あざの耕平・著、カズアキ・イラスト、GA文庫。
10月8日(水)読了。
新進気鋭の音楽家にして神曲楽士、ダン・サリエル。
数々の輝かしい実績を持つ彼は、ある日出会った白銀の虎の姿をした精霊を痛く気に入り、前代未聞の楽士から精霊契約を持ちかけた。
その精霊には契約相手として心に決めた者がいると言うが、自信家のサリエルはそれでもめげず、契約主の座を奪い取るべくその相手のいるその相手のいる田舎町を訪ねた。
そして、彼がそこで出会ったのは……
かつて、
『神曲奏界ポリフォニカ Palette 』
http://www.ktrmagician.com/archives/2007/08/palette.html
で、
彼の活躍を普通に長編で読んでみたいとまで思うぐらい気に入ってしまいましたが、望み薄ですかねぇ。
とか書いてたんですが、実現するとは。いや、本当に嬉しいです。それだけ魅力的なキャラということですな、ダン・サリエルは。
このシリーズは他と違って連作短編としての構成となるようですが、それはそれでいいですねぇ。また、他シリーズが神曲楽士の活動がメインのところで、こっちは音楽家としての活動がメインってのも面白いです。彼の音楽性には非常に共感できるのです。
最初の話は上述のアンソロジーに収録された短編そのままですが、他の話と組み合わせてこの一冊でダン・サリエルという人間が掘り下げられています。ああ、あと、ユフィンリーも。壊れたようで、確かであんなだよな、ユフィンリー。この二人、確かに似てるんですよね。方や神曲楽士として、方や音楽家として、古い慣習にとらわれず現在のニーズに合わせた形態を模索するって点では。でも、それだけに、ああなるんですな(;^^)
そして、早い段階でこういった話が出たのが素晴らしいと思ったのが第三話『ダン・サリエルと孤高の老楽士』。これで、ダン・サリエルという人間の音楽性がより明確になりました。ただ、傲慢なだけではなく、純粋に音楽を愛する彼の本質がよく出た御華詩でした。
とまぁ、そんなところでポリフォニカは消化したので次は『狼と香辛料 Ⅸ~対立の町<下>~』です。