倉田英之・著、羽音たらく・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
待望の、実に二年振りの本編にしてラスト前。
正直、これだけ待たされて前の話どうだったかとか記憶がおぼろげなのを呼び起こしたりしつつ望んだのですが、プロローグでそんなモヤモヤした気持ちは吹っ飛びました。ってかこのプロローグ狡過ぎます。なんか、それだけで感動しましたよ。やっぱり『本が好き』というただそれだけが原動力となっている、そこへの共感はものすごいです。

『紙使いとは何か?』
『読子の中のドニーという存在』

ここで改めて問われる物語初期からのテーマ。
一方で打ちのめされた読子の元へとそれぞれ向かうドレイク、ねねね。
作品のテーマも登場人物達も期せずして一堂に会すべく動く、そんな位置づけのお話でした。あと、アニメ版とコミック版では完全に悪役になってたジョーカーの位置づけというか内面の読めなさがなんとも言えずよいですな。上手いことはぐらかされているので未だ真意が見えてこないところが。多分、最後まで引っ張るんでしょうが、彼の動向も気になります。 
しかし何より、全編を通して本に対する愛、メガネに対する拘りが感じられる素晴らしい描写の連続に感嘆するばかり。ああ、こんな表現ありなのか! って思うところもしばしば。残り一冊となりましたが、せめて1年後には発売して欲しいと思います。

てな訳で、お次は『滅びのマヤウェル~この愛がナイフでも~』です。