峰守ひろかず・著、京極しん・イラスト、電撃文庫。
2月12日(火)読了。
第十四回電撃小説大賞<大賞>受賞作。
絵のことになるとちょっとばかり夢中になってしまう少年、白塚真一。
一年ながら美術部の再建を果たし、部長を務めていた。
ある日、忘れ物を取りにいった夜中の美術室。
誰もいないその場所で美しい少女の姿をした怪異と出会う。
偶然、妖怪マニアの先輩から撃退方法を聞いていたお陰で難を逃れる真一。
それどころか、その少女の余りの美しさに魅せられてとんでもない『約束』を取り付けてしまう……
学校の怪談に妖怪譚を上手くミックスして、更に主人公の『絵を描くのが好き』という道具立てが非常に効果的に働いた御華詩でした。大げさな話ではなく、無難にまとめた感のある御華詩なのですが、その手堅さが大賞の受賞に繋がったのでしょうねぇ。妖怪の設定も実際の民俗学的な考証を交えつつもかみ砕いたモノになっていて分かり易く、妖怪毎の連作短編のような構成になっていて読みやすく、気軽に楽しめる作品でした。
まぁ、幼い頃水木しげるの妖怪図鑑やらを熟読し、京極夏彦の妖怪シリーズに嵌ったり、ラノベでは『神様のおきにいり』なんかも読んだりと、それなりに妖怪の知識があると、大概は既知のネタなので驚きはないのですが、それ故に解釈の柔軟さに感心させられました。妖怪専門の経島先輩のキャラ付けの勝利ですねぇ、これ。あと、まさか電撃文庫で先にも挙げた京極夏彦ネタが見れるとは思いませんでしたがどんだけの人が気付くのでしょう(;^^)
とまぁ、そんなところで受賞作はまだまだ続く、次は『君のための物語』です。