桜坂洋・著、toi8・カット、ハヤカワ文庫。
10月22日(土)練習に向かう阪神電車内にて読了。
余り同じ作者は続けないようにしようと思っていたのですが、すっかりファンになってしまったので続けてしまいました。
この作品の主題はヴァーチャルな世界と現実世界との対比でしょうか。ヴァーチャルな世界と現実世界のレイヤードが一つの軸となっています。MMOなネットワーク格闘ゲームの世界で最強を目指し、現実世界ではクラスメート(金の取れるスマイルの眼鏡娘)と共に歌舞伎町の青い猫を探す主人公。その二つの世界の狭間を行き来して、彼が存在する意味を見出すまでのお話、と言えば大筋は外さない、そんなお話です。
ネタバレは控えるとしてこの作品で印象的だったのは先ずは格闘ゲームの描写の巧みさ。理路整然と技の組み立てが描写されていて作者自身可成り好きなんだろうなぁ、と感じました。私は3D格闘はまるでダメで一番得意な格闘ゲームは「イー・アル・カンフー」か「飛龍の拳」と応える人間なのでその辺は推して知って下さい。でも、用語は解るのでついていけないことはなかったです。
そして何より、ヒロインのパートタイム眼鏡娘(注:眼鏡を常用するのではなく、必要な時だけ装着する眼鏡娘のこと)である薙原布美子が素敵です。眼鏡娘の描写として非常に素晴らしい。流石、眼鏡好きを自負するだけはあります。これは本当に参考になりました。

とまぁ、結局眼鏡ネタに走ったところで、次は第一回MF文庫Jライトノベル新人賞の審査員特別賞受賞作品「彼女はミサイル」です。因みに、期せずしてまた同業者のライトノベル作家です。