フィリップ・K・ディック・著、ハヤカワ文庫。
3月29日(土)読了。

死の灰が降り注ぐ地球から人類が脱出して時が過ぎていた。
地球脱出の特典として与えられる、人類にとっての奴隷労働力としてのアンドロイドが産み出されて久しい。
それでも地球にはまだ、人類が残っていた。
動物は貴重で、何かしら生き物を飼うのがまともな人間の嗜みとなっていた。 地球へ逃れてきたアンドロイドを狩るバウンティ・ハンターのリック・デッカードは、電気羊でない本当の生き物を飼いたいと考えていて……。

映画『ブレードランナー』の原作として一気に知名度の上がったディックの傑作SF。半世紀近く前の、すでに古典ともいえましょう。
印象的なタイトルが有名すぎて映画だけ観て原作を読んでいなかったのに気づいて慌てて読んだ次第。いや、『トータル・リコール』の原作『追憶売ります』は読んでたんでごっちゃになってたんですよね。
内容的には映画とは大分異なりますな。人間を人間たらしめているものは何か? アンドロイドや模造動物に託して、そういった問いを発し、恐らく、最後の模造動物に対するあれが一つの答え。
この印象的なタイトルは、人間(自然な生命)が羊(自然な生命)の夢を見るのと、アンドロイド(模造品)が電気羊(模造品)の夢を見ることの比較、なんですかね。
色々考えさせられるということは、それだけ印象的な作品だったということでありましょうや。

てなところで、『裏世界ピクニック10 あり得るすべての怪談』に戻ります。