瀬那和章・著、 u ・イラスト、電撃文庫。
2月21日(木)未明読了。
第十四回電撃小説大賞<銀賞>受賞作。

三年前にとある事件を切っ掛けに失踪した兄からの手紙。
そこに書かれた『異界』という言葉。
霧崎唯人は、我知らず導かれるままに異界への扉に近づいていく……

失踪した兄の情報を求め、また、その途上で出会った月士那灯香に惹かれ、『異界』という異世界の力を行使する『異界使い』の戦いの世界に足を踏み入れた唯人の出会った事件の顛末。全体的には残虐な描写や卑猥な言葉などダークな雰囲気を醸す、アオリにある通りのサイコミステリの様相を呈した御華詩でした。実際、『異界使い』の部分を抜きにしても成立するプロットでその辺りがミステリとしては順当過ぎる嫌いはあったりやや強引さを感じたりはしますが、大きな破綻なくまとまっている上で、しっかりした『異界』の設定を乗っけているのが評価されたのかなぁ、とか思ってみます。キャラも色々と凝っていますが、そちらよりもストーリーがしっかりしていた印象ですね。『異界』に関しては若干何でもあり気味な設定ですが、それ故にシリーズとしてやりやすいとも感じました。

とまぁ、そんなところで次は『地を駆ける虹2』です。あれがどう続いたのか楽しみであります。

under―異界ノスタルジア (電撃文庫)

瀬那 和章
出版社:メディアワークス
発売日: 2008-02-10