水瀬葉月・著、藤原々々・イラスト、電撃文庫。
2月19日(月)読了。
一言で言えば、悲惨な御華詩。でも、それだけに、澪と冥子の言葉が生々しく響きます。

このシリーズは、とある理由で代替魔術師(ポステリオル・マギス)となり、原初魔術師(プルミエル・マギス)たる導き手(ナビゲータ)に従い、生き延びるために他の代替魔術師の力を奪わざるを得ないというのが物語の骨子。主人公の澪も冥子もこの代替魔術師となってしまっています。本来なら挨拶の代わりに殺し合うのが筋の代替魔術師同士の筈が、この二人は協力関係を結んでいるというのがイレギュラー。その葛藤が『普通』を嫌悪し奇妙なモノを愛するひねくれた澪の一人称で語られます。

今回は、前回の悲劇から二週間後。突如現れた自称『正義の味方』を中心として、各々の過去と向き合う物語。テーマは代替と代償ですかねぇ。その辺りの持って行き方がちょっとわざとらしいながらも、積み上げ積み上げで説得力のあるモノとなっていくのが心地よいです。話は吐き気を催す展開になっていくのですが、それはそれ。

個人的には非常に好みの御華詩で、今回の引きが引きなので次が楽しみでたまらないのですが、結構グロい生々しい描写も多く、設定的に絶望的な御華詩なので好き嫌いは分かれそうですね。

最後に細かいことですが、『ポステリオル・マギス』が途中から『ポステルオル・マギス』になってるのは誤植でしょうか? ラテン語なら” posterior magis “ で『後の受け皿』見たいな意味となるのですが。宵本澪的に訳がひねくれてますが、ラテン語で魔術師は ” magus “ で ” magis “ だと『皿』になるので気になってました。
まぁ、対となる『プルミエル・マギス』の『プルミエル( premier )』はフランス語なので、その辺は曖昧なのかと思いましたが途中からかなり気になりだしたのでちょっと突っ込み。フランス語的なら確かに『ポステルオル(posterieur)』なので、途中からそっちに統一したのかなぁ、とか深読みしたりもします。

まぁ、そんな細かいところは抜きにして続きが楽しみな作品に違いありません。何より、冥子はいい眼鏡魔女娘ですからね。

と、眼鏡続きで次は『神曲奏界ポリフォニカ まぁぶる』です。いや、これは半分ですがね(謎