田尾典丈・著、有河サトル・イラスト、ファミ通文庫。
10月7日(水)読了。
都築武紀がギャルゲー『エターナル イノセンス』のヒロイン達を現実に投影して半年が過ぎていた。
ヒロイン達は今や完全に日常を共にする血の通った人間であり、彼女たちの幸せを第一に考えることを自らに誓い過ごしてきた。
だが、そんな武紀に試練が訪れる。
義理の姉妹である春海と夏海の実の父親が二人を引き取ると申し出てきたのだ!
どうするのが春海と夏海の一番の幸せに繋がるのか?
武紀は重大な選択を迫られて……
『ギャルゲー』という虚構が現実に投影されることで生まれる様々な齟齬が原動力となるシリーズ第三弾。
今まで積み上げたモノが動き出して、そもそもの『何故、ギャルゲーの世界が投影されるのか?』と言ったメタな部分に言及がありつつ、世界観が安定してきた感じですね。特に、現実サイドのキャラが動いたことで既にヒロイン達が現実の存在であるという構図が強調されていますね。もう、既にゲーム世界との対比は終わりを迎えて、現実に存在する少女達として、幸せを模索する段階に入ったということですかね。高橋さんもどんどん絡んできてますし。
今回のテーマは、確かにゲームではよくあるパターンながら、現実では社会的に問題があるというか、そう言った内容。掘り下げて考えていて、こういったことを考える思考実験は楽しいですねぇ。それを展開させる伏線の提示と回収がシステマチックなのは変わらずですねぇ。綺麗すぎて可成り初期で答えには気付きましたが(;^^) ただ、こうやってみると、まだまだ『ゲームだから許されていたけれど現実では……』というテーマは幾らでも出てきそうなので、今後の展開に期待です。
あ、あと、四阿ちゃんレギュラー化で眼鏡枠も万全。あとがきの絵師さんのイラストも素敵です。
何はともあれ、3巻発売おめでとうございます!
といったところで次は『二人で始める世界征服4』です。