山川進・著、よし☆ヲ・イラスト、ガガガ文庫。
12月13日(木)未明読了。
いやはや、前巻で受賞に納得の内容ですが今回も非常に手堅い内容です。本当に「登場人物全員が役者」という設定を上手いこと活かした『作中劇と現実の交錯』が内面描写をより深めています。

プロット的には、親友と、親友の恋人を好きになった少女の御華詩。
ただ、ここで先の設定が存分に機能しています。

横恋慕する少女をA
親友をB
親友の恋人をC

とすると、現実でのAが作中劇ではB、現実でのAが作中劇ではAという形で立場が逆転する仕組みです。これだけの仕掛けで正直ありきたりとも言えるプロットの見え方が全く変わってきます。ほろりとくるかと思ったら、とんでもないどんでん返しがあったり、全体としてよくできたエンターテインメントでした。面白ければそれでいいんですねぇ。
特に派手な能力が出てきたりはしないですし、登場人物もそこまでぶっ飛んだのは居ないというかある程度ぶっ飛んでても全員が役者という設定で中和されてしまうような感じですが、その範囲で非常に味のある人間が揃っていて、前も書きましたが非常に可能性を感じる世界観なので今後に期待です。

とまぁ、そんなところで、次は『魔女ルミカの赤い糸』です。