西尾維新・著、VOFAN・イラスト、講談社BOX。
2月3日(土)読了。
うん、今年入って読んだ中で最高の作品でした。って、まだ一ヶ月ちょっとで9冊目だ!
とかなんとか馬鹿なことをいいたくなる御華詩。要約すると『怪異に出会って自分自身が怪異に片足突っ込んだような状況の高校三年生の少年であるところの阿良々木暦が、やはり怪異を通して自称ツンデレなクラスメートと恋仲になったり小学生とマジで喧嘩したり後輩に忠誠を誓われたり妹の友達を部屋でブルマ一枚にしたり眼鏡なクラス委員長のパジャマ姿に萌えたりする御華詩』です。もしくは『怪異を通して知り合った一癖二癖なども生ぬるい者達との会話を通して、暦がどこまで突っ込めるかを探求する成長譚』。多分、真実ではないけど間違ってない。
まぁ、『趣味で書いた』と作者自身が豪語するだけあって好き勝手書いてますが、根底に『怪異と人間』という本来対立する概念の狭間に立つ語り部の暦が他の怪異と接した者たちへ向ける心とか、『全てを救いたいと思っても人間には限界がある』という葛藤、そんなしっかりした裏づけがあるからこそ、これだけ漫才だらけでそれをとったら半分の分量で済みそうな小説を楽しく読めたのでしょう。しかし『宅急動』なんて久々に聞きましたが、後々の猫のメタファだったんでしょうか、ってそれは深読みし過ぎか(;^^)
他にも、『ツンデレ』に代表される『一部のマニアの間の言葉がマスコミ経由で一般にに漏れると変容する』という部分を揶揄するというか完全に記号と割り切って敢えて誤解したような使い方をしたりとか、そういった部分も楽しめました。戦場ヶ原はツンデレといえなくもないというより意図的にツンデレを演じてるだけというややこしさ。あと、属性のハイブリッドというか属性の坩堝と言っても過言ではない神原駿河(かんばるするが)も、一種の言葉遊美ならぬ記号遊美ですね。こういった属性用語もまた『人口に膾炙する』ことで意味をもつ『怪異』の一種なのかもしれませんね。そういった意図があったかどうかは、わかりません。まぁ、戯言ですね。
さて、西尾維新に再び目覚めたので本来は間挟むんですが今年は大河ノベルがあるんで一気に追いつく意味で、引き続き西尾維新で『刀語 第一話 絶刀・鉋』です。