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2008 のアーカイブ

SHI-NO -シノ- 過去からの招待状

 上月雨音・著、東条さかな・イラスト、富士見ミステリー文庫。
 12月30日(火)読了。

 ぼくが大阪に戻ってきて、偶然再会した幼馴染みの少女、支倉志乃。
 折しも、猟奇連続殺人事件が日本を震撼させている中での深夜の公園での邂逅だった。
 最初はちょっとした反抗期だろうと思っていたのだが、その時点ではまだぼくは志乃という少女の本質を全く理解していなかったのだ。
 それを思い知らされたのは......

 完結編の前編。
 これまでも仄めかされて来た、あの事件が描かれます。正直、きついです。ミステリらしいんですがね。
 ネタバレ気にすると本当にほとんど語れませんが、志乃という少女の抱える闇の正体が果たしてどこになるのか、シリーズ完結となる時間が待ち遠しくて仕方ありません。

 そんなところで次からは MF 文庫 J 消化に入って先ずは『フレンズ×ナイフ2 死神を包む風』です。

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界

 西尾維新・著、 TAGRO ・イラスト、講談社ノベルス。
 12月28日(日)読了。

 入院により欠員の出た私立千載女学園に一人の臨時教師が訪れた。
 その直後、不可解な状況の死体が現れる。
 装飾過多な、死体。
 警察に任せておけばいいモノだが、残酷なのが運命である。
 この学校には、よりにもよって倫理教師をしている串中弔士が居て。
 臨時教師の名は、病院坂迷路といったのだ。
 こうして14年前の『推理ごっこ』が再び始まり......


 いやはや、怒る人は怒りかねない、色々とギリギリアウトなことを確信犯的に行っているアンチミステリ、いや、敢えて言うなら『幼稚』ミステリというべきか、そんな御華詩。フェアとかアンフェアとか気にしたら負けです。あくまで『ごっこ』と明記されているのですから。ミステリ読み慣れた人だったら流石にオチには途中で気づくと思います(そういう意味ではフェアな気もしますね)が、それでもシニカルで自己言及的にミステリの範疇でミステリを揶揄するようなそんな雰囲気は楽しいですねぇ。しかし、事件云々より『あの串中弔士が倫理教師』というのが一番の見所です。彼のあり方を今回の語り部が客観的に分析しているのが非常に興味深いです。まぁ、やっぱりネタバレを極力排除しようとするとどうにも抽象的になりますがこんな感じです。

 とまぁ、そんなところでミステリ続いて次は『 SHI-NO -シノ- 過去からの招待状』です。

ナインの契約書 -Public Enemy Number91-

 二階堂紘嗣・著、山本ケイジ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 12月25日(木)読了。
 第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞佳作受賞作。

 親友の理恵ちゃんは、クラゲの水族館の帰りに突然消えてしまった。
 それは、死んだクラゲのように。
 それから三年が過ぎたある日、相馬日向の目の前におかしな二人連れが現れる。
 黒づくめでドクロの指輪をした男と、幼い少女。
 実は、二人は人間ではなくて......

 ふむ、ペダンティックな雰囲気漂うミステリ風味のダークな怪奇譚、といったところですな。ネーミングセンスは秀逸ですね。一《にのまえ》と、九《いちじく》。そして、衒学趣味に随所にちりばめられた雑学の出典は科学に映画に文学作品、そして『バンブーブレード』(謎

 内容は、魂と引き替えに願いを叶えてくれる悪魔が出会った人間達の御華詩。語り部はその悪魔に魂を売ることになる人間、というのが中々いい空気を創っていますな。短編3本での構成ですが、2本目の短編は壊れ具合を上手く表現していたなぁ、と思います。救いがあるのかないのか微妙な塩梅は、読後感も微妙なので好みが分かれそうな感じですが、狙っている感はありますね。ただ、全体的に九の立ち位置が今ひとつ隠し事が多過ぎてすっきりしない感じですな。

 ともあれ、これからどうもっていくかは気になるので続きが出たらチェックしたいと思います。

 そんなところで次は『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』です。

神曲奏界ポリフォニカ レオン・ザ・レザレクター 2

 大迫純一・著、忍青龍・イラスト、GA文庫。
 12月22日(月)読了

 一仕事終えた帰り道、レオンは追われて崖から転落した車から女を助け出した。
 文字通り水もしたたるいい女との劇的な出会いだった。
 しかし、追っ手と退治している間にバイクを乗り逃げされてしまう。
 しかも、翌日その女は屍体となって発見されて......

 レオン・シリーズ第2弾。一人称で語られるハードボイルドであります。いいですねぇ、この男臭い雰囲気。
 ただ、扱った事件は中々気持ちの悪いモノでした。ポリフォニカ世界の精霊の在り方を考えると、その発想は確かにあるのでしょうが実際にそれに縋ってしまうとどうなるのか? 結構えげつない部分が描かれた感じです。
 あと、何気に短編のセヴニエーラが相棒となってていい味出してました。
 このシリーズも既に3巻が出てたはずですが現状立て込んでるの落ち着いたら続きを読みたいと思います。

 そんなところで次は『ナインの契約書 - Public Enemy Number91 -』です。

神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS

 榊一郎・著、神無月昇・イラスト、GA文庫。
 12月19日(金)読了。

 名門トルバス神曲学院で落ちこぼれかけたフォロンは、偶然際したコーティカルテとの契約をもってどうにか専門課程への進学を果たしていた。
 だが、その身に余る上級精霊との契約に周囲の風当たりは強かった。
 依然として、神曲が全く演奏できないフォロンは思い悩み、ついには契約精霊のコーティカルテにまでだめ出しされて......

 てな訳で、社会人編を読んでるとギャップの激しい学生編です。
 キネティック版の焼き直しというか設定がぶれた部分を調整したリライト版ですな。まぁ、キネティックはこの巻の前半までしか読んでないですが。今回は、フォロンの覚醒編。社会人編では天才的な才能を持つ神曲楽士として描かれる彼が、全く神曲を奏でられなかった時代を乗り越える御華詩ですな。読んでいてもどかしいモノがありますが、音楽やってる身としては共感できる部分も多いですねぇ。やっぱり聴き手あっての音楽です。それが、人であろうと、精霊であろうと。そんなことを思い出させてくれる内容でありました。白が先にキネティックの文庫化をしてきてますが、こっちのシリーズもキネティックからなのでそっちを読んだモノか思案中です。キネティックは時間が掛かるので(;^^) まぁ、本来ならどっちも読むべきなんでしょうがねぇ......

 そんな風に思い悩みつつ、次もポリフォニカワールドで『神曲奏界ポリフォニカ レオン・ザ・レザレクター 2』です。

シゴフミ3

 雨宮諒・著、ポコ・イラスト、電撃文庫。
 12月17日(水)読了。

 川嶋慶介は騙されやすかった。
 その日も、唆されて3年間不登校を続ける謎のクラスメートが住むという屋敷を訪れていた。
 何でも、彼女は理事長の孫で学校になど来なくても家庭教師が降り、恵まれた環境で我が儘し放題らしい。
 そんなブルジョワは境遇に羨望と怒りを感じながら、屏を乗り越えて屋敷に忍び込んだのだが......

 優しい嘘に彩られた『嘘とオーロラ』、少し変わった老人と少年少女の友情を描いた『輝けるもの』、愛する者の為に戦場を訪れた兵士の顛末を描いた『 Rainy Day 』の3編で校正される、死者から届けられる最後の奇跡『シゴフミ』を巡る物語集。

 3編ともそれぞれ毛色が違う物語ですが、『死』という究極の終わりに続きを与える可能性を秘めた『シゴフミ』という道具立てを色んな形で効果的に用いた、哀しくも優しい御華詩達でした。月並みながらええ御華詩ですねぇ。


 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS』です。

レンズと悪魔 7 魔神決壊

 六塚光・著、カズアキ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 12月15日(月)読了。

 バベルハイズ自然史博物館に舞い込んだとある依頼。
 手を離せないテッキを残して、観光がてらサクラとエルバは西部のフォッグビルを訪れていた。
 そこは、城塞に囲まれた象が支配する街だった。
 成り行き上、謎の力を持つ街の支配者とトラブルを起こしてしまい、エルバ達は窮地に立たされて......

 前巻で第一部・完、って感じだったので、今回は本筋の八眼争覇からは少し離れた中編と短編でした。
 中編の方では前巻から時間軸が続いていて今後に絡みそうな内容もありながらも、やっぱり番外的な内容でした。とりあえず、テッキの無駄な努力は涙ものですね。短編の方は完全に番外的ですが、こちらの方が構成的には面白かったですねぇ。テッキの面目躍如と言うか、カエデが暴走するというか。

 そんなところで次は『シゴフミ 3』です。

とらドラ! 9

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 12月13日(土)読了。

 修学旅行の事故の際、偶然にも大河の本音を耳にしてしまった竜児。
 幸か不幸か、事故の後で暫く大河は学校を休んでおり、更に想いだけがループする。
 更には、進路指導の問題で泰子と対立して竜児の悩ましい日々が続いていた。
 身近な友人達が進む先を見ているのに対して、何も無い竜児は取り残される想いに苛まれて......

 物語はどんどん佳境に入っていきますねぇ。
 前巻で核心に迫っていましたが、それがどこへ着地するのか? その辺り非常に興味深いモノがありました。
 亜美も、遂にというかようやくというか本当のところを少し見せ始めて、実乃梨にもそれが伝わって、事態は大きく動き始めましたねぇ。さてさて、この結末からどう続いていくのか? 気になるところで既刊は読み終えたので大人しく続刊の発売を待つのであります。

 とまぁ、そんなところで次は『レンズと悪魔 7 魔神決壊』です。

とらドラ! 8

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 12月12日(金)読了。

 クリスマスイブの一大事件、その後のインフルエンザと散々な年末年始を過ごした竜児。
 泰子の手伝いで入院中の面倒は見てくれていたモノの、自立宣言をして竜児の家を訪れることが無くなった大河。
 憂鬱な気持ちで新学期を迎えた竜児を逃げるなと大河は叱咤する。
 チャンスはある。
 そう高校二年の一大イベント、修学旅行。
 そこが、竜児が実乃梨の思いを確かめる最後のチャンスだと......

 なんでしょうねぇ。若く青臭いなりに、目の前の事態に対応しようともがき苦しむ少年少女の御華詩、ですかねぇ。前巻で完全に事態は一つ進んでいましたが、そこで噴出したモノをぶつけ合うのが今回の内容ですな。気付いていないのは自分だけ。我が身の鈍さ残酷さに遂に気付いてどう動くのか? 物語は一つの核心に触れましたねぇ。既刊はあと一冊ですが、その先が気になって仕方なくなることが予測されます。

 そんな訳で次は『とらドラ! 9』です。

とらドラ! 7

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 12月11日(木)読了。

 大騒ぎの生徒会長選挙も終わって2週間が過ぎた。
 冬は深まり、街はクリスマスの色に染まり始める。
 クリスマスが大好きだという大河は突然「いいこになる!」と宣言し、その言葉を守り始める。
 そんなある日、新生徒会長となった北村は二学期の最後に生徒会主導のクリスマスパーティーを企画を発表した。
 その企画に学校中が盛り上がり、竜児と大河、そして亜美は実行委員として準備に参加する中、実乃梨だけはその輪から外れていた。
 部活でミスをしたことを気に病んで、落ち込む彼女を励ますためにも、どうにかそのパーティーに実乃梨を呼びたい竜児だったが......


 ああ、解らないのは自分の気持ち。
 前の巻から雰囲気が変わりつつありましたが、今回はちょっと重めな御華詩でした。
 大切なモノを守る為に大切な想いを捨てなければならなくて。両立しない、幸せの形。
 ある意味、これまでのツケが一気に噴出した、そんな内容でしたね。亜美の予言通りに。
 前の巻とこの巻で、シリーズの根底の部分が揺らぎ、そして新たに始まった感があります。

 そんな訳で益々先が気になるので引き続き『とらドラ! 8』です。

とらドラ! 6

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 12月10日(水)読了。

 文化祭も終わり、退屈な日常が再び訪れていた。
 しかし、その一大イベントを盛り立てた生徒会の副会長であり、次期会長と目される北村の様子が妙だった。
 多くはイベントで燃え尽きたのだろうと思っていたが、生徒会選挙が迫ったある日、彼は...... グレた。

 そんな訳で北村のターン。なるほどねぇ。予想通りというかどこかで語られるべき内容ですがこうくるか! と驚かされました。
 解っているようで解らない。例え親友であっても解ったつもりになっているだけかもしれない。
 それでも、何かしてやれることはないのか? 青臭いけど、確かに生きていく上では通らざるを得ない道。
 色々と考えさせられて懐かしい気持ちにさせられる、そんな御華詩でした。オチが期待通りだったのも良し。
 一方で、ある意味ジョーカーの立ち位置の亜美の在り方も、少し変わってきましたねぇ。やっぱり、亜美の存在がこの作品の魅力を大きくしているなぁ、と思います。キャラがどうこうとかではなく、他のキャラとの関係として。彼女の視点がなければ、彼らは回らないでしょうし。
 ここで一つの大きな転機を迎えたように思えるので益々続きが気になります。

 てな訳で次は『とらドラ! 7』です。

とらドラ! 5

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 12月9日(火)読了。

 夏休みも終わり、竜児達の通う高校の文化祭が近づいていた。
 文化祭に向けて、亜美は意外に協力的になる一方、実乃梨は竜児と少し距離を置くようになっていた。
 そんな風に少し変化のある日々の中、竜児はふとしたことで大河の父親と会うことになる。
 そうして、大河の家庭の復活を願うことになるのだが......

 結構、生々しくもやり切れない、でも、そこここにありそうな、そんな御華詩ですねぇ。
 大人の都合と子供の想い。そんな対比でしょうか。
 でも、その事件を通じて何かしら変化した実乃梨と竜児の関係。それと、大河と北村の関係。更に、それを見守る(?)亜美の立ち位置。一端綺麗にまとまったようで、だからこそ拗れる元を示されたようで、何とも先の気になる展開でした。

 そんな訳で、引き続き『とらドラ! 6』なのです。

とらドラ・スピンオフ! 幸福の桜色トルネード

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 12月8日(月)読了。


 生徒会庶務の富家幸太は不幸体質だ。
 いざというときには、何かと不幸に見舞われるのが常。
 だが、そんな彼にも転機が訪れた。
 入学直前の事故による一ヶ月の休みも何のその、試験で学年七位の好成績を収めた日の放課後。
 生徒会室に向かう彼が偶然風に舞った赤く染まる答案を踏んで滑って転んだことが、彼に、桜色のトルネードをもたらす、彼女との出会いだった......

 2巻目に収録されていた短編の続きというか本編というか、そんな御華詩。
 不幸体質の幸太とちょっと無防備なさくらとの恋物語。
 くすぐったいような恋模様が、綺麗にまとまっていますねぇ。よいラブコメです。
 また、その裏で、生徒会ということで本編のメインキャラで唯一こちらでも出ずっぱりな北村の内面もいいですねぇ。まぁ、予想通りなんんですが、これがどう本編と絡むのかも楽しみです。あと、会長の変装はナイスです。イラストもあって尚よし!

 そんな訳で、次は『とらドラ! 5』です。

とらドラ! 4

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 12月5日(金)読了。

 擦った揉んだの結果、夏休み亜美の別荘を訪れることになった竜児と大河、そしてそれぞれの想い人である実乃梨と北村。
 そんな楽しい旅行を控えたある日、竜児は縁起でもない(?)夢を見ることになる。
 奇しくも同じ夢を見た大河は、それを「このままではああなるぞ!」という警告夢と解釈していた。
 かくして、輝かしい未来のため、旅行というチャンスを最大限に活かす為の作戦を立てることになるのだが......

 ふむふむ、こういう話だった訳ですな。アニメで先に大筋を知ってしまっていたのは残念ですが、やっぱり細かい心の動きは活字の方がよく解ります。微妙なバランスの崩れを見せ始めて、特に亜美の動向が気になりますねぇ。また、この巻の一つのテーマでもある恋愛と幽霊の例えに興味深いモノがありました。言われてみればそうだなぁ、と共感することしきり。
 アニメと並行で読めば読むほど先が気になって、気がつけば現在既刊を全て購入している私が居ました。

 ......そんな訳で、引き続き刊行順で次は『とらドラ・スピンオフ!  幸福の桜色トルネード』です。

コラボアンソロジー1 狂乱家族日記

 日日日、田口仙年堂、佐々原史緒、櫂末高彰、佐藤了・著、x6suke、日向悠二、カヅキレン、甘福あまね、石田あきら・イラスト、ファミ通文庫。

 決意を秘めた一人の少女が超常現象対策局を訪れていた。
 地元で起こった子供の失踪事件を解決するため、祖母から聞いた"正義の味方"に助けを求めるために。
 かつて、御色町の平和を守ていた存在がそこには居るというのだ。
 だがそれは、"正義の味方"の実在を確認するためでもあって......
 ~『狂乱!ガーゴイル日記2054』~

 これは、ファミ通文庫のお祭り企画。『狂乱家族日記』と別作品をクロスオーバーさせるという試みです。まぁ、コラボ相手の作品はどれも読んだことが無かったんですが、それでも楽しめる内容でした。各作者とも、あの手この手で自作の世界に『狂乱家族日記』の登場人物を組み込んでいて、その辺りの手法も面白かったです。いや、約一名、そんなこと全く考えずにそのまんま取り込んじゃった人も居ましたが(;^^)

 てなところで、後は個別にさらっと。上記の手法は出来る限りネタバレさせずという縛りを組み込みつつ。


『狂乱!ガーゴイル日記2054』(日日日)

 日日日が描く『狂乱家族日記』と『吉永さん家のガーゴイル』とのコラボ。
 味のある一人称と、最後の着地点が日日日らしいですねぇ。
 若き日のあの人達も出てたり、ファンサービス的な向きも...... 多分あったと思います。


『御色町狂乱捕物日記』(田口仙年堂)

 田口仙年堂が描く『吉永さん家のガーゴイル』と『狂乱家族日記』とのコラボ。
 吉永さん家のガーゴイルが守る御色町に何やらおかしなやつらがやってきて......

 なんでしょう、狂乱家族も普通になじめそうな町なんですね、ここ。そして、母は強し、というそんな御華詩。
 吉永さん家ってどんな家なのか凄く気になります......

 ※『吉永さん家のガーゴイル』は未読です。


『狂乱スイート日記 世界で一番ふしぎな遭遇』(佐々原史緒)

 佐々原史緒が描く『スイートホームスイート』と『狂乱家族日記』とのコラボ。
 レーゲンシュヴァンツ共和国の領主の血を引く一彦の元に届いた拾得物は......

 なるほど、『家族』というテーマが共通してるってことですな。その辺りの対比は非常に興味深いモノがありました。
 また、ピコリーちゃんって...... ああ、こうやって登場してるんですね(;^^)

 『スイートホームスイート』ってどんな話か気になってきました......

 ※同作者の『暴風ガールズファイト!』は1巻だけ読んでますが『スイートホームスイート』は未読です。


『狂乱すごろく階段日記』(櫂末高彰)

 櫂末高彰が描く『学校の階段』と『狂乱家族日記』とのコラボ。
 階段部の神庭幸宏は、とある日曜日にあり得ないモノに呼び止められて......

 なんか、一番普通なところに来てる気がするんですが一番『狂乱家族日記』とノリが変わらない御華詩だった気がします。
 それより、『学校の階段』ってこういう御華詩だったんですね。興味が出てきました......

 ※『学校の階段』は未読です。


『狂乱家族になってよネ!』(佐藤了)

 佐藤了が描く『わたしの Knight になってよネ!』と『狂乱家族日記』とのコラボ。
 佐倉恭子とちょっとした仲違いをした御影裕也の前に突如現れたのは......

 これは中々よい感じのいいラブコメですね。凶華様と凰火の関係を上手く活かしていたと思います。あと、優歌の黒さと(;^^)
 こういうノリは本家『狂乱家族日記』では中々描かれないところなので非常に楽しめました。

 あと、裕也の立ち位置とか『わたしの Knight になってよネ!』がどんなものか気になります。

 ※『わたしの Knight になってよネ!』は未読です。


 と、何か色々術中に嵌っている感もありますがこんなところで次は『とらドラ! 4』です。

ぴにおん!

 樋口司・著、タカハル・イラスト、 MF 文庫 J 。
 12月2日(火)未明読了。
 第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞佳作受賞作。

 見た目にもショボい超能力を持っている佐々木与四郎。
 どこかで聞いたような名前で弄って笑われたり、打ち分けられない能力を持つことにコンプレックスを感じて友達の出来ない中学時代を送っていた。
 転機を求めて、その能力をもってテレビの奇人さんコーナーに出演するも、超能力だとは全く信じて貰えず馬鹿にされる日々に変化はなし。
 そんな苦しい日々から抜け出そうと中学卒業を機に知ってる人間の誰もいない高校への入学を果たし、自己紹介で人気者になろうと画策していた。
 だが、そんな思惑を吹き飛ばす爆弾発言が直前に行われてしまって......

 なるほど...... 伏線の提示と回収という意味では相当強引でアンフェアな部分もあるもののそれなりに考えられた作品ですね。コンプレックスの塊である主人公の与四郎が超能力がらみでヒロインたちと日々を過ごすうちに少しばかり成長する、そんな御華詩、ですかねぇ。超能力が妙にせこくて、副作用やら暴走やら制限が大きいという基本的に「出来れば超能力なんて無くしたい」という動機付けは中々よく出来ていたと思います。色々と話を創っていけそうですねぇ。ヒロインのキャラも面白いですし。
 ただ、地の文が嘘だらけという文体は味でもありますがミステリ読みには辛いモノがありました。個人的には同期受賞作で何かと賛否両論な『ミサキの一発逆転!』よりも読みづらかったです。まぁ、ネタとしては面白いと思いましたが。

 あと、完全に一般的ではない超個人的な理由で、主人公に絶対的に共感できない部分がありました。それは名前に対するコンプレックス。ええ、これ書いてる私も与四郎と全く同じように、どこぞの有名人と一文字違いのそっくりな名前だったりするのです(;^^) それで幼い頃から弄られ続けたのも同じ。でも、それをネタにして「名前を覚えて貰いやすい」メリットと見て生きてきた身としては、そこのコンプレックスを強調されるのは違和感がどうしてもあります。まぁ、感じ方は人それぞれで、この点は偶然一致した部分なんで本当に特殊な感想だと思いますが(;^^)

 色々マイナス面も書きましたが、楽しくなりそうな設定の作品ではあるので続きが出たら読んでみるとは思います。

 とまぁ、そんなところで次は『コラボアンソロジー1 狂乱家族日記』です。

二人で始める世界征服

 おかざき登・著、高階@聖人・イラスト、 MF 文庫 J 。
 11月30日(日)未明読了。
 第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞審査員特別賞受賞作。

 高校入学早々、赤尾竜太は委員長っぽいクラスメートに声を掛けられた。
 何やら、その友人、久喜島千紗が幼い頃に彼に恩を受けていたらしい。
 そんな幼い頃のフラグから共に図書委員として働くようになったある日。
 千紗の頼みを聞くと答えた竜太は、とんでもないことに巻き込まれることになって......

 ほのぼのした世界征服の物語。結構無茶な設定をキャラクターで中和して細かいことを気にしないでいいノリを創ってますねぇ。なんでしょう、読んでて『究極超人あ~る』の成原博士を思い出す、世界征服を企む物語です。
 道具立てて的には全体的に手堅い印象を受けますね。話がうまくまとまっていて、読者を裏切るべきところでは裏切っていたり。受賞作として分かりやすい作品です。とにかく、キャラがいいですねぇ。特にレッドキャップ隊。ヒロインではなく、こういう脇キャラが描けてるのはいいですねぇ。
 シリーズ化するかは解りませんが次回作が気になる作者でした。

 とまぁ、そんなところで次は『ぴにおん』です。

死神のキョウ 2

 魁・著、桐野霞・イラスト、一迅社文庫。
 11月27日(金)読了。

 夏の暑いある日のことだった。
 帰宅途中にキョウのちょっとしたお茶目で自転車が破壊されてしまった。
 翌日からの徒歩通学にげんなりしながら恭也は帰宅していた。
 出がけにクーラーを切っていたので熱い空気に迎えられる必然に更に憂鬱になりながら部屋の扉を開けると、驚いたことに冷たい空気が流れてきた。
 驚いてベッドを観ると何やら布団の中に誰かが居る気配があった。
 気になって、布団をめくるとそこには......


 まぁ、なんでしょうツンデレというか完全にデレな感じの死神キョウと恭也を中心として一部性別の垣根も越えそうな要素も取り入れつつ展開されるラブコメ第二弾。これで、ようやくシリーズとしての体裁を整えたという感じですね。決して真新しいモノは無いんですが、それでもテンポよく読めて楽しめました。最後に思いっきり思わせ振りな引きですがシリーズモノということで続きは出るということですな。かなり伏線を提示しまくってたので続きが気になるところです。

 ......でも、次はもう少し誤字脱字が少ない方が嬉しいかな(;^^)

 とまぁ、そんなところで次は『二人で始める世界征服』です。

ハヤテのごとく!3~めざせ情熱クリエーター! 三千院ナギの流儀~

 築地俊彦・著、畑健二郎、兎塚エイジ、狗神煌、博・イラスト、ガガガ文庫。
 11月25日(火)読了。

 白皇学院動画研究部の部室は、かつてハヤテも関わったとある騒動で破壊されてしまっていた。
 再建工事は始まったモノの、諸々の事情で費用が足りないということに......
 そこで生来の借金体質のハヤテにお鉢が回ってくる。
 執事に責任を持って金策をしてこいと言われて主人のナギも黙っては居ない。
 こうして、ナギとハヤテは何故か同人誌即売会に出展することになって......

 ふむ、二冊目がはっちゃけ気味だったので、今回は1巻の流れで動画研究部再びって感じですね。
 大筋では、一応、創作に関するナギの成長譚的なモノと受け止められなくはない感じですねぇ。あと、ライトノベルというかそういう感じのターゲットの作品を創る上の基本も語られていたりして勉強にならなくもない内容です。部分的にネタとして結構リアルだったりしますし(;^^) まぁ、原作ファンであればサラッと読んでサラッと楽しめる内容でした。

 とまぁ、そんなところで次は『とらドラ! 3』です。

とある魔術の禁書目録 SS 2

 鎌池和馬・著、灰村キヨタカ・イラスト、電撃文庫。
 11月24日(月)読了。

 当麻達が科学と魔術の大きな事件に巻き込まれる前後。
 学園都市を始め、世界各所で起こった日常や事件の数々。
 一年ほどのスパンで起こったそれらは、それぞれには全く関係の無いモノ。
 だが、最終的に、それらは一つのキーワードの下に繋がって......

 ネタバレを気にすると非常に説明がしづらいSS2であります。
 それぞれで事件も登場人物も時期も異なる実に二十二章の短編で綴られる御華詩は、新キャラも含めて登場人物の描かれなかった面を補完する非常に楽しい内容でした。いやぁ、やっぱり逆境シスターのリドヴィアはいいですねぇ。そんな風に、ファンサービス的な側面もありつつ、今後に関わる一つの伏線でもある御華詩でした。何せキャラ数が半端じゃなく裏設定も大量にあるようなシリーズなので、知ってると本編をより楽しめる、そんな位置づけの内容ですね。

 とまぁ、そんなところで次は『ハヤテのごとく!3~めざせ情熱クリエーター! 三千院ナギの流儀~』です。

とらドラ! 2

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 11月20日(木)読了。

 ゴールデンウィーク、竜児と大河は主に竜児の希望で近所のファミレスに通って特に何事も無く過ごしていた。
 最終日も同じように過ごしていたところ、大河が観ていた丁度観ていた雑誌のモデルがそのファミレスに現れる。
 なんと、彼女は出会った竜児の親友であり大河の密かな想い人、北村の幼馴染みだったのだが......

 そんな訳で猫っ被りの川嶋亜美登場な第二巻であります。
 うん、やっぱり話に広がりが出ますねぇ、こういうキャラが出てくると。まだ二冊目ですが、アニメから入った身としては読むことで補完される部分も多いですねぇ。アニメは大河の方に視点が行ってるのか、とかそんなことを感じます。
 また、収録されていたスピンオフ作品の『幸福の手乗りタイガー伝説』も主要人物達の客観的な印象が描かれてて楽しかったです。こうやって色んな視点を楽しめるのが小説という媒体の面白さかもしれない、とか思ったりもします。

 てなところで、次は『とある魔術の禁書目録SS2』です。

森口織人の陰陽道

 おかゆまさき・著、とりしも・イラスト、電撃文庫。
 11月19日(水)未明読了。

 吝華高校生徒会副会長、遥奈原初雪《はるなばらはつき》には秘密があった。
 折しも二年生の新学期に転校してきた森口織人はその秘密を知ってしまう。
 それを切っ掛けに、彼は陰陽道の世界に足を踏み入れることになって......

 『撲殺天使ドクロちゃん』に続く第二シリーズ開始!
 今回は、コンプレックスと妄想の御華詩でしょうか? 初雪が秘密の為に悩んでそれを織人と共に乗り越えていく、そういう流れ...... なのかなぁ。
 全体的に異様に丁寧な地の文が独特の雰囲気を出していてよい感じです。登場人物基本的に『様』付けとは...... でも、誰なんだろう、この視点? とか穿って考えてみたりもしました。意味ない気もしますが(;^^)
 ああ、あと、今回は『蒟蒻』です(謎


 とまぁ、そんなところで次は『とらドラ!2』です。

灼眼のシャナ XⅦ

灼眼のシャナ XⅦ

 高橋弥七郎・著、いとうのいぢ・イラスト、電撃文庫。
 11月17日(月)読了。

 遂に姿を現した[仮装舞踏会] の盟主に破れ、囚われの身となったシャナ。
 武器も防具も神器も奪われ、ただ一人の少女として敵陣の中に身を置いていた。
 それは期せず、彼女の在り方を問う機会ともなった。
 [仮装舞踏会]の念願が達せられるときが近づく中、彼女はかつて育ての親が残した言葉の意味を知る......

 前回の展開を受け、シャナを取り巻く人々が何を思い、感じ、実行に移すのか? その過程が描かれた御華詩と言えますな。
 いつもの如く、番外で明かされた情報を搦めつつ、描き出されるそれぞれの心理描写が美事でした。また、今まで大人しかったあのキャラも今回は珍しく大暴れでしたねぇ。まぁ、その理由は推して知るべしというべきか。
 今回で各々向かうべきに向かい始めたので、次からは総力戦の体を為してきそうです。その中で、一体全体彼が何を目指してあのような手段を取ったのか? その行く末が楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は『森口織人の陰陽道』です。

とらドラ!

 竹宮ゆゆこ・著、ヤス・イラスト、電撃文庫。
 11月14日(金)読了。

 目つきが悪いために誤解されがちな善良な高校生、高須竜児《たかすりゅうじ》。
 高校二年生になって憧れの実乃梨と同じクラスになって喜ぶも、ある意味運命的な出会いが待っていた。
 それは『手乗りタイガー』の異名を持つ見た目は美少女の逢坂大河《あいさかたいが》
 見かけだけでなく実際の凶暴性で悪評高い彼女と奇妙な縁が出来、その恋路の手助けをすることになったのだが......

 むむむ、今更ながらアニメにつられて読んだのですがこれはよい日常の物語ですな。タイトルと手乗りタイガーのイラストからてっきり異能バトルモノだと思いこんでたのは内緒(;^^) まぁ、嬉しい誤算でしたが。
 心理描写がしっかりしていて非常に心地よいもどかしさというか、甘くて苦くて単純明快で複雑怪奇な、そんな恋心を感じさせる内容でした。これは、すぐには無理ですがどうにか追いつきたいと思います。

 とまぁ、そんなところで次は『灼眼のシャナXⅦ』です。

灼眼のシャナ SⅡ

 高橋弥七郎・著、いとうのいぢ・イラスト、電撃文庫。
 11月13日(木)未明読了。

 ヴィルヘルミナがシャナと平井家で共に過ごすこととなって一月余り。
 規則正しい生活の中、シャナの帰宅時間が遅いという綻びが生じていた。
 理由を訪ねてもはぐらかされるばかりで不審に思い、不本意ながらも悠二と共にその原因を探り始める。
 そうして、彼女が辿り着いた真相は......

 今回はヴィルヘルミナが主体ですね。上記の日常を描いた『ドミサイル』、ヴィルヘルミナとその掛け替えのない友である『永遠の恋人《エンゲージ・リンク》』との出会いを描いた『ヤーニング』、そして『天道宮』を出て間もない駆け出しの頃のシャナと熟練のフレイムヘイズ、ゾフィーとの交流を小説とコミックで描いた『ゾートロープ』の三本、及び、いつものQ&Aコーナー『狩人のフリアグネⅢ』という構成でした。

 大分長らく積んでしまって気がつけば前を読んでから1年近く間が空いてたりしますが、覚えているモノですね。今回は、ヴィルヘルミナの心理描写もいいんですが、何より、『ゾートロープ』のアラストールの叩かれっぷりがいいですねぇ。

 とまぁ、そんなところで次は本編の最新刊...... と言いたいところですが現在アニメ放映中の『とらドラ!』です。

ANGEL+DIVE 1.STARFAKE

 十文字青・著、青稀シン・イラスト、一迅社文庫。
 11月11日(火)未明読了。

 頼まれたら断らないそんな他人本意とも言える少年、日比野夏彦はある日考え事をしていて辿り着いたあばら屋で、不思議な少女と出会う。よくも悪くもありのままを受け入れて疑問を持たない性格の彼は、しかし、その少女のことだけは気になってしまって仕方なかった。
 だが、彼女は出会ってまもなく、姿を消してしまった。
 どうしても、彼女に会いたい。
 今までに無かったそんな衝動に突き動かされ、彼は幼馴染みと友だちと共に、少女の行方を追い始める。
 そして、やがて。
 自身の運命と向き合うこととなる......

 ふむ、不思議と引き込まれるものがある御華詩でした。やはり、主人公である夏彦のキャラクターがよかったのだと思います。純粋培養というか天然というか。本当に「ありのままを当たり前に受け入れる」という言葉にすると簡単だけれど実行するのは難しい、そんなことを素でしてしまうキャラです。匙加減一つでうざいだけのキャラになりそうなところがよい案配に描かれていたと思います。
 女性キャラも色々出てますが、やはり、一番印象的だったのは夏彦ですねぇ。
 端からシリーズ物の1冊目ということで投げっぱなしというか舞台設定の提示のような感のある内容でしたが、これはこれで楽しめたというか続きが気になります。既に2巻が出ているのでタイミングを観て読みたいと思います。

 てなところで次は『灼眼のシャナSⅡ』です。

ギロチンマシン中村奈々子~大人社会編~


 日日日・著、大出長介・イラスト、徳間デュアル文庫。
 11月6日(木)読了。

 <王国>の事件の後、<獣の森>をさまよう"中村奈々子"ご一行。
 まだこの世界の真実を知らない彼女達。
 当ても無く、行きがかり上で何を考えているかわからない原住民達と行動を共にする中、突如として彼らは一行に一つの要求を突きつける。
 そうして、遂に"中村奈々子"達は核心に近づくのだった......

 うむむ...... 非常に扱いの難しい作品でありますなぁ。基本は童話のメタファ。それと、端々に潜む「大人」というものの負うべき責任というモノのありかた。隠喩だらけで相当に脳味噌に負担が掛かるので、正直、どうにも娯楽として読むには重たい内容ではありますな。でもまぁ、直前に読んだ同作者の『ジャンクガール・ジグ』にも同じようなテーマの内容も合ったり、思えば『魔女の生徒会長』のあとがきでも似たようなこといってましたし、作者の思想が見え隠れしているとも言えますな。とはいえ、記号的装飾が少ない分、やはり、このシリーズは他と毛色が違うというか実験的というか、生々しいものを感じます。

 今回のタイトルと落ちからして次でラストっぽいと思いますが、どう締めるのか楽しみにしたいと思います。

 てなところで、次は『 ANGEL+DIVE 1.STARFAKE 』です。

ジャンクガール・ジグ 1 あたしの飼い主

 日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 11月4日(火)読了。

 現代の言うなればRPGの召喚魔法のような技術『怪造』。
 しかし、人間、便利な存在を召喚して使役できるとなれば平和利用ばかりとは当然ならない。
 様々な犯罪行為にも利用され一般市民を脅かすことも当然考えられるわけで、そうなればそれを取り締まるような役割も必要となってくる。
 怪造学会執行部は、正にそのような役割を担う組織であった。
 そんな組織の第一班の責任者である空井滅作《すかいいめっさく》は、ある任務の際に人体実験の被害者となっていた少女を助けることになって......

 そんな訳で、『アンダカの怪造学』の主人公である空井伊依の父、滅作がまだ存命の頃の御華詩。
 なんか、色々とその後に関わる人物が出てきたりして楽しい作品でした。まぁ、タイトルになってるキャラは一応まだ明言されてないので控えますが、章立ての演出でバレバレという悲しい罠(謎

 『アンダカの怪造学』でも、口は悪いし娘にも相当に嫌われながらも何かと娘を助けていましたが、やっぱりそんな人なんですな、滅作さん。つか、読めば読むほど似たもの親子と思わせられるという点も見所ですねぇ。それと、若かりし宇宙木《うつぎ》校長...... なんでこんな典型的ツンデレキャラなんだ? 確かに原型とどめてますが、そうか、だから、本編ああなんですねぇ。でも、一番の見所は中学時代の宇宙木ちゃんでしょう。個人的にかなりツボでした。

 とまぁ、内容に触れずと言うかメインの筈のジグに一切触れてませんが、まぁ、こんな感じのお話でしたと言うことで次は日日日が続いて『ギロチンマシン中村奈々子~大人社会編~』です。

ライトノベルの楽しい書き方 2

 本田透・著、桐野霞・イラスト、 GA 文庫。
 11月3日(月)読了。

 家庭の事情により覆面女子高生ライトノベル作家をしている流鏑馬剣は、恋愛を描くための取材と称して担当編集の従弟でありクラスメートでもある与八雲と期間限定の彼氏彼女ごっこをして、どうにかデビュー二作目を世に出し好調な成果を収めることに成功した。
 その二作目はシリーズ化が決定し、続刊はシリーズの方向性を決める大切な巻となる。
 今度のテーマは担当のお達しにより『三角関係』。
 しかし、古風で純粋な剣はどうしても三角関係をイメージできない。
 そこで、担当編集の心夏は一手を講じて......

 本田透の描く揺るぎない王道ラブコメ第二弾!
 今回はラブコメの華とも言える『三角関係』がテーマということで、前巻では思わせ振りながら余り出番の無かった隣のクラスの市古さんを巻き込んでの一夏の思い出でした。
 コンプレックスの描き方とか、ここぞという場面での市古さんのキャラとか、本当に勉強になる作品でもあります。ああ、確かに、このキャラ用意してないと剣崩壊するよなぁ...... 八雲も鈍感ながら実のところ揺るぎないですし、剣の自虐的な妄想癖がこのシリーズの肝ですな。
 あとがきで示唆された次が無茶苦茶楽しみになってしまったんですが年内は出なさそうなので残念です。いや、1巻発売と同時に買っておきながら積んで今頃読んだ身でこんなこというのはお門違いですが(;^^) あ、でも今まで読まなかったのはそれだけ待たされる時間は減ると言うことでそれはそれで正解だったのか!

 ......あ、第二部出揃ってから買おうと思って第一部完結で買うの中断したら16年以上経ってる内にレーベルも変わって未だに出そろっていないシリーズとかあるんで一概に正解とは言えないですが。「こいつに絵を描かせるぞ!」「ナ●サスさま、それはカバですか?」

 とまぁ最後脱線しまくってますが次は『ジャンクガール・ジグ 1 あたしの飼い主』です。

神曲奏界ポリフォニカ アイソレーション・ブラック

 大迫純一・著、BUNBUN・イラスト、GA文庫。
 10月31日(金)読了。

 シェリカの誘いで南海のリゾートを訪れるマティア。
 マナガは残念ながら仕事でルシャゼリウスに居残りだった。
 原生林に囲まれたビーチで海遊びを満喫し、豪華な食事に舌鼓を打つ、そんな休日の筈だった。
 しかし、謝恩会の最中に突如響いた悲鳴から事態は一転する。
 パーティー中の変死事件。
 マナガは居ない。
 嵐で応援も来ることが出来ない。
 そうしてマティアは、一人、いや、親友のシェリカと共に、事件に立ち向かうこととなる......

 もう、最高です。最後の方はゾクゾクしっぱなしでした。マティア格好良すぎます。そして、シェリカも。

 タイトルからして某定番パターンですが、マナガがいないことでより本格ミステリ色の強い内容でした。って、そうか! ネタバレるから詳細は控えますが、今回は本当に本格なんですね。書いてて気付きました。うわぁ、やっぱりポリフォニカは黒が一番好きです。ここまで来るとシェリカレギュラー化は必然以外の何者でもないですね。

 とまぁ、そんなところで次は『ライトノベルの楽しい書き方 2』です。

ライトノベルの楽しい書き方

 本田透・著、桐野霞・イラスト、 GA 文庫。
 10月30日(木)読了。

 外見は目を見張る美人ながら文武両道、入学早々不良グループを蹴散らした最強を誇る女子高生、流鏑馬剣《やぶさめつるぎ》。
 周囲がその活躍から畏怖の念を持って扱う中、彼女のクラスメートであり、海の生物大好きな与八雲《あたえやくも》は、その姿を『美しい生き物』として憧れを抱いていた。
 そんな八雲がある日、従姉であり出版社の編集を勤める心夏《ここな》から、〆切ギリギリの担当作家の原稿受け取りのお使いを頼まれることになった。
 受け取った地図を見ながら辿り着いた先は、高級住宅街の一角の豪邸だった。
 呼び鈴を鳴らしても中々出てこないが心夏の指示通り何度も鳴らす内に、開かれる扉。
 その向こうに居たのは、中学生にしてデビューを果たした女子高生ライトノベル作家、姫宮美桜《ひめみやみお》だったのだが......

 いやぁ、本気で王道の学園ラブコメですねぇ。この作者の作品って『アストロ乙女塾』しか読んでなかったんで何かしら破天荒なモノを想像してたんですが、余りの王道さに感動を覚えました。何より、流鏑馬剣と与八雲の造形は美事です。剣は、ともすればわざとらしくなりそうな強さと弱さの対比が絶妙ですし、八雲の素朴なキャラさも上手くそれにマッチしていました。こんだけ魅力的なキャラが書けるのは技ですねぇ。本当、剣はよいヒロインです。思わず、読んでる途中で続刊も買ったので近いうちに読みたいと思います。


 てなところで、次は『神曲奏界ポリフォニカ~アイソレーション・ブラック~』です。

ミサキの一発逆転!

 石川ユウヤ・著、 CARNELIAN ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 10月28日(月)読了。
 第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞審査員特別賞受賞作。
 
 お嬢様学校であるファネス音楽学院に通う庶民の犬吠《いぬぼう》ミサキはその出自から何かと周りと悶着を起こしていた。
 故に生まれた格言、曰く『犬吠《いぬぼう》ミサキに噛みつかれるな!』。
 だが、そんな彼女には優等生の親友、門奈キリカが居た。
 ある日、学院中の肖像画が切り裂かれるという事件が起きたとき、その疑いが親友のキリカに向けられる。
 ミサキは吠えた。自分がその疑いを晴らしてやると!
 しかし、彼女は予想だにしていなかった。それから巻き込まれる、運命の波を......

 『音楽』をネタにしつつ、主人公の『犬』に始まり登場人物を様々な動物に例えた言い回しなど、雰囲気のある文章でした。物語全体は、音楽学院のドタバタ劇のように見せて大きな力の関わる内容になっていくんですが、それでも、庶民的であるミサキの感覚が更にいい雰囲気を持たせていたように感じました。結構癖が強いので、好みは分かれるところでしょうが。

 また、作中の音楽ネタはそれなりに専門的な部分を学んだ身としては全て既知の内容で抵抗なく読めましたが、専門知識の無い方相手だと結構ギリギリの線を行ってる感じでした。オチ近くのとある場面は、それなりのフォローはありますが理解しづらい人も多いんじゃないかなぁ、と思います。まぁ、その辺りは専門知識を使う上でここまでは許される例として一つの限界値分析として勉強になりました。

 まだシリーズは続くようなので当面は追って見ようと思います。って第一回以降の受賞作家の作品は全部読んでるんですがね。

 とまぁ、そんなところでようやく MF 文庫 J の積み本が終わったので次は『ライトノベルの楽しい書き方』です。

やってきたよ、ドルイドさん!

 志瑞祐・著、絶叫・イラスト、 MF 文庫 J 。
 10月27日(月)読了。
 第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞佳作受賞作。

 転校生の名前はホリン・シャレイリア。
 彼女は、ごく普通に超絶美少女で、ごく普通にアイルランド出身でした。
 ただ一つ、違ったのは、彼女はドルイドさんだったのです......

 って、最後の一言の為に思いっきり脈絡の無いパロディのパロディをしてしまいました、ある日クラスにやってきた謎の美少女転校生との日々をクラス委員長の少女の一人称で描く友情物語的コメディです。基本は『ドルイド』という特殊な出自に起因するヒロインの奇行に周りが振り回されるドタバタ喜劇ってとこですね。でも『ドルイド』って設定が中々に興味深い。ローブはグレーで壁を壊しそうでマトックいらず(謎 軽いノリながらサラッとドルイドに関してはそれなりにちゃんとした考証をしてますし、特に誓約《ゲッシュ》の使い方は上手いです。話もツボを押さえてそつなくまとめられた感じで安心して読めますな。その辺りが評価されたところかなぁ、と勝手に想像したり。うん、次出たら読もう。

 とまぁ、そんなところで次は『ミサキの一発逆転!』です。これで、積んだ MF 文庫 J 最後になります。まぁ、来月また色々買う予定ですが(;^^)

えむえむっ! 6


 松野秋鳴・著、 QP:flapper ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 10月26日(日)読了。

 今日は二学期の終業式。
 その日は石動先輩が用事があるということで部活が急遽休みになり、太郎は嵐子と帰り道を共にする。
 寝不足気味な嵐子はそわそわとしつつも、太郎は何故かその日に限ってバイトが少ないために長時間のバイトに入ることになっていた。
 何やら残念そうにする嵐子の目の前で、太郎は突如拉致されて......

 うん、相変わらずいい変態です。
 前巻で増強されたラブコメ分がいい味を出し始めています。各キャラともルート決定に肉薄するイベントまではこなしているといった進行状況。メインヒロインは嵐子、次が美緒様。まさかがかつてのシホリ姫、といったところでしょうかねぇ?(←駄目な例え)
 変態的性癖が折りに触れて発動する太郎視点の語り口が絶妙なんですが、今回はなんと言って砂戸太郎VS日村雪之丞が見せ場です。何がどう見せ場かは読んでのお楽しみ。このシーンは相当ツボに嵌りました。いいなぁ、このノリ。


 とまぁ、そんなところで次は『やってきたよ、ドルイドさん!』です。

オウガにズームUP!


 穂史賀雅也・著、シコルスキー・イラスト、MF文庫J。
 10月25日(土)読了。

 昨今の少子化に伴い、中高一貫の男子校が女子校と合併して共学となった!
 中学からエスカレーター式で高校へと入った特に男子達は女子の居る風景に憧れと妄想を抱き浮き足立っていた。
 そんな中、他の男子と違い、犬伏ユージは思い悩んでいることがあった。
 ......ロリコンになりたい。

 プロットはそんなに真新しくは無いんですが、相変わらず不思議と雰囲気のある文章を書く人ですなぁ。この辺りは MF 文庫 J の方針もあるのかもしれんですが。クラスメートの女子一覧があったりキャラの幅も万全です。
 ひょんなことで、クラスメートながら見た目小学生な井上ククルの夫となり同棲することになった犬伏ユージという少年の御華詩。これが『ロリコンになりたい』という言葉に秘めた意味で、『ロリコン』というものに対する禁忌性と恋愛感情のせめぎあいのようなものがこの作品テーマでもあるんですかねぇ。深読みすればそれなりに掘り下げられそうな内容です。まぁ、さらっと読めばさらっと読める内容でもありますが。
 ある程度パターンに嵌った作品ではありますがそれだけに安心して読めるので続けて読んでいきたいと思います。

 で、次は『えむえむっ!6』です。

もふもふっ珠枝さま!

 内山靖二郎・著、真田茸人・イラスト、MF文庫J。
 10月24日(金)読了。

 稲葉家には代々家神さまがおられました。
 時に『座敷童』とも呼ばれる幸福をもたらす神様は、見た目は幼い少女の姿をしていました。
 しかし、元は山神のその力は絶大で見た目に騙されると痛い目に遭います。
 そんな、稲葉家の長男、稲葉智宏はその神様から妖怪を見極める眼力を賜って、それが元で様々な事件に遭遇して......

 と、前作の要約を導入的にまとめてみたりしましたが、主人公の幼なじみが眼鏡娘な『神様のおきにいり』のテコ入...... 失礼、噛みました。新装開店オープンの続編です。新装開店ということで、今までの設定は残しながらも、方向性が大きく変わって、学園ラブコメといった様相になっています。緩いようで妖怪に関する考察はしっかりしているので、安心して読める作品ですな。
 で、出だしで使ったネタが妖怪繋がりってどれだけの人が気づくやら(謎 
 まぁ、色々言いながら、続きを楽しみにしていたシリーズなので、こうやって読めるのは普通に嬉しいのです。

 てなところで MF 文庫 J 続きますが次は『オウガにズームUP!』です。

丸鍋ねこ改造計画(仮)

 七位連一・著、ぱこ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 10月23日(木)読了。

 無表情だが可憐な容姿に男子人気の高い丸鍋ねこという変わった名前の少女が居た。
 今日もまた、無謀な男子が無碍にその告白をはね除けられた。
 そんな彼女の異名はそのガードの堅さから『要塞』。
 しかし、だからこそ燃える男も居た。
 そんな彼女の在り方を変えたい。
 春田リクは、だから『丸鍋ねこ改造計画』を発動したのだった!

 前作とのギャップが激しいと見せて根っこの部分は通じてる、そんな気がするコメディでした。
 なんでしょう、人間の嫌な部分がよく見えてる人って印象ですね、この作者。
 今回は、だからこそいい部分を描こうってところが好感が持てました。
 プロット自体はありがちなんですが、色んな意味で容赦のない心理描写で登場人物達に感情移入しやすかったですねぇ。特に、春田リクのいい意味での馬鹿さは好ましいです。ああ、確かに、こういう奴は世の中に必要だよなぁ、と思ったり。まだ続きそうなんで追いかけていきたいと思います。

 とまぁ、そんなところで次は『もふもふっ珠枝さま!』です。って、実質『神様のおきにいり』の続きなんじゃないかと思うんですが(;^^)

緋弾のアリア


 赤松中学・著、こぶいち・イラスト、 MF 文庫 J 。
 10月22日(水)読了。

 凶悪化の一途を辿る犯罪に対抗すべく、生まれた武装探偵、通称『武偵』。
 その警察にも匹敵する権限を持つ武偵を養成する東京武偵高校に通う遠山キンジは、通学バスに乗り遅れたある朝、衝撃的な出会いを経験する。
 空から舞い降りた少女。
 『武偵殺し』と呼ばれる事件に巻き込まれた彼を救ったのは、神崎・H・アリア。
 その事件を通じて、キンジはその特異体質もあって彼女に目を付けられることになって......

 『アストロノト!』の作者の新シリーズ!
 いやはや、期待通りの楽しい作品でした。『武偵』という設定に古今東西のミステリやら何やらをミックスして面白い世界観になってます。その辺りの配置も上手いですねぇ。まぁ、アリアに関する一つの謎はミステリ好きで語学が得意な身では目次がネタバレになるという悲しいオチですが、本来この読者層に濃いミステリ読みは少ないからこのぐらいが丁度いいんでしょうね(;^^) そういうバランス感覚でも興味深い作品でした。
 今回は導入としてキンジとアリアの立ち位置を明らかにしつつ、次に繋がる内容でした。引きもよかったので否応なく次巻が楽しみになります。

 そんなところで、次は『丸鍋ねこ改造計画(仮)』です。

魔女ルミカの赤い糸4~白き雪の愛~

 田口一・著、カズオキ・イラスト、MF文庫J。
 10月22日(水)未明読了。

 屋敷に一人となった留美華を気遣い、お互いの家を行き来しながら琴也はこれまでよりも多くの時間を共に過ごしていた。
 だが、彼は悪夢に悩まされていた。目の前で留美華がバラバラにされる悪夢。
 また、留美華の側にいると何故か原因不明の体調不良に見舞われるようにもなっていた。
 そうして、一見平穏な日々は徐々に綻びを見せ始め、やがてはメルリスが言い残した『魔女の王』を巡る事件へと発展する......

 これにて完結。文字通りの『魔女』を扱ってインモラルな雰囲気が持ち味の御華詩でした。
 若干、急ぎ足にも感じられましたが広げた風呂敷はおおよそ綺麗に畳まれたと思います。反面、小さくまとまって大きな盛り上がりには欠ける感じでしたが、魔女絡みの設定は非常に印象的なモノでした。この巻のとある場面で由奈が魔女について語ったことは非常に端的にこの作品世界における魔女の在り方を表していたと思います。オカルトとは性的なモノと結びつきやすいですからね。
 まぁ、終わり方は基本に忠実って感じでしたがね。作品の雰囲気は好きだったので次回作に期待です。


 そんなところで次は『緋弾のアリア』です。

ゼロの使い魔15~忘却の夢迷宮~

 ヤマグチノボル・著、兎塚エイジ・イラスト、MF文庫J。
 10月20日(月)読了。

 遂に"聖戦"が発動し、ロマリアはブリミルの名の下にガリアへの進軍を続けていた。
 度重なる"無能王"ジョゼフの凶行にガリアは内部崩壊を始め、軍の実に半数がロマリアに寝返る。
 それでも、大国ガリアは士気は低いモノの兵力では未だに優位。
 そのため、戦局は膠着しカルカソンヌ北方のリネン川を挟み両軍の睨み合いとなっていた。
 ロマリア軍と行を共にしていた才人達一行も足止めとなるが、その戦局を動かす陰謀が蠢いて......

 いやぁ、これはこれは面白くなってきました。盛り上がりますねぇ。
 前巻の一件で絆を深めたサイトとルイズの予定調和なドタバタはあるモノの、世界情勢は大きく動いています。
 特に、"聖戦"と止めるべく取ったアンリエッタの外交策はよいですねぇ。本当に立派な女王ですな。
 でもまぁ、今回は舞台と状況から主役は彼女です。その人生の大きな節目となり、今までよりも大きな存在感を今後は出してきそうですね。何はともあれ、もうこれからの展開は目が離せないです、はい。

 とまぁ、そんなところで次は『魔女ルミカの赤い糸4~白き雪の愛~』です。

かのこん11~アイはぼくらをすくう!~


 西野かつみ・著、弧印・イラスト、MF文庫J。
 10月19日(日)読了。

 美乃里の奸計により、遂にすべての<八龍>を目覚めさせたちずる。
 丁度時を同じくして、耕太はちずるが囚われた薫風高校に到着する。
 果たして、耕太は数々の敵が待ち受ける中、ちずるの元へとたどり着けるのか......

 うむうむ、広げた風呂敷が美事に畳まれましたねぇ。今回は立派に少年漫画的な燃えだったと思うのですが、世間的にはどうなのでしょうねぇ。アニメとかでもデフォルメされてエロ部分がクローズアップされたりしてますが、日本神話を下敷きにしながらそれにエロネタを交えつつも世界観にあった解釈を成立させてしまう勢いがこの作品の魅力だと思います。まぁ、作者がシリアスよりの話をしてしまってフラストレーションを爆発させてるとかいうのもまた持ち味(;^^)

 今回で仄めかされてきた大きな謎はすべて答えが与えられましたが、次からはまた日常に戻るようなので楽しみです。というか、妖怪サイドの話だと、人間サイドの出番が減りますからね。朝比奈さんとたゆらの純愛路線はどうなるのか? 今後の見所はきっとそこに違いありません。

 とまぁ、そんなところで次は『ゼロの使い魔15~忘却の夢迷宮《ラビリンス》~』です。

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 3


 三浦勇雄・著、屡那・イラスト、MF文庫J。
 10月18日(金)読了。

 三人の魔剣の使い手との戦いも乗り越え、傷も癒えた頃。
 セシリーが守るべき独立交易都市に災厄としか言いようのない事件が発生する。
 正体不明の人外が街を突っ切ったのだ。
 多数の死傷者を出し、無力感に苛まれつつも魔剣を持って追うセシリーは灰かぶり森まで至る。
 先方に捉えた人外に魔剣が生み出した一閃を浴びせるのだが、なんとその先には......

 熱い。本当に熱い御華詩ですねぇ。世界観も違って当然人のあり方もそれに合わせた形なんですが、その根底にある熱さってのは変わらんのですな。また、主人公が女であることも最大限に武器にしていますな。本人は大変ですが。挫折と超越。そうして人は更に先に進んでいける。セシリーのそんな姿勢に周りが感化されていくノリは非常に心地よいです。

 それと、一方ではルークの成長というかその閉ざした心が開かれていく物語でもありますな。少しずつ少しずつ厭世的な部分が抜けてきて。前回の事件で過去と向き合って、また、セシリーに感化されて。今回、最後の方の彼は本当に格好いいですなぁ。

 少しずつ世界の仕組みが明かされて徐々に物語は核心に迫っていますが、ここからどこへ進んでいくのか? セシリーはその道を貫けるのか? また、ルークは? リサは? アリアは? もう本当に目が離せないシリーズであります。

 とまぁ、そんなところで次は『かのこん11~アイはぼくらをすくう!~』です。

レンズと悪魔 6 魔神応報

 六塚光・著、カズアキ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 10月17日(金)未明読了。

 バルヒーヨの奸計により博物館を追われたエルバ達。
 だが、バルヒーヨの狙いはかつて一つの村を破滅へと追いやった『しろがねの悪竜』を現代に甦らせる鍵となる竜人のエイジだった。
 エルバ達は帰るべき場所の奪還し、悲劇の再来を防ぐべく、地下に潜って力を蓄えていたが......


 第一部、完。『しろがねの悪竜』という一つの大ネタの終結点で、元々そういった位置づけで書かれた内容でした。
 また、区切りに相応しく、今までバラバラと出てきた人物のミッシング・リンクが繋がって八眼争覇の謎についても少し明らかにされてきました。この辺りは世界観がしっかりしてるんで安心して読めました。

 ただ、今回、色々決着はついてはいるんですが何だか、間が抜けてる気がするのはどうしてでしょうか(;^^)

 どうも、このシリーズは周囲の人間が盛り上がりすぎて中心となるべき人物が霞んでしまう傾向があるように思います。何というか、起きてしまった事件の解決は綺麗にまとまっているんですが、そもそも重大な事件の発端が「そりゃないだろう」ってお粗末さ。反則気味のミステリを読んだときの気分に似ていますねぇ。流石に他の部分はキッチリ締めてるのに、あの部分だけエルバ達は事件を起こすために行動していたようにしか読み取れなくて残念でした。そうでないと解釈しようとするとただの自殺願望にしか見えないですし...... う~ん、本当に周囲の人物が魅力的なだけに逆にそこが目立ってしまいますねぇ。クラヴリー、リデル、デイジーといった面々は大活躍なんですが、なぜに渦中の人物だけ......

 まぁ、そんな感じではありますが続きも買ってあるので頃合を見て読みたいと思います。

 そんなところで次は『聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 3』です。

ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート

 森田季節・著、文倉十・イラスト、 MF 文庫 J 。
 10月14日(火)読了。
 第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞優秀賞受賞作。

 佐女牛明海《さめうしあけみ》はある日、同学年の神野真国《こうのまくに》に呼び出された。
 何事かと思う彼女に彼が語ったのは、自分が人殺しであることだった。
 明海は、その話を聞いて、直ぐに動き出す。
 そう、彼女もかつて......


 『イケニエビト』と呼ばれる殺されるためにこの世に紛れ込んだ存在を巡る御華詩。
 その運命に音楽で立ち向かう少年と少女の物語は構成も面白く引き込まれるモノで、納得の受賞作ですねぇ。
 『人間の存在の拠り所』というモノを揺るがす事件に『イケニエビト』というルールが加わって、その中でどうやって生き残るか? 激しいバトルは無く、いっそ淡々としているとも言えるんですがそれがまた、タイトル通りのビターな味わいでよいですねぇ。甘さ控え目ですが、控え目なだけで、それはそれであったり。
 若干、オチが微妙な気もしましたが、総じて印象的な御華詩でした。

 とまぁ、そんなところで次は『レンズと悪魔 Ⅵ~魔神応報~』です。

生徒会の日常~碧陽学園生徒会黙示録

 葵せきな・著、狗神煌・イラスト、富士見ファンタジア文庫。
 10月13日(月)読了。

 杉崎達のクラスに転校生がやってきた。
 初対面の筈だが、どうしても、杉崎と深夏はついついその名前に反応してしまう。
 いったい、何が彼らの気を引いたのか解らず引っかかるモノがありながらも、杉崎を中心に次第にうち解けていく転校生の男子。
 こうして、杉崎とどんどん親密になっていった彼の名前は......


 相変わらずメタというか、他社作品も巻き込んだりとか。まさかポリフォ●カが出てくるとは思いませんでした。
 そんな生徒会シリーズ番外編。まぁ、やってることは同じ気もしますが、本編ではあり得ないシチュエーション(=生徒会室以外が舞台となる)ということで番外編ということすな。いやぁ、ここでこんな方向性で本編の伏線を拾うとは、真冬大喜びですね。
 ともあれ、裏設定っぽいのも明かされつつ大きな流れのようなモノには乗っかっているように思えたりもします。番外は番外で今後も続くようなので、本編と共に追いかけてみたいと思います。


 そんなところで次は『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』です。

狼と香辛料 Ⅸ~対立の町<下>~

 支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
 10月10日(金)読了。

 『狼の骨』を追って港町ケルーベを訪れたロレンス達一行。
 しかし、彼はそこで今まで経験したこともない大きな『商売』に巻き込まれる。
 いや、それは『商戦』。
 一介の行商人として、状況に対応しきれず途方に暮れるロレンスだったが......


 そんな訳でケルーベでの物語完結編。
 いやぁ、やっぱり心地よいですなぁ、この舌戦は。
 商売を軸に展開される人間模様、そこに行商と町商人との見方の違いやらが絡んで非常に楽しい言葉の押収でした。
 なんか、最後の方はもう痛快としかいいようが無いです。
 孤独から、仲間を得て、ロレンスが今後どう進んでいくのか? そういった部分にも少しばかり道を示す御華詩でもありましたな。次は予想通りあっちへいくようですし、これからも楽しみです。

 そんなところで次は『生徒会の日常 碧陽学園生徒会黙示録1』です。

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎

 あざの耕平・著、カズアキ・イラスト、GA文庫。
 10月8日(水)読了。

 新進気鋭の音楽家にして神曲楽士、ダン・サリエル。
 数々の輝かしい実績を持つ彼は、ある日出会った白銀の虎の姿をした精霊を痛く気に入り、前代未聞の楽士から精霊契約を持ちかけた。
 その精霊には契約相手として心に決めた者がいると言うが、自信家のサリエルはそれでもめげず、契約主の座を奪い取るべくその相手のいるその相手のいる田舎町を訪ねた。
 そして、彼がそこで出会ったのは......


 かつて、

『神曲奏界ポリフォニカ Palette 』
http://www.ktrmagician.com/archives/2007/08/palette.html

 で、

>彼の活躍を普通に長編で読んでみたいとまで思うぐらい気に入ってしまいましたが、望み薄ですかねぇ。

 とか書いてたんですが、実現するとは。いや、本当に嬉しいです。それだけ魅力的なキャラということですな、ダン・サリエルは。

 このシリーズは他と違って連作短編としての構成となるようですが、それはそれでいいですねぇ。また、他シリーズが神曲楽士の活動がメインのところで、こっちは音楽家としての活動がメインってのも面白いです。彼の音楽性には非常に共感できるのです。

 最初の話は上述のアンソロジーに収録された短編そのままですが、他の話と組み合わせてこの一冊でダン・サリエルという人間が掘り下げられています。ああ、あと、ユフィンリーも。壊れたようで、確かであんなだよな、ユフィンリー。この二人、確かに似てるんですよね。方や神曲楽士として、方や音楽家として、古い慣習にとらわれず現在のニーズに合わせた形態を模索するって点では。でも、それだけに、ああなるんですな(;^^)

 そして、早い段階でこういった話が出たのが素晴らしいと思ったのが第三話『ダン・サリエルと孤高の老楽士』。これで、ダン・サリエルという人間の音楽性がより明確になりました。ただ、傲慢なだけではなく、純粋に音楽を愛する彼の本質がよく出た御華詩でした。

 とまぁ、そんなところでポリフォニカは消化したので次は『狼と香辛料 Ⅸ~対立の町<下>~』です。

神曲奏界ポリフォニカ エイディング・クリムゾン

 榊一郎・著、神無月昇・イラスト、GA文庫。
 10月6日(月)読了。

 トルバス・スピリット・フェスタを控えたメガ・フロート<ホライズン>。
 そこは今や、荒れ狂う嵐に翻弄される孤島と化していた。
 強制的に操られた精霊達の破壊活動がもたらした状況に、事情を知らない人間達は、少なからず彼らへの不審を募らせる。
 そんな中、状況は悪化の一途を辿りやがて<ホライズン>自体の崩壊の危機を迎え......

 いいですねぇ、崩壊寸前の孤立した巨大建造物での攻防。人間ドラマ。
 読んでて感じたのは映画的なテンションってことですな。まぁ、どう映画性があるのかは直観的なので説明しづらいんですが(;^^) しかしまぁ、クガノ・リュネアという精霊を憎む少女の目を通して、精霊と人間の関係をより掘り下げることになったと思います。今回の主役は彼女でしょうね。また、まさかのあのシリーズとの接点も驚かされました。いや、そう来るとはねぇ。告げたのが彼というのも憎い演出です。こういうのがシェアード・ワールドの面白いところですね。

 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎』です。

神曲奏界ポリフォニカ エンシェント・ホワイト

 高殿円・著、凪かすみ・イラスト、GA文庫。
 10月3日(金)、絶賛読了。

 ギリギリながら無事に皆と共に二年生に進級したスノウ。
 新入生を迎え、新たな日々が始まると一大イベントの学園祭へと突入する。
 スノウはお嬢様やジョッシュ達と組になって音楽カフェをすることとなった。
 その準備中、カフェを開く場所探しに訪れた古い聖堂を一行は訪れる。
 なぜかブランカは嫌なモノを感じていたが構わず聖堂内を調べるスノウ達は突然光に包まれて......

 進級して新章突入と言うことで過去と関わる一大事件の幕開けですね。
 まぁ、読んでて既視感があると思ったら途中まで読んでいたキネティック・ノベル版の内容だった訳ですが、本で読めるのは有り難いです。確かに、あの時間軸だとどうしても本編と絡みますしね。何より、一つの核心に触れる内容になりそうで先が気になるのでキネティックを再開しようかと思ったりもしました。

 あと、やはりキネティック版だけではということでプリムローズお嬢様とスノウの出会いを書く短編が合わせて収録されているのは嬉しいです。お嬢様は昔から黒かったという御華詩。でも、ええ御華詩でした。今後も、今の話が続く間はそういった短編なり中編なりが併せて収録されると言うことでそちらも楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ エイディング・クリムゾン』です。

神曲奏界ポリフォニカ リライアンス・ブラック

 大迫純一・著、BUNBUN・イラスト、GA文庫。
 10月2日(木)読了。

 トルバス・インディーズ音楽祭の前日、舞台で起きた悲劇。
 神曲を芸術として飽くまで演奏を主体とした一人の青年が、単身楽団の漏電により感電死したのだった。
 事件の捜査を進めるマティア達は、意外な容疑者に辿り着くことになった。
 なんと、それはかつての冤罪事件で二人が救い、今では掛け替えのない友人でもある、シェリカだった......

 いやぁ、シェリカを本編に出した途端にこういう話を持ってくるのは凄いですねぇ。
 シェリカとマティアの関係が一気に掘り下げられました。シェリカが、彼女にとってどれほど特別な存在であるのか。マティアのこれから描かれるであろう部分にとって、非常に大きなファクターなのでしょう。
 ミステリという性質上、内容に詳しくは触れませんが相変わらずフーダニットは直ぐ解けます。が、だからこそどうやって追い詰めていくのかが楽しみでもあります。やっぱりいいですねぇ、こうやって犯人を理詰めで追い詰めていくのは。王道です。

 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ エンシェント・ホワイト』です。暫くポリフォニカが続きます。

くうそうノンフィク日和

 小柳粒男・著、長月みそか・イラスト、講談社BOX。
 9月21日(日)読了。
 第一回流水大賞優秀賞受賞作。

 田舎町のバーレストランの雇われ店長の撒井は、退屈ながらも常連客たちと適当に日々を過ごしていた。
 だがある日、特に親しくしていた高校生3人組の中の一人、篠木が魔女となったことから平穏な日々は終わりを告げる。
 その後を追って、一人は騎士に、一人は残りの行方を追うこととなった。
 そんな彼らを、撒井は見守ることとなり......

 ふむ、なんか雰囲気のある御華詩でした。正直、すっきりしないけれども、それも納得できる、そんな印象でした。確かに、昨今のライトノベル系では出てこないタイプの御華詩だったのは間違いありません。
 日常と非日常の交錯があり、高校生が命のやりとりをするようになって、それに気を揉む年長者が居て。視点キャラとしての撒井が傍観者であることを自覚しながらも出来る範囲でもどかしいなりに何かをしてやろうとする、でも、素直じゃなくて、その辺の描写に味がありました。ラッキーストライクの煙に巻かれたような、そんな言葉の数々は表現も若干奇を衒ったような言い回しもありますが、捻っていて雰囲気を出すのに一躍買っていますな。また、作者の意図かどうかはともかく、深読みすると、色んなメタファが読み取れます。まぁ、そこまで考えると相当疲れそうですが。
 何でしょうね、確かに流水大賞というモノに相応しい内容であったというのは間違いないと感じました。


 とまぁ、そんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ リライアンス・ブラック』です。
 が、先日完結し"文学少女"シリーズの読み返しも考えてるので並行して読み進めることになりそうです。

この広い世界にふたりぼっち

 葉村哲・著、七草・イラスト、 MF 文庫 J 。
 9月17日(水)読了。
 第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞佳作賞受賞作。

 孤独な少女は、街と森の境界で狼と出会う。
 人語を解する狼をおそれることなく、少女はその求婚を受け入れる。
 人と狼の夫婦。
 それは、互いに人と狼の稜線を侵す行為でもあった。
 かくして、少女と狼の世界はバランスを崩し始める......

 全体的に暗い雰囲気の御華詩なんですが、暗いからこそ微かな明かりが目立つというか、そういう趣のある作品でした。
 細かい部分では唐突に感じられる部分も多いのですが、そんな中にあって狼と人間の夫婦という部分がしっかり描けているのがよいですねぇ。人と狼だからこそある葛藤というか、そういったモノが自然に感じられれました。『憎しみ』という感情を軸にして世界と距離を置く視点で語られるのですが、そこここに色々と考えさせるモノがあって神話的なメタファが多用されていたようにも感じます。しかし、こんな性格で、ヒロインの名前が咲希(さき)というのは、その名前自体が痛烈な皮肉な気もします。
 新鮮なモノを感じさせる作品ではありましたが、シリーズとなるのかどうか、微妙な感じもします。ただ、次回作も読んでみたいと感じさせる内容ではありました。


 とまぁ、そんなところで次は『くうそうノンフィク日和』です。

ほうかご百物語 2

 峰守ひろかず・著、京極しん・イラスト、電撃文庫。
 9月15日(月)読了。

 いつの間にやら学内の怪異対策担当となった美術部。
 稲葉先生からの情報で屋上の危なげな気の調査に向かった真一とイタチさん。
 特に何も見つけられないで居るところに、突如響く犬の鳴き声。
 問答無用でイタチさんに襲いかかるのは、一人の犬神使いの少女......

 とまぁ、新キャラも早々に投入しつつの第二弾でありました。
 今回も、妖怪譚の使い方が楽しいですねぇ。一旦概念的なモノに解体した上で色んな要素を混ぜ込んで時に敢えて曲解してたりで、経島先輩の解説と合わせて効果的に用いられています。特に、河童の御華詩はなるほどなぁ、と思いました。
 また、語り部である白塚真一のキャラが一人称ではありがちっぽいようで絵描きマニアというかその辺が絡んで新鮮なキャラになっててそこもいいですねぇ。

 てなところで次は『この広い世界にふたりぼっち』です。
 

偽物語 上

 西尾維新・著、VOFAN・イラスト、講談社BOX。
 9月9日(火)読了。

 様々な怪異に触れた阿良々木暦の妹、阿良々木火憐と阿良々木月火。
 人呼んで『栂の木二中のファイヤーシスターズ』。
 近隣の中学ではちょっとした有名人である二人は、困った人を助けるちょっとした正義の味方の真似事をしていた。
 そんな中、とある事件に際して、彼女たちは出会ってはいけない相手に出会ってしまい......

 まぁ、そんな本筋があるにはあるのですが、8割以上が阿良々木暦とヒロイン達の漫才で構成されています。なんというか、こんなに笑ったのは久しぶりです。流石、『200パーセント趣味で書かれた小説』。仕込まれたネタもフリーダム過ぎます。まさか、こんなところで『烏丸ちとせ』なんて名前を目にすることになるとは思いもよりませんでした。

 とは言え、阿良々木暦の妹達に対する想いの描写は、いい具合にツンデレで素直じゃない感じが非常によかったです。こういう想いって実際にあるんでしょうねぇ。

 それと、読んでてふと思ったのですが、西尾維新の作品ってギャルゲ的に捉えると基本ハーレムルートなのは気のせいでしょうか(;^^) ネタバレるので具体的には書きませんがこれと他2作品は当てはまる気がします。

 でまぁ、そんな風に最大限に楽しんだのですが一つだけショックなことが...... ああ、羽川翼! なんでそんなことを! って理由は前作読んでりゃ分かりますが、だからって、だからって、それは、それはぁぁぁぁ! うん、確かにこれなら大騒ぎになるのも解ります(謎

 とまぁ、取り乱したところで次は期せずして『物語』繋がりな『ほうかご百物語 2』です。

神曲奏界ポリフォニカ~ジェラス・クリムゾン

 榊一郎・著、神無月昇・イラスト、GA文庫。
 9月8日(月)読了。

 神曲楽士の仕事の一環として、母校であるトルバス神曲学院の特別講師としてかり出されたフォロン。
 そんな中来る『トルバス・スピリット・フェスタ』の開催行事として学生達と共に模範演奏を行うこととなる。
 だが、その生徒達の中に、精霊嫌いを公言する異端とも言える女生徒が居て......

 かなり長く間が空いて途中読み飛ばしがないか不安になりましたが、大丈夫でした。
 今回のテーマはタイトルに有るとおり『嫉妬』、キーワードは『眼鏡・三編み』です。うん、これで間違ってない。

 そんなテーマの裏で『反精霊主義』というこの世界観の根底である『人間の善き隣人としての精霊』と真っ向から相反するモノが蠢いてこれまでに無い規模の事件が起きようとします。まぁ、まだ前編なので決着は後編ということでその辺りの顛末はまだまだ先のお楽しみのようですが、『反精霊主義』てのは確かにこの世界観ならあるべきモノなんですよねぇ。青の『精霊至上主義現実派』ってこの逆の立場の団体も有るわけですし。そう言えば、青、出ないですね......

 とまぁ、そんなところで次はアニメ化決定の『化物語』の後日譚『偽物語 上』です。

"文学少女"と神に臨む作家(ロマンシェ) 下

 野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
 9月2日(火)読了。

 すみれのような笑顔の先輩だった。
 困ったとき、苦しいとき、蹲る僕の手をそっと握って立たせてくれた。
 数々の物語を読み解いて、その闇を優しく照らす光を見いだしてくれた。
 そんな"文学少女"とその作家の御華詩......

 素敵な御華詩でした。
 この作品と出会えて本当によかったと思える、そんな作品でした。
 遂に完結して嬉しくもあり寂しくもあります。
 今は、この天から降り注ぐマナのように甘く優しい余韻に浸っていたい、そんな気分です。

 決して気楽に読める作品とは言い難い、でも、その重苦しく陰惨な中にも必ず暖かなモノを残してくれる、そんな"文学少女"の在り方。それは又『見立て』を美事に用いた良質のミステリとしての側面も示します。

 物語を様々な視点から深い奥まで見通し、登場人物の心情を読み解く。その時、すみれ色のリボンのセーラー服に長い三つ編みを揺らす"文学少女"は、鼻緒だけが赤い黒ずくめの拝み屋のようでもあります。そうして彼女が告げるのは、一見残酷な運命の中に秘められた優しさや思いやり、愛情といった暖かな感情を浮き彫りにし、事件の当事者達を絶望から救う福音。

 なんと残酷でなんと優しい物語だったのでしょう。
 この中には、人間の感情の闇と光がありありと浮かび上がっていました。
 今、私はただただその余韻に浸りたい。
 願わくば、狭い部屋の窓辺で、パイプ椅子に体育座りしながら、この本を手に......

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藤堂家はカミガカリ 2

 高遠豹介・著、油谷秀和・イラスト、電撃文庫。
 8月31日(日)未明読了。

 ハテシナという世界があった。
 そこは、この世界での神話の原形となった世界。
 その世界からとある事情でこちらの世界に常駐し、藤堂家の居候となった神一郎と美琴。
 一つの大きな事件から暫し、なんだかんだでハテシナからの異邦人を匿うこととなって......

 いやはや、軽妙な語り口でサクッと読める芸風はいいですねぇ。
 ただ、シリアス場面でも容赦なく笑いを取りに行くのは控えめになってるあたり、やっぱ前作のあれは賛否両論合ったんだろうなぁ、とか大人の事情を感じる2冊目でもありました。個人的にはあれが大好きだったんで、ちょっと笑い的に物足りないモノを感じたりもしました。とは言え、その代わりに『家族』というテーマについてユーモアを交えながら上手いこと描いてるなぁ、とも感じました。そっち方面に進むならそれもそれもありですねぇ。美琴は、今後大変そうですが。

 ......そして、なんで頑なに表紙に主人公的な神一郎と美琴を出さないんだ、この作品(;^^)

 とまぁ、そんなところで次はいよいよ最終巻! な『"文学少女"と神に臨む作家 下』です。

学園カゲキ! 4

 山川進・著、よし☆ヲ・イラスト、ガガガ文庫。
 8月28日(木)読了。

 四月、私立歌劇学園にも様々な夢を持つ新入生が訪れる季節。
 これは、新年度が始まって間もないある一日の物語。
 アクションスターを夢見てカゲキ・アクションクラブ(KAC)の門戸を叩く新入生、綾平きらら。
 小柄なことがコンプレックスの彼女は、部長の趣味で筋トレばかりの部活動に嫌気がさして......

 あれ? 拓海と九月は?
 という風に、今回は主役のバカップルはそっちのけで歌劇学園の『片想い』をテーマにして5つの視点で語られる連作短編といった体裁でした。『同じ1日を視点を変えながら描く』と言うことで伏線の配置と回収に意識すると中々勉強になりますな。まぁ、叙述トリック風味部分は期待を裏切ってくれなかったのがちょっと物足りないですが(;^^) 構成の都合とは思いますが、ところどころ投げっぱなし感があって気になったりもしますが、芸能特区とも言える歌劇学園という舞台を上手く利用した御華詩でした。正直、2冊目以降がこの短編が長編になったような感じで色んなキャラの視点の物語になっていくのかなぁ、とか思っていたので興味深い。ただ、全体として今までとがらりと雰囲気を変えた実験的な印象は否めませんでした。でもまぁ、ここからまた色んなキャラが活躍する御華詩が出てくればなぁ、と思います。

 とまぁ、そんなところで次は『藤堂家はカミガカリ2』です。

ギャルゴ!!!!!3 -地上最強G級大全-

 比嘉智康・著、河原恵・イラスト、MF文庫J。
 8月26日(火)読了。

 物干し竿で地方都市伝説に立ち向かう少年、田中春男、通称ギャルゴ。
 人間の女性に持てない代わりに人外に持てるMB(モノホシ・ボーイ)
 そんな彼の住む街に、今日もまた地方都市伝説略して地伝が発生する。
 今回の地伝は真幌市の女性達の身体の一部に劇的な変化を引き起こして......

 前回のオチの後始末をどうするかと思ったんですが、誤魔化さずに上手く伏線として活かしてますねぇ。また、いよいよ全ての地伝の元凶たる噂長(そんちょう)がなんだかなぁ、といった形で存在をアピールし始めたり、物語はしっかり動いています。

 ......でもまぁ、今回の地伝は『巨乳風邪』という何とも頭の悪い代物なんですが(;^^) まぁ、こんな風邪はさっさと治すに限りますね、ええ。

 あと『巨乳風邪』の後にもう一本短編として『死神召喚パラパラ』という話が入ってるんですが何気にこっちがすごくよかったです。生意気な妹の内面となんだかんだで大切にする兄の微笑ましい御華詩でした。表紙もこっちをフィーチャーしてますしねぇ。


 とまぁ、そんなところで次ぎは『学園カゲキ! 4』です。

狂乱家族日記 拾さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 8月22日(金)読了。

 狂乱家族の子育て騒動も一段落したころに届いた『世界会議』への案内。
 主催者の意図が全く読めない中、乱崎家の面々は特に危機感もなく家族旅行感覚で臨もうとしていた。
 しかし、そんな甘い考えは通用せず、彼らは大きな試練に晒されることになる。
 果たして、不解宮ミリオンは何のために『世界会議』を開こうとしているのか......

 段々と謎が明かされていく『閻禍伝説』編ですが、今回も大きな謎が明かされて物語も核心に迫っています。

 まぁ、そんなのそっちのけで相変わらずの狂乱...... と思ったらちょっと様相が違っています、というかいつも狂乱をまき散らす凶華様が珍しく弄られてたりしてて、今回の中心は不解宮ミリオン、でしょうか。

 内容は詳しく触れずに言えることは...... 月香、はっちゃけ過ぎ。前回で家族としての絆が強まったとは言え、方向性が(;^^) まぁ、積極的に動くようになっただけで、そんなにキャラ自体は変わってないような気がしないでもないですが、日日日の年齢的になんでネタがそんなに古いのか。でも、うん、お父さんとお揃いはいいことだと思います。

 何はともあれ、色々大変なことになりつつええところで終わってたので次が待ち遠しいです。

 とネタバレ避けてどうでもいい内容でしたがこの辺で日日日祭は終了して次は『ギャルゴ!!!!!3~地上最強G級大全~』です。

アンダカの怪造学 Ⅸ Hyper Samurai Soul

 日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
 8月18日(月)読了。

 一つの禁忌の終結から程なく。
 ”最終兵器”を補強する材料としての”決戦兵器”に怪造学会は掛ける。
 それは、もう一つの禁忌『物造』に関わるモノ。
 そうして、物造に夢を馳せた祖父を持つ少年と、物造の申し子の母を持つ少女が戦場へと向かい……


 いやはや、満を持しての侍少女の戦線復帰の物語。
 これまで仄めかされた戦橋舞弓に纏わる謎がどんどんと解き明かされて目の離せない御華詩でした。
 『物造』というキーワードですっかり鬼京と舞弓のコンビが定着してますが、今回はそれが非常にいい形で働きましたねぇ。
 伊依もすっかり『綺麗事を貫くだけの厳しさ』を得て相変わらず無茶してます。いや、あれを当たり前のように出来てしまうのは本当の強さですねぇ。
 また、その裏では全く怪造学の埒外に居る一人の少女の小さな恋物語でもありました。その結末は読んでのお楽しみ。

 これまで何人もの大物が登場し、いよいよラスボス戦が近づいています。次はどうなるのか…… 非常に楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は『狂乱家族日記拾さつめ』です。

魔女の生徒会長3~案山子たちのグランギニョル~

 日日日・著、鈴見敦・著、 MF 文庫 J 。
 8月14日(木)読了。

 あらゆる学生を受け入れる帝都世紀末学園。
 第三大日本帝国「子供の国」に存在する学園の通称「魔界」なC校舎でかつて起こった『みんなの友達』事件。
 それは、魔女の生徒会長、剣シロオがどうにか事件を中断させたモノの完全には解決出来なかった事件でもあった。
 それから半年が過ぎたある日、事件が再現され、C校舎の総代表「魔王」断花シャムから生徒会に解決の依頼が舞い込む。
 果たして魔女の生徒会長は、今度こそ事件を解決出来るのか……


 うわぁ、これはすげぇ。いい意味で心地よく騙された感の漂う、そんな御華詩でした。

 下敷きにされているのは、サブタイトルの『案山子』ととある登場人物の名前から繋がる『オズの魔法使い』なのですが、日日日の解釈が絡むとこうも凄まじい御華詩になるんですねぇ(;^^)

 因みに、タイトルの『グランギニョル』はまぁ、残酷劇とでも訳せるような代物。で、看板に偽りなし。まぁ、元々このシリーズはそう言った側面もありましたが、自覚的にやられるとかなりえぐいので人を若干選ぶ気もします。ただ、全体の雰囲気としては何か文学的ともとれて『ちーちゃんは悠久の向こう』などの新風舎での作品の空気を感じたのは気のせいか…… なんというか、看板に偽りがなかった割には不思議と読後感は悪くない、そんな作品だったように思います。

 とまぁ、そんなところでしばらく日日日が続くというわけで次は『アンダカの怪造学 Ⅸ Hyper Samurai Soul 』です。

人類は衰退しました 3

 田中ロミオ・著、山崎透・イラスト、ガガガ文庫。
 8月12日(火)読了。

 かつて栄華を極めた人類は衰退し、現在の『人類』と言えば妖精さんとなった世界。
 緩やかに滅び行く人間達は自らの記録を残す壮大な『ヒト・モニュメント計画』に着手する。
 その端緒となる都市遺跡の調査の影響で、久しぶりに通電した”わたし”たちの居るクスノキの里。
 ”わたし”が今までになく忙しく調査の準備を進める中、妖精さんたちは突然里帰りとなって……

 相変わらずゆるゆるした雰囲気は語り部の”わたし”の影響ですが、今回は何かこの作品世界の核心に迫る事実が明かされたり相当ハードな危機的状況だったりで濃い内容でした…… が、やっぱりゆるいですねぇ。なんでしょう、こんだけのサバイバルやらバトルをこれだけ暢気で緩く描けるのは何気に凄いことだと思います。最後の落とし方も、”わたし”らしい締め方で安心です。

 それと、助手さんが作中で書いてた絵本が面白すぎます。いいなぁ、あのオチ。

 とまぁ、そんなところで次は『魔女の生徒会長3 案山子たちのグランギニョル』でここからしばらく日日日作品が続きます。

SHI-NO -シノ- 空色の未来図

 上月雨音・著、東条さかな・イラスト、富士見ミステリー文庫。
 8月9日(土)読了。

 『僕』の元に届いた懐かしい友からの文。
 その文に導かれ『僕』は志乃を大阪に残し、高校時代を過ごした福岡の両親の元へと帰る。
 そして、『僕』は思い出と対峙することになる。
 そもそも、切っ掛けとなった文の差出人。彼女は、既にこの世にいないのだから……

 今回は、何かと志乃のストッパー、等というと生やさしい気もしますが非常に微妙なバランスを保つ役割を演じてきた語り部の『僕』の物語。何でしょう、これまでとは少し雰囲気を異にしているようで、よくよく考えれば初期のテーマに立ち返ったようにも感じられるそんな御華詩でした。何故か、読んでて麻耶雄嵩の作品を想い出しました。ミステリとしては異質なんですが、これはこれでありというか。志乃と向き合う『僕』という存在の役割がより深まる、そんな側面もあったように感じます。

 こうして、必要な舞台は整った、というところでしょうか。次回はいよいよ、初期から言及されつつも詳しくは語られなかった、あの事件の御華詩。これは楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は『人類は衰退しました 3』です。

生徒会の三振~碧陽学園生徒会議事録3

 葵せきな・著、狗神煌・イラスト、富士見ファンタジア文庫。
 8月5日(火)読了。

 碧陽学園生徒会では、夏休み前の全校集会で出し物を行うことが伝統となっていた。
 夏休みに向けての生徒達の気持ちを引き締める大切な催しと、生徒会の面々は一丸となり案を検討する。
 そうして、今年も、生徒会の名に恥じぬ出し物が……

 出来るはずがないのが碧陽学園生徒会と言う訳で、相変わらずの軽妙な漫才でありました。
 うん、狭い範囲での漫才でよくこれだけ続くなぁと思ったり、やっぱり富士見以外のネタが多くて大らかだなぁとか思ったり、サラッと楽しめる作品でした。
 とは言え、三冊も重ねればそろそろシリーズ要素が出てくるというか、1冊目から続いていた伏線がようやく本編に絡んできそうなような、そうでもないような進展もあったりします。その辺りで用いているメタな構造は結構おもしろいです。


 とまぁ、そんなところで次は『 SHI-NO -シノ- 空色の未来図』です。

きみとぼくの壊れた世界

 西尾維新・著、講談社。
 8月3日(日)未明読了。

 『持てる最大の能力を発揮して最良の選択肢を選び最善の結果を収める』ことを心情とする櫃内様刻。
 これは、妹を溺愛する彼の友情と恋愛と身近に起こった殺人事件に纏わる物語......

 これは、講談社ノベルスで過去に発行された同名小説に加筆・修正してハードカバーの装丁で愛蔵版的に発売されたモノです。勿論、ノベルス版は既読なのですが、間が4年以上開いている上に当時 CGI の掲示板に書いてた感想はスパムに流されて消えるという哀しい運命を辿ったために違いは分かりませんでしたが、なるほど、こういう御華詩だったというのは思い出せました。そうだそうだ、くろね子さんはこういう人ですな。

 ミステリだけに下手なことを語れないの大筋が手抜きもいいところですが多分、外してはいないはず。まぁ、全体的にアンチミステリ的であり、安置ミステリでもある、そんな雰囲気の御華詩です。ミステリ入門的とも言えますかねぇ。相当ひねくれてますが。

 まぁ、直前に読んだ『きみとぼくが壊した世界』の確認的に読んだのですが、時間は掛かったモノの色々思い出せて有意義な読書となりました。


 とまぁ、そんなところで次は心機一転『生徒会の三振』です。

きみとぼくが壊した世界

 西尾維新・著、 TAGRO ・イラスト、講談社ノベルス。
 7月27日(日)読了。

 修学旅行券卒業旅行として、病院坂黒猫と櫃内様刻は二人でロンドンへと向かうこととなる。
 しかしそれは、黒猫の親類の笛吹という男の依頼を兼ねてのことだった。
 それでも存分に観光を楽しもうとする黒猫と様刻は思いも掛けない事件に遭遇することとなった……

 いやはや、確かに、これは本格ミステリ、と行ってもよいのでしょうな。ですがそれだけに、非常に楽しい作品ではあったのですが、内容は全く持って語りようがないです。というか、ネタバレずに語るのが非常に難しい作品と思います(;^^) 古典的な手法を敢えて今使ってみたような実験的な作品というか、2作品ほど有名どころを想い出しますが、それを上げた時点でネタバレでしょうから語りづらい……

 しかし、黒猫ってこんなに魅力的なキャラでしたっけ? もう『きみとぼくの壊れた世界』読んでから大分経つ上にこの作品の特殊な性質のためにすっかり分からなくなってしまいました(;^^)

 そんな訳で次は予定を変更して急遽半ば記念購入だった『きみとぼくの壊れた世界』(ハードカバー版)です。

シゴフミ2

 雨宮諒・著、ポコ・イラスト、電撃文庫。
 7月24日(金)読了。

 新米消防士の桜井進が偶然受け取った急ぎのシゴフミ。
 幼い字で綴られたその内容は、火事場から妹を救って欲しいと求めるもの。
 しかも、すぐに出動が掛かり現場はその手紙に記された場所だった。
 現場でその手紙の内容を信じ、美事にシゴフミに記された想いを叶える。
 それが切っ掛けで進は街の英雄と称えられるようになるのだが……

 そんな『英雄になる瞬間<とき>』と、差出人が『猫』という希有なシゴフミに纏わる『青い空、白い猫。』。恋のキューピッドを演じる少女が、自身の恋に葛藤する甘く切ない『キューピッド』の三編。

 シゴフミ=死後文という主題から『死』が常につきまとう御華詩。どうしても手放しでハッピーな御華詩にはなりようも無いのですが、暖かくて切ない、そんな感じの雰囲気はいいですねぇ。アニメの方は結構ダークな路線だった気もしますが(;^^)

 とまぁ、そんなところで次は『きみとぼくが壊した世界』です。

とある魔術の禁書目録16

 鎌池和馬・著、灰村キヨタカ・イラスト、電撃文庫。
 7月22日(火)読了。

 アヴィニョンでの騒動も終わり、平穏な日々を過ごしていた上條当麻。
 ある日、そんな彼の元に天草式十字凄教の五和が訪れる。
 その理由は、『護衛』。
 何と、『神の右席』が一人、後方のアックアが当麻の右腕を狙うと、イギリス清教・学園都市双方に堂々と宣戦布告をしたのだった。
 現れたアックアの『聖人』と『神の右席』の両者の力を併せ持つ圧倒的な力の前に当麻達は……

 こないだ再登場したと思ったらやたらと優遇されてますね、五和。おしぼりキャラはいつのことか……
 そんな訳で、今回は五和を中心として天草式がメインですねぇ。いやはや、天草式は楽しいよの。
 で、その元女教皇様は相変わらずいじられキャラというかなんというか(;^^)
 また、天草式との関係の中で当麻がこれまで築いてきたモノの結実も示されます。彼を守るためにこれだけの人間が動くという。ただ、それは彼の望まないことでもあり、複雑なところですがねぇ。

 とまぁ、核心は外して曖昧にしつつこの辺りにして、次は『シゴフミ2』です。

暴風ガールズファイト

 佐々原史緒・著、倉藤倖・イラスト、ファミ通文庫。
 7月17日(木)読了。

 幼稚園からの一貫教育のミッションスクール、聖ヴェリタス女学院。
 高等部に進学した麻生広海はそれまで通り級長に任命され、一人中途入学者の面倒を見るよう教師に頼まれる。
 その彼女、五十嵐千果はラクロスで日本一を目指す、自称「嵐を呼ぶ、女」。
 だが、ラクロス部は何年も前に同好会に格下げされていた!
 それでもめげず、千果は日本一を目指して、それ以前に先ずは部昇格を目指して、仲間を集め始めるのだった。
 広海も立場上、その面倒を見る羽目になって……

 これは、いい。
 プロット的にはよくあるパターンなのですが、扱うスポーツがラクロスという少し珍しいモノであるのと、何よりキャラの配置が絶妙で、読み終わって非常に心地よい作品でした。語り部の広海のキャラも、きっちり後半で活かされて、ドタバタしてるのにきっちり収束するのが素敵でした。あと、そんなノリで嶋さんも全然伏せずに堂々とかましてくれる濃いネタも上手く中和してましたねぇ。まさか、あんなネタまで…… とか。

 ストーリーについてはいつもの方針でネタバレるので詳しくは書かず、取りあえず近いうちに2巻も読みたいと思います。うん、こういう作品を読むと色々といい気分になりますねぇ。

 とまぁ、そんなところで次は『とある魔術の禁書目録16』です。

神曲奏界ポリフォニカ メモワーズ・ブラック

 大迫純一・著、BUNBUN・イラスト、GA文庫。
 7月16日(水)読了。

 ある休日、管理人のカリナにアパートの大掃除を命じられたマナガとマティア。
 一段落付いて玄関先で休憩していると、突然目の前にスクーターが横付けされる。
 そこから降りてきた少女の姿に、マティアもマナガも驚かされる。
 そして、その少女との出会いを、想い出す……

 もうやっぱり渋いと評したくなる、そんな黒のポリフォニカ第七弾。
 過去話というか、これまでにも若干言及されていたマティアの大切な友人、シェリカとの出会いの物語。
 正統派のミステリで非常に心地よいですねぇ。まぁ、その為に、内容に踏み込むとネタバレになって余り語れないのが難点ですが、シェリカの存在は今後も大きいモノとなりそうで楽しみです。つか、そうか、シェリカそうなのか(謎

 とまぁ、そんなところで次は『暴風ガールズファイト』です。

BAMBOO BLADE ~合宿と呪いの竹刀~

 町田双路・著、五十嵐あぐり・イラスト、スクウェア・エニックスノベルス。
 7月14日(月)読了。

 室江高校剣道部の面々は、キリノの号令一下『伝統の合宿』を行っていた。
 先ずは道場の大掃除。用具室の掃除を担当し不要品を整理していた都は、一本の古びた竹刀を発見する。
 雲竜の模様の付いた鍔が印象的で、握ると不思議としっくり来る。
 でも、やはり余りの年代物。不要品として捨てることに決めてゴミ処理場へと持って行く。
 しかし、その後、キリノ達から呪いの竹刀の噂を聞かされて……

 とまぁ、そんな感じでいつもの室江高校の面々、特に都を中心とした合宿話でした。うん、原作の雰囲気がよく出ていて楽しめる御華詩でした。ドタバタながら、プロットがしっかりしていて押さえるべきは押さえた内容で安心して読めます。こういうノベライズは当たり外れが多いんですが、これは当たりですねぇ。ミヤミヤが優遇というか不遇というかそんな感じで、ファンの方には嬉しいかも知れません。意外な一面というか、そう言うモノが見れるかもしれません。その後の安全は保証しかねますが。

 そんなところで、次は『神曲奏界ポリフォニカ メモワーズ・ブラック』です。

神様が用意してくれた場所3~いつかの少年

 矢崎在美・著、Fuzzy・イラスト、GA文庫。
 7月11日(金)読了。

 探偵事務所のバイトで、ちょっとした特技(?)から不思議事件担当になってしまっている香絵。
 そんな彼女が今回関わることになる事件は母親からの息子の学校での素行調査依頼。
 それだけなら、探偵事務所にとっても別段珍しい事件でもない。
 ただ一つだけ奇妙なのは、その息子は既に四年前に死んでしまっていて……

 なんというか、優しい雰囲気の物語第三弾。
 今回のテーマは親子…… かな? 読んでいて、切ないんだけれど暖かい気持ちになれますねぇ。やっぱり、時折はこういう作品を読まないとなぁ、と思える良作でした。短くてさらっと読めるのも有り難いです。

 とまぁ、そんなところで次は『小説 BAMBOO BLADE 合宿と呪いの竹刀』です。

えむえむっ! 5

 松野秋鳴・著、 QP:flapper ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 7月9日(水)読了。

 ある日、嵐子から突然の虐待を受けた太郎。
 それ以来、嵐子は太郎にどこか無理していながらも執拗に酷い仕打ちを行い始める。
 全く原因に思い至らず頭を悩ませる太郎だったが、実はその原因は……

 特殊な性癖の皆さんが繰り広げるドタバタ喜劇。今回は、ラブコメ成分が増量された感じの第五巻ですな。
 なんでしょう、もう、『天才少女の暴走パニック』とか悪のり最高潮で展開が読めるのがここまで行くと面白いですねぇ。絶対、あれやると思った……
 あと、語り部である太郎が記憶喪失になる話は、しっかり『記憶のない状態の一人称』で語られてて何気に上手いです。しかも、記憶喪失を使って上手く処理しましたしねぇ。無茶苦茶な登場人物の割に話はしっかりしてるのがよいですな。


 とまぁ、そんなところで手元の MF 文庫 J はこれにて消化完了なので次は『神様が用意してくれた場所3~いつかの少年』です。

ギャルゴ!!!!!2 -地域限定焼餅大全-

 比嘉智康・著、河原恵・イラスト、MF文庫J。
 7月8日(火)未明読了。

 ギャルゴの異名を持つ田中春男は地方都市伝説に物干し竿で完全と立ち向かう運命。
 そんな彼は、ある日つっぱり棒を持った少女と出会う。
 折しも謎の都市伝説が発生しており、どちらが先に解決するかという話になり……

 いやはや、やはり楽しい作品ですねぇ。文字の密度は高いんですがやっぱりウィットが効いた表現がいい緩衝材になって文字数を感じさせない御華詩です。

 また、伏線の張り方も丁寧でよいですねぇ。まぁ、丁寧すぎて初っ端から今回最大の謎な着物女の正体は登場した瞬間から必要充分なヒントが揃ってるのでバレバレでした。が、だからこそ、そこから先に伏線が登場する度に「ああ、これはこういうヒントね」という感じで丁寧さを感じた訳です(;^^)
 
 とは言え、今回はそっちよりも、ラブコメ路線に重点というか、色々とフラグが設定されていて、無意識に回収していく春男。流石ギャルゴ。そんな御華詩でもありました。

 ……というか、このラストの後始末どうするんだろう? 次が楽しみです。


 と言ったところで次は『えむえむっ!5』です。

姫宮さんの中の人5~卒業・オラトリオ~

 月見草平・著、EiN・イラスト、 MF 文庫 J 。
 7月4日(金)読了。

 二学期の終業式も近づいた冬の日。
 純人との訓練の甲斐あって、ちひろの病は治りつつあった。
 高校生活最後の三ヶ月をありのままの姿で過ごすため、終業式で全校生徒に全てを告白する決意をする。
 だが、あと二日というところでとんでもないハプニングが起こって……

 『姫宮さんの中の人』完結!
 姫宮ちとせと、星野純人の成長の物語…… だったと思いますが、いやはや、すがすがしい大団円でした。
 ネタっぽいタイトルですが、これ以上無いくらい作品のテーマを端的に表現していて、その設定がブレることなく綺麗に終着を迎えるのを見届けるのは心地よいものでした。
 最後の最後も、やってくれましたねぇ。このオチは本当に予想外ですが最高のラストとも言えます。
 浦乃の台詞が全てを物語ってますが、それを許せるだけの積み重ねがあったなぁ、と感じました。
 本当、この作家の次回作にも期待です。

 とまぁ、そんなところで次は『ギャルゴ!!!!!2-地域限定焼餅大全-』です。

地を駆ける虹3

 七位連一・著、光崎瑠衣・イラスト、 MF 文庫 J 。
 7月3日(木)読了。

 遂に仲間を救う術の手掛かりを得たネイブ。
 目指すはロスブリュック。
 だが、戦士団の向かう先は全くの逆方向。
 本来の目的の為、戦士団の脱退を申し出たところで事態は急変。
 海王石戦士団の裏切りにより、ネイブ達薔薇輝石戦士団は急遽、港町アジェントンを目指すことになる。
 偶然にも、それはスブリュックには近づくことになる。
 こうして、ネイブは戦士団を抜けることなくアジェントンを目指し……

 ようやく、道具立ても揃って物語の道筋が付いたというところですねぇ。
 自身の愚かしさから大切なモノを根こそぎ奪われたネイブ。
 その負債をようやっと返し始めたといったところでしょうか? 何かとご都合主義的な部分もありますが、そういった意味での成長譚としていい感じになってきました。
 どうオチを付けるのかは非常に気になるので今後も追いかけていきたいと思います。

 とまぁ、そんなところで次はいよいよ完結!『姫宮さんの中の人5~卒業・オラトリオ~』です。

ギャルゴ!!!!! -地方都市伝説大全-

 比嘉智康・著、河原恵・イラスト、MF文庫J。
 6月30日(月)読了。
 第三回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞優秀賞受賞作。

 物干し竿占い師の祖母を持つ少年、田中春男。
 地域限定の噂、通称『地方都市伝説』の息づく街に生きる彼は「人間以外の多くの女性に愛される」と予言されていた。
 予言は的中し、何とも偉大ながら女子に不名誉な「ギャルゴ」という渾名を頂戴することとなった春男は、やがて、祖母の真の役割を引き継いで……

 『地方都市伝説』という言葉の響きや、細かい描写のウィットが中々に楽しい作品でした。
 文字の密度が高い割には、テンポよく読める、そんな物語。
 何より、タイトルにもなってる春男の渾名の設定が印象的でした。なるほどなぁ……
 大雑把には、物干し竿で『地方都市伝説』と闘う御華詩、で間違っていないと思います。荒唐無稽な構図を自然と成り立たせていていつの間にか物干し竿が凄い武器に見えてくる…… かもしれません。
 すっかり出遅れて読み損ねてましたが、このシリーズ、次も確保してあるので続けて読んでいきたいと思います。


 とまぁ、そんなところで次は『地を駆ける虹 Ⅲ』です。

フレンズ×ナイフ

 星家なこ・著、後藤なお・イラスト、MF文庫J。
 6月26日(木)読了。

 一見大人しい女子高生、橘あかり。
 彼女は、少し人と違った境遇で、裏では特殊な仕事をしていた。
 そんな折り、一人の少女の護衛の依頼を受ける。
 偶然にも、その少女はクラスメートで……

 特殊な境遇故に、人と距離を置く少女達の物語、ですかねぇ。
 また、裏の仕事の関係もあって目立たず他人との距離感を計って過ごしていたあかりの心境の変化とか、タイトル前半にある『友達』というモノの在り方をいい感じで描けていたと思います。
 後半の、ナイフについては、まぁ、特殊能力の設定が若干ご都合主義的に感じる部分もありましたが、概ねまとまってはいたと思います。眼鏡による人格変化は、よくあるパターンとは逆転させてはいますが、順当な感じです。まぁ、今回は物語の構図の提示のようなモノで、今後シリーズとなりそうなので、続きも読んでいきたいと思います。

 とまぁ、そんなところで次は『ギャルゴ!!!!!』です。

死神ナッツと絶交デイズ

 早矢塚かつや・著、夕仁・イラスト、MF文庫J。
 6月24日(火)読了。

 小石川幌右(こいしかわほろう)、通称ホローは夜の学校で自称『死神』の少女ウォルナッツと出会う。
 それからホローは毎夜、決まった教室に現れる少女と『部活』と称して何かしら遊んでいた。
 ホローのクラスで席替えがあり、未来が夢で見えるという少女、嘉島詩夏(かしましいな)と席が隣り合った日。
 夜の『部活』の後、川に流された何かを追っていた少女、星澄夜空(ほしずみよぞら)を手伝った日。
 そこから世界の可能性が変わり始める。
 その変化をホローが自覚し、ナッツに相談したとき、彼は詩夏と夜空の世界、どちらを選ぶのか究極の決断を強いられることになる……


 『悠久展望台のカイ』から二年弱ぶりの個人的に待望の新作だったのですが、期待を裏切らない出来でした。
 物語の構造がミソなのでネタバレしない程度に語るのは難しいのですが、量子論的な世界観とシュレーディンガーの猫を上手く取り入れて良質のSFとなっていたと思います。
 登場人物も魅力的に描かれていて、それだけに最後まで気が抜けない御華詩となっていました。シリーズ物ではなく、こういった一冊で綺麗にまとまった作品と言うのは読んで安心します。この作家の次回作も楽しみにしたいと思います。

 とまぁ、そんなところで次は『フレンズ×ナイフ』です。

かのこん10~おわりのはじまり~

 西野かつみ・著、弧印・イラスト、MF文庫J。
 6月22日(日)読了。

 陰謀の波に飲まれ、囚われの身となったちずる。
 耕太は御方様の保護を拒絶し、アイジンの望と共に、ちずるの居る薫風高校へと向かう。
 しかし、その道中には<葛の葉>が待ち受けている。
 果たして、二人は無事にちずるを救い出せるのか……

 ふむふむ、前回に引き続いてバトル分豊富で燃える展開です。色んな人たちが再登場していたりして、今までの積み重ねが活きてますねぇ。アニメの方はネタっぽいですが自主規制で無料配信を辞めちゃったりとかありましたが、そっち方面だけでなく、こういった部分も魅力ですねぇ。今回はそっち方面はそんなに無いです。でも、最終的には『わいせつ王子』に落ち着いたりはしていました。今までの耕太の異名の中で一番しっくりくる気がします。

 話の根幹に関わる部分も仄めかされて次では明かされる様子。本来ならこの巻でケリが付くはずでしたがそうはなっていないので次巻を楽しみにしたいと思います。

 と言ったところで次は『死神ナッツと絶交デイズ』です。

アストロノト! 3

 赤松中学・著、 bomi ・イラスト、MF文庫J。
 6月19日(木)読了。

 ネロの脅威が去り時は過ぎたモノの、未だにレンビアに思いを告げられないノト。
 貴族達の集まる年末のパーティーをチャンスとばかりに様々な計画を練っていたモノの大きな番狂わせが生じる。
 なんと、レンビアが大王に見初められたのだ!
 このままではレンビアが王妃になってしまうと思い悩む日々の中、追い打ちを掛けるように起きた事件を受け、ノトはまたも火星を目指し宇宙へ出ることに……

 いやはや、科学と魔法が逆転した世界観で繰り広げられるSF。今回は火星探索を主軸に、更にその辺りの世界観が掘り下げられています。
 一方では、今までの登場人物の配置を非常に巧みに使って舞台が整えられていて楽しめる御華詩でした。そうして、結構面倒になるつじつま合わせも若干やり過ぎな位に綺麗に纏められていて美事でした。物語として一段落した感もありますが、完結とは明記されてないのでどうなるのやら…… 何となく、ここで終わるのが綺麗とも思えます。

 とまぁ、そんなところで次は『かのこん10~おわりのはじまり~』です。

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 2

 三浦勇雄・著、屡那・イラスト、MF文庫J。
 6月17日(火)読了。

 ルークの元へ、突如現れた従者を連れた少女。
 彼女はルークを刀鍛冶と見込んで帝国へ召致すると言う。
 一方、セシリーの元にもアリアを狙う三人の少女剣士が迫る。
 彼女たちの目的は……


 とまぁ、相変わらずな雰囲気の熱血女騎士セシリー・キャンベルと、偏屈な刀鍛冶ルーク・エインズワースの物語待望の第二弾!
 いや、ホントに待望でした。で、待った甲斐あってまた熱い。主人公が女だろうと握った拳は男女平等。感情の赴くまま己の進ずる道を突き進むセシリーが素敵です。幾つか、心打つ台詞もありましたが「私は頭が悪い」と言うだけであれだけ熱いモノを伝えられるヒロインってのも凄いですなぁ。痛快娯楽作品と言うに相応しい良作であります。ようやっとタイトルロールも出てきたところで、次からの展開も楽しみです。

 と、そんなところでMF文庫J消化期間につき次は『アストロノト3』です。

魔女ルミカの赤い糸3~錆びついた時計台~

 田口一・著、カズオキ・イラスト、MF文庫J。
 6月16日(月)、読了。

 中間試験に備えて琴也は留美華と共に勉強に勤しんでいた。
 勉強はあまり芳しくないモノの穏やかな日々の中、やってきた一人の転校生。
 飛び級で三年生にやってきたアリシアは何故か琴也のことをよく知っていて……

 前巻でお膳立てされた流れに乗る形での三冊目。相変わらずの魔女らしい淫靡さを醸す内容でありました。
 というか、双子幼女再登場はともかく…… うん、なんだか色々問題ありそうですが深く考えないようにします。
 惜しむらくは霜月実弥の出番が少なかったことですねぇ。木乃実がいるからいいやとかいうほど堕ちてないですよ?(謎

 とまぁ、そんなところで次は『聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)2』です。

死神のキョウ

 魁・著、桐野霞・イラスト、一迅社文庫。
 6月13日(金)読了。

 笹倉恭也が木から降りられなくなった猫を助けようとしていると、奇妙な少女が現れた。
 長い黒髪と黒いマントを風に靡かせながら宙に佇む、金色の瞳を持つ少女。
 手に持った刀を一閃させ、美事に切り株を作り出した彼女は「死神」と名乗ったのだった。

 ふむふむ、若干展開が唐突だったりする気もしますが、全体的にテンポのよい読みやすい御華詩でした。ただ、決して軽いだけじゃなく結構重いというかきつい展開もあったりしますんで油断は出来ません。まぁ、死神ってテーマ扱う以上こうなるんでしょうが。でも、その役割に関する解釈は中々興味深いですね。
 しかし、ヒロインの性格に既視感があるというか...... そういう趣向なのでしょうな(;^^) こっちは杏ではなく鏡ですが。

 とまぁ、そんなところで、次からしばらくMF文庫消化期間ということで『魔女ルミカの赤い糸 3』です。

ゼロの使い魔14~水都市の聖女~

 ヤマグチノボル・著、兎塚エイジ・イラスト、MF文庫J。
 6月11日(水)読了。

 教皇即位三周年式典でロマリアを訪れていたサイト達。
 しかし、華やかな舞台裏ではガリア王ジョゼフの野望を打破する思惑があった。
 苦悩の末、ルイズはロマリアへの協力を決める。
 しかも才人は元の世界へ返してしまって......


 いやはや、益々面白くなってきました。アルビオン戦役の比にならぬ、戦が起きようとしています。
 そんな中、帰郷手段を見つけた才人の選択。そして、ルイズの選択。すっかり引き込まれて思わず一気に読んでしまいました。
 気がつけば14冊と巻を重ねて登場人物達も成長して、特にギーシュがどんどん中身伴ってカッコよくなってきましたねぇ。流石は水精霊騎士隊長。
 そして、もう一つのルイズの if の答えもあったりしますが...... ああ、確かにこうなりますわな。

 とまぁ、そんなところで次は『死神のキョウ』です。

戦う司書と終章の獣

 山形石雄・著、前島重機・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
 6月10日(火)読了。

 それは、突然訪れた。
 世界の理が変わるその瞬間を誰も予期してなど居なかった。
 程なく衛獣の異変を押さえるべく集結した武装司書達は、突如明かされた武装司書の真実に衝撃を受ける。
 武装司書は戦う意味を失い、世界中の人々の物語が悉く終わりを告げようとしていた……


 『幸福』というキーワードに基づく神溺教団と武装司書の戦いを根底として繰り広げられた戦いの日々。
 時に凄絶な、時にささやかな『幸福』を巡って多くの者が命を落としてきました。
 その積み重ねが行き着いた先がこの結果となるとは、とんでもない展開です。
 今回で、ほぼ全ての根幹が遂に明かされた訳ですが、いやはや、まさか、こう来るとは。
 前回の宴も既に遠い過去。急展開もいいところです。文字通り世界を揺るがす事態となり、どう物語が終わりを迎えるのか全く予想が尽きません。だから、今はただ、次を楽しみにする、とだけ。


 とまぁ、そんな訳で次は『ゼロの使い魔14~水都市の聖女~』です。

学園カゲキ! 3

 山川進・著、よし☆ヲ・イラスト、ガガガ文庫。
 6月9日(月)読了。

 自他共に認める会澤拓海の親友、加賀雅弥。
 彼は、人知れずかつて歌劇学園に在籍していた女性の行方を追っていた。
 何故、追いかけるのか?
 そこには、彼の過去が深く関わっていて……

 そんな感じで今回は今までサブに徹していたクールな外見を装った熱い男、雅弥がメインの御華詩。
 プロット的には、やっぱりありきたりな感じですが、登場人物達の動きでカバーされてて、特に、雅弥の熱い部分がよく描かれていたのがよいですねぇ。
 ただ、今回はちょっと中和しきれないというか、重要なミッシングリンクがバレバレ過ぎて興醒めだったのが残念です。もう少し、解りにくく描写されてたらよかったのですがねぇ(;^^)

 と、そんなところで次は『戦う司書と終章の獣』です。

神曲奏界ポリフォニカ まぁぶる 2

 大迫純一、高殿円、榊一郎・著、兎塚エイジ、 BUNBUN ・イラスト、 GA 文庫。
 6月6日(金)読了。

 ジョッシュの別荘を訪れたスノウドロップ達。
 休暇で湯治の名目で温泉街を訪れる、マナガとマティア。
 女性達に囲まれて釈放祝いに温泉に来ることになったレオン。
 ツゲ神曲楽士派遣事務所慰安旅行で温泉街にやってきた面々。
 これは、”温泉”をテーマに語られる物語。

 いやいや、またしても4色入り乱れての短編集。まぁ、青はマンガだけなのがちと残念ですが(;^^)

『リーズンズ・ホワイト』

 前の本編の結果により、実家に帰りづらいために別荘に帰ったジョッシュに招かれたスノウ達が出会う、少し変わった精霊達の御華詩。
 まぁ、或る意味、この短編集全ての発端です(;^^)

『みすていく・ぶらっく』

 人事課職員から、休暇が消化できていないことをとがめられたりするほど休めて居ないので、とある目的もあって温泉を湯治がてら訪れたマナガとマティアが繰り広げるドタバタ劇。珍しく、ドタバタしてるのがよいですねぇ。

『れおん・ざ・りたーなー』

 以前の誘拐事件の結果、拘束されたモノの無事に釈放された頃の御華詩。
 レオンの侠気と、因縁が見え隠れして渋い一作。

『どらんく・くりむぞん』

 タイトルの通り。ユフィンリー達事務所の面々が酒を飲めないフォロンを覗いて乱痴気騒ぎをしてしまう御華詩。
 で、何気にオールスター登場。つか、やっぱり最終的にそうなるのか…… もしもそうだとするととんでもない結果が示された御華詩でもあります。

 とまぁ、そんなところで、次は『学園カゲキ! 3』です。

狂乱家族日記 番外そのさん

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 6月5日(木)読了。

 暗殺者の父からその技術を叩き込まれた竜骨寺柊雨。
 しかし、彼は父の後を継がず、幼い妹と共に母の残した中華料理屋『謝々飯店』を継いでいた。
 これは、そんな数奇な中華料理屋とご近所の狂乱家族の交流の物語……


 ……でそんなに間違ってないと思われる、そんな番外編でした。いやはや、作者自身も言っていましたが、どれも心温まる御華詩で非常に心地よい読後感でした。

 以下、ものすごく簡単な個別印象など。


【謝々!暗殺中華!】

 アニメで先にオチを知っていましたが、それでも活字で読むとええですねぇ。狂乱家族といい関係になれそうですな。
 つか、狂乱家族はここ以外出入り禁止っぽいですが。

【雨宿りデカメロン】

 『謝々飯店』と同じ商店街の韓国料理屋の娘と、デカメロンの意地っ張り同士の交流物語。つくづくいい奴だなぁ、デカメロン。

【チクタクワニに気をつけろ♪】

 今回の中でも珠玉の優歌と兄の役に立ちたい一心の竜骨寺椿姫の奮闘物語。でも、最凶小学生コンビ誕生の瞬間かも知れませんね、これ。

【サクラチラリズム】

 あの旅行会社の社長令嬢、桜井ちえり再登場! うん、ちえりの立ち位置は確かに狂乱家族日記には必要ですねぇ。だからこそ何気に人を見る目が確かな凶華になんだかんだで気に入られてるんですよね。
 で、内容的には…… 優歌の黒さが光ったり月香の芸風が変わったり、が印象的でしたねぇ。


 とまぁ、こんなところで次は『神曲奏界ポリフォニカ まぁぶる2』です。

傷物語

 西尾維新・著、VOFAN・イラスト、講談社BOX。
 6月3日(火)読了。

 高校生最後の春休み。
 終業式の後になんとなく校内に残ってぶらついていた阿良々木暦は、優等生の羽川翼を見掛ける。
 そこに一陣の風が吹き、巡り巡って暦は吸血鬼と出会ってしまう。
 これが、彼の傷の物語の始まりだった……

 アニメ化と衝撃的に告げられた『化物語』の前日譚。
 『こよみヴァンプ』というサブタイトルの通り、『化物語』の時点の暦の立ち位置が出来上がるまでの御華詩です。
 キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと、阿良々木暦の傷とはいかなるモノか? それがどのように構築されたのか? が語られます。

 なるほどねぇ。まぁ、『傷』なんて仰々しい名詞を関していますが相変わらずの漫才も満載。
 というか、それ以上にところどころなんというか…… 遊んでますねぇ、西尾維新(;^^)

 また、これは読み方によっては眼鏡三つ編みで委員長の中の委員長、羽川翼の物語でもあります。彼女の傷はまだこの時点にはなく、少し後になるのだけれども、そこに至る道筋はこうして出来ていた、という御華詩。

 とまぁ、そんなところで次は『狂乱家族日記 番外そのさん』です。

狼と香辛料 Ⅷ ~対立の町<上>~

 支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
 6月1日(日)読了。

 目的を新たに旅を続けるロレンス達。
 『狼の足の骨』の情報を求めてエーブを追い向かったのは港町ケルーベ。
 川を挟んで南北に分かれ対立構造を持つこの町で、ロレンスは自身の矮小さを知る。
 そんな最中、町は俄に騒がしくなりロレンスは……

 いやはや、新しい顔ぶれが追加されて益々掛け合いが楽しくなってきましたねぇ。
 そして、ホロとの関係の中で商人としての思考と一人の男としての思考という考え方の違いを受け入れてきたところで、今回は商人としての考え方の中で大きな変化のある御華詩。どんどん話が大きくなっていきますが、落としどころがどうなるのか? 結末は下巻ということで次が楽しみです。

 とまぁ、現状発刊されている分は読み終えたので次は『傷物語』です。

狼と香辛料 Ⅶ ~ Side Colors ~

 支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
 5月30日(金)読了。

 麦の神として祭られるよりも以前。
 ホロは、海を目指す旅の少年少女と出会う。
 だが、狭い世界しか知らない二人は頼りないどころか無謀に過ぎて。
 二人を見ていられなくなったホロはついつい声を掛けて……

 今回は、番外編の中編1本、短編2本の構成。
 メインはかつてホロが旅した幼い少年少女の旅路。なるほど、確かに、子供相手だとこんな感じなんですねぇ。
 そして、残り2編は幕間。銀貨騒動後の何気ない買い物話と、リュビンハイゲンでの人生最大の危機のささやかな打ち上げ話。
 作者も一押しですが、やはり、ホロ視点で語られるあの事件後の御華詩がいいですねぇ。なるほど、このときからそんな風に考えていたのか、と。賢狼というのも難しいモノですな。

 というところで次は『狼と香辛料 Ⅷ』です。

 

狼と香辛料 Ⅵ

 支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
 5月28日(水)読了。

 近づく旅の終わりを感じながらも、笑顔で終えるための道を模索する二人。
 結果、レノスの街での悶着の後、ロレンスとホロは港町ケルーベを目指していた。
 運良く船を見つけた道中、関所の一つで突然ロレンスを先生と呼ぶ少年が現れて……

 いやいや、これはまた、面白い展開になりましたねぇ。
 これまでに積み上げられたロレンスの中の価値観の変化がよく出ていて、それでいて根っこは同じロジカルな駆け引きに満ちたホロとのやり取りにも磨きが掛かっています。こういったウィットは読んでて心地よいですね。

 また、ホロの故郷が近づくにつれて、旅の終わりの寂しさをずっと感じさせていながら、今回の終わりの持って行き方は美事でした。これからが楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次も『狼と香辛料 Ⅶ』です。

狼と香辛料 Ⅴ

 支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
 5月27日(火)読了。

 毛皮の交易が盛んな北の街、レノス。
 かつてホロが立ち寄った筈の場所でいよいよ故郷に近づいていく。
 旅の終わりにお互い寂しさを感じながらもどうにかここまで辿り着いたのだ。
 そんな中、宿で出会った行商人から年代記作家を紹介して貰う。
 その縁で、ロレンスは未だかつてない規模の商談を持ち出されて……

 ふむふむ、そうだよなぁ、といった感じでホロとロレンスの在り方が問われる御華詩。
 商売一辺倒だったロレンスが段々とホロの存在の大きさを意識し、それが判断基準を少しずつ変えてきた結果。
 ホロは、それを嬉しく想いながらも自身とロレンスの差から不安を感じていて。
 そんな二人の心の機微が描かれていて非常に面白かったですねぇ。駆け引きもどんどん冴えてますし。
 で、今回はこれまでと全く違う方向性の終わり方でしたが、次はどうなるのやら……

 とまぁ、そんなところで次は『狼と香辛料 Ⅵ』です。

狼と香辛料 Ⅳ

 支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
 5月25日(日)未明読了。

 ホロの故郷の有力な手がかりを元に北を目指すロレンス。
 ヨイツの情報があるという修道院の場所を聞くために訪れたテレオの村の修道院。
 しかし、何かテレオの村は様子がおかしく、やがて二人はその事情に巻き込まれていく……

 若くして司祭を継いだエルサと粉ひきのエヴァンを通して、色んな面でホロとロレンスが自分のことを客観的に観る御華詩、ですかねぇ。なんだかんだで互いに素直でないですが、少しずつ素直な面が出てきたというか。その辺りも踏まえつつ今回巻き込まれた事件の顛末は印象的でした。本当に、ホロにとっては大きな経験でしょうねぇ。

 とまぁ、ネタバレ避けて抽象的ですがそんなところで次は『狼と香辛料 Ⅴ』です。

狼と香辛料 Ⅲ

 支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
 5月22日(木)読了。

 商人人生の危機を逃れて暫し。
 北を目指すロレンスとホロは冬の大市と祭を控えたクメルスンを訪れていた。
 そこで出会った若き魚商人がホロに一目惚れしたことからロレンスはこれまで経験したことのない危機に出会う……

 いやはや、ここでこういう御華詩が来るのはよいですねぇ。今回体験した『危機』が今後どう動いていくのか楽しみです。まぁ、すでにあと5冊は確保しててそう遠くない先に体験できるのですが。
 そして、この流れも根っこは商人の思考というか、その辺りの思考の天秤の釣り合いが実に心地いいです。ロレンスが不器用なだけかもしれませんが、ホロに関する部分について必死に理屈で考えようと四苦八苦するのがもどかしくも微笑ましい。だから、ホロに『可愛い』と称されるのでしょうな。

 とまぁ、そんなところで引き続き『狼と香辛料 Ⅳ』でありんす。

狼と香辛料Ⅱ

 支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
 5月20日(火)読了。

 港町パッツィオでの銀貨騒動で一儲けしたロレンス。
 その儲けを元手に更に膨らませようと欲を掻いたことで商人生命どころか文字通りの生命の危機に陥ることになる。
 形振り構わず元手をかき集め起死回生で狙ったのは……

 商業を軸としたファンタジーということで独特の持ち味がありますねぇ。商人の駆け引きを日常会話にも持ち込んでいたり、小粋な言い回しが多用されていて心地よいです。勿論、本筋の商人同士の腹の探り合いは言わずもがな。

 今回は早々に危機に陥れたことで話が緊張感に満ちててよかったのですが…… アニメで先に結末見てしまっていたのが惜しまれます(;^^) 結構忠実にアニメ化されていたのですねぇ。

 とまぁ、そんなところで続いては次からは未知の領域な『狼と香辛料Ⅲ』です。

図書館革命

 有川浩・著、徒花スクモ・イラスト、メディアワークス。
 5月18日(日)読了。

 ある日巻き起こった原発に対するテロ事件。
 図書館界とは別世界の話かと思われたが事態は一転。
 なんと、この事件の手口がある謀略小説の内容と酷似していたのだ。
 テロへの批判を煽りながらメディア良化法の権限増加が裏で行われ、作者の執筆制限にまでことは発展する。
 こうして、本の守り手としての図書隊が立ち上がることとなる……

 現時点で番外編が出てますが、本筋としてはこれで一区切りということで、最後の最後もいいテーマですねぇ。
 検閲が事実上合法化したことによる強引な押収と、それに対抗する図書館という図式。
 だけれども、それ以外の部分は現実世界と重ねることで非常に面白い思考実験となっていました。

 メインの視点は郁ですが、必要に応じてその周辺のキャラに視点を移動することで物語に厚みが出ていました。後半の柴崎麻子とか手塚とかは前半に比べてずっと人間味が出てたり、郁は着実に成長してたり、堂上も変わったつもりで変わってなかったり、小牧は素直になってたり、玄田隊長はどこまで行っても玄田隊長だったり。久しぶりに深く感情移入できる作品で、最後の最後はホッとしました。アニメに釣られて原作に踏み込んで本当によかったと思える、いい読後感のシリーズでした。

 とまぁ、そんなところで次もアニメからですが『狼と香辛料Ⅱ』です。こちらも一気に行きます。冊数多くて大変ですがね(;^^)

図書館危機

 有川浩・著、徒花スクモ・イラスト、メディアワークス。
 5月18日(日)読了。

 遂に、憧れの王子様の正体を知ってしまった郁。
 だが、そんな事情に関係なく、奇しくも郁の地元を舞台に未曾有の事件が巻き起こる。
 初めての大規模戦、歪んだ茨城図書館界も成長した郁は乗り越えていく。
 そんな中、郁は現在の自身の気持ちを自覚して……

 今回は後半の大事件がメインと言えますが、その前の禁止用語を巡る御華詩が興味深かったですねぇ。いや、これは現実にも起こりうる事件です。そこがこのシリーズの面白いところなんでしょうねぇ。架空の歴史とは言え、絶対にあり得ないとは言えない状況だけに、「あ、こうなったらこういう対抗があり得るのか!」と現実には泣き寝入りが多い自体について痛快な解決が与えられるのが非常に心地よいです。主に、その発案は玄田隊長ですが。豪快な策士ですねぇ。

 とまぁ、そんなところで次はいよいよ完結な『図書館革命』です。

図書館内乱

 有川浩・著、徒花スクモ・イラスト、メディアワークス。
 5月15日(木)読了。

 図書特殊部隊に配属された郁。
 しかし、心配性で過保護な母に気兼ねして未だに自身の配属を言い出せないで居た。
 そんな折り、法事の序でに仕事ぶりを見に両親が訪れることになって……
 果たして、郁の運命や如何に?


 とまぁ、そんな話や小牧と幼馴染みの話、麻子ととある利用者の男性との話、手塚と家族の話、と周辺人物の事情がクローズアップされて面白くなってきました。相変わらず示唆に富んだ内容の中、登場人物達の魅力も増してぐいぐい話に引き込まれます。いい味出してますねぇ。麻子の内面の変化とか、どんどん丸くなる手塚とか、その経緯がしっかり描かれててよいですねぇ。細かい部分はネタバレるので控えますが、本当、登場人物が掘り下げられたのが今回の御華詩の特によいところでした。

 と、そんなところで引き続き『図書館危機』なのです。

図書館戦争

 有川浩・著、徒花スクモ・イラスト、メディアワークス。
 5月13日(火)読了。

 メディア良化法により検閲が合法化して30年。
 出版された本はメディア良化委員による容赦無い取り締まりに晒されていた。
 一方で、図書館は表現の自由を守るために立ち上がる。
 良化委員による取り締まりと図書館の抗争は激化の一途を辿り、それが武力闘争となるのは必然とも言えた。
 そんな中、かつて図書隊に助けられた一人の娘が、その門戸を叩き……

 いやはや、以前から気になっていた作品ですが、アニメ化を機に読んでみて、今まで手を出さなかったことを後悔。こいつはいいですねぇ。『 R.O.D. 』とは異なる形ですが、これも本への愛が詰まった御華詩でありますな。また、作品内の世情は現在のメディアの在り方に対する痛烈な皮肉が籠もっていて非常に興味深いですな。こんな未来、絶対にあり得ないと全称命題として一笑に付せるのかどうか、考えさせられる内容でもあります。

 また、そのような世界の中で、しっかりと描かれた登場人物達の姿もよいですな。決して綺麗事だけではない、正義の味方ではあれない図書隊の苦悩などが出ていてその心の動きをリアルに感じさせられます。

 とまぁ、すっかり嵌り込んだところで次も引き続き『図書館内乱』なのです。

ぜふぁがるど

 柴村仁・著、ふゆの春秋・イラスト、電撃文庫。
 5月11日(日)読了。

 平凡な高校生、菅沼宙。
 彼は、ある日、あれやこれやの結果『牙臣ゼファガルド』に変身することになる。
 幼馴染みの少女、安芸野鳴を守るためとどうにかこうにか理由を付けつつ、今日も彼は戦いに…… 巻き込まれる。


 電撃小説大賞フェアの一冊。
 ふむふむ、不本意な変身ヒーローな感じの御華詩ですな。大きな力と対峙している割には状況が理解できてなかったり引いてたりで受け入れられずに渋々戦うというか、そういうコメディチックのノリ。この先、使命に目覚めるのかどういう方向に進むかはまだまだ見えませんが、中々に楽しい御華詩だったので次も読もうと思います。黄色いアンダーリムというのもよいモノですな。


 とまぁ、そんなところで次から幾つか積んだシリーズ消化の為、先ずは『図書館戦争』です。

狂乱家族日記 九さつめ

 日日日・著、x6suke・イラスト、ファミ通文庫。
 5月9日(金)読了。

 『来るべき災厄』を退け、平穏が戻るかと思われた狂乱家族の乱崎家。
 しかし、その直後からこの家族に大きな難題が科される。
 それは…… 赤ん坊!
 訳ありの集まった家族であるが故に、まともな幼少期を送ったことのない面々は苦労しながらも子育てに励むが……

 第三部開幕! ってな訳で、これまでは狂乱的事件の数々でしたがここからは伏線回収と共に『家族』にスポットの当てられたシリーズとなる模様。今回は、優歌と月香がメインで、かつて姫宮の末娘としてあんな目にあってきた優歌が妹との接し方に苦悩したりしつつ、閻禍の謎にも迫ります。狂乱分が控えめながら、やっぱり日日日作品はこういうノリの方が好きですねぇ。本当に『絆』ってモノがどういうモノか色々考えてるなぁ、と感じます。
 アニメの方もその辺りを押さえた中々の良作と個人的には思っていますが、いよいよ起承転結の『転』を迎えた原作の行く末が非常に楽しみです。というか、ここがまだ『転』というのが嬉しいです。


 とまぁ、そんなところで次は『ぜふぁがるど』です。

ハヤテのごとく! 2 ナギが使い魔!? やっとけ☆世界征服

 築地俊彦・著、畑健二郎、兎塚エイジ、白身魚、むらたたいち・イラスト、ガガガ文庫。
 5月7日(水)読了。

 今日も引きこもりのナギお嬢様が突如姿を消してしまう。
 主の危機を察知して駆けつけたハヤテは、部屋に残された鷺ノ宮家の家宝を見つける。
 どうやら、それがナギの行方不明の原因らしくて……

 とまぁ、なんというか、サブタイトルと参加してる絵描きの一人と組み合わせると元ネタは非常に分かり易いですが、まぁ、そんな取っ掛かりの御華詩。まともな魔法が使えなくてバカにされている貴族が出てきそうなノリですな。とは言え、そこはそれ、『ハヤテのごとく!』な訳で原作とは又違った方向にこちらの作者の趣味でネタ塗れな物語が展開されたりしなかったりします。そういうノリを楽しむのが吉ですな。ノリだけですがそれはそれで楽しめたる作品でした。

 しかし、よくあのカラーイラストが実現しましたねぇ。平民を使い魔として召喚した名門貴族の子女のような姿の三千院ナギ。でも、この作者との組み合わせだと『ぶるぅ』を思い出します。

 というところで次はアニメも好調な『狂乱家族日記 九さつめ』です。

よくわかる現代魔法 1 new edition

 桜坂洋・著、宮下未紀・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
 5月4日(日)読了。

 何をやっても上手くいかず常に劣等感に苛まれる弱気な少女、森下こよみ。
 ある日押し入れから発掘した怪しげな魔法学校のチラシを見て、彼女はそんな自分を変えるためにその門を叩こうとする。
 そうして、彼女は現在魔法の第一人者、姉原美鎖と出会い、魔法の世界《レイヤー》へと足を踏み入れる......

 新版が出たことで三年ぶりに読み返すこととなりました。まぁ、大筋は代わってないので内容については前回と同じになりますが、色々と復習になりました。やっぱりCとかPerlとか出てくると嬉しいモノがあります。この世界観はプログラムを職業としている身としては本当に馴染みやすいですねぇ。

 そんなところで次は『ハヤテのごとく! 2~ナギが使い魔!? やっとけ☆世界征服 』です。

”文学少女”と神に臨む作家(ロマンシェ) 上

 野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
 5月1日(木)読了。

 遠子先輩の卒業が近づいている。
 受験が忙しいはずなのに相変わらず文芸部室に現れ、心葉の産み出す”おやつ”を食す日々。
 しかし、確実に別れは近づいていた。
 そんな中、とある切っ掛けで心葉は吹っ切った過去を呼び戻され苦悩することとなる……

 いよいよ、”文学少女”の御華詩も最終章を迎えました。
 今回は遂に、これまでは客観的な読者として読み解く立場にあった”文学少女”天野遠子の物語。
 驚くほど語られない彼女の謎が解き明かされていきます。
 それは、どんな味の物語になるのか? それは読んでのお楽しみということで触れませんし、まだ下巻がありますから何とも言えません。しかし、本当に、この作品と出会えてよかったなぁ、と思える内容です。心葉と遠子の物語。最終的な味わいがいかなるモノか楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は『よくわかる現代魔法1 new edition』です。

姫宮さんの中の人4~学園祭ぶれーぶはーと~

 月見草平・著、EiN・イラスト、 MF 文庫 J 。
 4月30日(水)読了。

 現生徒会長、姫宮ちとせのとある病を治すため、奮戦する純人。
 その後の彼女を守るために次期生徒会長となる決意も固めた頃、幼馴染み神楽結衣との関係に一つの変化がもたらされる。
 自身の生徒会長立候補演説の日も迫る文化祭を舞台に、彼らの思いが交錯する……

 うんうん、やっぱりこの作者のシリーズは手堅いですねぇ。今回も非常に楽しめました。
 特に、元々は成り行きだったのが、様々な経験を経て目的意識を持って生徒会長を目指すこととなった純人の想いが今回の見所。ヘタレ気味でもどかしいんだけれども、その奥にはしっかりしたモノを持ってるのが伝わってきます。その辺りを端的に表現した結衣の言葉が切なくもありますが。
 次でそろそろ決着が付きそうな雰囲気で、どう落着させるのか楽しみです。


 とまぁ、そんなところで次はいよいよ最終章突入の『”文学少女”と神に臨む作家 上』です。

生徒会の二心~碧陽学園生徒会議事録2


 葵せきな・著、狗神煌・イラスト、富士見ファンタジア文庫。
 4月29日(火)読了。

 生徒達の支持により成り立つ碧陽学園生徒会。
 個性的な役員達が互いに切磋琢磨しながら学園の為に業務をこなす中、突如現れる新任美人顧問教諭。
 教師の権力を傘に唐突に生徒会解散を彼女に、生徒会の面々は力を合わせ、立ち向かう……

 って、勿論そんな御華詩ではありません。
 相変わらずのパターンを踏襲した生徒会室での緩い日常の物語が繰り広げられます。
 なんでしょうね、小難しいことは考えずにサラッと読むのが吉ですな。
 とは言え、やはりそれだけ出はない部分は匂わされていてメタな部分が盛り込まれていたり、深読みしようと思えば出来そうではあります。が、やっぱり見たまま楽しむのがよさそうなんでスルーしてますがね。

 あとがきをみた感じでは、今後も結構いいペースで出そうなので、続けて読んでいきたいと思います。

 てなところで次は『姫宮さんの中の人4』です。

SHI-NO -シノ- 夢の最果て

 上月雨音・著、東条さかな・イラスト、富士見ミステリー文庫。
 4月25日(金)読了。

 支倉志乃の母親の仕事の関係でパーティーに出席することとなった『僕』。
 偶然居合わせた鴻池先輩と共に、またしても事件に見舞われることとなる。
 普通の小学生であって欲しいと願う『僕』の願いとは裏腹に、又しても志乃はその事件に深く関わり……


 うむ、いいミステリです。そうですねぇ。こういう文法こそが我が歓びにして喜悦。
 正統派な感じで心地よいですねぇ。
 今回のテーマは『人生』。微妙な立ち位置の割りに平穏に暮らす我が身には色々と考えさせられる内容でした。
 そして、更には鴻池先輩についても色々と深められてよい感じ。う~ん、このシリーズの向かう先が非常に愉しみです。

 とまぁ、ミステリなので内容に触れるのは無粋なのでぼかしたところで次は『生徒会の二心』です。

キララ、探偵す


 竹本健治・著、安森然・イラスト、文藝春秋。
 4月22日(火)読了。

 アイドル好きの大学生乙島侑平。
 ある日、彼の元にメーカーの研究所に勤める従兄からとある新製品のモニターの依頼があった。
 果たして届いた大きな宅配便。
 その包みを開けると、中か現れたのはなんと……

 とまぁ、どこまでがネタバレか難しいのですがミニマムで止めるとこんな導入で始まる、美少女メイド『キララ』が活躍するミステリであります。彼女のご主人様となった侑平の叔母が探偵事務所を開いててその一室に下宿しており、また、仕事の手伝いもしているなど、舞台装置も万全です。

 うむうむ、ミステリの文法はやはり心地よいですねぇ。一つ一つの伏線がきっちり線になって、その辺りのカタルシスがやっぱり好きだと再確認。また、メイドって部分は抽象してしまって、探偵役の正体を考えると何とも考えさせられる作品でもあります。なるほどねぇ……

 といったところで次はミステリの流れで『 SHI-NO -シノ- 夢の最果て』です。

MAMA

 紅玉いづき・著、磯野宏夫・イラスト、電撃文庫。
 4月17日(木)読了。

 魔術の名門サルバドールに生まれたトト。
 彼女は才能に恵まれない『サルバドールの落ちこぼれ』。
 そんな彼女はある日、神殿の書庫の奥に封じられた『人食いの魔物』と出会う。
 母を求めるその声に導かれ、少女は『人食いの魔物』の母となることを決意する……

 素敵な御伽華詩でありますなぁ。
 たまには、こういう御華詩も読まねばなりませぬ。
 淡々と綴られる物語は静かに静かに心を伝えます。
 孤独って?
 守りたいモノって?
 やはり、大仰に語るは無粋。
 素直に読んで、素直に感嘆する。
 そんな素敵な御華詩。

 とまぁ、そんなところで次は買いっぱなしになっていた『キララ、探偵す』です。竹本健治は何年ぶりだか……

零崎曲識の人間人間

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社ノベルス。
 4月15日(火)読了。

 殺し名の中でも忌避される零崎一賊の中の異端。
 唯一の『菜食主義者《ベジタリアン》』で『少女趣味《ボルトキープ》』の零崎曲識。
 これは、表舞台にほとんど現れることの無かった彼の物語……

 ……悪くない。いや、これはいいですな。
 まぁ、誰も彼も零崎は変わり者揃いと言えばそれまでですが、彼の場合は在り方が面白いですねぇ。彼の二つ名の数々でどういう異端かは予想がついていましたが、その辺りの理由付けが今までの流れを考えると非常に珍しいモノでした。うん、そうか、西尾維新がこれを書くとこうなるんですねぇ。
 また、時系列が飛んでいるのでそれによりオールスター登場的な部分もあって戯事シリーズ読者もニヤリとさせられます。

 ネタバレを避けると書けないことだらけなんですが、いよいよ人間シリーズ最後となる次の人識の御華詩が楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は『 MAMA 』です。

零崎軋識の人間ノック

 西尾維新・著、竹・イラスト、講談社ノベルス。
 4月12日(土)読了。

 
 一賊の『敵』を屠る為、零崎軋識と人識が単純なに赴いたとある高級マンション。
 簡単な仕事に思えたところで彼らを狙う不測の敵。
 それは、殺し名序列三位の『零崎一賊』に対する策師の罠だった。
 殺し名の中でも特に忌み嫌われる『零崎』に手を出す策士の意図は……

 とまぁ、どうにも『策士』の方に意識が行きがちなんですが、この話の主役はタイトルロールの『愚神礼賛《シームレスバイアス》』こと零崎軋識です。ただ、彼の立ち位置が若干特殊で、零崎としてはちょっと変わっているような、しかし、零崎とはそう言うモノだとも思えるようなそんな御華詩でした。

 しかし、狙って付けられた名前とは言え、ついつい策士の名前の読み方を間違えるのはそれだけでなく直前に読んだ本の主人公の名前もありますねぇ。

 内容的には殺人鬼とか殺し屋とかばっかりで殺伐としたモノなんですが記号化された登場人物達のあり方で大分緩和されてノリよく読めるのがよいですねぇ。あと、策士の趣味は面白かったです。そうか、ヤムチャか(謎 それと、あの人も眼鏡か…… いいことです、うん。


 とまぁ散文的ですがこんなところで次も引き続いて『零崎曲識の人間人間』です。

荻浦嬢瑠璃は敗北しない

元長柾木・著、目黒三吉・イラスト、角川書店。
 4月8日(火)読了。

 荻浦嬢瑠璃は世界を革命し勝利者の王国を築く。
 主、飛鳥井全死のため。
 ≪人間≫たるため。
 これは、日常の中に雌伏しつつ邁進する一人の少女の物語。

 とまぁ、思わせぶりに書きましたが、まぁ、大枠ではこんな感じですなぁ。
 『飛鳥井全死は間違えない』同様、個人的には非常に分かり易い内容で、読んでいる内にどんどん頭が冴え冴えとしてきました。
 眠っていた様々な意識が呼び戻されるというか、そんな感じ。読後感は非常に爽快です。
 なんでしょうな、これは『読むべくして読んだ作品』と言えましょうか。ア・プリオリに脳に染みこむというか、そんな不思議としっくりくる作品でした。語れば核心に触れるため、詳しくは語りませんが、荻浦嬢瑠璃は非常に魅力的なヒロインでした。眼鏡っ娘でもありますしね。

 とまぁ、そんなところで次はどうせ毛色が違うところに進んだならということで「零崎を始めましょう」。
 てな訳で今更ながら本誌で読み切れてない『零崎軋識の人間試験』です。勿論その次は『零崎曲識の人間人間』の方向で。

飛鳥井全死は間違えない

 元長柾木・著、目黒三吉・イラスト、角川書店。
 4月4日(金)読了。

 殺害が日常である青年と域外者の飛鳥井全死。
 全死がある日一人の少女を見初めたことからおかしな事態が始まる。
 その少女、荻浦嬢瑠璃を自分のモノとするため、全死が取った行動は......

 非常に好みの分かれる御華詩でしょう。そして、私には相当嵌る作品でした。
 『美少女攻略ミステリ』などと銘打たれてる作品ですが、個人的にはその銘自体がミスディレクションに思えます。
 ミステリはそこには無く、いや、ミステリでさえなく最初から核心が語られていてその方法論に従って読み解くのが楽しいと感じました。哲学科出身で元々メタな視点での考えは日常化している身としては『メタテキスト』の概念は非常に分かり易く馴染みやすいモノだったのでこの世界観は色々と示唆に富んだモノでした。
 そんな物語が馴染み深い地域を舞台で語られたのも些末な部分を想像で補う必要性を軽減してくれて思索に耽る余裕を与えてくれたのも大きいです。語り部と全死が通う大学の風景については克明に映像が目に浮かびます。確かに下りなら阪急六甲まで15分ぐらいか、国際文化学部(旧教養部)からなら。

 とまぁ、内容よりもメタな部分に惹かれたところで次は『荻浦嬢瑠璃は敗北しない』です。

アストロノト! 2

 赤松中学・著、 bomi ・イラスト、MF文庫J。
 4月1日(火)読了。

 ある日、ノト屋に訪れた謎の亜人の少女、ラキザミ。
 ノトはボロボロの彼女が放っておけずに少しの面倒を見ることにした。
 その頃、地球に未曾有の危機が迫っていた。
 秘密裏に対策を練る新宙軍は再びアストロ・ノトの力を借りに来る。
 こうして、レンビアやラキザミも巻き込んで、ノト達は再び宇宙を目指すことになる……

 『科学』と『魔法』のあり方が逆転したファンタジー世界を舞台としたSF作品。そのバランス感覚がやっぱり美事ですねぇ。
 今回のプロットは本当にSFでの定番中の定番なのですが、この世界観を用いて上手く料理されています。ラブコメもこなしつつ、ジュブナイル的なSFの王道が展開されていて非常に楽しめる作品でした。うん、こういうのはやっぱりいいですねぇ。

 とまぁ、そんなところで次は『荻浦嬢瑠璃は敗北しない』が気になったのでその前の『飛鳥井全死は間違えない』と続けて読みます。

えむえむっ! 4

 松野秋鳴・著、 QP:flapper ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 3月21日(金)読了。

 夏休みも終わり、太郎達の通う桜守高校の学園祭『桜守祭』が近づいてきた。
 太郎のクラスの出し物は演劇。
 くじ引きで決めた配役で、太郎は主役の傲慢な貴族の娘の使用人役となった。
 だが、その役柄は娘に散々な罵りを受け、あまつさえ鞭で打たれる過酷な役。
 そう、太郎にとってそれは別の意味で拷問に近いのだ。
 このままでは性癖がばれてしまう!
 そこで、石動先輩がその性癖を直すために講じた手がおかしな形で作用して……

 と、そんな感じの学祭話。前回が嵐子クローズアップだったのに対して、今回は石動先輩メインです。
 いやぁ、しかし、今回は色々なパターンのダメ要素が詰め込まれて非常に楽しい内容でした。二話構成でしたが、一話目はもうトンデモないジョブチェンジでした。そして、性癖をばらさない為のパターンがこの話と次の話で構築された感じもします。これで、話にいつもの第二ボランティア部以外の面々も絡めることが可能となって益々楽しくなっていきそうです。
 一方で石動先輩の本質というかそういうのも見え隠れしてますな。そういった部分の描き方もよかったです。プロット的にも段々読者を驚かそうという仕掛けが感じられるようになってきてますし。うん、これは面白い作品です。変態がメインですがね。

 と、そんな訳で既刊が終わりましたが次もMF文庫J『アストロノト!2』です。

えむえむっ! 3

 松野秋鳴・著、 QP:flapper ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 3月20日(木)読了。

 砂戸太郎の性癖を直すため、夏休みも第二ボランティア部の活動は続く。
 そんなある日、太郎は嵐子に映画に誘われる。
 ちょっとしたトラブルがありながらも楽しい一日を過ごした二人の前に、現れる一人の少女。
 それは、嵐子の幼馴染みの間宮由美だった。
 彼女の登場が、そこから大きな波乱を招いて……

 今回は名前だけはずっと登場していた由美がまさかの登場で、それに絡めて太郎と嵐子の関係を描く御華詩でした。いや、こういうキャラが出てきてきっちり物語を成立させるのは上手いですねぇ。ここまで感じていた手堅い感から読者の裏を掻こうという意識も見え隠れしてプロット的にも楽しめました。まぁ、過程は色々と考えさせられましたが、相変わらずラストに関してはバレバレでしたが、その辺はエンターテイメントとしてのわかりやすさともいえますしね。

 いやぁ、しかし、基本的にこういう一人称の主人公って総じて鈍感ですね。ちょっとそれが鼻につく人も居るかも知れませんが、まぁ、余りに鋭すぎると話が成立しないってのもありますし、語り部は読者よりちょっと劣る程度の頭がよいともいいますし。って、これはミステリの話ですが、こういった話にも適用できるような気がします(;^^)

 そんな訳で次で既刊最後『えむえむっ! 4』なのです。

えむえむっ! 2

 松野秋鳴・著、 QP:flapper ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 3月20日(木)未明読了。

 第二ボランティア部。
 生徒の願いを叶えるという不可思議な活動内容の部活。
 自身の性癖を直すことをそこへ頼んでしまったために、砂戸太郎の学園生活は一変する。
 今回、彼の性癖を直すために自称”神様”の石動部長のとった策は……

 とまぁ、そんな感じで、どこかしらおかしな性癖を持った方々が繰り広げるドタバタ喜劇第二弾。
 今回は前半が石動先輩、後半が嵐子と分かり易い構成でヒロインをクローズアップした感じですね。裏でみちる先生が最強な感じではありますが。でも、それぞれの内面が掘り下げられて非常に良い感じでした。また、石動先輩の話の中で太郎もまたいいところを見せましたねぇ。って、基本的にあの性癖が出てないときはいい奴なんですよね。
 また、最後に少しだけ登場した新キャラの未依も中々面白いキャラで今後の活躍に期待です。まぁ、すぐに読むのですが。

 そんな訳で引き続いて『えむえむっ! 3』なのです。

えむえむっ!

 松野秋鳴・著、 QP:flapper ・イラスト、 MF 文庫 J 。
 3月19日(水)未明読了。

 主人公の名前は砂戸太郎。
 彼は、ごく普通の高校生の少年でした。
 ただ一つ違ったのは、彼は、どMだったんのです……

 いや、なんというかタイトルの『えむ』がオーストリアの作家の名前からきたあの言葉だったとは。しかも彼に語り部を任せてしまうとは。何とも野心的な作品です。更には他にも色々と問題のある性癖を持った登場人物達が出てきます。
 それでも、『青葉くんとウチュウ・ジン』の頃に評価されてその路線で進んでいた通り、きっちりと伏線を張って回収する物語構成はよく出来ていました。ただ、そういう作風を意識して読むとちょっと展開が読めすぎたかなぁ、というのが玉に瑕。とはいえ、問題を抱えたことで生じる孤独とか心の傷とか、そういった部分もしっかり描かれててただただ殴られたり罵られたりして喜んでだけの作品ではないです、はい。色々と感じるモノがありました。

 とまぁ、そんな訳で予定を変更して既刊を読もうと次も『えむえむっ!2』です。

かのこん9~あらたなるめざめ~

 西野かつみ・著、弧印・イラスト、MF文庫J。
 3月14日(金)読了。

 自らの内に秘めた『気』によりトンデモない事件を起こしてしまった耕太。
 それにより彼は日々溜まった『気』を処理することを余儀なくされていた。
 恋人のちずるとアイジンの望の協力の元、どうにか過ちを繰り返さず、平和な日々が続いているかに見えた。
 だが、その裏では今までにない大きな運命の波が忍び寄って……

 なんというか何の『あらたなるめざめ』なのか問いたいのですが、銀河エロス大帝はやっぱり銀河エロス大帝でした。
 それでも『純愛』と作者が言い張るだけ合って、寸止めというか方向を違えて誤魔化してるだけですが、まぁ、本当に毎回カゲキになって年齢制限大丈夫か心配になるのは相変わらず。その影で、本気で純愛を貫くちずるの弟、たゆらが癒しです。戦いではすっかりヘタレ扱いですが、今回はよく頑張った! と言いたい。前の巻で朝比奈委員長の方もまんざらでもない雰囲気だったので、上手くいくといいですねぇ。このシリーズのラブコメ要素はこっちがメインだと信じています。

 とはいえ、ちずるの力を狙う<葛の葉>との戦いが顕在化して、熊田が思う存分本領を発揮してたり、意外なキャラが大活躍だったり、今まで以上に妖怪達のバトル率が高くてその辺は侮れません。つか、これが無かったら多分レーベル間違えてます(;^^)

 今回は色んな意味で大きな転機となる御華詩でしたが、ここからどう動いていくのか楽しみです。

 とまぁ、そんなところで次は『えむえむっ!』です。

魔女ルミカの赤い糸2

 田口一・著、カズオキ・イラスト、MF文庫J。
 3月12日(水)、読了。

 かつて、魔女として育てられた少女。
 彼女は一人の少年と出会い、苦難の末、遂にその宿命から解放された。
 そして、少年と共に平穏な日々を過ごし、文化祭が近づいてきた頃。
 二人は、再び魔女の宿命と向かい合うことに……

 まぁ、そんな感じで、前回の決着後、新たな舞台に上がるまでの御華詩です。ぶっちゃけ、シリーズとして続けるための布石と言ってもいいでしょう。とはいえ、ストーリーの骨子だけではなく、主人公の琴也が基本的にヒロインに虐められるとか、魔女の契約があんなんだとか、何かと他の要素も確立させています。今回の話の鍵を握る眼鏡っ娘、霜月実弥の活躍も見逃せません。そして琴也が大事なシーンで彼女に対して行った行動は非常に正しい。それだけでこのシリーズへの好感度が上がりました。逆の方向に進める作品が多い中、よくぞあっちに持って行ったと思います。

 あと、魔女契約のシーン…… つか、あれは、まぁ、そうなんだが、うん、『かのこん』がアニメ化されるご時世だから大丈夫でしょう。魔女は背徳的な存在ですしね。

 とまぁ、そんなところで次は『かのこん9~あらたなるめざめ~』です。 

クダンの話をしましょうか2

 内山靖二郎・著、朝未・イラスト、 MF 文庫 J 。
 3月11日(火)読了。

 人の災いを予言して『死ぬ』と言われる牛頭人身、もしくは人頭牛身として描かれる『件』。
 その力を持つクダンという少女が居た。
 彼女は、哀しい宿命から逃れるため、ある存在を求めていた。
 今回の舞台は北海道。
 果たして、彼女はその宿命から逃れられるのか……

 シリーズ2作目。いきなり舞台が転換してますが、前回の話を絡めつつ、北海道の先住民族のコロポックル伝承も交えた中々よい御華詩でした。やっぱり、派手さはないんですが、視点を変えた幾つかの連作短編のような形式で描かれる登場人物達の心の動きはいいですねぇ。また、そこに関わることでより哀しいことになってしまうけれども関わらずに居られないクダンも切ないけれども幸せになって欲しいと思わせる魅力的なキャラです。爆発的に人気が出るようなタイプの作品ではないんですが、引きつけるモノがあります。『神様のおきにいり』がちょっと迷走気味だったんで、このシリーズは現在の路線で突き進んで欲しいものです。あと、何気にタイトルが秀逸だと思います。

 とまぁ、そんなところで次は『魔女ルミカの赤い糸2』です。ちょっと溜まってしまったので暫く MF 文庫 J が続きます(;^^)

魔女の生徒会長2~超悦者ジュリエット~

 日日日・著、鈴見敦・著、 MF 文庫 J 。
 3月7日(金)読了。

 帝都世紀末学園。
 学園祭が迫ったある日、我らが魔女の生徒会長・剣シロオは『B校舎最強決定戦』を宣言する。
 勝者には絶対服従、弱肉強食の分かり易いルールに沸き立つ生徒達。
 そんな馬鹿騒ぎの中、一人の豪奢な存在が現れる。
 シロオの独壇場かと思われた祭の闖入者、超悦者ジュリエット。
 彼女の存在が、祭の空気を一変させて……

 どこか歪んだ少年少女達の繰り広げる物語。
 その歪みの描き方が生々しく、エグい中にも救いがあります。
 やっぱり、日日日作品って何かしらの絆がテーマになっていますねぇ。特に今回は適役のジュリエットの配下、超悦卍四聖獣の面々がいい味出してました。最後の方は狡いです。かなりツボに嵌りました。なんでしょうねぇ、本質的な悪人ってのはいないというか、誰もが悪人になりうるというか、色々と考えさせるような内容でした。
 また、サブタイトルの通り、根底にはシェイクスピアがありますが、日日日の手に掛かるとこうも凄絶になるのですね。この流れからどう続いていくのか、非常に楽しみになってきました。

 とまぁ、そんなところで次は『クダンの話をしましょうか2』です。

戦う司書と虚言者の宴

 山形石雄・著、前島重機・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
 3月4日(火)読了。

 多くの犠牲の元、宿敵、神溺教団との戦いに遂に決着が付いた。
 武装司書達は、数年ぶりの無礼講なパーティーに興じていた。
 しかし、それはまやかしだった。
 様々な人間の思惑の元、表面的な平和を維持しながら、水面下で確かに蠢くものがあった……

 前回より更にトリッキーな構成の物語。時間軸は戦いからおよそ一年後の年末のパーティーに置きながら、様々な視点での回想を交えながらその裏にある真実を明かしていくという構成でしょうか。いやはや、色々騙されつつ楽しめる内容でした。やはり、このシリーズのテーマは『幸福とは何か?』なのですねぇ。ここに至までに詳らかになった事実とそのために動く者達。なんでしょう、全然落としどころが読めずにぐいぐい話に引き込まれていた。本当に、そういった部分が巧みですねぇ。まぁ、ミステリ好きとしては今回の手法は限りなくアウトに近い手ですが、読み直した結果、ギリギリセーフとは思いました。ネタバレしないために曖昧にしてますが、読んだ方には思い当たる部分があるのではと思います。
 こうして、遂にこの世界の核心に迫る事実が明らかにされました。ここからどう展開するのか、非常に楽しみです。

 そんなところで次は『魔女の生徒会長2~超悦者ジュリエット 』です。

ゼロの使い魔13~聖国の世界扉~

 ヤマグチノボル・著、兎塚エイジ・イラスト、MF文庫J。
 3月3日(月)読了。

 トリステイン学院でティファニアの転入騒ぎや水精霊騎士団の信用失墜に繋がる事件が起こっていた頃。
 トリステイン女王アンリエッタはお忍びで聖国ロマリアの地にあった。
 そこでロマリア教皇により目にしたモノに、女王は衝撃を受ける。
 程なく、学院の才人の元に一通の書簡が届く。
 それは、アンリエッタ直々のルイズとティファニアのロマリアへの召喚だった。

 とまぁ、そんな感じで、今回の舞台はブリミル教徒の総本山であるロマリア連合皇国。
 前回が水精霊騎士団が色々やらかしたりバカ騒ぎの態だったのですが、今回は一転して物語の核心に迫る御華詩でした。というか、かなりの急展開。伏線が一気に回収された感じですねぇ。しかし、なるほどなぁ、そうなってた訳ですね、ガンダールヴ。
 あとは、ルイズと才人の関係がよい感じです。特に最後の方のルイズはすげぇいいですねぇ。ある意味、最終目的も見えてきましたが、ここからの展開が楽しみです。


 と、そんなところで次は『戦う司書と虚言者の宴』です。

シュレディンガーのチョコパフェ

 山本弘・著、ハヤカワ文庫。
 2月29日(金)読了。

 2006年に発売された単行本の文庫化作品。久々にSFらしい(=なんかしら凄そうな用語がリアルに飛び交ってる)作品を読んで、感覚が戻らずに若干ペースが遅くなったモノの、後半は夢中になって読んでました。いやはや、空想科学も楽しいですねぇ。

 表題作の『シュレディンガーのチョコパフェ』は世界の崩壊とそれでも失われない何か。『奥歯のスイッチをいれろ』はタイトルから連想されるあの装置を絡めながらひとりの男の生き様。『バイオシップ・ハンター』は頻発するバイオシップによる海賊事件の意外な真相。『メデューサの呪文』は文明が衰退したと思われたインチワームの想像も付かない到達点。『まだ見ぬ冬の悲しみも』はタイムスリップのもたらすモノ。『七パーセントのテンムー』は「テンムー」と診断された恋人に不安を感じつつ辿り着いた境地。『闇からの衝動』は女流SF作家の驚くべき過去。

 とまぁ、ダイジェストでそんな七編のSF短編集でしたが、どれも楽しめました。特に、『メデューサの呪文』と『七パーセントのテンムー』が良かったですねぇ。前者は『言語SF』とか語られたりしますが正にそんな感じ。多くを語るとネタバレますが、言葉をネタにした言葉を紡ぐというのをさらっと上手くやってるなぁ、と思いました。また、後者は「テンムー」という語幹と、その社会的な扱い、それに対する主人公の想いがよく出ていました。そして、これらの短編を読みながら漠然と感じていたことが解説で言葉にされていてすっきりしました。なるほど、異なる者同士もわかり合える筈、そういう思いなのですね。その辺りは非常に共感出来る部分で段々と引き込まれた大きな要因でしょうね。色々といい刺激を受けることの出来る作品でした。


 とまぁ、そんなところで、次は『ゼロの使い魔13~聖国の世界扉~』です。

地を駆ける虹2

 七位連一・著、光崎瑠衣・イラスト、 MF 文庫 J 。
 2月24日(日)未明読了。

 自身の愚かさから大切なモノを失ってしまったネイブ。
 自らの存在意義を求めて向かった国境付近の街。
 戦場となる街での出会いに、彼は何を思うのか……

 前の話で相当に悲惨な目に遭ったネイブがそのあり方を見つける成長譚、と言える御華詩でした。ただ、前の話ほどではないですがやっぱりどこかやるせないモノのある作品なので純粋なエンターテイメントとしてみると少し敷居は高めかもしれません。
 ですが、ネイブという英雄に憧れるも口ばかりで何も行動を起こさず甘えてばかりの少年が直面した厳しいどころではない現実から、何を学んでいくのか? そういう部分に目を宛てると中々興味深いシリーズでもあります。ここまで生々しく駄目な少年を描けるのは確かに一つの優れた能力です。大分気力を使いますが。そういう部分だけ抽出すればジャンル的には異世界ファンタジーながら純文学よりなのかも知れませんね。

 とまぁ、そんなところで次は久々の山本弘で『シュレーディンガーのチョコパフェ』です。

under ~異界ノスタルジア~

 瀬那和章・著、 u ・イラスト、電撃文庫。
 2月21日(木)未明読了。
 第十四回電撃小説大賞<銀賞>受賞作。

 三年前にとある事件を切っ掛けに失踪した兄からの手紙。
 そこに書かれた『異界』という言葉。
 霧崎唯人は、我知らず導かれるままに異界への扉に近づいていく……

 失踪した兄の情報を求め、また、その途上で出会った月士那灯香に惹かれ、『異界』という異世界の力を行使する『異界使い』の戦いの世界に足を踏み入れた唯人の出会った事件の顛末。全体的には残虐な描写や卑猥な言葉などダークな雰囲気を醸す、アオリにある通りのサイコミステリの様相を呈した御華詩でした。実際、『異界使い』の部分を抜きにしても成立するプロットでその辺りがミステリとしては順当過ぎる嫌いはあったりやや強引さを感じたりはしますが、大きな破綻なくまとまっている上で、しっかりした『異界』の設定を乗っけているのが評価されたのかなぁ、とか思ってみます。キャラも色々と凝っていますが、そちらよりもストーリーがしっかりしていた印象ですね。『異界』に関しては若干何でもあり気味な設定ですが、それ故にシリーズとしてやりやすいとも感じました。

 とまぁ、そんなところで次は『地を駆ける虹2』です。あれがどう続いたのか楽しみであります。

藤堂家はカミガカリ

 高遠豹介・著、油谷秀和・イラスト、電撃文庫。
 2月18日(月)読了。
 第十四回電撃小説大賞<銀賞>受賞作。

 人間界と似て非なる別世界『ハテシナ』の住人である神一郎と美琴。
 二人は藤堂周慈という少年の護衛の為に人間界を訪れていた。
 任務の為、強引に周慈と双子の姉の住む家に転がり込む。
 両親を無くした藤堂家に、次第にとけ込む二人。
 だが、狙うハテシナの勢力は周慈に迫り……

 笑いあり涙あり、エンターテインメントかくありき。素晴らしくテンポのよい御華詩でした。
 全体的にコメディ色の強い作品で神一郎と美琴を始め登場人物達の漫才のセンスは秀逸で何度も笑わされました。
 それでいて、根底のストーリーラインはしっかりしていて、ホロリとくる要素も入って綺麗にまとまっています。
 ギャグを繰り返すことでそれが普通になってシリアスな場面にもしっかり透過させているというか、その辺のバランス感覚が優れている印象です。
 何より、文章がいい意味で軽い。文字通りテンポがよく読めます。その辺りが評価されての受賞でしょうねぇ。

 ただ一つ謎なのが…… なんで表紙がこいつなんだ? ってこと。まぁ、それさえもネタっぽいですが(;^^)

 そんなところで次も受賞作『 under ~異界ノスタルジア~ 』です。

君のための物語

 水鏡希人・著、すみ兵・イラスト、電撃文庫。
 2月14日(木)読了。
 第十四回電撃小説大賞<金賞>受賞作。

 悪酔いをした夜。
 公園でうっかり死にかけた私は、一人の青年に命を救われる。
 その事件を切っ掛けとした出会いと別れ。
 それが、物語の始まりだった……

 いやぁ、これは納得の受賞作。大賞受賞作とは全く毛色の違う『物語で勝負』といった作品でした。

 命の恩人となった奇妙な青年と私の物語なのですが、様々な出会いと別れを積み上げて、綺麗に収束するラストは美事。読後感の非常によい本当に完成度の高い物語です。普段ライトノベルを読まない人にもお勧めできるというか、内容的には海外の古典文学に近い雰囲気を漂わせていますねぇ。色々と心地よい仕掛けが施されていますが、それは読んでのお楽しみ。多くは語らないのが華でしょう。


 そんなところで受賞作が続いて次は『藤堂家はカミガカリ』です。

ほうかご百物語

 峰守ひろかず・著、京極しん・イラスト、電撃文庫。
 2月12日(火)読了。
 第十四回電撃小説大賞<大賞>受賞作。

 絵のことになるとちょっとばかり夢中になってしまう少年、白塚真一。
 一年ながら美術部の再建を果たし、部長を務めていた。
 ある日、忘れ物を取りにいった夜中の美術室。
 誰もいないその場所で美しい少女の姿をした怪異と出会う。
 偶然、妖怪マニアの先輩から撃退方法を聞いていたお陰で難を逃れる真一。
 それどころか、その少女の余りの美しさに魅せられてとんでもない『約束』を取り付けてしまう……

 学校の怪談に妖怪譚を上手くミックスして、更に主人公の『絵を描くのが好き』という道具立てが非常に効果的に働いた御華詩でした。大げさな話ではなく、無難にまとめた感のある御華詩なのですが、その手堅さが大賞の受賞に繋がったのでしょうねぇ。妖怪の設定も実際の民俗学的な考証を交えつつもかみ砕いたモノになっていて分かり易く、妖怪毎の連作短編のような構成になっていて読みやすく、気軽に楽しめる作品でした。

 まぁ、幼い頃水木しげるの妖怪図鑑やらを熟読し、京極夏彦の妖怪シリーズに嵌ったり、ラノベでは『神様のおきにいり』なんかも読んだりと、それなりに妖怪の知識があると、大概は既知のネタなので驚きはないのですが、それ故に解釈の柔軟さに感心させられました。妖怪専門の経島先輩のキャラ付けの勝利ですねぇ、これ。あと、まさか電撃文庫で先にも挙げた京極夏彦ネタが見れるとは思いませんでしたがどんだけの人が気付くのでしょう(;^^)

 とまぁ、そんなところで受賞作はまだまだ続く、次は『君のための物語』です。

Fate/Zero Vol,4 -煉獄の炎-

 虚淵玄・著、武内崇・イラスト、TYPE-MOON BOOKS。
 2月12日(火)未明読了。

 かつて、正義を目指した一人の男が居た。
 揺るがぬ冷徹な判断でより多くを救うためにより少ない犠牲を辞さない。
 例えそれが、愛する者であろうとも……

 その優しさ故に正義という名の呪いに捕らわれた衛宮切嗣の姿を描いた始まりの物語『 Fate/Zero 』の完結編。
 結末は次がある時点で知れています。そこに至る過程が説得力のある形で語られ、綺麗に繋がりました。なんというか、そこに一抹の救いがあり、絶望があります。あの、本編である『 Fate/stay night 』で繰り広げられた聖杯戦争の顛末を知る身としては、結果が分かった戦いです。これが報われこれが徒労である、それが知れています。しかし登場人物達はそんなこと知るよしも無く。そのもどかしさが時に重圧となりつつも苦痛とはならない、そんな絶妙なバランスの御華詩でした。

 そのバランスを保つ上で、切嗣の物語の裏で、一組のマスターとサーヴァントの見せた絆の物語があります。
 この作品は、見方によっては分不相応な形でライダーのマスターとなった見習い魔術師ウェイバー・ベルベットの成長譚とも言えるでしょう。
 そして正直、これが何よりも素晴らしかったです。
 結末の知れた他の争いとは違い、彼ら物語は全くの未知のモノ。
 ライダーが見せたモノとマスターが魅せられたモノ。その描かれ方が美事でした。
 いやはや、熱いですねぇ。これは燃える展開です。正に王道。
 まぁ、これがセイバーに対する痛烈な皮肉にもなっているので本筋にも影響はあるのですが(;^^)
 これがあったからこそ、全体として救われない物語を暗澹たるモノだけにしない、読み手に対する救いとなっていたように思います。

 うん、これはよい二次創作でした。

 そんなところで、次は『ほうかご百物語』。故あって、ここから連続で第十四回電撃小説大賞受賞作を続ける予定です。