二階堂紘嗣・著、山本ケイジ・イラスト、 MF 文庫 J 。
12月25日(木)読了。
第四回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞佳作受賞作。

親友の理恵ちゃんは、クラゲの水族館の帰りに突然消えてしまった。
それは、死んだクラゲのように。
それから三年が過ぎたある日、相馬日向の目の前におかしな二人連れが現れる。
黒づくめでドクロの指輪をした男と、幼い少女。
実は、二人は人間ではなくて……

ふむ、ペダンティックな雰囲気漂うミステリ風味のダークな怪奇譚、といったところですな。ネーミングセンスは秀逸ですね。一《にのまえ》と、九《いちじく》。そして、衒学趣味に随所にちりばめられた雑学の出典は科学に映画に文学作品、そして『バンブーブレード』(謎

内容は、魂と引き替えに願いを叶えてくれる悪魔が出会った人間達の御華詩。語り部はその悪魔に魂を売ることになる人間、というのが中々いい空気を創っていますな。短編3本での構成ですが、2本目の短編は壊れ具合を上手く表現していたなぁ、と思います。救いがあるのかないのか微妙な塩梅は、読後感も微妙なので好みが分かれそうな感じですが、狙っている感はありますね。ただ、全体的に九の立ち位置が今ひとつ隠し事が多過ぎてすっきりしない感じですな。

ともあれ、これからどうもっていくかは気になるので続きが出たらチェックしたいと思います。

そんなところで次は『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』です。

ナインの契約書―Public Enemy Number91 (MF文庫J)

二階堂 紘嗣
出版社:メディアファクトリー
発売日: 2008-11-25