綾辻行人・著、講談社文庫。
4月19日(金)読了。

凄惨な殺人事件の舞台となり燃えつきた青屋敷。
その離れに当たる十角館に、とある大学のミステリ研究会が合宿感覚で訪れていた。
だが、彼らは知らない。 十角館が、周到に用意された死の罠であることを。

当時露出の多かった社会派ミステリが肌に合わず、古典の翻訳ミステリしか認めない若干中二病的なものを拗らせていた学生時代。
友人から借りた二編のミステリが、邦人ミステリを見直す切っ掛けとなったりしました。
『月光ゲーム』とこの『十角館の殺人』。後から思えばベタもベタな新本格の嚆矢ですな。
読了から三十年近く経っても、この作品の”あの一行”の衝撃は忘れ得ぬものでした。
だからこそ、映像化の困難さを十二分に認識した上で、最近になってコミカライズされ、実写ドラマ化されたのを切っ掛けに、読み直した次第です。
執筆当時の社会情勢だからこそ成立するミステリですが、本質的な部分は色褪せず。
ある意味、己の原点を見直すよい読書でありました。

てなところで次は『TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す9下~ヘンダーソン氏の福音を~』です。