石川ユウヤ・著、 CARNELIAN ・イラスト、 MF 文庫 J 。
10月28日(月)読了。
第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞審査員特別賞受賞作。
お嬢様学校であるファネス音楽学院に通う庶民の犬吠《いぬぼう》ミサキはその出自から何かと周りと悶着を起こしていた。
故に生まれた格言、曰く『犬吠《いぬぼう》ミサキに噛みつかれるな!』。
だが、そんな彼女には優等生の親友、門奈キリカが居た。
ある日、学院中の肖像画が切り裂かれるという事件が起きたとき、その疑いが親友のキリカに向けられる。
ミサキは吠えた。自分がその疑いを晴らしてやると!
しかし、彼女は予想だにしていなかった。それから巻き込まれる、運命の波を……
『音楽』をネタにしつつ、主人公の『犬』に始まり登場人物を様々な動物に例えた言い回しなど、雰囲気のある文章でした。物語全体は、音楽学院のドタバタ劇のように見せて大きな力の関わる内容になっていくんですが、それでも、庶民的であるミサキの感覚が更にいい雰囲気を持たせていたように感じました。結構癖が強いので、好みは分かれるところでしょうが。
また、作中の音楽ネタはそれなりに専門的な部分を学んだ身としては全て既知の内容で抵抗なく読めましたが、専門知識の無い方相手だと結構ギリギリの線を行ってる感じでした。オチ近くのとある場面は、それなりのフォローはありますが理解しづらい人も多いんじゃないかなぁ、と思います。まぁ、その辺りは専門知識を使う上でここまでは許される例として一つの限界値分析として勉強になりました。
まだシリーズは続くようなので当面は追って見ようと思います。って第一回以降の受賞作家の作品は全部読んでるんですがね。
とまぁ、そんなところでようやく MF 文庫 J の積み本が終わったので次は『ライトノベルの楽しい書き方』です。