木野裕喜・著、コバシコ・イラスト、このライトノベル文庫がすごい!文庫。
9月17日(金)読了。
第一回このライトノベル文庫がすごい!大賞優秀賞受賞作。
沖田善一は、期待に胸を躍らせながら高校の入学式へ向かっていた。
そうして、新入生を迎えるべく華やかに飾り立てられた校門を潜ろうかというそのとき。
空から女の子が落ちてきた!
舞い降りる天使かと思いきや、その落下点は善一の両肩。
美事に折れる、鎖骨。
「私の友達になってくれないか?」
そんな声が聞こえてきたが、彼の意識はフェードアウト。
こうして、入学初日に救急車に運ばれることとなった。
彼が、自分をそんな目に遭わせた少女が明華《あけはな》武瑠《たける》と言う名で、クラスメートだと知るのは、少し後の御華詩……
という感じで始まるボーイ・ミーツ・ガールの王道ラブコメ、ですな。
本当、端的には『王道』で事足りる、良くも悪くもそんな御華詩でした。
基本ラインとしては、善一が暴走少女、武瑠に友達が出来るように色々と手を尽くして…… ということになります。その顛末は、青春モノとして心地良い内容でした。最後の方は、可成り盛り上がって、ベタだけれどもベタな良さ、が描けていたと思います。なるほど、こういうのは市場的にも有利ですし、一つの才、であります。故に、受賞に至ったのだろうなぁ、と思いました。
ただ、そうなるまでが長い…… 正直、物語が動き出すのが後半からなので前半はノリと勢いだけなので「これからどうなるんだ?」「この伏線ってどうなるんだろう?」とかを楽しみに読むタイプの人には読み辛い内容でした(;^^) 文章自体は読み易いんですが、モチベーション維持が辛い。そこが勿体ないなぁ、と感じる作品でもありました。あと、笹瀬先生がもっと活躍すれば……
とは言え、終盤からは一気に話が動いてキャラも立って、最後には今後に繋がるドラマが展開されていますから、続刊に期待、というところですな。何はともあれ、木野さん、デビューおめでとうございます。
てなところでこのラノ大賞を続けて次は『ランジーン・コード』です。