野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
1月9日(火)読了。
前巻に引き続いて今巻も文句なしの良作でした。
このシリーズは文学作品を下敷きにしています。今回は、ストレートに文芸部の文化祭の劇としてとある文学作品を、心葉や遠子、更にはその他の身近な人間を巻き込んで演じることになります。その中でとある人物が演じることになった登場人物が、実は彼の過去と重なる部分があって…… といった内容です。
上記の『劇』というモチーフに暗示されるように、今回の話がこれまでと大きく異なるのは、今までの事件では自覚的な読者であった心葉も遠子も、登場人物的な立場になることです。そのため、彼はこれまでよりもずっと深く、自分の過去と向き合うことになります。
その結末は読んでのお楽しみですが、正直、今回もいつものごとく重たいテーマの御華詩です。イラストはふんわりしてますが、中身は生々しいです。でも、だからこそ心動かされるモノがあります。生々しいのはまた、純粋であると言うこと。結局、過去の文学作品に描かれた人間の様々な感情は、今にも通じるものがある。まだまだ人間捨てたモンじゃない、そんなことを感じさせられる作品ですね。全くタイプが異なる作家ですが、日日日作品に通じるモノを感じたりもしました。人間万歳。

そんなところで、次も重いですが『 SHI-NO -シノ- 愛の証明』です。