築地俊彦・著、兎塚エイジ・イラスト、GA 文庫。
2月23日(金)読了。
青のポリフォニカ始動! 今度の精霊は眼鏡っ娘だ!
とまぁ、そんなラブコメ担当ポリフォニカ。
音楽学院を落ちこぼれて駄目人間街道まっしぐらなクルナと、ひょんなことからその側に居ることになった眼鏡精霊ルーファを中心に、ルーファの上司のハイディやらルーファの親友のササヤ、何故かクルナにつきまとうフレーラと、女性(全部精霊ですが)が沢山出てきます。ベタな構図ですな。物語も、非常に大ざっぱにまとめると、クルナが一攫千金を夢見てルーファ達を無理矢理手伝わせて…… みたいな内容でこちらもベタ。ルーファの眼鏡の意味も予想通り。

でも、読みながらこういったタイプの話は拒否反応示す人もいそうだなぁ、と思う反面、『精霊と人間の関係』というモノを描く上で出るべくして出てきたシリーズだと感じました。『神曲楽士が神曲を代価に精霊の力を借りる』もしくは『神曲楽士にお金を払って精霊が神曲を得る』という一種の労使関係。『契約精霊』という言葉が象徴する示すポリフォニカ世界での一般的な人間と精霊の関係。

それに真っ向から対抗するキャラとしてこのシリーズの主人公クルナの存在は非常に面白いです。何しろ、単身楽団は持ってますが神曲を弾きません。弾くのは『相手を不愉快にする音』。更には、楽器で殴ったりもします。そんな無茶苦茶なキャラなんですが、その裏に見え隠れする信念が彼をただの駄目人間で終わらせてはいません。

また、ルーファが所属する『精霊至上主義現実派』も当たり前と思われる人間と精霊の関係に一石を投じる意味合いがあります。そんな訳で、このシリーズのテーマは『ラブコメ』という形を取りつつ『神曲を必要としない人間と精霊の関係』を描くことなのかなぁと思います。

眼鏡に意味付けもなされているだけでなく、興味深いテーマもあってこれまた期待の持てるシリーズでした。引きが引きだったので次が楽しみです。

そんな訳で次は『くじびきアンバランス2~大吉編』です。