はタイトルから期待が膨らむ『S HI-NO -シノ- 支倉志乃の敗北』です。

バッカーノ! 2002 【B side】Blood Sabbath

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 11月14日(水)未明読了。

 双子の豪華客船を見舞う惨劇、決着!
 海上の密室二つで起きる事件を時間軸も絡み合わせながら、綺麗に組み上げる手練はいいですねぇ。読んでて緊張感が持続します。でも、前巻読んで恐らく三分冊だと思ってたのが二冊で終わってしまった分、ちょっと寂しいかなぁとか感じてたんですが、そこは大人の事情だった模様なので致し方ありませぬ。

 今回は本当に色んな伏線が繋がる回。
 そして大々的に喧伝されていた通り、中でも一際長い伏線を超えて、ラスボス(?)が遂に登場します。なるほどねぇ。この伏線は読みづらいというか論理的には読めないようになってますね。こういうの好きですねぇ、この作者。

 そして、18世紀も20世紀も21世紀も全て絡んでこの事件がどういう因縁の元で起こされたのか、その辺は続刊に期待ですね。

 とまぁ、やっぱりネタバレしないようにすると大して書けません(;^^)

 てなところでお次は『うらにわのかみさま 虎と猫と君と僕』です。

刀語 第十一話 毒刀・鍍

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 11月12日(月)読了。

 いよいよラス前! 残す刀も二本。しかも、既に所在は明らか。
 前巻で多くの謎が明かされたことで、逆にどうまとめるんだ? と思わなくも無かったですが、そのための伏線整理的内容でした。で、一番の見せ場はあの人の登場。意外な形で、しかし、それ以外に無い形で、登場。これで、一気に締まりましたねぇ。まぁ、そんな場面でも読者の突っ込みを予測してしまうのは流石です(謎 でも、そのお陰でいろいろなことに説明がつきすっきりしました。

 そうして色んなことに決着がつき、いよいよ次回はラスボス戦。しかし、そこで今までに無い危機が……
 最終戦に向けて充分に盛り上がったところで終わってるので次が楽しみです。果たして、どう落とすのやら。

 とまぁ、そんなところで次は『バッカーノ! 2002 【B side】Blood Sabbath 』です。

魔女の生徒会長

 日日日・著、鈴見敦・著、 MF 文庫 J 。
 11月9日(金)読了。

 多作な日日日の新シリーズ。
 MF 文庫 J ではどんな風にいくのかと思ったら、これはこれは好みの御華詩でした。
 最近若干マンネリ気味だなぁとか思わないでも無かったんですが、そこは自覚があったそうで、今作では意図的に今までと雰囲気的を違えています。
 閉鎖的な巨大学園で人外生徒の百鬼夜行。
 まぁ、手垢のついた世界観なんですが、それは置いておいて、やっぱり鮮烈な印象がありました。
 その学園を統べる生徒会長『魔女』剣シロオの物語。
 幼い頃に幼なじみの男の子を生け贄にして魔女を目指した彼女の現在。
 彼女にとっては死人である語り部の少年。
 どうしてこんなに歪んでいながらまともな人間を描けるのか…… その辺りのバランス感覚がいいですねぇ。人間が好きなんでしょう。
 そして、穿ってみればこれは今の学校のあり方に対する一つの警鐘でもあるのでしょう。
 そんなところから、話の筋は全く異なるにも関わらず、ずっと『ちーちゃんは悠久の向こう』を連想していました。当時は高校生だった彼の視点からですが、今も根底には『学校』と言ったものに関して言いたいことがあるのでしょうねぇ。

 まぁ、そんなこんなで魔法の出てこない『魔女』の物語。非常に楽しめたので続きが楽しみです。


 とまぁ、そんなところで次は『刀語 第十一話 毒刀・鍍』です。

撲殺天使ドクロちゃん 10

 おかゆまさき・著、とりしも・イラスト、電撃文庫。
 11月6日(火)読了。

 感動のフィナーレ! というにはちょっと弱いかもしれませんが、これにて一区切り。第一部完、といったところですかね。
 前の巻の時にストーリー性が出てきたとか感じてたら、今回は初の長編。ギャグのノリはそのままに全体としてシリアスな展開を成立させるのは美事です。上手いこと肝心な部分ははぐらかしてたり、終わりながらも考える楽しみを残しているのは嬉しいですね。
 正直、初期の段階では一発ネタでしかなかったんで、こんなに続くと思った人のが少ないでしょうし私自身もそう思ってますが、巻数を重ねる毎に、段々と根底の物語を組み上げて内容を深めて来て、遂にここまで到達したって印象です。うん、何かいい感じに区切りをつけてくれところで、次回作にも期待したいと思います。

 とまぁ、そんなところで次は『魔女の生徒会長』です。

不思議の国のアリス

 Lewis Carroll ・著、矢川澄子・訳、金子國義・絵、新潮文庫。
 11月3日(土)読了。

 唐突に古典ですが、たまにはこういうのもよいモノです。
 子供の頃に完全な翻訳で目にしたかは別として、様々なメディアで目にしてきた物語ですが、記憶が曖昧になっていたので新鮮な気持ちで読むことが出来ました。まぁ、何か皮肉っぽいブラックな雰囲気は当時は感じなかったモノなんでしょうねぇ。また、言葉遊美が多用されているので、機会があれば原書で読みたいと思いました。
 何かとネタにされる作品でもありますし、この機に内容を復習できたのはよかったと思います。

 とまぁ、そんなところでガラッと趣を変えて『撲殺天使ドクロちゃん 10』です。

神様が用意してくれた場所2~明日をほんの少し

 矢崎在美・著、Fuzzy・イラスト、GA文庫。
 11月1日(木)読了。

 ちょっと人と違う何かが見えたりする探偵事務所雑用係兼不思議担当アルバイトの香絵。
 彼女がバイト帰りに拾った携帯電話。そこから、ある青年の物語に巻き込まれて……
 人と違うことが生み出す不幸。でも、それを乗り越えられる人間の強さと優しさ。そして、不思議なモノ達。
 青年の境遇は詳しくはネタばれるので触れませんが、どこか香絵と似ていて、でも決定的に違っていて。そんな対比をしつつ、優しい物語が展開されます。前作同様、ほんわか暖かい雰囲気の良作でした。癒されますねぇ、こういうのは。

 とまぁ、そんな訳で次はアリスを読んだり『 Alice パレード』プレイしたりで突然古典『不思議の国のアリス』です。

女王国の城

 有栖川有栖・著、東京創元社。
 10月30日(火)読了。

 15年と7ヶ月ぶりの長編第四作。
 久々の本格ミステリに幻惑を感じつつも心地よいひとときを過ごせました。
 突如推理小説研究会の面々の前から姿を消した江神さんが訪れた山奥の村。そこはとある新興宗教が支配する地で、江神さんを探しに訪れたアリス達が巻き込まれる事件……
 とまぁ、何となく前の『双頭の悪魔』を暗示する内容ですが、今回は大分趣が違うというか『宗教』と言うモノが秘める心理的な禁忌とミステリ的な要素が興味深い形で結合されていました。また、この宗教自体の性質も少し特異で面白いですねぇ。この辺、ミステリはネタバレ気にして書きづらいですね。
 話の流れに触れない部分であれば、やはり作中人物が主に大阪弁というのが嬉しいですねぇ。これも一つの魅力です。

 正直、全体として古臭いと感じる方もいるかもしれませんが、このかっちりとパズルのピースが埋まっていく感覚がやっぱり心に染みます。うん、やっぱりこういうのが好きですね、私。

 とまぁ、曖昧な内容しか書けないのでこの辺にして、次は『神様が用意してくれた場所2~明日をほんの少し』です。

不気味で素朴な囲われた世界

 西尾維新・著、 TAGRO ・イラスト、講談社ノベルス。
 10月21日(日)読了。

 もう、およそ4年前に発売された『きみとぼくの壊れた世界』と世界観を同じくする御華詩。
 学校を中心に過ごす日々を囲われた世界と感じる中学一年生の串中弔士。
 姉の串中小串と、崖村牢弥、童野黒理で構成される三年生の奇人三人衆や、二年生の奇人、病院坂迷路、そして普通のクラスメートの伽島不夜子と繰り広げられる平凡な日常。そんな中に不意に飛び込む殺人事件。こうして、病院坂迷路と串中弔士の『探偵ごっこ』が始まった……

 まぁ、ミステリと言うことで特に慎重にネタバレ避けて内容にはあまりふれませんがそんな感じの物語。ストーリー以外では『化物語』の時と同様のテンポのよい漫才に何度も笑わせていただけました。その辺のセンスは流石ですねぇ。あと、嘘しかつかないとか逆に人間嘘発見器とかキャラも強烈なのですが、中でも病院坂迷路のキャラ付けが印象的でした。一応、詳しくは伏せますが、私の思いつくところでは『 To Heart 』の来栖川芹香先輩、『涼宮ハルヒ』シリーズの長門有希なんかの系統のキャラを徹底して行き着いたキャラ付け。でも、本当にここまでやっちゃうと凄いですねぇ。
 ……あ、方向性が全く違いますが本質部分では『バッカーノ!』に類似のキャラはいますね。非常に限定的ですが。

 とまぁ、あまり書くとネタバレ書いちゃいそうなんでさらっと済ませて、次は待望の、いや、むしろ『耐望』と言ってもいい15年ぶりの学生サイドアリスの新作『女王国の城』です。

バッカーノ! 2002 【A side】Bullet Garden

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月18日(木)読了。

 前回が18世紀だったところから3世紀時代が進んで21世紀を舞台に繰り広げられる今回の物語。
 双子の豪華客船で蠢く不気味な影。
 そう、それは1世紀ほど前に闇に葬られたあの事件のようで……

 とまぁ、ネタバレしないために思わせぶりな内容だけで止めます。とはいえ、まだ来月に予定されている【 B side 】読まないことにはまだまだ何も分からないのですがね。まぁ、それ以外の部分で言えば、何というか血は争えんというのを感じさせる御華詩ですねぇ。あと、トラウマは長く残るモノだとか。

 時代をバラバラに展開しながらも上手いこと前の話を伏線に使ってるなぁと感心しつつ、今回の事件の構図がどう決着するか、来月を楽しみにしたいと思います。
 そう、続きは来月なのです。これでようやく、既刊読破と相成りました。大分睡眠削った気がしないでも無いので、ここからは通常運用に戻します。

 そんな訳で次は『不気味で素朴な囲われた世界』です。

バッカーノ! 1705 The Ironic Light Orchestra

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月17日(水)読了。

 今回は時代がぐっと遡り、18世紀初頭、ナポリ近郊の港町、ロットヴァレンティーノで繰り広げられる『仮面職人』と呼ばれる怪人による連続殺人事件を根底にしながら、少年の日のヒューイとエルマーの出会いが描かれます。
 ヒューイがあんな性格になった理由、笑顔中毒者エルマーの手口、その辺りが見所ですねぇ。あと、あの人は全然変わってないなぁ…… 他にも色んな人の過去がチラホラと見え隠れしていました。まぁ、そちらは過去編の最も重要な事件が描かれるであろうこの先発売される 1710 に譲るのでしょうが。
 根底の事件に関しては、若干ミステリー仕立てながらあくまでお遊び程度の要素なのでそれほど気にはならず、楽しめました。ただ、この人、異様に叙述トリックを多用しますねぇ(;^^) ミステリならアンフェアに近いレベルで。

 とまぁ、過去編はネタバレの宝庫というかネタバレしかないとも言えるのでその辺を避けるとあんまり書けないのでこの辺りにして次は『バッカーノ! 2002 【A side】Bullet Garden 』です。

バッカーノ! 1934 完結編 Peter Pan In Chains

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月16日(火)未明読了。

 1934年完結編! 圧倒的なページ数に気圧されながらもどうにかこうにか読了しましたが、いやはや、よきエンターテイメントですなぁ。複雑な人間関係なんですが、上手いことギリギリのところで破綻させずに良好な関係を保っているというか、そういったバランス感覚は凄いと思います。

 今回は、アルカトラズ刑務所とシカゴが同時並行で進みますが、その中核を為すのはとある人物達。この道具立ての使い方がパズルのようでトリッキーながらも話の構造を面白くしていますね。また、第一作のアンチテーゼ的意味もあるように思わないでもないです。

 あとは、特徴的な話し方のキャラが多い傾向にありますが、慣れとは恐ろしいモノでそれが普通と思えるようになってきました。なんか、会話の感覚が狂いそうです。特に、グラハムとシャフトの漫才が心地いいですねぇ。

 そんなこんなで大きな事件が終わったところで1930年も半ばに到達。次には何が起こるのか? それはまだ出てないのでようやくリアルタイムに楽しめるところまで追いつけたということですね。

 とはいえ、過去と21世紀編の既刊が2冊あるのでこの勢いで進めますということで次は『バッカーノ! 1705 The Ironic Light Orchestra 』です。

バッカーノ! 1934 娑婆編 Alice In Jails

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月14日(日)読了。

 獄中編の裏、シカゴで起こっていた事件の顛末。
 中心となるのは、ヒューイの手駒の組織の一つ「吸血鬼≪ラミア≫」の面々ですね。
 何というか、人外要素を持ってしまった彼らの視点を中心に、逆に人間のやな部分が描かれてます。
 あと、名前だけは登場していたラッドの弟分でジャグジー達とも親交のあるグラハム。彼もまた、飛んでますねぇ。
 彼と、クリストファーとヴィーノが戦ったらどんなに愉快な会話になるのかみてみたい気がします。つか、若干本質的な部分のキャラが被ってますねぇ(;^^)

 一方で、ようやく姿を見せたあくまで客観的な存在たろうとしている情報屋の副社長も気になる存在です。いや、名前が既に気になっていたというか、もしかするともしかするのかただのミスディレクションか…… このシリーズのキーワードとセットだとオカルト知識がある程度あれば確実に連想しますが果てさて。クレオパトラに会ったことはあるんでしょうかねぇ?

 とまぁ、そんなところで引き続いて大長編の最後『バッカーノ! 1934 完結編 Peter Pan In Chains 』です。

バッカーノ! 1934 獄中編 Alice In Jails

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月13日(土)読了。

 今回から、大長編となりますがその導入の獄中編。かの有名なアルカトラズ刑務所に、様々な思惑の元に集まったり集められたりした者達の御華詩。その中心にいるのはマイザーの旧友の一人でもある『ヒューイ・ラフォレット』。一方では、彼の『実験』と複合企業体『ネブラ』の陰謀とが渦巻きシカゴの町を襲う……

 そんな感じで繰り広げられるこれまでに比べて非常に大規模な事件です。まぁ、まだ獄中の人たちの視点しか分からないんで全体像については残り読んでからですが、今回は特にバカップルの意外というか何となくにおわされていた一面が出てたのが印象的でした。あと、話の中心に大きく関わっていながらトンでもない人間が婚約者となったことでおかしな、だけどまっとうとも言える道に進んでいるシャーネ・ラフォレットの動向も気になりますねぇ。それと、有言実行なラッドは無茶苦茶だけど筋は通っててよいキャラですね。絶対近づきたくないですが。

 とまぁ、そんな訳で次は当然『バッカーノ! 1934 娑婆編 Alice In Jails 』です。

バッカーノ! 1933<下> THE SLASH ~チノアメハ、ハレ~

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月12日(金)未明読了。

 拷問師と刀娘を中心に、様々な勢力を巻き込んだ大きな流れの片鱗が見え隠れする御華詩でした。
 大きなテーマとしては刃を持つモノ達の戦いと、家族の絆。まぁ、アイザック&ミリアに匹敵するかも知れない方向性の違う新たなバカップル誕生の予感もありますが、こっちは規格外過ぎて話になりません。でも、言動は同レベルな気がしますが(;^^) しかしなんだ、物語破綻させないためには人類最強はこうでないといけないんでしょうがね。ああ、ヴィーノの台詞は一言一言が楽しすぎます。
 それと、1932年の話でいいとこ見せたラックが…… 何か変な方向にキャラ付けされてしまいましたねぇ。ほのぼの。

 シリーズとして未来と過去を行ったり来たりしてるんで一部その先が既にこれまでの巻で明かされてる部分なんかもあるんですが、今回はそれらを上手いこと使いながら大きな話に持っていきましたねぇ。既に購入済み何で先の長さは理解してますが次は3冊に渡る大長編に入ります。うわぁ、やべぇ、楽しみ。

 とまぁ、そんな訳で次は『バッカーノ! 1934 獄中編 Alice In Jails 』です。

バッカーノ! 1933<上> THE SLASH ~クモリノチアメ~

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月11日(木)未明読了。

 今回はガンドールの拷問師チックと、ひょんなことで食客となっている殺し屋マリアを中心とした御華詩。
 ですが、やっぱり色んな人が出てきてしっちゃかめっちゃかというか、やっぱりバカップル最高。こいつら居なかったら酷いことになるよなぁ。
 何というか、今回は戦う者達の御華詩って感じですね。日本刀と槍とナイフと。でも、それらを超越するあの人とか、更に更にようやっと腰を上げたというかあんた立場的にそこに荷担して大丈夫なのか? という某シリーズの哀川潤に匹敵するジョーカーが動いたりと、次が楽しみでなりません。

 そんな訳で引き続き『バッカーノ! 1933<下> THE SLASH ~チノアメハ、ハレ~ 』なのです。

バッカーノ! 2001 The Children Of Bottle

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月10日(水)読了。

 仲間との再会の為に、世間から隔離された森の奥に佇む小さな村を訪れたマイザー達が繰り広げる、これまでとは時代が異なれば雰囲気も異なるバッカーノでしたが、いやはや、やはり面白い。この作品の設定の懐の広さを感じさせますね。この根底にある設定が活きてますねぇ。
 今回も誰が? と明示されては居ませんし扱い的にも微妙ですが、中心人物は『笑顔』の為なら手段を選ばない、マイザー達の古い友人であるミスター・ハッピーエンドこと、エルマー・C・アルバトロスが物語の中心でしたが、彼の生き様は中々に興味深いですねぇ。『世界中の人間を笑顔にしたい』とは甘ったるく無茶な信念に聞こえますが、あそこまで徹底していると気持ちいい。一人を覗いて初出になる他のマイザーの古い友人達も中々に魅力的なキャラでその辺が絡んだ過去話も残りの中にあるかなぁ、と楽しみにしています。

 そんな訳で引き続き『バッカーノ! 1933<上> THE SLASH ~クモリノチアメ~ 』です。

バッカーノ! 1932 Drug & The Dominos

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月8日(月)読了。

 今回は、列車の事件の前後で言及されていた、ガンドールとルノラータのごたごたを巡る御華詩。
 ネタバレは控えますが、この事件は第1巻と似たような手法で様々な人物の思惑が情報の受け渡しで絡み合って一つに集約していくという構成でした。1巻ほどの衝撃はなかったものの、その辺の多重の視点を最大限に利用した見せ方はよいですねぇ。

 そしてこのシリーズの定例として、誰が主役というのはないんですが、個人的にはガンドール三兄弟の末っ子のラックが結構中心的だったかなぁ、と思います。徹しきれない彼の甘さというか、人間的な部分がいい味を出していますねぇ。あと、伝説の殺し屋『葡萄酒(ヴィーノ)』も楽しいですねぇ。行動原理が無茶苦茶で。

 なにげに新キャラも出てきたりしてどんどん登場人物が増えてますがそれぞれがしっかり描かれてるんで今後の活躍が楽しみです。

 とまぁ、そんな訳で祭り中につき引き続き『バッカーノ! 2001 The Children Of Bottle 』です。

刀語 第十話 誠刀・銓

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 10月5日(金)読了。

 大河ノベルも残すところあと三冊! そこでいよいよとがめの因縁の地、奥州へと足を踏み入れることに。
 そこで待つのは仙人、彼我木輪廻! 誠刀・銓を得るために、とがめと七花は何を課せられるのか!

 といった感じで、前回に引き続き王道的な御華詩でした。どう王道なのかは読んでのお楽しみ。まぁ、別シリーズですが紅い請負人の趣味を考えるとなんとなく想像がつくかも?

 あと、汽口慚愧、やはりあのまま終えるのは慚愧に堪えないのかまた登場。というか中々いい位置に付けましたねぇ。西尾維新の今までの作品を鑑みると無限増殖並みに死亡フラグ立ってますが多分、心王一鞘流の為に生真面目な彼女は生き続けることでしょう。

 しかし、ここに来て、話の展開が読めなくとういかこの人の話の展開読もうとしちゃいけないんですが、まぁ、要するに面白くなってきました。ラノベ的な読者とミステリ的な読者の読後感の差異も興味深いかもしれません。両方読んでるとそんなことも考えてしまうのは嫌な読者なのか。前も書きましたが、このシリーズは私は変格ミステリと分類してますんで。


 とまぁ、戯言を多用してますがこんなところで、いよいよ馬鹿騒ぎの発動です。
 さぁ、既刊を今月中に全部読んでやる! てな訳でお次は『バッカーノ! 1932 Drug & The Dominos 』です。

バッカーノ! 1931 特急編 The Grand Punk Railroad

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月5日(金)読了。

 うわ、何か一気に読んでしまいましたよ(;^^)
 前巻の内容の裏側が描かれると言うことですが、上手いこと叙述トリックとミスディレクションを使っていたのが解ります。大概は予想の範疇でしたが一つは上手いこと心理的な間隙を突いてくれて心地よい騙され方でした。本当に、構成が上手いなぁ、と思います。どこがどう騙されるのか、それは読んでのお楽しみ。

 内容についてはこちらは特にネタバレるので詳しくは書きませんが、事件としては非常に陰惨なのに登場人物の魅力で良い具合に後味が緩和されてるというか、馬鹿カップル最高。世の中には、馬鹿が必要なんだと心から思う作品でもありました。もう、あの二人は最強過ぎます。

 とまぁ、時間が無いので簡単ではありますが最高に楽しめたということに間違いはなく、次の本が読み終わったらシリーズ一気読みに入る予定です。

 そんな訳で次は月刊大河ノベルも10冊目『刀語 第十話 誠刀・銓』です。

バッカーノ! 1931 鈍行編 The Grand Punk Railroad

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 10月3日(水)読了。

 いや、これはなんというか、本当に引き込まれる作品ですねぇ。
 様々な人物の思惑がシカゴ~ニューヨークを結ぶ大陸横断鉄道「フライング・プッシーフット」で交錯し、惨劇が幕を上げる……
 非常に沢山の登場人物が居ながら、視点をそれぞれに持たせることで読者に感情移入させてたり、その移し方を利用して色々仕掛けられてたり、読んでいて心地よい驚きに何度も出会わされました。全体としては閉鎖空間でのホラーっぽい雰囲気ながら、一部の愛すべき馬鹿がここぞというところで美味しいとこを持ってってくれるんで余り重々しくも無く丁度よいエンターテインメントでありました。
 そして、実はこれは一回り。また同じ時間軸、同じ時間を別の登場人物の視点で描く続巻が有るため、居ても立っても居られず即購入。

 そんな訳で次は『バッカーノ! 1931 特急編 The Grand Punk Railroad』です。

姫宮さんの中の人2~夏盛りオレンジシャンプー~

 月見草平・著、EiN・イラスト、 MF 文庫 J 。
 9月30日(日)読了。

 憧れの生徒会長、姫宮ちとせの中の人の秘密を共有し、彼女の病の回復に協力することにも慣れた頃。
 一人の時季外れの転校生、浦乃霞が純人のクラスにやってきた。常に紙袋で登校し余り周囲ともうち解けていなかった彼女と、図書委員の彼女の仕事を手伝う内に少しずつ親密になる純人。それを快く思わない幼なじみと生徒会長。しかし純人はそんなことには気づかずに……

 とまぁ、そんな鈍い主人公に振り回されるヒロイン達という、ある意味ラノベの一つの王道を行く内容で幕を開けます。後半は又違った展開となりますがそれは読んでのお楽しみ。若干強引な展開もありながら、全体として安心して読める内容です。

 しかし、このタイトルはやっぱ秀逸ですねぇ。

 とまぁ、そんなところで次は『バッカーノ! 1931 鈍行編』です。

アンダカの怪造学Ⅶ Pandora OnlyOne

 日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 9月29日(土)未明読了。

 いよいよ第三部開始! 物語は最終局面に向け急転直下の展開。
 それは、戦争。
 虚界と現界の戦争。
 かつて、古頃大祭で行われた、代理戦争ではない、正真正銘の。

 前回で心に大きな傷を負った伊依。打ちのめされた彼女を、しかし世界は求めます。唇を噛み、悔しさに顔を歪ませながらも、彼女に大きな役目が否応なく押しつけます。今までの自信はなく、少女の弱さを見せながら、彼女は戦争に巻き込まれていく......


 そんな感じで一気に自体は深刻さを増していきます。力及ばぬ理想と容赦の無い現実の中で、伊依がどう立ち回るか? 彼女の『怪造生物は友達』という信念はどこへ向かうのか? その辺が見所ですねぇ。綺麗事ばかりもいってられないけれど、綺麗事も忘れてはいけないのです。

 そして今回はそんな大きな転換点に当たる御華詩だった訳なんですが、その中で今までもずっと登場していながら常に第三者として事件の外に居たとある人物の成長が描かれています。そんな彼女の今後の活躍も楽しみです。間違いなく、今回の裏の主役は彼女でしょう。このまま行くとものすごく重要な役割担いそうな勢いですし。つか、その辺の持ってき方が上手いですねぇ。

 これだけ大きな戦争の御華詩は、しかし『受験戦争』の隠喩であります。その壮絶な中に隠されたテーマも皮肉が効いていて中々よいですな。

 あ、あと、まさか日日日作品で495年ほど閉じこもってた妹様の名前を見ることになるとは思いませんでした。どう出るかは読んでのお楽しみ。


 とまぁ、とりとめなく書いたところで、お次は『姫宮さんの中の人 2』です。

ネクラ少女は黒魔法で恋をする 5

 熊谷雅人・著、えれっと・イラスト、MF文庫J。
 9月25日(火)読了。

 今シリーズも遂に完結!
 一人のネクラ少女が演劇部の仲間達との関係を通じて変わっていく成長譚として、非常にメッセージ性のはっきりしたすがすがしい読後感の良作でした。まぁ、細かい部分を突っ込むと色々と粗はあるんですが、これだけテーマが伝わってくれば充分でしょう。

 考えてみれば、この物語の主人公、真帆のような立ち位置に居る人って結構居るんでしょうね。気づかないだけで、自分が思っているほど周りから嫌われていないというか、嫌がられるのがデフォと思いこんでしまっているというか。そして、自分は理解して貰えないという一種の諦観に達してしまう。でも、人間は誰からも好かれるのが難しいように、誰からも嫌われるのも実は難しいのです。そんなことを考えてしまいました。

 何はともあれ、次回作が楽しみであります。

 とまぁ、そんなところで次は『アンダカの怪造学Ⅶ Pandora Only One 』です。

狂乱家族日記 八さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 9月18日(火)読了。

 『宇宙人編』下巻にして、このシリーズの一つの山場『来るべき災厄』の顛末が語られる待望の八さつめ。
 地球が第ピンチの割に、誰もがマイペースだったり一方では暗躍していたり。人間の欲望ってのは結局そういうレベルのモノなのですねぇ。根っからの悪人も居なければ真性の善人も居ない。そんなことが感じられます。
 御華詩的には番外編で登場した人たちも紛れ込んできたりして賑やかな狂乱が繰り広げられます。
 今回のテーマはズバリ『恋』。
 それは、『傾城』だの『傾国』だのという言葉にも象徴されるように、時に城や国さえも傾けるモノ。それが、今回は言うなれば『傾城』ならぬ『傾「星」』。勿論、その星とは地球。一つの恋が発端となった、地球を巻き込んだ大騒動を肴に、我らが凶花様はまたまた奇策とも言える宴を開いて……

 とまぁ、そんな感じの御華詩。実は、大筋の方だけではなく、これまでに展開されてた『恋』の御華詩も少なからず絡んできますがそちらは読んでのお楽しみ。

 若干あざとさが目につくようになってきたこのシリーズの萌え描写ですが、まぁそれも若さ故。つか、そんなに日日日はツンデレ好きなのか? とは言え、それでも相変わらず端々にはっとさせられるような家族に対する情愛の形を示す辺りは深いモノがあります。
 そんなこんなで、ここまでで第二部完。次回よりこれまでの伏線回収の第三部ということでまだまだお楽しみはこれからですね。

 とまぁ、そんなところで次は『ネクラ少女は黒魔法で恋をする5』です。

バッカーノ! The Rolling Booltlegs

 成田良悟・著、エナミカツミ・イラスト、電撃文庫。
 9月15日(土)読了。
 第9回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞作。

 もう大分前の作品ですが、これはさっさと読まなかったのを後悔しました。
 多くの主人公の視点が交錯しながら偶然の積み重ねで最後の大団円に繋がっていく心地よさ。
 視点移動を利用してちょっとした伏線を貼ってアクセントにするのはあざとさより鮮やかさを感じられるバランス感覚。
 禁酒法時代がメインだったり、明確な主人公が定まっていなかったりライトノベルとしては可成り異色ながら、読者を楽しませるエンターテインメントとして、本当によく出来た作品ですねぇ。
 予備知識なかったんですが、これでこのシリーズの作品に年代が入っていて、尚かつそれが何十年も幅がある理由がわかりました。なるほどなぁ。そんな訳で、このシリーズも続けて読むことが決定しました。


 とまぁ、そんなところで次は『狂乱家族日記八さつめ』です。

刀語 第九話 王刀・鋸

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 9月11日(火)読了。

 刀の名前につられてか王道復古の第九話。
 将棋の聖地、天童にて。
 心王一鞘流当主。
 汽口慚愧を相手取り、王刀掛けての一勝負。
 礼儀正しくあくまで生真面目、何より真摯に剣に向かう慚愧と対峙することで露骨な弱点晒す七花。
 そうなれば、頼るはとがめの奇策のみ。

 そう、今回はとがめ大活躍! そんな第九話でした。

 ここにきて、とがめの本領発揮は嬉しいですねぇ。こういうバランス感覚、西尾維新は流石ですねぇ。こういった頭脳戦のミステリテイストはゾクゾクします。つか、このシリーズ、個人的には変格ミステリだと思ってます。何はともあれ直前に半端なミステリに辟易してたところで安心の逸品でした。

 あと、汽口慚愧はシリーズ通しても珠玉のよいキャラですねぇ。再登場願う、てあと三話しかないですが。西尾維新にしては珍しい、非常に気持ちの良いキャラでした(;^^)

 とまぁ、そんなところで次はずっと手を出そうと思って中々機会のなかった『バッカーノ! The Rolling Bootlegs 』です。

らき☆すた らき☆すた殺人事件

 竹井10日・著、美水かがみ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 9月10日(月)読了。

 ……う~ん、元々ミステリ読みの人間には正直辛い中途半端さ漂う御華詩でしたねぇ。答えから逆算してご都合主義で繋げるのは、こういう作品だったらセーフとは思うんですが、ミステリ臭があると手厳しくなるのは ktr の仕様ですのでご容赦を。

 全体的に原作の雰囲気はそれなりに文章で表現してますが、絵文字を多様し過ぎだったり全体的にグダグダなのは仕様と言えば仕様ですが、小説という媒体とした付加価値はどうなんだろう? というのが正直な感想。あと、自作の宣伝があざと過ぎたのはちょっと頂けません。
 ただ、最初の2頁は秀逸。元が四コマですし、担当さんに止められたみたいですがあのノリで最後まで行けば、個人的にはもっと良かったと思います。全編は無理でも途中でどっかに入れるとか、そういうのがあっても良かったかなぁ、と。

 とまぁ、そんなところで次は『刀語 第九話 王刀・鋸』です。

ゼロの使い魔12~妖精達の休日~

 ヤマグチノボル・著、兎塚エイジ・イラスト、MF文庫J。
 9月8日(土)読了。

 気がつけばもうこんなに出てたんですねぇ。
 今回は『休日』というサブタイトルに相応しくちょっとした幕間劇。
 とは言え、前巻での活躍の結果魔法学院に来たあの娘の真っ直ぐな態度とかそれを受け入れる経緯とか実はストーリー的に重要な部分も担っていたり。あと、ルイズとサイトは成長しませんねぇ(;^^) そこがラブコメなんでしょうが。
 それとラブコメ分以外でも水精霊騎士団の絆みたいなのは良いです。ギーシュはやっぱ良いヤツですねぇ。
 でも、それが元で生まれる『友達』という楔。なんだかんだで一種のまれびととしてハルケギニアを訪れた才人の『いつか帰らねばならない』という部分との葛藤とかは良い感じですねぇ。


 とまぁ、そんなところで次は『らき☆すた らき☆すた殺人事件』です。

リミットレス!3

 須藤項・著、ひづき夜宵・イラスト、MF文庫J。
 9月7日(金)読了。

 気軽に読めて安心なファンタジー第三弾。今回もサクサク読めてよい感じ。
 なんというか、軽いノリが上手いこといってますねぇ。内容的には過去の因縁が色々と提示されてようやく本筋に入った、といったところでしょうか。つか、クライムは相変わらずながら、ソロンが色々台無し。まぁ、最後の最後で全く迷惑な方向で存在感を出してしまいましたが(;^^) あと、新キャラのリリアの能力に何だか『キミを救う最初の呪文』を感じました。つか、ノリ同じ。

 クライムの表裏の折り合いとか、レンとの関係とか、フィアナの想いとか、ここまでで結構積み上げた要素があるんでこれからが楽しみです。 ……が、この作者のシリーズってそこで次が出なくなるケースが多いんでちょっと不安です。つか『彼女はミサイル』の続きって出ないんですかねぇ。

 とまぁ、そんなところで次は『ゼロの使い魔12~妖精達の休日~』です。

”文学少女”と慟哭の巡礼者(パルミエーレ)

 野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
 9月4日(火)、読了。

 冬。
 遠子先輩の大学入試も近づき、文芸部室で遠子先輩のおやつを書いて過ごす日々も残り少なくなった頃。
 心葉は遂に、その最大の過去の瑕と向き合う。
 少し前から仄めかされた、あの少女が登場し、様々な思いが絡み合い、残酷な物語が展開する。
 その物語を、”文学少女”天野遠子はどう読み解くのか……

 いや、もう本当にこのシリーズは素晴らしいですねぇ。今回もネタバレを避けて見立てとか語らないようにしますが、多分このシリーズは内容的には重たい部類だと思います。
 登場人物達の多くが、深い心の傷を背負っています。
 今回は特に、これまでも再三描かれてきた、心葉のトラウマが描かれます。
 そして突きつけられる、彼の想いと現実のギャップ。それを取り巻く人間の思惑。
 心の傷から決して目をそらさず、むしろ抉るような物語。そう、抉り、膿を出さなければ、癒えない傷もあります。生きるとは、結局そういうことなのかもしれません。
 正直、相当残酷な御華詩と言ってもよいでしょう。そこには生々しい少年少女の想いが描かれています。絵空事ではなく、身近な問題の積み重ねとして起こりうる、苛酷な人間模様。
 それでいて、最後の最後、”文学少女”に読み解かれたとき、絶望の中に一滴の希望を見いだすことが出来ます。人間は、強くもないけれど、そんなに弱くもないのですね。

 そして、次はいよいよこの作品中の異端。本を食べる”文学少女”という妖怪、天野遠子先輩の御華詩となるのでしょう。
 彼女だけは、「本を食べる」という明確な人外性を発揮しています。その意味は? 今巻末の意味深な言葉とも合わさって気になって仕方がありません。また次も出たら速攻で読む所存。

 とまぁ、そんなところで次は気軽に読める『リミットレス3』です。

Fate/Zero Vol,3 -散りゆく者たち-

 虚淵玄・著、武内崇・イラスト、TYPE-MOON BOOKS。
 9月3日(月)未明読了。

 いよいよ物語も集結に動き出して脱落者が出てきてます。まぁ、最後に誰が残るのかは解ってるとはいえ、その散り様は鮮烈です。つか、切嗣の悲壮なまでの矛盾した外道さが何とも言えませんねぇ。理屈が取ってしまうだけに止められないというか。
 今回は、それぞれの散り様はまた生き様の縮図とも言え、多くの登場人物たちの信念やらが描かれてるんですが、そういうところではやはり、イスカンダルの独壇場ですねぇ。色んな意味で大きい男、いや漢です。
 切嗣とアイリスフィールの覚悟、時臣の魔術師としての道、雁夜の憎しみ、ウェイバーの戸惑い、龍之介の求めたモノ、エルメロイの歪み、綺礼の問い。それぞれのマスターのあり方が再度問い直される御華詩。勿論、この中の何名かは読み終わった時点では散っているのですがね。

 そんなマスター達の戦いがどういう経緯をたどってあの惨事に繋がるのか? 次が楽しみです。


 といったところで、次は『”文学少女”と慟哭の巡礼者(パルミエーレ)』です。

灼眼のシャナXV

 高橋弥七郎・著、いとうのいぢ・イラスト、電撃文庫。
 8月31日(金)読了。

 前回の引きが気になるところですがその辺は少し置いておいて今回は外伝。
 20世紀初頭の南国の島を舞台に繰り広げられる、常でない在り方のフレイムヘイズ、紅世の王、徒、そして、人間の御華詩。
 名前だけ登場してた人とか、相変わらずな人とか出てきてますが、テーマとしては「哀しむことも出来ないのはこれ以上ない哀しいことではないのか?」ということでしょうか? 今回の敵役となるサラカエルは『紅世の王』でありながら何かと不可思議な存在でしたが、彼の有り様は非常に興味深いですねぇ。確かに、このシリーズ全体を通してのテーマでもありますね。『存在』を喰われることで全てが無かったことになる喪失感。『この世の本当のこと』。考えさせられる内容です。
 そして、今回は特に敵味方誰もが何かしらの歪みを抱えた存在であり、それらの内面描写がやはり巧みで引き込まれるものがありましたねぇ。サラカエルの思想もですが、師弟という関係のサーレとキアラの関係、外界宿に関わる人間の視点、様々なモノが絡み合って非常に深い味わいのある物語でした。

 で、いよいよ本編も佳境ですねぇ。シャナと悠二、どうなるんでしょうねぇ。


 とまぁ、そんなところで次は『 Fate/Zero Vol,3 -散りゆくもの- 』です。

神曲奏界ポリフォニカ Palette

 浅井ラボ、あざの耕平、神野オキナ、三田誠・著、山本ヤマト、 okama 、椋本夏寄る、狐印、凪良・イラスト、GA 文庫。
 8月25日(土)読了。

 今回は、ポリフォニカ世界を使ったアンソロー短編集でした。どれも、本編とは違った切り口でポリフォニカ世界の懐の広さを改めて実感させられました。


『たとえ時が経とうとも』(三田誠)

 仕事のトラブルで謹慎中のレンバルトが場末の酒場で出会った老ピアニストとの交流を描いた物語。
 普段、他のキャラに焦点が当たってぼやけ気味の天才的な能力を持つモノの身近に本物がいるために自分を『天才の紛い物』と称するレンバルトの内面がよく出た渋い作品でした。雰囲気的にはクリムゾンよりブラックのが近い感じですが、そういうのの方がレンバルトには似合うのかもしれませんね。


『音色は遠く、耳に届かず』(浅井ラボ)

 殺し屋を生業とする裏稼業の神曲楽士視点で描かれる一風変わった作品。正直、描写的にはえぐいモノがあったりしますが、何かが欠落した主人公の視点が面白い。最後の方の決着の仕方も予想はついてましたが実際にやられて、その上で結果について特に感慨を抱かない辺り、非常に歪んだ人格を素直に描いた作品でした。他で描かれない視点だけに新鮮ですな。


『ワイルドウェスト・いえろー』(神野オキナ)

 ずるい。これはずるすぎます。既に白でこの可能性は肯定されているだけに、余計ずるい。
 ぶっちゃけ、ポリフォニカ世界に某ネコミミ宇宙人が出てきたりする著者の他社作品の登場人物が紛れ込む御華詩。いや、これが通る時点で懐広いどころじゃないですね、ポリフォニカ世界って(;^^)
 

『ダン・サリエルと白銀の虎』(あざの耕平)

 個人的に今アンソロジー中で最も気に入った作品。
 世を風靡する若手天才音楽家にして神曲楽士、ダン・サリエルが白銀の虎の姿を取る上級精霊を気に入って契約を結ぼうとするが彼は既に心に決めた神曲楽士がいるようで…… という御華詩。
 ダン・サリエルは軽い、大衆受けする音楽で一斉を風靡していて、一見表層的な音楽を売っているかと思えば、実は古風な格式ばかりを重んじて高尚なモノとして金持ちが音楽を独占することに憤りを覚えるからこそ真逆の道を選んだ純粋に音楽を愛する心の持ち主で、傲岸不遜な物言いなんだけれど、憎めない、そんな素敵キャラです。つか、その音楽に対する考え方には心底共感しました。そうですよね、格式高いホールで行う、S席のチケットが10万とかする音楽も、道ばたでストリートミュージシャンがギター片手にかき鳴らす音楽も、本質は同じ。それを如何に楽しむか? それだけしかありません。楽しめれば、どっちも同じだけの価値を本来は持つモノです。そういう部分を皮肉ったキャラとも言えます、ダン・サリエルって人物は。彼の活躍を普通に長編で読んでみたいとまで思うぐらい気に入ってしまいましたが、望み薄ですかねぇ。

 とまぁ、そんなところで次は『灼眼のシャナXV』です。

トリプルプレイ助悪郎

 西尾維新・著、のがるわこ・イラスト、講談社ノベルス。
 8月18日(土)読了。

 西尾維新によるJDCトリビュート第二弾。
 小説家の業というか、そういうモノを感じさせつつ、最終的には読者を最大限に騙くらかしてくれる気持ちのいいミステリ。まぁ、中で説明されているとは言え、ミステリの定石を知らないと若干解りづらい仕掛けなのは否めませんが、素直に「やられた!」と思える逸品でしたねぇ。

 古い館。
 開かずの間。
 隠された宝。
 親子姉妹の確執。
 怪盗の予告状。
 名探偵。

 そんな素材を組み合わせて、一見オーソドックスとも見えるミステリになってると言えなくもないのですが、解決編は可成り予想を裏切る内容です。詳しくはネタばれるので語れませんが、そんなところにまで気を配るのは本当に偏執的ですな。とは言え、タイトルがヒントな気がする辺り、ギリギリフェアと言えなくもない…… とかそんなことを考えずに読むのが吉なんでしょうなぁ。まぁ、ある作品で1行目にその御華詩の根底にある真相書いちゃってた前科有りますしね。

 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ ぱれっと』です。

姫宮さんの中の人

 月見草平・著、EiN・イラスト、 MF 文庫 J 。
 8月16日(木)読了。

 星野純人は、高校の入学式に観た生徒会長の姫宮ちとせの姿に鮮烈な印象を持ち、一目惚れともいうのもおこがましい、憧れを抱きました。とはいえ相手は生徒会長。こちらはさえない高校生。接点などあるはずもなく、ただただテレビの中のアイドルに対するような憧れを抱き続けるだけかと思ったところで、落とし物を拾ったのを切っ掛けに、生徒会長と会うチャンスを得ます。そして、思い切って生徒会室に行くと、なんと、姫宮ちとせ生徒会長は……

 そんな感じの導入で始まる訳ですが、全体として非常に綺麗にまとまった良作でした。

 因みに、『中の人』の意味は、まんまの意味。

 タイトルはネタっぽいながらも内容を端的に表しています。つか、ここしばらく読んだ中でもピカイチのタイトルですねぇ。そして、このネタから、これだけのストーリーを紡げるのは非常に上手いですねぇ。ネタの使い方とかが微妙に捻りながらも王道的なドタバタラブコメディに仕上がってます。東京行きの新幹線の中で読んでる最中、何度も笑わされつつも感心しきりでした。

 とまぁ、そんなところで次は『トリプルプレイ助悪郎』です。

イチゴ色禁区 3.春の禁区のその果てに

 神崎リン・著、文倉十・イラスト、スニーカー文庫。
 8月13日(月)読了。

 3冊目にして早くも最終巻でした。
 何か、色々と広がりが持てそうな設定ではあったんですが、えらく性急にまとめたなぁ、とちょっと勿体ない感じです。まぁ、収集がつかなさそうな部分もあったのですが。
 ただ、ぶっちゃけジャ●プの打ち切りマンガ並みのペースで風呂敷をたたんだ割には比較的綺麗にまとめたかなぁ、と感じます。本当ならあとざっと見積もって3冊ぐらいかけてもいい内容をよく一冊にまとめたなぁ、と。とは言え、その為に色々と描ききれずに呆気なく謎が明かされてしまったりとかあってその辺は残念でした。

 で、この作品の語り口を『ギャルゲ的』と表現してましたが、『エロゲ?』が褒め言葉らしいのでソフトに評価していたことになる模様ですな。

 とまぁ、そんなところで次は『姫宮さんの中の人』です。

刀語 第八話 微刀・釵

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 8月8日(水)読了。

 前回で後半戦突入と思ったら『中盤の終わり』とまた捻った締め方をしてきたりして侮れぬ大河ノベル第八話。
 ようやく尾張に戻って、とがめと否定姫の視点を切り替えながら、それぞれの思惑が描かれて終盤への布石が打たれた回でもありますな。久々に、楽屋落ちっぽいネタがあったりしながらも、話は終わりに向かって動き出した感じです。まぁ、予想通りにいかない可能性の方が高いですが。実は否定姫は何も考えていないとか(それは違う作品)。
 で、今回の敵は人形。感情を持たない相手との闘いに挑む七花ととがめの戦略は如何に? って、人形が相手ってのは中々大胆なことをしてくれますが、ちょっとその辺りに関わりそうな伏線が見え隠れしてるんで、どう収集を付けてくれるのやら。

 残る刀はあと4本。三分の二を過ぎて先が楽しみでもありもう残り少ないのが寂しくもありながら、やはり出たら速攻読破で進めたいと思います。

 てなところで次は『イチゴ色禁区 3 春の禁区のその果てに』です。

魁!!クロマティ高校~それから

 増本庄一郎・著、野中英次・イラスト、KCノベルス。
 8月7日(火)読了。

 同名マンガのノベライズ。ってか、なんてものをノベライズするんだか......
 内容的には、様々な登場人物の一人称で描かれる連作短編として一つの大きな流れみたいなのが出来上がる形で、以外に凝った造りになってます。

 ......が、まぁ、登場人物がそもそもあれなんで、だからどうってこともないです。

 そんな感じでもっと投げっぱなしでもいいところで綺麗にまとまり過ぎな感は否めませんが、それでも大分原作の雰囲気は出ていたのでよしとします。

 とまぁ、そんなところで次は『刀語 第八話 微刀・釵』です。

ひなた橋のゴーストペイン

 有澤翔・著、水上カオリ・イラスト、電撃文庫。
 8月3日(金)読了。

 ……あのときに戻ってやり直したい。

 そんな風に思ったことはありませんか?
 こうしておけばよかった、あんなこと言わなければ良かった。
 そうすればきっと、もっといい今があったのに。

 もしも、大切なモノと引き替えに、そんな願いを叶えてくれて貰えるとしたら、貴方はどうしますか?

 と、そういう御華詩。三人の少年少女の視点で、ひなた橋に出るという『やり直し幽霊』の都市伝説を巡る不思議な体験が描かれます。その内容が青臭いけれども非常に心地良い物語となっています。なんか、こういうの読むとホッとします。また、タイトルがいいですねぇ。確かに『ゴーストペイン』ですね。

 とまぁ、そんなところで次はガラッと変わって『魁!!クロマティ高校~それから』です。

かのこん7~さよなら、オオカミ~

 西野かつみ・著、弧印・イラスト、MF文庫J。
 7月31日(火)読了。

 おかしい。
 この本、全年齢の棚に置いてあったというか、銀色の丸い18って書いたシールも貼ってないし……

 なんというか、 MF 文庫 J 挑戦しすぎです。多分、可成りアウト(;^^) 一文字も示さない文字数分の○でだけの伏せ字の中身が全て解った自分もアウトな気もしますが。そんな乳作家の作品ももう7冊目です。

 今回は、エロ街道まっしぐら! 友人達にも『エロスカイザー』の二つ名で親しまれる耕太のアイジンであるところの人狼、望がメインの御華詩。行方不明の父親の因縁とか、ちずるを挟んだ耕太との関係とか結構微妙な問題とかを通して、望の意外な一面が描かれてたのは中々よい構成。あと、ついにバカップル菌が桐山&澪にまで伝染したのは、全編に展開されるエロス時空のせいでしょう。

 で、ちずるさんが綾○ネタとは…… まぁ、タイムリーではありますな。それに対抗してか、望は同社の虚無な人のネタだったり、好き放題やってますねぇ。そんな、基本バカ小説なんですが、根底の妖怪設定はしっかりしてるので安心して気楽に読める良作ではあったりするのでそれはそれで性質が悪いです。

 とまぁ、そんなところで次は表紙買いの『ひなた橋のゴーストペイン』です。

とある魔術の禁書目録 SS

 鎌池和馬・著、灰村キヨタカ・イラスト、電撃文庫。
 7月27日(金)読了。

 今回は若干経路の違う短編集的な内容なんでいつもと違った内容ってコンセプトのようですが、それでいてあくまで本編の補完という位置づけ。前回のラストで迎えた局面をそれぞれの陣営の人々がいかに過ごしているか? って内容をそれぞれの視点で綴ったSS。

 具体的には、

・上条とクラスの仲間達
・一方通行
・イギリス清教の女子寮の人達
・保護者代表

 って感じです。

 つか、前の一件からこちら、すっかり裏主人公になってますねぇ、一方通行。彼の仲間がさらっとトンデモナイ面子だったりしたのもオイシイですし。この組み合わせは非常に面白い。

 あと、とある事件の結果として元他宗派の人間を大量に受け入れてえらいことになってる女子寮の御華詩はこの中にあっても一風変わっていて、それでいて珠玉の御華詩だったと個人的に思います。
 科学サイド対魔術サイドの問題が提起されてそれに関する全く熱くないからこそ逆に心を打つ言葉があったりしたものの、基本的にはお笑い担当というか。聖人という全世界に二十人も居ないような能力を持つ一人なのに思い返すと弄られキャラな神裂姉さんはやっぱり弄られてたり、アニェーゼ隊の面々はマイペースだったり某エージェントは霊装が羞恥プレイだったりなんだかんだでやっぱりオルソラが最強でおいしいとこ持っていったり。そこまででも十分に盛り上がったのに、最後の最後のオチに感動。これは、すごい上手いと思いました。

 あ、あと、最後の最後はいつもの人がおいしいとこ持っていっていつも通りのノリも堪能できました。

 いやはや、気がつけば本編13冊にこのSSと14冊リアルタイムに追いかけてますが、これからも楽しみなシリーズでやっぱり追いかけて行きたいと思います。

 とまぁ、そんなところで、次は『かのこん7 ~さよなら、オオカミ~』です。

神曲奏界ポリフォニカ~レゾリューション・ブラック

 大迫純一・著、BUNBUN・イラスト、GA文庫。
 7月24日(火)読了。

 渋い。やっぱり渋いですねぇ、このシリーズは。なんでしょう、この渋みは。ちょっとした描写の端々が粋というか。加えて今回は『あとがき』までカッコイイのは反則です。なんだかんだでポリフォニカの中では一番好きなシリーズです。

 で、今回は博物館で起こった展示物盗難に関わる警備員殺人事件。万全の警備体制の監視カメラに写らない犯人の謎を追います。しかし、とある事情でマティア抜き。マナガ単独での捜査になるのですが、その辺でマティアとマナガの絆が更に深く描かれています。マティアとの契約を望みながらもそれを見守るレオンの距離感もいいですねぇ。事件そのものはネタばれるので描きませんが、主要な登場人物の一人一人が、背負うモノをしっかりと背負って、決して投げ出さずに向き合う、その姿勢が集約されたのがマティアの神曲なのかもしれません。キネティック版で描かれる過去が益々気になりますねぇ。

 とまぁ、そんなところで次は『とある魔術の禁書目録SS』です。

レンズと悪魔 3 魔神攘戮

 六塚光・著、カズアキ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 7月20日(金)読了。

 第三弾にして、色々と過去の因縁が収束してきた感じですねぇ。今回はこれまでも話題となっていた、サクラとカエデの故郷で起こった『オーラン虐殺事件』に関わる御華詩。眼鏡パラダイス(※オーラン先住民は全員眼鏡です)を破壊した極悪人の登場となるわけですが、しかし、なにやら腑に落ちない点が…… とまぁ、そんな感じですね。

 今回で3冊目となって魔神も出揃ってきたところなんですが、一巻のときにも描いてますが、エルバの『父の仇討ち』という動機がどうにも取ってつけた感が否めません。周囲のキャラが明確な目的意識を感じさせるのに対して、肝心の主人公がこれなので、個人的所感として逆にエルバが登場したことで正直冷めることも暫し。手堅くまとまっていて安心して読めるシリーズなんですが、そこだけがどうにも盛り上がりに欠けます。どうせならテッキが主人公になってしまった方が盛り上がる気もします。いや、それよりもサクラとカエデがオーラン先住民の楽園を築くというストーリーでも個人的には大歓迎です。

 とまぁ、肝となる悪魔召還の円盤(レンズ)の使い方に問題があるためそこは避けて通りましたということで、次は『神曲奏界ポリフォニカ レゾリューション・ブラック』です。

学園カゲキ!

 山川進・著、よし☆ヲ・イラスト、ガガガ文庫。
 7月17日(火)読了。
 第一回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作。

 町を挙げてのドラマ作成を推奨し人材育成を目指す歌劇市。その中にあって未来のスターを目指す少年少女の学ぶ歌劇学園を舞台に繰り広げられる青春活劇! しかしながら、役者揃いのこの学園。何が真実で何が挙行なのか? それは読んでのお楽しみ。

 とまぁ、そんな感じの御華詩です。総じて、受賞は必然と思える非常に良くできた御華詩でした。基本は主人公である会澤拓海と、陸上でインターハイ出場を期待しての歌劇学園初のスポーツ特待生橘九月とのラブコメとラブストーリーの中間というか、そんなプロット。正直、ありきたりというか意図的にベタな展開を遣ってるんですが、クラス単位でドラマを撮影して実践を伴った育成を行う歌劇学園の生徒達は文字通り「役者揃い」。その設定のエッセンス入れるだけでこれだけ広がりが出るのかと勉強になる話でした。次に繋がるというか舞台がしっかりしてるんで誰を主役に持っていてもドラマが創れる設定なので今後も追いかけていきたいと思わせる作品でした。

 とまぁ、そんなところで次は『レンズと悪魔3~魔神攘戮~』です。

刀語 第七話 悪刀・鐚

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 7月13日(金)読了。

 後半戦突入の緒戦は姉弟対決! 数ヶ月前から予告されたこの闘いの顛末は中々に考えさせられるモノがありますねぇ。
 七実という存在を巡る価値観の逆転というかそういった部分はやっぱりミステリの流れを感じさせ、若干システマチックに感じる部分もあるかもしれませんが、これはこれで興味深いです。過ぎたるは猶及ばざるがごとし。
 家族殺しと天才性の代償。重いテーマなのですが、オチで台無しというか緩和するのは流石と言えましょうか。この辺、突き詰めると先日読んだ『ぼくと魔女式アポカリプス3』にも通じるモノがありますね。というか抽象度のレイヤー次第で一致する構図だったりしますがね。

 果てさて、そんな訳で、次回はいよいよ尾張に戻り話は大きく動き出すようですね。あと5冊、楽しみにしたいと思います。

 とまぁ、そんなところで、次は小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞受賞作『学園カゲキ!』です。

SHI-NO -シノ- 呪いは五つの穴にある

 上月雨音・著、東条さかな・イラスト、富士見ミステリー文庫。
 7月11日(水)読了。

 今回は第一部と第二部の繋ぎとして、ちょっと趣向を変えて前回の事件で入院中の『僕』の病室を舞台とした安楽椅子探偵です。
 毎度のごとく鴻池キララ先輩が持ち込んだ過去と現在の事件を僕、志乃、真白、きららで検討します。
 ミステリにつき事件の顛末は書きませんが、タイトル…… ギリギリですねぇ。まぁ、すぐに解るようにはなってますが。

 で、それよりも少し抽象的な部分で、このシリーズ読んでて何か既視感のようなものを感じてたんですが、今回あとがきで解りました。作者のオススメが『名探偵に薔薇を』。そこから、瀬川みゆき(←数多のミステリの中でマイ・ベスト・名探偵だったりします)か! と。より正確には、『名探偵』を自身に課した彼女に向ける三橋荘一郎の視点も複合した『名探偵』という在り方の歪みのようなモノに対する苦悩に通じるモノが、「僕」の志乃に対する視点に見え隠れしていたのですね。確かに、このシリーズは事件そのものよりも事件に対してどこまでも冷静に対処できてしまう志乃の内面が一つの重大なテーマであり、側に居るにも関わらず中々わからないもののそれを少しずつ解き明かしていく大学生の僕の物語でもあるので、事件の当事者よりも探偵役の内面にスポットが当たる部分で共通点が感じられるのですな。

 あと、今回はタイトルにある通り『呪い』が一つのテーマになってるわけですが、これも結局は人の心が生み出すモノ。しかも、この御華詩ではやりきれない形で生まれてきます。誰も一見間違ったことをしていなくて、それどころか世間一般にも胸を張って善行と言えることをしているにも関わらず、招かれた不幸。その辺り、安楽椅子探偵としての難しさか淡々とし過ぎていて味気ない部分もありましたが、やはり、考えさせられるモノがありました。

 ここから、次から第二部。その、事件よりも大きな謎である志乃の心に迫るということで楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は『刀語 第七話 悪刀・鐚』です。

人類は衰退しました

 田中ロミオ・著、山崎透・イラスト、ガガガ文庫。
 7月7日(土)読了。

 印象的なタイトルの通り、人類が既に地球上の支配者の地位を失い緩やかに滅びに向かう世界の物語。とは言え、殺伐とした御華詩ではなく、すっかり運命を受け入れて衰退した世界で細々とのんびり人類は過ごしています。そんな地球上の人類の次の支配者は、平均身長10cmで三頭身の妖精さん。これは、国連の新人調停官として故郷に帰還した”わたし”と妖精さん達との交流の物語。

 ……って、テーマだけ書き出すと何か大層な御華詩っぽいですが、基本的にユルユルの御華詩です。妖精さん達は平和そのものですし。単に楽しいことをやって気ままに集合離散していく、そんな地球の支配者。でも、そんな彼らの在り方の中に、現在の人類に対する皮肉めいたモノも感じたりもしますが。

 とまぁ、そんなところで次は『 SHI-NO -シノ- 呪いは五つの穴になる』です。

うらにわのかみさま~邪神さまにおねがい~

 神野オキナ・著、龍炎狼牙・イラスト、HJ文庫。
 7月3日(日)読了。

 先ず何よりも、盛大に突っ込むべきところがある作品。表紙でもしやっていうかサブタイトルに『邪神』って入ってる時点で全然隠す気ないんで書いてしまいますが、今回の神様は Cthulhu だったりします。スク水少女になってたりしますが(;^^) まぁ、デモンベインという先達が居るので、そんなに大きく驚きはしませんが。とは言え、一発ネタではなく、神世の仕組みを絡めて上手く邪神の設定を使ってたなぁ、と感じました。

 一方では、ユウと霧人の関係も大きく動いていたりしています。色んな意味で来るべき時が近づいたというかやってきたというか。次巻が最終巻ということでいい感じに落ち着いて欲しいモノです。

 といったところで次は『人類は衰退しました』です。

ハヤテのごとく! 夏休みの白鳳学院も、幻の三千院ナギをみた by ハヤテ

 築地俊彦・著、畑健二郎・イラスト、ガガガ文庫。
 7月1日(日)読了。

 週刊少年サンデー連載中の同名コミックのノベライズ。もしくは、富士見ファ●タジア小説大賞落選経験ある原作者のコミックを富●見書房の雑誌で長年連載を持っている作家がノベライズ。いや、本当にその数奇な巡り合わせで読む前から楽しめてました。
 ノベライズとして珍しいの比較的連載と時間軸が近いということでしょう。連載の方とのリンクも色々拘られていて原作の雰囲気を壊さないように最大限配慮されてるのが伝わってくるのがいいですね。ただ、各話のサブタイトルの付け方も原作と同じといえば同じですが方向性がどっちかといえば椎名高志です(;^^) 特に『非(ナル)ヒナギクの世界』が強引ですが気に入ってます。
 

 内容的にはタイトルの通り、引き込もりで学校嫌いのナギが学院で目撃されて…… って話から始まってメイド喫茶あり、シスターとサキの対決あり、ヒナギクの成長有り、ハヤテとお嬢様の絆あり、ってところで気楽に楽しめる内容でした。シスターとサキの出番があればそれでいいともいいます。

 まぁ、そんな感じで次は『うらにわのかみさま~邪神さまにおねがい~』です。

神曲奏界ポリフォニカ ふゅーじてぃぶ・ぶるう

 築地俊彦・著、兎塚エイジ・イラスト、GA 文庫。
 6月28日(木)読了。

 神曲嫌いのクルナと精霊至上主義現実派な眼鏡っ娘精霊の御華詩第二弾!

 貧乏街道まっしぐらなクルナとそれに律儀に付き合って飢えに苦しんだりしているルーファの元に、クルナの弟リグルスからもたらされる駆け落ちした神曲学士と精霊の捜索の仕事。実は、その学士とクルナにはある共通点が有って……

 と、そんな感じで、事件を通してクルナの過去、優秀な神曲学士として名を馳せる弟と同等かそれ以上の神曲を弾けるにも関わらず、何故神曲をそこまで嫌うのか? といった部分が描かれます。いや、前巻で垣間見えた『神曲を介さない人間と精霊の関係』というところから更に一歩深いところまで踏み込んだ内容で、ポリフォニカ世界に於いても非常に重要なテーマが描かれていると思います。若干、白のブランカに関しても通じるところがありますが、このテーマが出てきたことは全シリーズ通しても可成り大きいと思います。これは、今後が非常に楽しみなシリーズとなりました。

 あと一点。
 冒頭のカラーイラストで激しくネタバレするのはちょっと勘弁。あれ知らずに読んだらもっと楽しめたのになぁ……

 とまぁ、そんなところで次は『ハヤテのごとく! 夏休みの白鳳学院も、幻の三千院ナギをみた by ハヤテ』です。って作者被ってた!

ぼくと魔女式アポカリプス3

 水瀬葉月・著、藤原々々・イラスト、電撃文庫。
 6月26日(火)読了。

 相も変わらず絶望の中で必死に足掻く物語。読んでいて辛いものもありますが、この状況の中にあって『弱いからこそ強い』冥子の魅力がよく出ていますね。
 今回は、前巻で託された使命を真摯に受け止めながら、それでいてその結果が招いた一種の最悪。
 端的に描かれるのは『人外同士の闘いに介入する人間』。別々の理由で介入してくるわけですが、それがやるせない。救われるものと救われないもの。その選択は限りなく恣意的で。例え相手が人間であろうと殺さねばならない状況。
 人外同士だからこそ諦められそうな状況に投じられた一石に、更に葛藤は深まります。

 その中で、冥子と澪の本来的にはイレギュラーであり異質であり希有である在り方の意味合いが、少しずつ深化される様がほんの少し、あらゆる選択肢が絶望にしか繋がっていない未来に砂漠に落ちた一粒の涙程度の光が見いだせたかもしれない、そんな感じです。
 まぁ、代替魔術師という存在になってしまった時点で、本来的には終わってしまっている。終わっているのに終わらないでいようとする、そんな状況の中で描かれる残酷な御華詩は、しかし、結構心の深いところを付いてきますねぇ。

 これで終わったわけではないようですがこの作者は次は別シリーズということなので続きが読めるのがいつになるか解りませんが気長に待ちたいと思います。

 あ、『ポステリオル・マギス』に戻ってましたね、そういえば。

 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ ふゅーじてぃぶ・ぶるう』です。って、前巻の次もルーファでしたね、そういや。メガネは続くよどこまでも(当たり前

ゼロの使い魔11~追憶の二重奏~

 ヤマグチノボル・著、兎塚エイジ・イラスト、MF文庫J。
 6月24日(日)未明、読了。

 ああ、ええラブコメですねぇ。それでいて、国際的な状況とかもしっかり描かれてたりして、中々侮れません。でも、トリステインの女王の次はガリアの姫ですが、サイト。
 まぁ、そんな焼き餅展開にも、今回一つの決着観たりする訳です。その辺りのもっていき方には強引さとか短絡的とか色々思うところはあったのですが、結果は綺麗にまとまってますねぇ。これで、次の幅は広まりましたが、前の巻でフラグオンになってるタバサにあまり手を出すといけませんよ?

 とまぁ、かなり駄目な感じですが次は『ぼくと魔女式アポカリプス 3』です。

神曲奏界ポリフォニカ~ビギニング・クリムゾン

 榊一郎・著、神無月昇・イラスト、GA文庫。
 6月21日(木)読了。

 タイトルから予想が付くとおり、フォロンとコーティカルテの出会いの御華詩。
 更に言えば、キネティック・ノベルのプロローグの改訂版です。
 そんな訳で、内容的にはキネティックとまったく同じなので既読の内容確認的な読書と相成りました。

 とは言え、キネティック時点では現在のシェアード構想が無かったこともあり、読んでみるとその辺りを匂わせる部分が追加されていたりしてニヤリとさせられました。なるほど、フォロンはやっぱり…… そういう楽しみもありますね。あと、個人的にはこうして文庫で出てくれると読みやすくていいと思います。実は、キネティックはこの本の内容の部分しか読めてなかったりするので(;^^)

 とまぁ、そんなところで次は『ゼロの使い魔11~追憶の二重奏』です。

ビンヅメ乙女ゴコロ

 雨森麻杜・著、成瀬裕司・イラスト、HJ文庫。
 6月18日(月)読了。

 予備知識一切無しどころか内容も未確認の表紙買いしたこの作品。結果は『微妙』ですねぇ。
 異能やらエルフやら鬼やらの亜人やら妖魔やらが普通に存在するけれども、概ね現代日本と変わらぬ世界を舞台にした御華詩。
 何故か不運に見舞われる眼鏡っ娘、比良坂遥乃(ひらさかはるの)と、その幼なじみの根岸継人(ねぎしつぐと)が偶然、鬼娘の朱留(あける)と出会い、その不運の原因と対峙していく…… と大筋はなるのでしょうか?
 タイトルにある『瓶詰』と呼ばれる何でも封じてしまう異能が中軸となっていて、その辺りとタイトルを絡めてるのですが、正直、説明過多でちょっと興醒め気味でした。その割に異能がありふれた世界の設定が今一見えなくて色々戸惑うところもあり。異能の設定が結構凝っているところもあって、その能力の行使方法などに工夫も見られたのですが、そこももう一声欲しい印象。全体的に構成がちょっと荒い印象の御華詩でした。まぁ、素材は悪くなく、シリーズとして続くようなのでとりあえず様子見予定。

 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ ビギニング・クリムゾン』です。

刀語 第六話 双刀・鎚

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 6月16日(土)未明読了。

 連続十二ヶ月刊行の六ヶ月目。丁度半分となるところでこれまでとちょっとパターンを変えてきましたねぇ。
 『まにわに』こと真庭忍軍やら幕府の姫やら、最強のあの人やら色んな事情を明かしつつ、七花の内面の成長の様も描いてと、まぁ、ぶっちゃけ『次への繋ぎ』的色合いが濃くてこういう話が紛れるのも連載モノ的ですな。でもまぁ、七花は非常に貴重な経験もした訳ですが、今回の闘いを通じて見えた人間としての成長が刀の切れ味にどう絡んでくるか? ってのが今後の一つのテーマっぽいですな。

 でまぁ、相変わらず出る前からネタバレするのはこの作者の持ち味なので気にしません。つか、メフィスト賞作家なんでミステリ畑の人なんですが、逆にその反動でしょうかねぇ。まぁ、到叙と言えなくもないこともないと言ってみたりするぐらいは許されないこともないかもってぐらいですな。

 そんな訳で、次は表紙買いした『ビンヅメ乙女ゴコロ』です

狂乱家族日記 番外そのいち

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 6月14日(木)読了。

 『番外』ということで短編集ですが、中々いい短編書きますねぇ。どれも笑いあり涙ありでいいエンターテイメント。
 特に、最初の『旅行も呪いも計画的に♪』は素晴らしい。何しろ、絵師さんの陰謀で眼鏡率アップ! 表紙を飾るちえりさんに、コスプレで眼鏡装着の凶華様。うん、いい。
 あと、印象的だったのは『月曜日に猫を拾う』です。これはタイトルからあからさまなミスディレクションでしたが、やっぱり、ミステリ読みでないと騙される人も居るんでしょうねぇ。そんな若干ミステリチックな仕掛けがあったりしつつ、狂乱家族の出来る以前の御華詩を、とある大学生の視点で素敵に綴っています。ドリンダちゃんいい人だ。

 つか、やっぱり根っからの悪人居ないなぁ、日日日作品って。根っからの善人も居ないんですが。そこがまたいいところですねぇ。救いがあります。それがエンターテイメントの王道とも言えるでしょう。

 そんなこんなで一ヶ月にわたる日日日祭りは終了。まだ手に入っていなくて未読は残ってますが、一旦日日日離れて次は『刀語 第六話 双刀・鎚』です。

狂乱家族日記 七さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 6月12日(火)読了。

 『宇宙人編』上巻。メインは月香と凶華、ですかね?
 なんというか、全体としては『異文化コミュニケーション』が一つのテーマでしょうか。個にして全なる完結した存在と、個体が独立した存在との意識の差。『恋』というキーワードを軸に展開する中々に興味深い御華詩でした。
 なんというか『来るべき災厄』は以外な存在でしたがそれ以上にかなり早い段階でわかったもののそれでも個人的に意外な存在だけ提示されてた人の方が驚きだったり、意外性もあって楽しめました。
 まぁ、最後の最後になんかえらいことになってますが、これが下巻でどう解決するかが楽しみです。

 ……しかしホント、根っからの悪人っていませんね。

 とまぁ、まだ出ていない下巻まで全体の決着は保留として次は『狂乱家族日記 番外そのいち』です。

狂乱家族日記 六さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 6月10日(日)読了。

 帝架編(?)これにて決着、な御華詩。
 人間VS動物、という構図を突き詰めていって、なんとも人間らしい方法で決着が付いたのは素直に上手いなぁ、と思ったんですが…… いや、日日日ってこれ書いた頃って有権者になるかならないかって頃だったような気がするんですが、それであのネタとは世間をよく見ていますね。
 それと、動物と人間の対立の下りは『アンダカの怪造学』の怪造生物と人間の対立と通じるモノを感じました。やっぱり、この辺りも日日日のテーマなんでしょうねぇ。ただ、より身近なだけに考えさせられることも多いですねえ。
 あと、時々、本当に20歳(当時)か? と思うネタが出てくるんですが、これは担当の差し金なんでしょうかねぇ。往年のジャンプネタとかならまぁ解るとして、このネタって一般的なのかなぁ(;^^) ってか、若い人はネタってことも解らないでしょうねぇ、これ。私ぐらいの世代ならメロディーが付いてしまうフレーズですがね。
 あと、なんか基本的に根っからの悪人っていないですよね、日日日の作品って。そんなことも感じさせられた御華詩でした。

 とまぁ、どうでもいいところを中心に書いてますが、内容的にはこれまで積み重ねられた謎のかなりの部分が明かされて物語も多分佳境に入りそうな雰囲気です。引き続きの7巻に期待というわけで当然次は『狂乱家族日記 七さつめ』です。

狂乱家族日記 伍さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 6月7日(木)読了。

 今回は褐色皇帝の血族にして百獣の王の帝架がメインの御華詩。でも、発売においつて居ませんが二ヶ月連続刊行の一月目ということで上下巻の『上巻』なのでことの顛末は引き続いての『六さつめ』読んでのお楽しみですが…… うん、ここまででも十分過ぎる問題提起でしたねぇ。

 詳しくはネタばれるんで控えると何も語れん気もしますが、ライオンの帝架とその旧知でもあり、人間に恨みを持つマダラとの関係を中心にして、人間と動物の在り方というか、人間の不自然さ見たいなモノが描かれてます。確かに、そうなんですよね。人間は人間に住みやすいように突き詰めて結果として自然を壊し遠回りで無自覚な自殺をしている種族。そんなことを考えさせられました。

 とかなんとか重いテーマを見いだしつつ、一つ大きな謎が明かされるんですが確かに字面が間抜けだったり。でも、何となくこれまでで感じられてた内容なんで順当なところとは思いました。

 はてさて、今回の事件がどのような結末を迎えるのか、引き続き『狂乱家族日記 六さつめ』を読むデスよ。

狂乱家族日記 四さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 6月5日(火)読了。

 今回は、閻禍の細胞から生まれた最強の生物兵器、元・黒の十三番、現、乱崎雹霞(みだれざきひょうか)がメインで、その裏側で千花の成長物語でもある、そんな御華詩。
 タイトルでもある『狂乱家族日記』が各章の冒頭に書かれているのがこのシリーズの一つの特徴なんですが、今回はそれを上手いこと使ってますねぇ。いや、正直前の巻が若干反則気味だったんで。

 ある意味、一番悲惨な出自を持つ雹霞ですが、そんな彼の初恋と過去。その二つが絡み合って辿り着いた落としどころはでも、やっぱり日日日らしいオチですねぇ。しかし、なんでいちいちあんな壮絶な人生を描けるんだ… やっぱり文学的ですね、そういうとこは。詳しくはネタばれるので伏せますが。一方で、狂乱家族の中にあって一介の少女でしかない千花のちょっとした成長が描かれているのもまたよし。あと、夫婦漫才に磨きが掛かってきましたね、凰火と凶華。もう誰がみても仲良し夫婦。いい絆です。

 そしてまた、今後に向けても大きな動きがあってようやくここから本編って感じですが、まぁ、現時点であと3冊は本編が出てるのでとっとと読みたいと思います。

 そんな訳で次は『狂乱家族日記 伍さつめ』です。

狂乱家族日記 参さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 6月1日(金)未明、読了。

 むむむ、なるほどなるほど。死神三番はこういう方でしたか。そんな訳で、参さつめだからか三角関係な御華詩でしたが、確かにそれでこそ凶華と凰火の絆がより力強く描き出されますねぇ。また、死神三番の凰火への想いの落としどころは絶妙でした。上手いですねぇ、こういう言い回し。

 今回は他の家族は途中退場で途中からは凰火を挟んだ凶華と死神三番の女の闘いという風情なのですが、その辺はネタばれるので割愛。色々と過去が見えてきたとだけ。

 とまぁ、そんな訳で引き続きというかここからは狂乱な日々というわけでお次は『狂乱家族日記 四さつめ』です。

蟲と眼球とダメージヘア

 日日日・著、三月まうす・イラスト、MF文庫J。
 5月28日(月)読了。

 終わって救われた世界の後日譚。
 ある意味蛇足な物語。
 そして、ちょっとメタな御華詩。

 あの蟲と眼球の物語の登場人物達が今、生きている世界。
 そこに確かに存在する平穏な生活の何気ない場面一つ一つに意味もなく泣きそうになりました。嬉しくて。彼女たちが求めてやまなかった世界がここにはあります。

 でも、こうしてその世界が改めて語られるからには何かが起きます。そんなダメージヘアという忘れられた存在の繰り広げる『おまけ』の物語が主軸でした。

 また、これはゲームで言えば『ファンディスク』的な位置付けな物語内容なんで、あのキャラ達がみんな大活躍します。個人的には愚龍の親父の願鳳の好感度が上がりました。うん、あの親にしてあの息子有りですな。

 大きな力なんて失って、ただの人間になっても、何か出来ることがある。だからこそ、人外大活躍ですが、ちょっとした場面こそが心に染みる、そんな御華詩でした。

 そんなところで日日日祭りはまだまだ続く次は『狂乱家族日記参さつめ』です。

アンダカの怪造学Ⅵ 飛べない蝶々の鳥かご迷路

 日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 5月26日(土)未明読了。

 第二部完結!
 そんな訳で、上手いこと切りがいいところで追いつけました。

 今回は、一種ジョーカー的な活躍しかしてこなかった伊依の親友である魅神香美が中心となる御華詩。
 いよいよ伊依達も二年生に進級し、古頃怪造高等学校も新入生を迎え入れます。しかし、その主席新入生であり、香美の旧知でもある志田桐涼女は入学式の挨拶の場で内容も何も未定の『魔王杯』の開催を宣言して……

 とまぁ『魔王杯』というイベントに絡めた様々な思惑が展開する今巻ですが、色々な謎が明かされつつも新たな謎が産まれてきた方が多い気もしますねぇ。それと、今回はちょっと重たい。いや、全体的に日日日作品って何気に重い御華詩ばっかりな気もしますが、それでも、何かすっきりしないモノがあります。涼女と香美、香美と伊依、その関係のあり方が、誰が悪いというわけでもないのに上手く行かないというか、香美が背負ってしまったモノ、涼女が求めたモノ、伊依が無自覚に発揮していたいモノ、どれも、決して間違っていないはずなのに…… まぁ、何がどうなるかは読んでのお楽しみ。

 しかし、今回は、本当に第二部完結の割に決着したと言うよりは決着したことで始まった感が大きいです。あとがきで語られた第三部のテーマから推察するに次のシリーズで完結しそうですが果たして伊依がその綺麗事を壮絶なまでの苦難に耐えて貫き通せるのか、楽しみにしたいと思います。

 てなところでまだまだ日日日が続きますがお次は『蟲と眼球とダメージヘア』です。

アンダカの怪造学Ⅴ 嘘つき魔女の見つめる未来

 日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 5月23日(水)未明読了。

 おおおおお、盛り上がってきたと言いますか一気に展開しましたねぇ。つか、えらい大物投入してきたなぁ。そして、本当に第二部は布教編ですな。

 今回はここまでの諸々の事情により学生数が減ってしまった三大怪造学校が統合した新生古頃怪造高等学校の学祭、古頃大祭が舞台。なんでも企画一位になれば校長にして世界に七人の怪造学教授の一人、宇宙木氷蜜(うつぎひみつ)がその能力と権力を最大限に活用して何でも願いを一つ叶えるとか言い出したモノだからさぁ、大変。しかも、そこに虚界の権力者、悲哀大公と憤怒大公の争いも絡んできて……

 とまぁ、要するに古頃大祭が虚界の代理戦争となる御華詩なのです。まぁ、そっちの顛末はネタばれるので置いといて、根底のテーマ部分について。統合して他校の生徒も混ざって新しい出会いもあり、伊依の理想でしかなかった、現状を変えるだけで満足していた思考は、更なる未来への道を模索し始めます。その中で繰り広げられる問答が非常に興味深い。ちょっとご都合主義な部分もあるけれど、大筋で説得力のある理論を構築しています。それは、きっと、怪造生物と人間なんてフィクションの世界だけでなく、この世界にも通用するものなんでしょうね。そんなことを感じさせられてしまいました。

 どうしても日日日作品読んでると根底の深いモノのに目がいきますが、勿論、トンデモ無いことをされて久々にぶち切れた伊依やら、トンデモ無い格好をさせられた舞弓とか見所も沢山ありました。

 その裏で、この世界の根幹に関わる事実も徐々に見え隠れし始めて、先が楽しみです。

 そんな訳で引き続き次は『アンダカの怪造学Ⅵ 飛べない蝶々の鳥かご迷路』です。

アンダカの怪造学Ⅳ 笛吹き男の夢見る世界

 日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 5月21日(月)読了。

 前巻ラストの諸々の事情で殻蛇怪造高等学校に間借りすることになった古頃怪造高等学校の生徒達。しかし、伊依達が辿り着いた殻蛇怪造高等学校は何か様子がおかしくて……

 てな御華詩で第二部開幕編ですが、のっけからすげぇ。新キャラのインパクトというか殻蛇怪造高等学校書記の眼鏡娘な巴已己巳(ともえいこみ)とか、影文&血影の暗躍というか血影の一人称が新鮮だったりとか、構成が面白かったりとか色々ありますが、単純に『よかった』と言える作品でした。今までに積み重ねてきたたモノを一気に萌芽させて、良い具合に盛り上げていますねぇ。

 根底にあるテーマは、この世界では人間にとって『便利な道具』と扱うのが一般的な『怪造生物(モンスター)』(一般的な用語を使えば使い魔とか召還獣に近い異界=『虚界(アンダカ)』の生物)を『友達』とする主人公、空井伊依(すかいいいより)が「人間と怪造生物が仲良く暮らせる世界」を目指すというモノ。周りに笑われ、奇異に観られ、虐げられても、例え自分の身に危険が及ぼうとも、人間も怪造生物も分け隔て無く救おうとしてきた伊依の努力。それが、ようやく実を結び始めます。いやぁ、もう、詳しくはネタばれるので控えますが、後半は泣けました。涙もろくなってるなぁ…… でも、心地よい涙です。

 そんな訳で、もう止まらない。次は予定を変更して『アンダカの怪造学Ⅴ 嘘つき魔女の見つめる未来』です。

リミットレス!2

 須藤項・著、ひづき夜宵・イラスト、MF文庫J。
 5月15日(火)読了。

 いやぁ、オーソドックスなファンタジーながら色々無茶な要素を投入してて非常に楽しめました。うん、ある意味やけくそ気味なネタですがよくもまぁ、成立させたモノというか受け入れられるノリを出したモノです。この辺は前作『キミを救う最初の呪文』に通じるところがありますね。あと、新キャラのライラミラがよいですねぇ。眼鏡っ娘ですし。
 全体的なラブコメ分もほどよいですし、結構次に期待が持てます。ただ、この作者、なんか、どんどん新しいシリーズ出してますが個人的には最初の『彼女はミサイル』も『キミを救う最初の呪文』もなんだかんだで面白かったのでそちらの続きも読みたいモノです。

 とまぁ、そんなところで次は『アンダカの怪造学4~笛吹き男の夢見る世界』です。

かみさまのいうとおり! ~おやすみの日のすごしかた

 神代いづみ・著、湖西晶・イラスト、KR文庫。
 5月11日(金)読了。

 同名の4コマまんが『かみさまのいうとおり!』(著・湖西晶)のノベライズ。「4コマのノベライズって???」って感じだったんですが、まんがと同じように気軽に読めていい感じですね。

 要約すると、「やっぱり、まりあは鼻血を流していました」「やっぱり、谷先生は黒野先生に拉致られました」


 ……だけだと寂しいので少し。主要キャラそろぞれの一人称で、各自のゴールデンウィークの過ごし方が描かれてますが、雰囲気はいい感じでしたね。何気ない日常って雰囲気は疲れたときによむとホッとします。

 あと、なむの一人称はちょっと新鮮でした。あんまり主張しないキャラですが一人称だと当然その担当部分の他人の部分以外の台詞はありますからねぇ。あ、でも魂抜けてない…… ってあれ一人称で表現無理か(;^^)

 それと、文字で描写されると生々しいです、鼻血。

 とまぁ、そんなところで次は『リミットレス2』です。

刀語 第五話 賊刀・鎧

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 5月10日(木)読了。

 相変わらずの週刊少年漫画というか、本当にそうとしか言えない展開でしたねぇ、今回は。
 賊刀・鎧はまぁ、直球ど真ん中で大方の予想通りだったわけですが、その持ち主と七花の対峙はよかったですねぇ。正に、悩んで乗り越えて強くなる、そんな主人公、七花。とがめとの絆も深まった感じで先が楽しみです。

 あともう一つのお楽しみは以前から予告されていたとがめの「あれ」。ずっと序盤から予告されていた「あれ」が遂に明かされます。期待通りのとがめの乱れっぷりが微笑ましかったのですがそれをしっかり核心に迫る部分の伏線に使ったあたり侮り難し。一発ネタと思わせてそう繋げるかぁ……

 とまぁ、そんなところで次は『かみさまのいうとおりっ!』です。

”文学少女”と穢名の天使(アンジュ)

 野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
 5月8日(火)、読了。

 いやぁ、よかった。ええ作品でした。読み終わって先ずは、もう素直な感想を述べたい、そんな心境です。
 陳腐な言葉ですが便利な言葉です。でも、読んだ後にこれだけ色々なモノが残る作品は辺に飾るのも無粋にして『ええ作品』と抽象的に述べることこそ粋とも思えます。

 はてさて、今回もいつものごとく見立てがありますがやはりネタばれるので伏せておきます。
 そんな今回のメインヒロインは心葉君に思いを寄せる琴吹ななせ。彼女の親友であり、音大附属高校で声楽を学ぶ少女を巡る物語。歌やってる人間なんで今までよりも感情移入度高い分、色々と来るモノがありました。なんか、最後の方は痛ましくて痛ましくて、でも、決してそれだけではないことが解って。そうしていつものごとく物語を読み解く”文学少女”天野遠子先輩はやっぱり愛すべきキャラですねぇ。
 一方で、心葉は今回の事件に関わるとある人物の中にかつての自分を見つけつつ、少しずつ少しずつ自分の避けてきた過去と向き合います。そんな彼が最後に見いだした素朴なモノには、胸打たれるモノがありました。
 決して甘いだけではない。渋み辛みがあるからこそ人間は素晴らしい。文学を味で表する遠子先輩は、その実、様々な人生を味わっているのかもしれない。そんなことを思ったりもしました。うん、本当に、人間ってどこまで行っても人間なのですね。

 そして、次の巻では遂にその過去の最大の象徴と向き合うことになりそうです。そうなると、次も出来る限り速攻読破を目指します。


 とまぁ、そんなところで次は『刀語 第五話 賊刀・鎧』です。

暗闇にヤギを探して 3

 穂史賀雅也・著、シコルスキー・イラスト、MF文庫J。
 5月7日(月)読了。

 正式に完結。なんというか、前巻で気になった部分をきっちり決着付けてくれたので非常に心地よいラストでした。やっぱり、不思議な雰囲気のある文章だなぁ、と思いつつ、それでいて大分洗練されてきた印象があります。また、物語としても、予想外なような予想通りのようなところに上手いこと着地させているので3巻で1つの物語として、分量的に対して多くないので続けて読むことをお勧めしますね。

 で、内容。

 前巻の最後に、合人にミリオン先輩が突きつけた恋愛という要素。それにどう答えるか? というのが今回の御華詩。
 そして、今回はそのライバルにあたる幼なじみの風子がクローズアップされます。というか、前巻同様の人称切り替え方式ですが、今回はこれまで語られなかった分、彼女の一人称が多用されています。これで彼女の傍目には意味不明な行動の理由付けが成されてすっきり。ただまぁ、すっきりしたところで色んな意味でのどんでん返しがあって…… てな訳で、展開的にも面白い構図となっています。この着地のさせ方ってありそうであんまりないような。

 実際のところ、本筋に必要な部分以外が相当に投げっぱなし感が漂った状態で終わった気がしないでもないですが、最終的に一人称で語る人物以外の事は別の物語になってしまうということでまぁ、納得いかないこともないです。一応、伏線もありましたしねぇ。

 なんだかんだ言って、次回作が楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は楽しみにしているシリーズの一つ『”文学少女”と穢名の天使』です。

ギロチンマシン中村奈々子~学級崩壊編~

 日日日・著、大出長介・イラスト、徳間デュアル文庫。
 5月2日(水)読了。

 右腕が刃、左手が得体のしれない兵器の最強の処刑人でありながら、純粋な少女でもあるギロチンマシン中村奈々子。
 かつての恐怖で髪を真白にするも、ロボットの<学園>支配に反旗を翻した英雄、両腕がロケットパンチで下品な言葉を連発する幼女”赤ずきん”中村奈々子。
 そして、『中村奈々子』と同じ顔を持つ人間の兵士、山田太郎(偽名)。

 そんな彼らが繰り広げる、妊娠騒動やら学級崩壊やらの御華詩。

 とか書くと、ドタバタコメディーっぽい紹介になってしまいますが、数多の日日日作品の中では新風舎の一連の作品に一番乗りが近いと思います。前巻のときも書きましたが、やはり、文学的な作品に思えます。正直、絵は嫌いではないですが『全員が同じ顔を持つ』という設定が台無しなので挿絵はない方がよかったとか思い始めたりしますが、レーベル的にそれは不許可なのでしょうなぁ……

 正直、さらっと読めば確かに前半ドタバタ後半シリアスして終わり。展開もやや強引な感じですがまぁ、単純な構図の物語と捉えられなくもないです。

 が、その中で繰り広げられる人間とロボットの稜線の問題やら中村奈々子と関係の深いとあるキャラクターの心情やらを考えると非常に難解な部類に入る物語にも感じられます。

 穿ちすぎだとは思いますが、人間とロボットの関係性、家族という絆のありかというか、そういったものを考えさせられる作品でした。やっぱり日日日の作品の根底からは共通して『絆』というキーワードを連想するのは関係妄想なのでしょうか?

 とまぁ、ある意味書評っぽいようなことを所感として、あとはネタばれるのでこの辺りで。

 次は『暗闇にヤギを探して3』です。

サクラサク上等。

 三浦勇雄・著、屡那・イラスト、MF文庫J。
 4月26日(木)読了。

 上等シリーズ、堂々の大団円!
 もう、気持ちいい。これぞエンターテイメント。それだけ痛快な読後感を与えてくれました。
 今までの、逆境に挑んできた全てをかけて、全てを失った鉄平が全てを取り戻す御華詩。
 そして、これから全てを得るための一歩を踏み出すプロローグ。

 最終巻はこれまでのシリーズ7冊で散りばめられた色んな歯車が絶妙にかみ合っていて、納得のいく形でこれまでの事件をきっちり収束させてくれました。その中で、鉄平に関わった人たちがどんどん感化されて見せ場を得たりするごとに心地よくカタルシスを感じました。本当に単純なテーマを熱くどこまでもストレートに描いた良作でした。

 そして何より、逆境に立たされたときの鉄平の口癖「……上等」のフレーズが嵌ってますねぇ。作品のテーマをこの一言が完全に表してしまうので、もう何冊か前当たりからこの台詞が出るだけで気持ちが高ぶるようになってました。辛くて気持ちが塞いだりしたとき、空元気でも口にすれば力が出る、そんな言葉。恐らく、これからも心に残るフレーズとなりました。

 ……で、内界人の眼鏡率の高さの秘密には脱帽。でも、詳しくはネタばれるので伏せますが複雑な気分です。


 とまぁ、そんなところで次は『ギロチンマシン中村奈々子 学級崩壊編』です。

ネクラ少女は黒魔法で恋をする 4

 熊谷雅人・著、えれっと・イラスト、MF文庫J。
 4月25日(水)読了。

 今回はサブキャラに焦点を当てた短編と、演劇部の合宿を舞台とした中編という構成。
 このような形が出来るぐらいにはキャラがしっかりしてるんだなぁ、と感じさせられました。特に、サブキャラメインではそれぞれのキャラの一人称が使われているのがよいですね。「ああ、こいつこんなこと考えてるんだ」っていうのが解ります。特に、しの。

 一度築き上げた信頼関係を一旦リセットされ、それでも同じ仲間達と再び信頼関係を気づき上げた真帆。彼女の成長譚としてもよく出来ていますね。まぁ、ちょっと心の声と実際の話し声のギャップがありすぎで普段の話し声が小さいというところが想像し辛いというのは気になりますが、これは仕方ないですね。ただ、脇役のキャラがメインになったときに、そんな彼女をどう思っているのかが見えたのはこの巻の試みの成功点ですな。

 とまぁ、そんなところで次は再び大団円の『サクラサク上等。』です。

パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.1

 清涼院流水 ・著、梅吉・カット、講談社 BOX 。
 4月24日(火)読了。

 発売直後に買っておきながら読むのが遅くなった清涼院流水が描く大河ノベル。
 うん、これは冗談抜きで英語の勉強になりますね。この辺、ダブルミーニングは当たり前、トリプルクアドラプルクインタプルミーニングぐらいやってしまうその言葉の『音』へのこだわりが活きていますねぇ。
 話の内容としてはまだまだ始まりなんですが、話の持って行き方は持ち味がよく出ています。
 ただ、まだまだ問題提起がようやくされたところぐらいなんで、物語はこれから動いていくんでしょうね。

 そして、これもやはり追うべきシリーズと認識。企画としての面白さもありますが、それ以前に清涼院流水は初期から読んでて一番好きだった『トップ・ラン』のテイストを感じますんで。つか、あの続編『トップ・ランド』が実は大河ノベル的試みだったにも関わらず打ち切られたって過去があったりしますし、今度こそは1年連続を見届けたい気になりました。

 内容以外の部分にばかり言及しましたが、こんなところで次は『ネクラ少女は黒魔法で恋をする4』です。

神曲奏界ポリフォニカ~ミッシング・ホワイト

 高殿円・著、きなこひろ・イラスト、GA文庫。
 4月21日(土)、絶賛読了。

 早くもスノウドロップの真実を突きつけるミナギ編完結。
 なるほど、そういう選択ですか。あと、予想はしていましたが、ミナギはあのネタだったんですね。

 なじかは知らねど……

 毎回思うことですが、このシリーズは他と違ってこっちの世界との繋がりが強いのです。前の巻なんで微妙にネタバレご容赦願うと『オズの魔法使い』と勘違いさせて『ティファニーで朝食を』だったりするのですが、今回もまた面白いネタを仕込んでますねぇ。 O Frotuna! ってカルミナ・ブラーナかぁ。確かに、ありゃ闘い向きです。つか、なかなかいい訳詞のセンスしてますね、この作者。

 このシリーズ、その辺の曲押さえてるとBGMを脳内補完できるんで可成り楽しいです。今回もその場面は本当に脳内が白熱してました。思わず口ずさみそうになりましたが、口ずさむにはテナーが気持ちよく歌う音域なんで自粛。って、思わず今、何年か前の兵庫県合唱祭で演奏したときの『カルミナ・ブラーナ』のコーラス譜持ち出しました。気持ちいい音域ですねぇ、

 しかし、この曲に関してはスノウの楽器であるコントラバスは確かに活きますねぇ。まぁ、何よりポリフォニカ・ワールドの未来ではナンセンスというかある意味禁忌とされる『歌』でそれを伴奏に神曲を奏でるのがスノウドロップですがね。あとは賛美歌とか聖歌(賛美歌:プロテスタント、聖歌:カトリック)は詳しくないんで、聖書の一節としか知らなかった詩に付けられた曲とかもあってそういう遊びが理解できると楽しみは倍増しますねぇ。

 あと、プリムローズお嬢様はどうしてそう、イロモノ方向に行ってるんだか…… 黒さと桃まんさダントツですな。

 とまぁ、そんなところで次は久々の流水大説『パーフェクト・ワールド』です。

Fate/Zero Vol,2 -王たちの狂宴-

 虚淵玄・著、武内崇・イラスト、TYPE-MOON BOOKS。
 4月19日(木)、奇しくも PS2 『 Fate/stay night Realta Nua 』発売日未明に読了。

 いやぁ、なんでしょう、結末ははっきりしていて思い入れ持つと後のダメージがでかいと知りつつも、それでも魅せられます。イスカンダル格好良すぎ。色んな意味で出てくるだけで空気を変えてしまう強烈なキャラクター。流石は征服王ですな。

 そして、作者の宣言通り弄られまくるセイバー。マイペースな金ぴか。なるほど、確かに『王たちの狂宴』にふさわしい内容でした。

 ……そこに至るまでにも他のマスターやらサーヴァンとの間で色々あったんですが、後半は全部イスカンダルが持ってっちゃいました(;^^) ああ、でも解説で言及されているところがやっぱり一番衝撃的でしたねぇ。ある意味漢らしいぜ、イスカンダル。

 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ ミッシング・ホワイト』です。

串刺しヘルパーさされさん3~呪われレジェンド~

 木村航・著、中村哲也・イラスト、HJ文庫。
 4月16日(月)、読了。

 さされさん完結巻。

 『呪い』と『祝福』。それは本質的には同じこと。その辺の前巻のテーマを引き継ぎつつ、さされさんの剣の秘密に迫る今巻ですが…… う~ん、正直ちょっと消化不良って感じですねぇ。新キャラの生い立ちがかいつまんでしか明かされてなかったり、キヨラとスーの行動になんか一貫性が感じられなかったり、テーマは面白いだけに性急に話をまとめたのがちょっと勿体ないなぁ、と感じました。短編の方も気軽に読めるのはいいんですが、ちょっと物足りない印象でした。

 多分、倍ぐらいの巻数使えばもっと掘り下げられたんでしょうねぇ。ちと残念です。

 とまぁ、そんなところで次は『 Fate/Zero Vol,1 -王たちの狂宴- 』です。

とある魔術の禁書目録 13

 鎌池和馬・著、灰村キヨタカ・イラスト、電撃文庫。
 4月12日(木)読了。

 前巻のラブコメから一転、これまでで最大規模とも言える緊急事態に当麻、一方通行《アクセラレータ》がそれぞれの立場から立ち向かうことになります。
 そんな中、一方通行《アクセラレータ》の心境の変化が凄まじくていいですねぇ。部分的にホラー映画かと思う場面もあったりしましたが、それでも、打ち止め《ラストオーダー》を通して心の底に生まれた感情。熱いですねぇ。また、実は1巻からレギュラーのとあるキャラもとんでもない事実ひっさげて大活躍、というか暗躍。これは、本当に出し惜しみしてたのが遂にって感じで密かな燃えポイントです。これまでの台詞の端々にも現れてましたが、この人も熱い人だったんだなぁ。

 そして一方の当麻サイドは友達を救うための闘い。例えどんな形であれ友達であるから救う。その単純明快な行動原理が心地いいですね。その過程でのインデックスと美琴の絡み方が素敵です。事件の全容にも関わりますが、それは一つの暗示。

 ただ、その裏で事態はとんでもない方向に進んでいて、やっぱり次が気になります。

 そんなところで次は『串刺しヘルパーさされさん3~呪われレジェンド~』です。

神様のおきにいり4~ねこまたの巻

 内山靖二郎・著、真田茸人・イラスト、MF文庫J。
 4月9日(月)読了。

 毎回様々な妖怪にスポットを当てていくこのシリーズですが、今回は『猫又』。比較的有名どころですね。
 猫に対する解釈は中々興味深いものがありました。まぁ、サブタイトルで大方の予想のつく展開もありつつ、実は今回のメインは八咫烏のコヒロだったのではとか思ったり。家神である珠枝との関係から妖怪と人間の稜線の問題があるわけですが、今回、それを示す立場としてのコヒロの位置はいい具合でした。ただ、色んなテーマがごっちゃになってしまってて全体的にちょっと話の方向性が見えづらい中途半端な印象が拭えません。まぁ、あとがきで作者が書いてるとおり新キャラを動かしたいって目的があるんでそちらにひっぱられてこうなっちゃったってのは解るんですがね。

 とまぁ、そんなところで次は『とある魔術の禁書目録13』です。

刀語 第四話 薄刀・針

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 4月6日(金)読了。

 大河ノベル四ヶ月目はターニングポイントというか好き勝手やってますねぇ、西尾維新。
 月刊ノベルは週刊漫画の技法を取り入れようというか単にジャンプとかが好きなだけでしょうが、確信犯的というか使っている技法を惜しげもなく解説する小説というのも珍しいというかこういう企画でなければ通らないんでしょうってだからやってるんでしょうね。
 四ヶ月目にして、早くも虚刀流七代目頭首、鑢七花はかつて奇策士とがめを裏切った日本最強の剣士・錆白兵と見えます。
 彼を倒せば名実共に四話目にして我らが七花は日本最強の剣士となります。そんな訳で、なんと言っても、今回の見所はその名勝負にあります。ええ、見所満点でした。
 ……この技法、他の人がやったら絶対に怒られるので新人賞に応募考えてる人は絶対に真似してはいけませんと絶対を重ねてしまうぐらいの禁じ手ですがね。

 まぁ、確かに、こういうことしないとあっちの伏線を張れなかったのは確かですね。微妙にスレイヤーズネタですかねぇ(謎

 ネタバレをせずに書いてますが、まぁ、読んだ人はにやりとするようなそんな感想を心がけた次第。西尾維新の実験的小説であり、キャラクター作法や定番パターンの提示という教則本的な使い方もやろうと思えば出来る、そんなシリーズ。まぁ、なんだかんだで来月も楽しです。

 ところで、毎回次の予告があるのも続き物らしくていいのですが、ここまで書いててその内、ジャンプ名物『嘘予告』とかやりそうな気がしてきました。実は違う刀に予定変更とか…… 

 そんなところで、次は『神様のおきにいり4~ねこまたの巻』です。

フレイアになりたい2~ハーデスが泣いている~

 岡崎裕信・著、中村博文・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
 4月6日(金)未明読了。

 前巻が可成りツボだったので個人的に待望の第二弾。端的に言って、期待を裏切らない内容で満足です。

 絶望して自暴自棄になって周囲を巻き込む前に、悲しみにとらわれた人間の心にさらなる悲しみを穿ち自らの命を絶つ道を選ばせる能力者『ハーデス』を主軸とした御華詩。

 主人公、風間瞳は数奇な運命から多大なる絶望を経験し、そこから這い上がってきた過去を持ちます。そこから『悲しみ』というのはこのシリーズにとっても大きなテーマと言えましょう。そんな彼女が夢に向かって、タイトルの意味通り(前巻参照)に動き始めたところで訪れるさらなる悲劇。

 キャラクターはテンション高いですが、テーマがテーマだけにそれが逆に悲しみを引き立ててしまう部分もありますが、それで居て勇気づけられるような、そんな作品。少なくとも私に対しては、確かにそのタイトルは完膚無きまでに嵌りますな。

 また、これは作者の持ち味でしょうが、話の構造が時間軸に対してちょっと入り組んでたりして、読みづらい人には読みづらいかもしれません。ですが、その構造が効果的に働いていたと思います。何せ、たった21ページでいきなり絶望の淵にたたき込まれましたから。いやぁ、これは本当にダメージでかいなぁ……

 とまぁ、あんまり喋ると核心に触れそうなんでこの辺で。読み終わって、やっぱりこの『フレイアになりたい』というタイトルが絶妙だなぁと感じさせられました。その意味がわかる部分が見所なので理由は語りませんが。

 さて、次は『刀語 第四話 薄刀・針』です。

撲殺天使ドクロちゃん 9

 おかゆまさき・著、とりしも・イラスト、電撃文庫。
 4月3日(火)読了。

 気がつけばもう9冊目。再アニメ化も決まって絶好調なドクロちゃんであります。
 今巻も、気軽に読める内容ですが、大分、終わりに向かって話をまとめに入ってきたというか、ストーリー性が出てきましたねぇ。作者自身の成長もあるんでしょうが、これまであんなに無茶苦茶やってながら、鏤めた要素を上手いこと使ってるなぁ、と思いました。お笑いのネタもいいところで活かしています。そうだよなぁ、それでこそ桜くん。あと、ものすごく地味な『究極超人あ~る』ネタが印象的でした。

 とまぁ、そんなところで、次は『フレイアになりたい2~ハーデースが泣いている~』です。

涼宮ハルヒの分裂

 谷川流・著、いとうのいぢ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 4月1日(日)読了。

 速攻読了もいいところですが一気に読み切ってしまいました。
 なるほど『分裂』とはそういう意味か、と納得しつつ次巻と上下巻となる構成となるため月並みにあと二ヶ月が待ち遠しい。

 今回もSF的手法としてはポピュラーではありますが、ちょっと凝った構造になっていますね。印刷自体にも工夫があります。あと技法という点で谷川流って何気に叙述トリックを多用してる気がしますが、ことごとくほぼ瞬間的に見破れてしまうのはミステリ好きの悲しい病でしょうか(;^^) いや、まぁ、普通に見破れる程度の叙述トリックを使ってるんでしょうが。

  SOS団のそれぞれの立ち位置が安定、特にハルヒとキョンの関係も安定していたところで今回の新キャラというか新勢力の投入は妥当な展開ですな。地味に1巻の国木田の言葉の伏線が回収されてますし。ただ、話の展開上ジョーカーを無効化しないといけないのはキョン達も自覚していることで一種のセオリーとなって驚きも何もないってのはちょっと残念ですが。

 とはいえ、まだ結末が見えていないというかまだまだ始まったところ。何せ、最初の100ページがプロローグでしたからねぇ。そんな訳で途中からの『分裂』を示すレイヤー化に至る過程がどうなるかが明かされて初めて全体としての判断を下せるので、この巻での所感はこんなところにして、物語としての所感は下巻にあたる『涼宮ハルヒの驚愕』を読んでから書きたいと思います。

 てなところで、次は『撲殺天使ドクロちゃん9』です。

サクラ上等。

 三浦勇雄・著、屡那・イラスト、MF文庫J。
 4月1日(日)読了。

 これはこれは良いモノでした。
 前回のラストで、命の危険は無くともこれまででも最も大きな困難にたたき込まれた鉄平。
 手助けしてくれるモノも理解してくれるものがない孤独な闘い。
 そこからどうはい上がるか?
 今までとはタイプの違う逆境打破の物語となりましたが、その描き方が絶妙でした。鉄平の絶望と、そこからの脱却、そしてもう一方の逆境との絡み。その辺りの見せ方が巧妙で、非常に心地よいエンターテイメント作品でした。
 ようやく役者が揃ったところで、次巻『サクラサク上等。』での最終決戦へ。今月発売予定なので今度も出たら速攻読んでしまいたいと思います。

 で、次は一年前のアニメ化によって更に勢いを増した『涼宮ハルヒ』シリーズ最新巻、『涼宮ハルヒの分裂』です。

新本格魔法少女りすか 3

 西尾維新・著、西村キヌ・イラスト、講談社ノベルス。
 3月29日(木)、読了。

 本誌持ってるのに読んでなかった御華詩(;^^)
 最新の西尾維新作品を色々読み漁ってると忘れそうになりますが、根源的にはミステリ畑でデビューされた訳で、こうして読むとこの『新本格魔法少女りすか』はミステリーらしい作品ですね。確信犯的にミステリ手法に言及する辺りメタっぽい感じですが。まぁ、『新本格』って用語自体がミステリ用語ですし(;^^)

 あらすじは『小学五年生の供犠創貴が魔法使いの力を使って夢を叶える過程を描いた御華詩』で間違っていないはず。うん、野望も夢には違いない。

 今回はなんというか、とある場面で創貴とりすかの関係の壮絶な純粋さが出てたのが印象的でした。ある意味、冷徹ということなのかもしれないのが純粋なのです。最もやってはいけないのがブレることなのだから必要なことがそれなのです。で、そのもう一人の仲間であるところの、見た目は子ども、中身は化け物なツナギさんの立場が何だかなぁ。

 あと、ネタとしてはさりげに『家庭教師ヒットマン REBORN! 』ネタを混ぜる辺り西尾維新はジャンプ好きですね。講談社ですが、この本(;^^)

 とまぁ、そんなところで次は『サクラ上等。』です。

神曲奏界ポリフォニカ~トライアングル・ブラック

 大迫純一・著、BUNBUN・イラスト、GA文庫。
 3月27日(火)読了。

 3巻で倒叙モノの縛りが無くなりましたが、根底に流れる渋い空気は変わらずで良いですねぇ。
 今回は、マティアに契約を申し込む無謀な精霊の御華詩。故の『トライアングル』。
 顛末はネタばれるので置いておいて、この精霊のあり方もまた、ポリフォニカ世界の深みを増すに一役を買っていると思えます。そういう関係もあるのだなぁ、と。青とは対局だけれど本質は同じというか。
 また、その裏では『警官』というあり方に『精霊』というあり方に対するマナガの考え方が非常に心に響きます。ありふれたことなんですが、重みが感じられました。

 とまぁ、中核をなす精霊の事は明かさない方が良いと思ったら何も掛けないのでこの辺で。

 次は『新本格魔法少女りすか 3』です。

戦う司書と神の石剣

 山形石雄・著、前島重機・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
 3月23日(金)読了。

 相変わらず渋い御華詩です。
 今回は思考共有能力で武装司書達の裏方として活躍していたミレポックが謎の『本』屋であるラスコール=オセロを追う、というのが大まかなストーリー。とはいえ、いつものごとく幾重にも重なった登場人物達の物語が意外な展開を見せ、一つの大きな秘密が明かされる、その辺のストーリーテリングは絶妙ですねぇ。
 また、今回の敵役が1巻にあたる『戦う司書と恋する爆弾』の敵役のシガル・クルケッサの側近なのですが、彼女のシガルに対するゆがんでいるけれども確かな愛情、虐殺の中にある幸福。そういった部分もまた、趣深いですなぁ。このシリーズ通してのテーマである『幸福』の様々な形がしっかり描かれています。また、少し間は空きますが続きも読みたいと思います。

 と言ったところで次は『神曲奏界ポリフォニカ トライアングル・ブラック』です。

リミットレス!

 須藤項・著、ひづき夜宵・イラスト、MF文庫J。
 3月20日(火)読了。

 ”クライムはのろわれてしまった。”
 というわけで、世間知らずの戦士クライムが偶然拾った鎧と剣が外せなくなってさぁ大変。
 トレジャーハンターのレンとたまたま逃げ込んだ古城で出会ったことを切っ掛けに、訳知り顔の謎の美少女フィアナ、たわし頭の魔術師サルダンと合流したりしながらその本当の運命を知る…… といったベタな御華詩です。
 久しぶりにこういうファンタジーRPG風味の御華詩を読みましたが、気軽に読めてよいですね。バレバレの演出も気づいてないのはプレイヤーキャラクターのみというか。ツボを押さえつつ斜め上を狙おうとしている作品ですが、今までの作者の作品とちょっとだけ傾向が違いますが、これはこれで結構面白いです。ああ、主人公が基本的に極端に鈍くてへたれ気味なのは共通ですね(;^^)
 シリーズとしてあからさまに続いているので続けてみようと思います。

 で、次は全くタイプの異なるところで『戦う司書と神の石剣』です。

Fate/Zero Vol,1 -第四次聖杯戦争秘話-

 虚淵玄・著、武内崇・イラスト、TYPE-MOON BOOKS。
 3月17日(土)読了。

 タイトルの Zero が象徴するとおり「 Fate/stay night 」の10年前、第四次聖杯戦争での先代のマスターとサーヴァンとの物語です。
 最初ということで、前半は登場人物紹介にページが割かれていて各人の立ち位置が丁寧に書かれていて良いのですが、ちょっともどかしかったのも事実。でも、後半、サーヴァントが出揃ってからテンポアップして、それまで出し惜しみしていた分を補って余りある大盤振る舞いという感じでもどかしさがすっきり解消される、そんな構成でした。いや、流石にのっけからあんな展開になるとは思いませんでした。やってくれますねぇ。
 てか、ライダー面白れぇ。これはまた、いい英霊を持ってきましたねぇ。気持ちいい性格です。
 でも、密かにキャスターが気に入ってたり。うん、外道。

 とまぁ、ネタバレを気にして暈かしてるんで解りにくくて済みません。

 で、次は『リミットレス!』です。

ミミズクと夜の王

 紅玉いづき・著、磯野宏夫・イラスト、電撃文庫。
 3月15日(木)読了。
 第13回電撃小説大賞大賞受賞作。

 ええ御華詩でした。
 もう、そうとしか言えない、素敵な物語でした。
 色々なモノを奪われて、奪われたことさえ忘れてしまった少女。
 彼女が、夜の王との出会いをきっかけに色々なモノを手に入れる過程の物語。
 決して派手ではなく、奇抜さもなく、それでも、描き出される世界は心に響くモノでした。

 幸せってなんだろう?
 そんなモノはどこにもなくて。
 でも、そんなモノはどこにでもあって。

 そんなことを考えさせられました。
 うん、こういうの読むとほっとしますね。

 多くを書くのも無粋なのでこの辺で。

 次はそろそろ続きが出てしまうので『 Fate/Zero Vol,1 -第四次聖杯戦争秘話- 』です。

神様のおきにいり3~ぬれおんなの巻

 内山靖二郎・著、真田茸人・イラスト、MF文庫J。
 3月13日(火)読了。

 今回はちょっと趣向を変えてタイトルの通り海の怪。でも、よくある人面蛇ではなくてスク水セーラー服な辺り、MF文庫Jというか。
 海の怪が絡んでくるのは智宏達の海旅行が舞台となっているから。海嫌いの珠枝を除いて、瑞穂、好香、真希、コヒロと女性に囲まれての海は水着三昧のサービス話。でも、女性陣の人間関係が見えてそれはそれで楽しいですね。瑞穂の位置も大分近づいてきましたし。イラストでは水着でも眼鏡ですし。
 とはいえ、そんな姦しい状況ですが、妖怪と人間の関係についてはシビアな面も見せていて、後半はがらりと趣が変わります。細かいところはネタばれますが、こうして人間と妖怪が近しい関係にあるように見えても、そこには決定的な溝があるってことは常に意識させているのがこのシリーズのよいところだと思います。
 で、なんか肝心のことが明かされないまま終わったように思うので次を楽しみにしたいと思います。

 とまぁ、そんなところで次は『ミミズクと夜の王』です。

レンズと悪魔 2 魔神跳梁

 六塚光・著、カズアキ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 3月9日(金)読了。

 個人的性癖のため、若干フィルタが掛かってしまう異能力バトルモノ。なんて掛け声で悪魔召還しやがるんだ! てな内容のシリーズ2冊目です。

 大ざっぱに言って魔神の力を得た8人の契約者が己の望みを掛けて争う八眼争覇(ディアボリック・パーティー)を巡る御華詩。今回も新たな契約者が現れて、次辺りでおおよそ出そろいそうな雰囲気ですな。全体的な構図としてはオーソドックスで安心して読めますね。

 ただ、個人的に注目はやっぱりオーラン先住民。日本的な文化を持つ有角人種で『誰もが眼鏡をかけている』素晴らしい民族です。基本的な武器がアレなんで、この民族の存在だけが心の拠り所となりますなぁ。サクラ・イシザワもカエデ・ニカイドウもいい具合。この民族の新キャラが出れば100%眼鏡分が補給される素晴らしい仕組み。

 そんな訳でオーラン先住民の活躍を期待して次を待ちたいと思います。

 で、次は『神様のおきにいり3~ぬれおんなの巻』です。

暗闇にヤギを探して 2

 穂史賀雅也・著、シコルスキー・イラスト、MF文庫J。
 3月6日(火)、読了。

 う~ん、なんとも微妙な印象の作品ですね。いい空気を持ってるのは確かですがちょっと無難な方向に進んでしまった感じがしました。
 筋書きとしては合人に積極的にアプローチするキャラが登場してきたことで、合人とミリオン先輩の関係も恋愛を避けて通れなくなって…… ってところでしょうか。話の持って行き方とかはいい感じなんですが、どうにもどこまでファンタジー要素が認められている世界なのかが曖昧で戸惑うことしばし。あと、合人とミリオン先輩の一人称を切り替えつつそれぞれの内面を描き、そのすれ違い様を表現するのはいいんですが、ちょっとしたファンタジー要素、ミリオン先輩の内面がはっきりしてるだけに合人の幼なじみの風子が余計に分け解らなくなってしまっているのがちょっと可哀想です。
 そんな状況にあっても全く気持ちを理解できない合人がもどかしいですが、こういうへたれキャラは定番とも言えるので、まぁいいでしょう。

 とはいえ、1、2と続けて読めば中々綺麗にまとまった良作ではあります。終わり方は好きですねぇ。これで完結となるのか続くのかは微妙なところですが、続くなら風子と決着を付けて欲しいですね。そうすれば、もっとすっきりします。

 あ、あと楓姉さんの眼鏡描写があったのは個人的チェックポイントでした。

 そんなところで次は『レンズと悪魔 2 魔神跳梁』です。

刀語 第三話 千刀・金殺

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 3月4日(日)読了。

 何というか、読者の突っ込みを予測して前言い訳を巧みに入れるのは美事というか「あれ?」と思ったら次の行でフォローしてるその手腕。だからこそやっぱりこれは作者の一人称って気がします。紙幅が足りないとかいいながらその繰り言自体がネタになってたり、そんなことが地の文に普通に書いてる時点で漫画的手法、と感じるんでしょうね。

 今回は、出雲が舞台の巫女祭り。だからってことで巫女繋がりで微妙に真似出来そうで出来ない懐かしいあのフレーズ再び! は純粋に嬉しかったです。これは、素敵なファンサービスですね。

 本編としては遂に3本目。千刀『金殺』(つるぎ:金偏に殺で一文字)の持ち主は三途神社の長、敦賀迷彩。
 そんな訳で、出雲にやってきたとがめと七花。とがめの交渉の末、千刀『金殺』を掛けて七花と迷彩の勝負することに…… とまぁ、そんな感じですが、お馬鹿な方向はさておき、飽くまでとがめの『刀』としての道を行く七花のあり方とか、それに対するとがめの背負うモノ、迷彩と対峙することでその辺りが描かれていてきちんと人物も掘り下げられているので油断できません。

 何はともあれ、来月は予想外に早くあの剣士が登場。舞台も舞台なので楽しみです。

 そんなところで次は『暗闇にヤギを探して2』です。

灼眼のシャナXⅣ

 高橋弥七郎・著、いとうのいぢ・イラスト、電撃文庫。
 3月2日(金)読了。

 何というか、凄いことになってきましたねぇ。全く予想がつかない訳でもないですが急展開というか大変なことになってきました。次が楽しみだなぁ、と思ってたらまた次は外伝の模様で少し待たされそうです。

 それはさておき、相変わらずさりげない部分まで配慮の行き届いた心理描写が素晴らしい。
 特に今回は悠二、シャナ、吉田一美、そこに我らがメガネマン池も加わっての大勝負。そこへ向かう4者れぞれの内面が切実に描かれていて、必ず誰かが悲しむことになるやるせない状況を浮かび上がらせています。ちょっとした言葉の使い方でこうも印象が変わるとは…… いつもながら本当に勉強になります。しかも、それだけ盛り上げてあのラストにつなぐのがまた素敵。どうなるかは読んでのお楽しみ。

 てなところで、次は『刀語 第三話 千刀・金殺』です。

かのこん6~ナギサのぱいぱいぷー~

 西野かつみ・著、弧印・イラスト、MF文庫J。
 2月27日(火)読了。

 MF 文庫 J 編集部はどこまで挑戦するのでしょう? 巻を重ねるごとに過激になっていますが、もう本当に全年齢でどこまでやれるか試してるとしか思えない内容になってきています。いや、エロゲシナリオですよ。あと、カプコンとバンダイナムコとスクエアエニックスから苦情が来ないか心配です(謎

 耕太とちづるのバカップルはいつも通りエスカレートしていっててそっちはどうでもいいですが、妖怪に囲まれて一人茅の外にあった朝比奈委員長が素敵です。前回に増して更にクローズアップされていて、妖怪のことを知らずとも、友人としてどう付き合うべきか? をしっかり考えているところが出てて「その部分は」非常にいい御華詩でした。あと、余りに冷たくされすぎてたゆらがなんか目覚めてしまってる気がしてそっちも楽しいですね。ええ、もうこのシリーズの見所は朝比奈委員長とたゆらの関係を追うことにあると観ています。ビバ眼鏡委員長!

 とまぁ、そんなところで次は『灼眼のシャナXⅣ』です。

くじびきアンバランス2~大吉編

 浜崎達也・著、八雲剣豪、小梅けいと、柳田義明、あおのゆか・イラスト、 MF 文庫 J。
 2月24日(土)読了。

 アニメ版ノベライズ完結編。二冊ってのはちょうどよい分量ですな。
 因みに、今シリーズはタイトルの『くじびき』と『アンバランス』の間には本来ハートマークが入って、発音的には『くじびきはーとあんばらんす』が正確なタイトルなのですが、機種依存文字は使わない主義なのでご了承願います。

 まぁ、アニメ版の流れを忠実に追った内容だった訳ですが、内面のフォローが文章としてあるのがいい具合でした。アニメのノベライズとして原作に忠実に、それでいて補完する部分もあるよい作品でした。

 前作よりも人間関係が整理されていて最終的には千尋、時乃、律子の三人の人間関係に集約される分、それぞれの心情がよく描かれていたと思います。特に、律子は前作に比してずっと内面が掘り下げられてよい具合でした。

 とまぁ、そんなところで、次は『かのこん6』です。 

神曲奏界ポリフォニカ えきさいと・ぶるう

 築地俊彦・著、兎塚エイジ・イラスト、GA 文庫。
 2月23日(金)読了。

 青のポリフォニカ始動! 今度の精霊は眼鏡っ娘だ!
 とまぁ、そんなラブコメ担当ポリフォニカ。
 音楽学院を落ちこぼれて駄目人間街道まっしぐらなクルナと、ひょんなことからその側に居ることになった眼鏡精霊ルーファを中心に、ルーファの上司のハイディやらルーファの親友のササヤ、何故かクルナにつきまとうフレーラと、女性(全部精霊ですが)が沢山出てきます。ベタな構図ですな。物語も、非常に大ざっぱにまとめると、クルナが一攫千金を夢見てルーファ達を無理矢理手伝わせて…… みたいな内容でこちらもベタ。ルーファの眼鏡の意味も予想通り。

 でも、読みながらこういったタイプの話は拒否反応示す人もいそうだなぁ、と思う反面、『精霊と人間の関係』というモノを描く上で出るべくして出てきたシリーズだと感じました。『神曲楽士が神曲を代価に精霊の力を借りる』もしくは『神曲楽士にお金を払って精霊が神曲を得る』という一種の労使関係。『契約精霊』という言葉が象徴する示すポリフォニカ世界での一般的な人間と精霊の関係。

 それに真っ向から対抗するキャラとしてこのシリーズの主人公クルナの存在は非常に面白いです。何しろ、単身楽団は持ってますが神曲を弾きません。弾くのは『相手を不愉快にする音』。更には、楽器で殴ったりもします。そんな無茶苦茶なキャラなんですが、その裏に見え隠れする信念が彼をただの駄目人間で終わらせてはいません。

 また、ルーファが所属する『精霊至上主義現実派』も当たり前と思われる人間と精霊の関係に一石を投じる意味合いがあります。そんな訳で、このシリーズのテーマは『ラブコメ』という形を取りつつ『神曲を必要としない人間と精霊の関係』を描くことなのかなぁと思います。

 眼鏡に意味付けもなされているだけでなく、興味深いテーマもあってこれまた期待の持てるシリーズでした。引きが引きだったので次が楽しみです。

 そんな訳で次は『くじびきアンバランス2~大吉編』です。

神曲奏界ポリフォニカ まぁぶる

 築地俊彦、大迫純一、高殿円、榊一郎・著、兎塚エイジ、 BUNBUN ・イラスト、 GA 文庫。
 2月20日(火)読了。

 4色入り乱れての短編集。こいつはいいものです。そんな訳で一つ一つに分けて。

『だいぐれっしょん・ぶるう』

 この本で初お目見えの青のポリフォニカ。
 作者が作者なのでまぁ、おおよその想像はついていましたが予想通りで何よりです。
 何気に『精霊至上主義』というテーマが出てきてたりしてシリーズ的にも面白いかも。でも、理想推進機関『アクロス』みたいな匂いがするのは気のせいだと信じます。
 まぁ、何よりルーファ! 今度の精霊は眼鏡っ娘だ!
 本編に期待です。(このあとすぐ読みます)

『ぶれっしんぐ・ぶらっく』

 『インスペクター・ブラック』の3週間前の御華詩。ちょっと肩の力を抜いて、というテーマに乗って、意外な人がメインです。マナガとマティアのほのぼのした絆が感じられてよいですねぇ。

『ダンシング・ホワイト・ナイト』

 俺のスノウが! そんな御華詩。学院の新年を祝うダンスパーティーを軸に展開される人間模様。みんな素直じゃありませんね。
 てか、プリムローズお嬢様が面白くなりすぎてるんですが。なんか、いつの間にかスノウと立場が逆転してるのは気のせいでしょうか? 何はともあれ彼女がこれからどこまで黒くなっていくのか楽しみです。あと、やっぱりミノティアス愛されてますねぇ。

『ポゼッション・クリムゾン』

 フォロンとコーティカルテの絆を確かめる御華詩。
 他の話とのシンクロもあってさすがは原点といったところ。でも、今回のコーティカルテは珍しい面を見せてくれていいですねぇ。

 とまぁ、そんなところで、眼鏡読書週間は続き次は『神曲奏界ポリフォニカ えきさいと・ぶるう』です。

ぼくと魔女式アポカリプス2

 水瀬葉月・著、藤原々々・イラスト、電撃文庫。
 2月19日(月)読了。

 一言で言えば、悲惨な御華詩。でも、それだけに、澪と冥子の言葉が生々しく響きます。

 このシリーズは、とある理由で代替魔術師(ポステリオル・マギス)となり、原初魔術師(プルミエル・マギス)たる導き手(ナビゲータ)に従い、生き延びるために他の代替魔術師の力を奪わざるを得ないというのが物語の骨子。主人公の澪も冥子もこの代替魔術師となってしまっています。本来なら挨拶の代わりに殺し合うのが筋の代替魔術師同士の筈が、この二人は協力関係を結んでいるというのがイレギュラー。その葛藤が『普通』を嫌悪し奇妙なモノを愛するひねくれた澪の一人称で語られます。

 今回は、前回の悲劇から二週間後。突如現れた自称『正義の味方』を中心として、各々の過去と向き合う物語。テーマは代替と代償ですかねぇ。その辺りの持って行き方がちょっとわざとらしいながらも、積み上げ積み上げで説得力のあるモノとなっていくのが心地よいです。話は吐き気を催す展開になっていくのですが、それはそれ。

 個人的には非常に好みの御華詩で、今回の引きが引きなので次が楽しみでたまらないのですが、結構グロい生々しい描写も多く、設定的に絶望的な御華詩なので好き嫌いは分かれそうですね。

 最後に細かいことですが、『ポステリオル・マギス』が途中から『ポステルオル・マギス』になってるのは誤植でしょうか? ラテン語なら" posterior magis " で『後の受け皿』見たいな意味となるのですが。宵本澪的に訳がひねくれてますが、ラテン語で魔術師は " magus " で " magis " だと『皿』になるので気になってました。
 まぁ、対となる『プルミエル・マギス』の『プルミエル( premier )』はフランス語なので、その辺は曖昧なのかと思いましたが途中からかなり気になりだしたのでちょっと突っ込み。フランス語的なら確かに『ポステルオル(posterieur)』なので、途中からそっちに統一したのかなぁ、とか深読みしたりもします。

 まぁ、そんな細かいところは抜きにして続きが楽しみな作品に違いありません。何より、冥子はいい眼鏡魔女娘ですからね。

 と、眼鏡続きで次は『神曲奏界ポリフォニカ まぁぶる』です。いや、これは半分ですがね(謎

うらにわのかみさま~夜空の海と炭酸と~

 神野オキナ・著、龍炎狼牙・イラスト、HJ文庫。
 2月17日(土)読了。

 神様の力で眼鏡娘が変身して戦ったりする御華詩。
 って、いきなり前巻で提示された神様もどき云々の構図から離れた内容でしたが、これはこれで中々楽しかったですねぇ。ユウと霧人の関係とか、猫姉ぇのあり方とか。あと、ホビージャパンらしく模型ネタが豊富なのでそういうの好きな人にもいいかもしれません。
 今回は船を巡る事件が中核だったんですが戦艦『三笠』が空飛んでるってところから真っ先に『すーすめー ひーのーくーにーのーそらーー♪』と連想した私は駄目でしょうか。あれはそれをモデルにした戦艦『天乃原』ですが。
 と、脱線してますが次はどうなるか楽しみにしています。

 で、今回のユウに始まり、ここしばらくは眼鏡っ娘が主人公/メインヒロインの作品を続けて読む予定。
 そんな訳で、次は『ぼくと魔女式アポカリプス2』です。

狂乱家族日記 弐さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 2月14日(水)未明、読了。

 何だか読むのに間あいてますがようやく弐さつめ。
 このシリーズはストレートに『家族』というものが描かれててよいですねぇ。どんなにそれぞれがというか母親が突出してですが無茶苦茶に見えても、血のつながりどころか種さえも違っても、そこに家族という絆は成立する。それが『家族』というものについてより深いモノを導き出しているように思えます。

 今回のテーマは新婚旅行。でも、この狂乱家族乱崎一家の旅行がまともに行くわけも無く…… という訳で、やっぱり騒動が起き、家族の危機に一丸となって立ち向かう、そんな物語。今回のメインは雹霞と優歌でしょうか。この二人の共通点を上手く使った筋立てで、悲しいけれどええ御華詩でした。

 とまぁ、そんなところで、次は『うらにわのかみさま 2』です。

とある魔術の禁書目録 12

 鎌池和馬・著、灰村キヨタカ・イラスト、電撃文庫。
 2月7日(水)読了。

 いやぁ、表紙から美琴。本編でも美琴の出番が…… いつもよりは多い。
 何はともあれ、今回は日常編というか、概ねは大覇星祭での罰ゲームにまつわるラブコメ展開です。うん、たまにはこういう展開もいいですねぇ。でも、美琴が出ると対になってミコト達も出てきて、そうなると一方通行《アクセラレータ》も出てくる訳で、そっち方面もいいですねぇ。って、今回のもう一人の主役は一方通行《アクセラレータ》ですね。そうか、確かに、当麻と被ってる部分もあるというか、その辺が今後どう活きてくるかに、 ktr は ktr は期待大だと分かりきったことを敢えて言葉にしてみる。てか、この話は別に6巻ぐらいでも出来た話なのに、本当にどんだけ厄介ごとに首突っ込んでるんだ、当麻。
 また、個人的に切望していた意外な人物の再登場にもにやりだったり、次が楽しみでなりません。

 ……って、次に美琴にスポットが当たるのはいつになるやら(;^^)

 そんなところで、次は『狂乱家族日記 弐さつめ』です。

刀語 第二話 斬刀・鈍

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 2月5日(月)読了。

 うむ、これはこれは、大河ノベルというか、一巻のときにも書いた通り、連載漫画的手法を活かした逸品ですな。正直、好き嫌い分かれそうですが、私は好きです。

 あと、一巻読んだときに主人公のキャラの弱さみたいなこと書いてたんですが…… やられた。いきなりフォローしてます。そこまで確信犯とは一本取られました。計算しすぎです。そんなこんなで、西尾維新的キャラクター作法みたいなのもこの巻の見所です。全く本筋とは関係ない…… と言い切れないところも侮れなかったり。

 それと、西尾維新の作品というと語り部が僕であることが多いんですがこの作品は三人称。最初読んだときは珍しいと思ったんですが、一巻で指摘忘れてた理由。

 いや、これただの作者の一人称やん(;^^) なんというか、そうとしか表現できない文体に思えます。だから、途中でその真新しさを忘れてしまっていた次第。これは、漫画で言うと矢鱈と欄外にツッコミが入ったような、そんなノリです。なんというか、まさに例示した漫画的手法を小説でやってみたかったとかそんな感じでしょうか。

 そんな今シリーズは時代物。「ぎゃふん」という言葉がまだ新鮮で、昨今のマスコミによって歪められたカタカナ四文字の言葉はなかったけれどもそういう女性は確かに存在したころの御華詩。このままどこへ向かっていくのか興味が尽きません。これで追いついたんで来月からはリアルタイムで追随します。

 と、そんなところで次はすっかり遅れてしまった『とある魔術の禁書目録12』です。これも楽しみなシリーズなのでペース上げていきます。

刀語 第一話 絶刀・鉋

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社 BOX 。
 2月4日(日)読了。

 西尾維新の時代物…… ってノリはいつもどおりですが。時代物を逆手に取った小ネタが聞いていたり、大河ノベルであることを自覚的に使った一種のメタ物語的なところがあったり。この辺、週刊漫画的手法を意識していますね。

 で、1年間毎月発刊ということで、大筋としては、伝説の刀鍛冶、四季崎記紀が創った特別な12本の刀を集める御華詩。1巻1本で12冊、という次第。でも、その通りに進むかどうかは定かではありません。

 まだまだ作品の構図の説明的な内容なのでここからどう展開するかってところですが、敵役の真庭蝙蝠が飛びぬけてキャラが立ちすぎていて他が弱い印象派拭えません。まぁ、蝙蝠の描写の仕方を見るに狙ってるんでしょうが。ここから、とがめと七花の漫才がどう展開していくかに期待です。とりあえず、この時代にも乗り突っ込みはあって、ネタの基本は3回繰り返すことというセオリーはあるというのが公式設定の模様ですから。

 そんな訳で、引き続き『刀語 第二話 斬刀・鈍』です。

化物語 下

 西尾維新・著、VOFAN・イラスト、講談社BOX。
 2月3日(土)読了。

 うん、今年入って読んだ中で最高の作品でした。って、まだ一ヶ月ちょっとで9冊目だ!
 とかなんとか馬鹿なことをいいたくなる御華詩。要約すると『怪異に出会って自分自身が怪異に片足突っ込んだような状況の高校三年生の少年であるところの阿良々木暦が、やはり怪異を通して自称ツンデレなクラスメートと恋仲になったり小学生とマジで喧嘩したり後輩に忠誠を誓われたり妹の友達を部屋でブルマ一枚にしたり眼鏡なクラス委員長のパジャマ姿に萌えたりする御華詩』です。もしくは『怪異を通して知り合った一癖二癖なども生ぬるい者達との会話を通して、暦がどこまで突っ込めるかを探求する成長譚』。多分、真実ではないけど間違ってない。

 まぁ、『趣味で書いた』と作者自身が豪語するだけあって好き勝手書いてますが、根底に『怪異と人間』という本来対立する概念の狭間に立つ語り部の暦が他の怪異と接した者たちへ向ける心とか、『全てを救いたいと思っても人間には限界がある』という葛藤、そんなしっかりした裏づけがあるからこそ、これだけ漫才だらけでそれをとったら半分の分量で済みそうな小説を楽しく読めたのでしょう。しかし『宅急動』なんて久々に聞きましたが、後々の猫のメタファだったんでしょうか、ってそれは深読みし過ぎか(;^^)

 他にも、『ツンデレ』に代表される『一部のマニアの間の言葉がマスコミ経由で一般にに漏れると変容する』という部分を揶揄するというか完全に記号と割り切って敢えて誤解したような使い方をしたりとか、そういった部分も楽しめました。戦場ヶ原はツンデレといえなくもないというより意図的にツンデレを演じてるだけというややこしさ。あと、属性のハイブリッドというか属性の坩堝と言っても過言ではない神原駿河(かんばるするが)も、一種の言葉遊美ならぬ記号遊美ですね。こういった属性用語もまた『人口に膾炙する』ことで意味をもつ『怪異』の一種なのかもしれませんね。そういった意図があったかどうかは、わかりません。まぁ、戯言ですね。

 さて、西尾維新に再び目覚めたので本来は間挟むんですが今年は大河ノベルがあるんで一気に追いつく意味で、引き続き西尾維新で『刀語 第一話 絶刀・鉋』です。

化物語 上

 西尾維新・著、VOFAN・イラスト、講談社BOX。
 1月31日(水)読了。

 いやぁ、非常に面白い。この軽妙でいて捻くれた掛け合いはいいですねぇ。ニンギョウノタマシイ読んだときはその後の作風がどうなるのか不安だったんですが、全然そんなの無かったかのように楽しめました。
 基本的な構図はタイトルの通り、化物、怪異に出会ってそれを解決する、という筋立て。でも、まぁ、その構図を使ってとにかく登場人物達がテンポのいい掛け合いをしまくるのを楽しむのが吉ですな。
 その登場人物の設定も、萌え属性を上手く揶揄してて素敵です。特に、ツンデレからトンデモない連想で出来上がった戦場ヶ原ひたぎは素晴らしいキャラです。確信犯的に本来的なツンデレでは無いところがなんともひねててよいですな。

 上巻は『ひたぎクラブ』『まよいマイマイ』『するがモンキー』の3編が収録されています。それぞれが怪異に出会うヒロインの名前と作中のテーマとなる怪異を象徴する動物の組み合わせ。こういった作り方も確信犯的でいいですねぇ。ギャルゲー的な構成を美事に使いこなしています。実際、語り部の阿良々木暦も自覚してる風な口ぶりだったり。

 まぁ、小難しいところは置いておいて、久々に電車で読んでて笑い堪えるのに必死になる痛快娯楽作品でした。

 そんな訳で引き続き『化物語 下』を読みます。

ナハトイェーガー~菩提樹荘の闇狩姫~

 涼元悠一・著、一美・イラスト、GA文庫。
 1月27日(土)読了。

 何というか、表紙とタイトルからもっとダークな内容を想像してたんですが、内容は百合だったりオカルトだったり、節操がないと思ったら、作者自身が自分好みの要素をとにかくブレンドしたとのことで納得。
 基本的には夕暮れのビルの屋上で偶然であった美幼女と高校生の百合ラブロマンス…… のようなそうでないような、そんな御華詩。フレイヤの貴婦人口調から真紅を連想しましたが、そんなことを言うのは無粋でしょう。お付きのメイドのヒルダとのコンビは中々楽しかったです。ドイツ語メインですが、フランス語とか色々混じったり、その辺のニュアンスはいい感じですね。あと、古風な語りの人も雰囲気が出てよいですな。
 ただ、作者がゲームシナリオ書きであるという事実を認識していることによるフィルタがあるのかもしれませんが、構成とか面白かったんですがちょっとゲーム的過ぎる気もしました。この構成の場合、ゲームのザッピングシステムというか他キャラ視点の断章(具体的には奏)がもう少しあった方が分かりよい気もしましたが、それがあると、この1冊中の内容的にはネタバレるってのも分かるんで難しいところ。
 まぁ、今後への伏線が色々あって思わせぶりなまま終わっちゃったんで、今後どう展開するか、なんでしょうねぇ。

 と、そんなところで、次は積み上がってた大河ノベル消化に乗り出して『化物語』です。

連射王(上)(下)

 川上稔・著、メディアワークス。
 1月23日(火)未明読了。

 好きでやっている内に自然と野球部のレギュラーとなった高村。彼は、レギュラーの座を競い、勝負に拘る他の部員達との感性の違いを感じていた。自分は何事にも本気になれないのではないか? 部活だけでなく、高校三年になり進路も考える時期にさしかかっているにもかかわらず、どこか冷めている自分を感じていた。
 そんな彼が、息抜きに通っていたゲームセンター。格闘ゲームで漫然と時間を潰した帰り、たまたま目にした最大難度のシューティングゲームのワンコイン・クリア。高村はそこに「本気」を感じた。たかがゲームに本気があるのか? そう疑問に思いつつも、彼はシューティングの世界に立ち入る。そして、苦難の末、そこから多くのことを学んでいく……

 大筋としてはこんな御華詩です。実際には、野球部の仲間との意識の差による葛藤や、幼なじみとの関係などがそこに絡んできます。シューティングから学んだことを実生活に、また逆に野球から学んだことをシューティングに応用するなど、これらを密接に絡めながら語られる物語の構成は、青臭いながらも興味深いモノでした。また、彼にシューティングを教えることになるゲーマーや、その周囲の人間関係なども、しっかりと裏付けのある非常に魅力的なモノでした。

 あと、少しフォロー。
 今時シューティングで連射? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、第1章のタイトルの通り、作品内の時代は20世紀末です。あの頃のシューティングには、まだフルオートは常備されてませんでした。よって、連射には十分過ぎる意味がありました。

 まぁ、今のゲームでも溜め撃ちがあるタイプのゲームなんかでは押しっぱなしに出来ないんで必然的に連射が必要となったり、押しっぱなしと連射とで弾の性質が変わったり、やはり連射の重要度は下がっては居ますが不要にはなっていません。少なくとも、今日の昼休みにプレイした『虫姫さま ふたり』のレコ・アブノーマルショットでは連射は必須に思えます。通常攻撃が押しっぱなしだと高速移動になる素敵仕様ですから(;^^)

 閑話休題。

 とまぁ、筋立てとかタイトルに関する部分はこんなところです。

 が、この作品が私の心の琴線に触れたのは、何よりも前述のような脱線をしてしまう程度には私自身がシューターだからです。つか、最近ゲーセンに大量にある格闘ゲームが難しすぎてプレイできず、シューティングゲームぐらいしかついて行けてないというのが正直なところ。

 『東方紅魔郷』、『東方妖々夢』の NORMAL がノーコンティニュークリア出来る程度の腕前なので、威張れるようなものではないですが、それでも、ゼビウスなんかよりずっと前、タイトルも忘れたようなシューティングゲームからプレイし続けてるので歴だけは25年以上と長いのです。

 そんな私にとっては、色々と共感する部分、逆に自分なりの考えを持っているために反感を持つ部分があったりして、そういう方向からも楽しめました。

 また、脳内でゲームを再生したりもしてました。これは楽しかったですねぇ。シューティングの伝統的な演出なんかが丁寧に描写されていて、画面のイメージは本当にかなりの精度で思い浮かべることが出来る内容でした。って、それで読むのに時間掛かった面もありますが(;^^)

 とは言え、別にマニア向けではありません。全体的には、シューティング初心者を対象としています。初心者でも楽しめるというか、初心者にこそ楽しめる内容になっていると思います。その辺の考慮から、シューティングに関する解説も充実しているのでシューティングの入門書的な役割も意識されているぐらいですし。

 まぁ、故にある程度のシューターの観点でシビアに見てしまうと、シューティングの描写が演出面に偏っててあの独特の緊迫感がちょっと弱かったかなぁ、と思わないでもないでした。その辺は、前述の通りシューティングの空気を知らない初心者に合わせてるから致し方ないところではあるんですがね。ただ、だからこそ、多くのシューターには主人公が窮地に立っても回避方法分かってしまう罠。私も色んないいシーンを自分で先読んで台無しにしてしまいました(;^^) まぁ、主人公が採った戦略と自分の思いついた戦略とがどう異なるか? とかを楽しむのも一つの手なので、それで楽しめない訳ではないですが、焦れったくもあります。なかなかその辺は微妙なバランスを持った作品ですね。

 最後に、もしもこの本読んでシューティングやってみようかなぁ、と思ったなら、今なら『虫姫さま ふたり』の ORIGINAL モードが比較的無難です。って個人的趣味入りまくりですが、システムがシンプルで分かりやすいと思います。間違えても、レトロゲームコーナーで『達人王』とかは、やっちゃ駄目です。
 あと、パソコンならやっぱり『東方』シリーズでしょうねぇ。初心者から熟練者まで楽しめるように創られているので入門には最適です。

 と、なんか本の話よりもシューティングの話になってしまいましたがこの辺で、次は『ナハトイェーガー』です。

アンダカの怪造学Ⅲ デンジャラス・アイ

 日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 1月18日(木)読了。

 第一部完。今回は、怪造生物と仲良く暮らせる世界を夢見る怪造学者見習いの少女、伊依がその夢を再確認する御華詩。
 伊依の夢の原点とも言える少年との再会、そこからの葛藤。その辺りの描写が本当に素晴らしい。
 また、これまで「友達」と呼ぶ怪造生物との関係にばかり目がいってましたが、人間の「友達」との関係はどうなのか? そう言った部分の描写もなるほどと思えました。
 ラストで大変なことになってしまいますが、その辺、今後にどう繋がっていくか楽しみです。あと二冊は出てるんで時間が出来ればさっさと読みたいと思います。

 さて、次は予定通りというか並行は止めて『連射王』上下を続けて読みます。

SHI-NO -シノ- 愛の証明

 上月雨音・著、東条さかな・イラスト、富士見ミステリー文庫。
 1月13日(土)、読了。

 今までの事件の発端となった組織の本当の意味が明かされる御華詩。
 『生きるという事』『愛するという事』。
 この二つが今回のテーマということですが、なるほど、その通りですな。このシリーズは、毎回その辺りが上手く描かれていると思います。
 今回の真相を読んで、大学時代にニーチェの集中講義課題で書いたレポートの内容を思い出しました。何しろ、真相そのまんまの内容を書いていたので(;^^) 詳しく書くとネタバレますが、哲学を学んでいた人間なので驚きよりも納得が大きかったです。この手のテーマは常にあるものですからねぇ。そういった予備知識無しであれば、この真相にある程度のサプライズがあるのか、逆にたいした感慨もなくありふれた考えと思うか、意味不明と思うか、その辺の感性で楽しめるかどうかが変わってくると思います。でも、だからこそ、面白いんでしょうね。何しろ、その感性の違いこそが、この作品の一つのテーマですから。

 1巻から続いている一連の事件の解決なので敢えて抽象的に書いてますが、楽しめたのは間違いないです。

 こんなところで、次は持ち運べないハードカバーと文庫を同時進行です。ハードカバーは『連射王』。文庫は『アンダカの怪造学Ⅲ デンジャラス・アイ』です。並行読みになるので時間が掛かるかもしれません(;^^)

”文学少女”と繋がれた愚者

 野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
 1月9日(火)読了。

 前巻に引き続いて今巻も文句なしの良作でした。
 このシリーズは文学作品を下敷きにしています。今回は、ストレートに文芸部の文化祭の劇としてとある文学作品を、心葉や遠子、更にはその他の身近な人間を巻き込んで演じることになります。その中でとある人物が演じることになった登場人物が、実は彼の過去と重なる部分があって…… といった内容です。
 上記の『劇』というモチーフに暗示されるように、今回の話がこれまでと大きく異なるのは、今までの事件では自覚的な読者であった心葉も遠子も、登場人物的な立場になることです。そのため、彼はこれまでよりもずっと深く、自分の過去と向き合うことになります。
 その結末は読んでのお楽しみですが、正直、今回もいつものごとく重たいテーマの御華詩です。イラストはふんわりしてますが、中身は生々しいです。でも、だからこそ心動かされるモノがあります。生々しいのはまた、純粋であると言うこと。結局、過去の文学作品に描かれた人間の様々な感情は、今にも通じるものがある。まだまだ人間捨てたモンじゃない、そんなことを感じさせられる作品ですね。全くタイプが異なる作家ですが、日日日作品に通じるモノを感じたりもしました。人間万歳。

 そんなところで、次も重いですが『 SHI-NO -シノ- 愛の証明』です。

ゼロの使い魔10~イーヴァルディの勇者~

 ヤマグチノボル・著、兎塚エイジ・イラスト、MF文庫J。
 1月1日(月)、読了。

 今年一発目はこの作品。年始に相応しい中々に心地よい読後感でした。

 サブタイトルが今巻のテーマとなっている訳ですが、ベタながら効果的でした。
 今回の主役はタバサでしょうね。直前に出た外伝が上手いこと活きている感じですな。
 あと、ルイズとサイトの関係がすれ違いまくってもどかしい思いをしている内にとんでもない方向に突き抜けてしまった感がありますが、まぁ、そこまでしないと盛り上がらないのも確か。それと何より、先生格好良すぎ。最後の最後まで筋を通す姿が素敵です。
 そんな中で、話のスケールはどんどん大きくなっていますねぇ。ルイズとサイトの立場も大変なことになってますし、ここからどこに向かうか楽しみです。

 では次は『”文学少女”と繋がれた愚者』です。

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