石川ユウヤ・著、 CARNELIAN ・イラスト、 MF 文庫 J 。
3月10日(火)読了。
あの譜面を巡る一夜の事件から二ヶ月が経過していた。
事件で失ったモノ、得たモノはあるけれど、犬吠ミサキは相変わらずの日常に戻っていた。
ピアノとヴァイオリンの協奏曲の発表会を控えたある日、突然現れた転校生。
ミサキは彼女とペアで発表会に臨むことになったのだが……
ふむ、よくも悪くも癖の強かった前の巻に比べて大分読みやすい印象ですねぇ。これなら前巻で拒否反応を示した人にも受け入れられ易いようにも思います。ただ、灰汁が抜け過ぎてちょっと空回り気味の印象も否めません。ミサキの勢いに短文で畳みかけるように展開した一夜のストーリーに比して、日常から事件へと徐々に入っていく構成自体は悪くないのですが、どうにも前巻であった独特の勢いが失われてしまっているように感じたのが残念に思います。まぁ、これはどちらを取るかの問題なので難しいところだと思います。
又、前回ギリギリというか可成り専門的な音楽知識が無いと解りづらい仕掛けがありましたが、今回はその辺も控えていましたね。これは、個人的に音楽やってる人間としてはモノ足り無いものがありますが、仕方無いとも言えましょう。まぁ、一つ音楽というか音楽史に絡むネタがありますが、あれ、近くに楽器が無いと最低限相対音感が無いと解らんでしょうねぇ。私は既知の知識なので唐突には思わなかったですが、とあるシーンで出てくる歌を「なんで?」と思う人が多数いそうな気がします。
御華詩的には、今回で日常と事件の折り合いを付けたところがあるのでシリーズとしては続けやすくなったようにも感じます。とりあえず、今後どういう方向に進んでいくのか続きも読んでいきたいと思います。
そんなところで次は『ゼロの使い魔16~ド・オルニエールの安穏《ティータイム》~』です。