清涼院流水・著、牛木義隆・イラスト、徳間デュアル文庫。
4月12日(水)読了。
前作に引き続き、相変わらず文章表現に拘りがあって楽しいですね、流水大説は。なんだかんだで自分に多大なる影響を与えた作家でもありますし。「お話」を「御華詩」と書くようになったのが一番よく出る影響ですね。
前置きはともかく、前作同様に見開き単位に展開する物語。要約すると夜霧邸という豪邸で1000人のボディガードが正体不明の犯人にどんどん殺されていく、そんな御華詩。なんというか、システマティックに最後まで透徹されるのが心地よいですね。他にも、カット(文末を揃える)とかライム(韻)とか、言葉遊美にも余念が無いです。タイトルにも沢山の意味が込められていて、唸らされます。トリプルミーニングでも足りない偏執的とも言える拘りがよいですね。
で、あとがきで作者自身書いてますが、極端な人死にを描くのは人命を軽視するどころか逆に尊んでいるからこそだという主張には感銘を受けました。自分が死んだら終わりですからね。バーチャルな他人の死に触れてそれに対する登場人物達の心情を追体験して、逆説的に命の大切さを感じるってのは確かにこういう作品の一つの使命とも言えるでしょう。

とまぁ、一応『館』ものだったということで、タイミング的に丁度良いこともあり、積ん読の中でも多大なる容積を誇る『暗黒館の殺人』に取りかかることにします。今月は読む本の冊数は減りそうですが、ページ数は変わらないですと前言い訳をしておきます(;^^)