逢空万太・著、狐印・イラスト、 GA 文庫。
4月24日(金)読了。
第1回GA文庫大賞奨励賞受賞作。

ある夜の事。
得体の知れない存在に追われていた。
歩き慣れた筈の道が迷路のように感じられ、気がつけば袋小路。
デッドエンドを覚悟したところで、彼女は現れた。
忌まわしいフルートの音とか不快なリズムを刻む打楽器の音は聞こえない。
しかし、その銀髪碧眼の美少女は、自らを『這い寄る混沌ニャルラトホテプ』と名乗り……

タイトルのセンスからして可成りキてます。やぁ、これは素晴らしいクトゥルー神話ですねぇ。余りの素晴らしさ(駄目な意味で)にフリークが発狂しそうですが、それならそれでクトゥルー神話として正しい…… のか?

ある程度の知識がないとついて行けない部分があるのは仕方ないでしょう。しかし、ある程度クトゥルー神話に造詣がある方は、突っ込みどころ満載の展開と、どうでもいいところでどうでもいい形で、でも元の設定を中途半端に踏襲したネタの連発で可成り笑えるコメディとなっています。

設定が明かされていくのが一つのネタなので細かい部分はネタバレ控えて書きませんが、狙われた真尋少年を守るために現れたのが「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプ」とかそんな御華詩。全体的にパロディのセンスがいいですねぇ。

まぁ、既にクトゥルフがスク水で恋の神様に転職する某御華詩を読んでるのですが、アレは八百万の神の一つに組み入れたモノでしたが、全編その上をいく悪ノリの連発は気持ちが沈んだときにも強制的に元気になれます。笑うのか突っ込むのか怒るのかは別として。応募作でこんな作品を書く方も書く方ですが出す方も出す方だと、そんなことを感じさせる作品でした。

てなところで次は『聖剣の刀鍛冶5』です。

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

逢空 万太
出版社:SBクリエイティブ
発売日: 2009-04-15