雨宮諒・著、ポコ・イラスト、電撃文庫。
2月1日(金)読了。
思いを残して死した者が、愛する者に言葉を託すチャンス。
シゴフミとは死後文。
死者から届けられた言葉は、果たして生者に何をもたらすのか?
死という本来ならそこで終わりの事象に与えられた言う猶予としてたった一人に書くことの出来るシゴフミ。
それを届けることを生業とする文伽と、相棒のマジックアイテムのマヤマが関わる三人の死者とその愛する者の物語。
一見、無口で冷たく見える文伽の優しさや、マジックアイテムであるが故に中々人間の心の機微が分からないマヤマのバランスが良いですねぇ。
突然列車の脱線事故で命を失った女子高生が、自らの半身と思える少女に伝える言葉。
病に倒れたマジシャンの助手が、愛するマジシャンへ伝える想い。
フェンシングを通してしか娘と接することの出来なかった父が、愛する娘へ遺す本心。
そんな三編の物語で構成されていたのですが、どれも「死者と遺される者」の関係をよく描いていて死別という最大の別れを経験してなお、心地よい御華詩でした。特に、最後の話は上手いですねぇ。まぁ、ベタと言えばベタなのですが、こういうホロリとくるのは大好きです。これは続刊も読まねばなりますまい。
といったところで、次は「アンダカの怪造学Ⅷ Every DayDream」です。