綾辻行人・著、いとうのいぢ・イラスト、角川スニーカー文庫。
2012年3月25日(日)読了。

榊原恒一は、父親の仕事の都合で母方の祖母宅に預けられ、夜見山の地で中学三年の一年を過ごすこととなった。
だが、折り悪く自然気胸により入院し、登校は五月の連休明けのタイミングとなる見込みだった。
そんな、早々の入院中に、一人の妙な雰囲気を持った少女と偶然エレベーターで乗り合わせる。
病室の無い筈の地下二階で降りた彼女のことがずっと気になっていた恒一だったが、偶然にも登校してみれば同じクラスだった。
当然、直ぐに彼女と話そうと声を掛けたのだが、どうにも他のクラスメートの様子がおかしくて……

アニメを観ていて読みたくなり、原作へ。久々の綾辻行人でありました。
ジャンル的にはホラーとなりましょうが、夜見山北中学の『三年三組』を巡る謎に対峙する恒一と見崎の物語、と捉えればミステリと言ってもよいですな。まぁ、広義に捉えればホラーがミステリに含まれてるとも言えるのでその区別に意味はないのかもしれませんが。
田舎町の伝承に従って人が死んでいく、というのは古典的ミステリの常道ではありますが、それをホラーテイストにしたのがこの作品、と言えるのかもしれません。残念ながらアニメを終盤まで観た後に読んだのである程度内容を把握していてサプライズは少なかったのですが、この作品から伝わってくる空気がやはり心地良い。ネタバレを控えて内容には触れず、ラストの展開は「ああ、そうだ、これだよなぁ」と久々にライトノベルを離れて感じたりした訳であります。久々の綾辻行人が堪能できました。
実は、丁度ミステリ主体からライトノベル主体に転換する時期だったのもあって、発売日に買った『暗黒館の殺人』が上巻の200ページも行かないところで止まってるんで、そっちもいずれ読みたいと思います。

てなところで次は『魔法使いなら味噌を喰え!2』です。

Another(上) (角川スニーカー文庫)

綾辻 行人
出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日: 2012-02-29

Another(下) (角川スニーカー文庫)

綾辻 行人
出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日: 2012-02-29