海原零・著、鈴平ひろ・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
2月24日(金)、奇しくもトリノオリンピック女子フリー開催日に読了。
第2回スーパーダッシュ小説新人賞大賞受賞。
いや、もう半端なく面白かったです。フィギュアスケーターの緊張感、苦しみ、そしてその反動で産まれる快感。そんなものがタズサの視点でしっかり伝わってきて、スポーツ観戦にはさっぱり興味の無い私をしてフィギュアの世界に引き込んでしまうだけの力がありました。
また、タズサのキャラクター。紹介文などからはもっと破滅的に性格の悪い人間を想像してたんですが、実際には不器用なだけで、口ほどに強くない、ちょっとばかり口の悪い少女なのですな。マスコミに無茶苦茶言ってるようでも内容的には至極まっとうで、どちらかというと今も変わらぬオリンピック至上主義の心ないマスコミに対する風刺のようなものも感じられました。誹謗中傷も甚だしいですしね。で、そんな逆境で潰れずトリノオリンピックへ至る支えとなったのが何故か彼女にとりついたカナダ人幽霊のピート・パンプス。この辺の配置も絶妙ですねぇ。
そんな彼女がどういう結果を迎えたか、それは読んでのお楽しみ。

全然意識してませんでしたが、2003年に発売したこの作品を申し合わせたようにトリノオリンピック初のメダルが女子フィギュアスケートで出た当日に読み終わったのも何かの巡り合わせでしょうか。別にどうってことは無いのですが、こういうシンクロで楽しめたのは今になって読んだ特権でしょうね。

とまぁ、そんなところで、次はようやく発売した『 R.O.D. 』の最新刊です。