榊一郎・著、神無月昇・イラスト、GA文庫。
6月12日(月)、読了。
ようやく物語が動き出したと言いますが、前巻で提示された世界観が活きていますねぇ。
今回はサブタイトルの『ロマンティック』という形容詞に観られるようにとある少年がヒトメボレした少女が実は精霊で…… という『身分違いの恋』ならぬ『種族違いの恋』を主軸に据えた物語。これは、主人公のフォロンとコーティカルテにも当てはまるもので、その辺りの対比も良い雰囲気でした。
あと、『神曲奏界』というタイトルにあるとおり、音楽が力を持つ世界観とその辺りの考証は音楽やってる人間として共感できる部分もあったりします。
基本は精霊達は神曲楽士の音楽を聴くことで力を得る、という図式が成り立っています。ただ、その音楽は録音では全く効果が無く、生演奏でなければならない。だからこそ、神曲楽士は単身楽団と呼ばれる演奏機械を自身の手で奏でることで精霊に力を与え、その見返りにその力を貸して貰うことになります。これは、つまりは聴衆の為に演奏するという音楽の基本。自己満足ではなく、聞いている人に喜んで貰うためにこそ奏でられる音楽。その純化された形としてのこの図式は非常に興味深く思いました。
そんな訳で、時間が出来たらキネティック・ノベル版の学生時代の話も読んでみたいと思います。
さて、では次は『桜色BUMP シンメトリーの獣』です。