磨伸映一郎・作。
3月26日(日)、京都へ向かう京阪電車内で読了。
アンソロや同人で活躍し、眼鏡分増強に多大なる貢献を為さっている磨伸映一郎氏の待望の作品集。 『月姫』『 Melty Blood 』のアンソロなどに収録された氏の作品が収録されています。

実は、4年ほど前にアンソロ破産(散財記参照、気に入った作品のアンソロを全社分もれなく購入とかバカやってました)に陥りかけて以来アンソロを買うの止めてたんで、こうやって氏の作品を纏めて読む機会に恵まれて非常に嬉しく思います。

同人誌はいつも楽しませて頂いてたんですが、商業ではどんな感じのを描かれているのかなぁと思って読み始めたんですが……

すげぇ、商業でもここまで出来るんだ! と何か方向性を間違えた感動に包まれました。
特に『アザーズ』ラストのシエル先輩の台詞には現代社会に潜む病魔に対する心の叫びを感じ、強い共感を覚えました。その思い、胸に刻みます。恐らく、それこそが氏の作品の原動力であり、我々はそこに惹かれる、憧れるのです。

読めば読むほど、本当に多岐に渡るネタが巧みにミックスされていて色々とにやりとさせられます。『にやり』で済まないことも多いのですが。
こうなるとかつて『コンパイラ』であった『あなたもマニアになるために』のような解説が欲しくなります。
この本にはそれがあります。しかもあの解説のように答えを示すのではなく、読者に考える余地を残した教育的配慮を怠らない素晴らしい解説です。

その特濃のネタに対する解説を加えるのは、何と TYPE-MOON の奈須きのこ氏。超豪華仕様と言えましょう。しかも、この解説で奈須氏の凄さを別視点で知りました。凄い人です。まぁ、その解説を読んで家に帰るなり居ても立ってもいられなくなって思わず『電撃PCエンジン』を取り出してしまった辺り、私も末期のようですが。

いやいや、これは何か凄い一冊でした。『普通あり得ないシチュエーション』で通常購入から進化させた直筆サイン本は宝物にさせていただきます。

この調子で是非とも氏の他の作品集も出して欲しいものです。