日日日・著、エナミカツミ・イラスト、角川スニーカー文庫。
3月16日(月)読了。
怪造学という学問があった。
限りなく遠い隣の世界、虚界《アンダカ》からこの世ならざる怪造生物《モンスター》を召喚し使役する。
また、その生物を研究、考察し、虚界そのものの謎を解き明かすことを至上の命題とする学問だ。
怪造学において、怪造生物は使役されるモノであり研究対象である。
特殊な力を持ち扱いを間違えれば兵器ともなるその存在の一般的な認識は道具に近いモノだった。
人間の都合でその力に等級を付け、より上位の怪造生物を召喚できるのが優れた怪造学者《モンスティスト》の証でもあった。
そんな怪造学の世界に、場違いな一人の少女が飛び込んだ。
彼女は言う。
「怪造生物は友達」だと。
誰もが理解してくれなかった。
綺麗事だと笑われた。
だが、彼女は折れなかった、挫けなかった。
何度も躓いたけれど、決して立ち止まらなかった。
時に命の危険に晒されても、それでも、自分の道を貫いた。
「怪造生物は友達」。
人類の命運を賭けたこの戦いでも彼女は決してぶれることは無い。
その想いを胸に、遂に彼女、空井伊依《すかいいいより》は虚界の支配者、魔王に臨むに至った……
空井伊依の、自らの夢を貫く戦いの物語、遂に大団円!
未だ余韻に浸りながら、これまでの道程を思い出したりしています。
最初は無力だった少女が、無力なりに頑張って、周りに助けられながらも成長して、最後の最後まで夢を貫き通す御華詩。
綺麗事を綺麗事と理解した上で、だからこそその実現が茨の道だと知りながら、決して楽な方向に進まず、自ら選んだ道を歩き通しました。
細かく書くのも無粋ですし何よりネタバレるので避けますが、本当、気持ちのいい作品でした。
いいですねぇ、こういうのは。
もう、伊依の物語を読めないのは寂しいモノがありますが、その先はきっと読者に託されたのでしょう。
大人から子供へ、先達から後輩へ。
何かを伝えていく、それも一つのテーマだったように思いますし。
だから今は、余韻に浸りながらもまだ見ぬ新しい物語を夢見ましょう。
と、感傷的になったところでまた最終巻ですが次は『とらドラ!10』です。