長物守・著、みけおう・イラスト、GA文庫。
6月2日(土)読了。
第四回GA文庫大賞奨励賞受賞作。
様々な部活の助っ人をして過ごす男前な女子高生、木崎湧。
常にジャージ姿であることから『ジャー様』と呼ばれ男女分け隔てなく慕われている彼女が、恋をした。
そして、慣れない女子の制服姿で下駄箱にラブレターという古風な手段を講じている場面を偶然目にしたタクローは、初めて彼女が女子であることを知る。
更には、彼女を見守る強面教師からサポートを依頼され、その恋の成就の手伝いをすることに。
様々なギャルゲーで培った知識を元に湧の恋路を応援するタクローだったが、やがて、自分の中に芽生えた心に気づき始めて……
ギャルゲーの主人公的な作品は色々ありますが、この作品はあくまで主人公はその親友ポジションを演じ、また、その主人公は漢前な漢女《おとめ》で、ってとこが差別化でしょうか。だからこそ、主人公は恋の主役には決してなれない。それを自覚しながら、親友に恋心を抱えながらも親友の立場を守ろうとする……そんな御華詩。
中々システマチックにミスディレクションとかが使われていて構成が面白いのですが、ライトノベルとしてのジレンマとして、イラストに問題がありますね……もっと、男前バージョンの湧のイラストがないと、漢女《おとめ》が乙女になるって最大のテーマが霞むというか説得力が全く無いというか……でもまぁ、これ、作中の外見設定的にこれで絵として漢女《おとめ》を描くのが厳しい部分もあって、なんともまぁ、ライトノベルでありながら絵が付いたことで魅力が半減してしまうという哀しい結果になっているような気がしないでもないです。一切挿絵を見ない、というのも一つの楽しみ方かも知れません。キャラ自体は魅力的なだけに、勿体ないというか……ライトノベルとして売るにはこれは仕方ない結果なようでなんとももどかしいですな。
てなところで次は『ランジーン×コード tale.3.5 ~コトモノたちの夏休み《サマーバケーション》~』です。