かじいたかし・著、皆村春樹・イラスト、HJ文庫。
7月5日(火)読了。
第五回ノベルジャパン大賞銀賞受賞作。

23世紀。
日本では漢字がすっかり廃れてしまっていた。
イモセ・ギンはそんな時代に正当派文学の作家を目指していた。
そんな彼が現代作家の第一人者、オオダイラ・ガイ先生に会う機会を得る。
大作家に会って緊張するギンだが、どうも先生はご立腹の様子。
どうやら、ギンと共に来たのがその義妹のクロハだということに原因があるようで……

ふむふむ、根っこにあるのは『仮想未来と現在とのギャップ』という懐かしいテイストさえある古典的SFの構造なのに、その時代の差が萌えの一般化ということで上手いこと化学反応を起こさせていますねぇ。その象徴とも言える、オオダイラ先生の文体は時流をよく捉えていて素晴らしい。ストーリーライン的に可成りご都合主義な部分もありますが、ライトなノリのSFとしては、これでいいようとも言えましょう。
確実に次もあるようなので、ここからどう話を展開させるか楽しみにしたいと思います。

てなところで次は『ファンダ・メンダ・マウス2~トラディショナルガール・トラディショナルナイト~』。

僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)

かじいたかし
出版社:ホビージャパン
発売日: 2011-06-30