白鳥士郎・著、切符・イラスト、GA文庫。
12月16日(日)読了。

世界の農業を目にしてきた、おっぱ……良田胡蝶。
彼女は、研修から帰還した始業式で大演説を打つ。
それは、遺伝子組み換え作物の奨励が主な内容だった。
何故、彼女はそんな風に考えるようになったのか?
そんな彼女に異を唱える謎の留学生、カマトリ・バジーナ。
果たして、彼は何者なのか?
謎が謎呼ぶ、農業ラノベ、第五弾、開幕!

……まぁ、導入的にはそれほど間違ってはいない気はします。でも、パロディが多用されてたり文字サイズとイラストのコラボで遊んだりして軽くみられがちな作風ですが、農業に対してはずっと真摯に向き合ってきた当作。今巻は、畜産における『命』というかなりガチな内容が扱われていました。農業を扱う様々な作品の中でもビジネス的なところで割り切って、人間の都合で綺麗事にしてしまいがちな部分にがっつり切り込んでいますな。この終盤の展開は凄い。
とある事件を発端に命との向き合い方が問われる中、多くの登場人物が当たり前に農業に従事していてどこか諦めてしまっている一方、農業に馴染みが深くない林檎の存在が上手く絡んでいて、本当、色々考えさせられました。その中で、耕作が気付いて抱いた悩みと、良田さんの辿り着いた結論。多分、この問題に正解は無くて、どうやっても割り切れなくて、それでもどうにか折り合いを付けようとした最後の流れは、感動的でありました。つか、とあるネタに触発されて「フォーリンクマイヤーのフルネームなんだっけ?」とかどうでもいいことで悩んで符に問いそうになっていた自分は何ぞ?
ともあれ、本当に今回はいい御華詩。買って速効で読んで正解でした。

てなところで次は『文学少女と恋する挿話集《エピソード》4』です。

のうりん 5 (GA文庫)

白鳥 士郎
出版社:SBクリエイティブ
発売日: 2012-12-14