岡崎裕信・著、中村博文・イラスト、集英社スーパーダッシュ文庫。
4月6日(金)未明読了。
前巻が可成りツボだったので個人的に待望の第二弾。端的に言って、期待を裏切らない内容で満足です。

絶望して自暴自棄になって周囲を巻き込む前に、悲しみにとらわれた人間の心にさらなる悲しみを穿ち自らの命を絶つ道を選ばせる能力者『ハーデス』を主軸とした御華詩。

主人公、風間瞳は数奇な運命から多大なる絶望を経験し、そこから這い上がってきた過去を持ちます。そこから『悲しみ』というのはこのシリーズにとっても大きなテーマと言えましょう。そんな彼女が夢に向かって、タイトルの意味通り(前巻参照)に動き始めたところで訪れるさらなる悲劇。

キャラクターはテンション高いですが、テーマがテーマだけにそれが逆に悲しみを引き立ててしまう部分もありますが、それで居て勇気づけられるような、そんな作品。少なくとも私に対しては、確かにそのタイトルは完膚無きまでに嵌りますな。

また、これは作者の持ち味でしょうが、話の構造が時間軸に対してちょっと入り組んでたりして、読みづらい人には読みづらいかもしれません。ですが、その構造が効果的に働いていたと思います。何せ、たった21ページでいきなり絶望の淵にたたき込まれましたから。いやぁ、これは本当にダメージでかいなぁ……

とまぁ、あんまり喋ると核心に触れそうなんでこの辺で。読み終わって、やっぱりこの『フレイアになりたい』というタイトルが絶妙だなぁと感じさせられました。その意味がわかる部分が見所なので理由は語りませんが。

さて、次は『刀語 第四話 薄刀・針』です。