野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
5月11日(月)読了。

日坂菜乃はこの春から通う高校をふらりと訪れていた。
昼と夜の狭間の黄昏時。
そこで、彼女は黄金色の校庭で泣き崩れる少年の姿を見つけた。
それが全ての始まりだった。
聖条に入学して程なく、友達と部活巡りをしている際に偶然にその少年が誰なのかを知る。
途端、気持ちが止まらなくなる。
「わたしを文芸部に入部させてください!」
気がつけば、少年、井上心葉に向かって、そう叫んでいた。
これは”文学少女”を想う少年への、”文学少女”見習いの少女の、決して実らないであろう初戀の物語……

いやぁ、なんか読み終わってまだ暫くこの御華詩を楽しめる感動に心が満たされました。
あの後、三年生になった心葉の成長と、必死に絶望的な初戀に立ち向かう菜乃の物語がもう少し読めるかと想うと嬉しくて溜まりません。
まぁ、相変わらず淡いイラストに騙されると、人間の内面を生々しく描いた内容のヘビーさに打ちのめされますが。今回は本当に、優しくも壮絶な御華詩です。やり切れませんねぇ。
テーマは『心中』ですかねぇ。ハッピーエンドとは何か? というのは本当に難しい問題ですな。とは言え、今回の主人公である”文学少女”見習い、日坂菜乃の相手が井上心葉という時点で切ないモノがありますが、それに立ち向かう彼女の姿もいいですねぇ。何はともあれ、次が待ち遠しいです。

てなところで次は『黒姫のユズハ2』です。

“文学少女”見習いの、初戀。 (ファミ通文庫)

野村 美月
出版社:エンターブレイン
発売日: 2009-04-30