日日日・著、新風舎文庫。
7月14日(金)、読了。
第4回新風舎文庫大賞受賞作。
……なるほど悠久の『向こう』だわな。

そんな読後感な作品でしたが、「これが日日日本来の文体なんだろうねぇ」とか感じながら読んでいました。
今のところ『蟲と眼球と~』『アンダカの怪造学』の二作品を読んできた訳ですが、この作品は図抜けて自然な雰囲気がします。

聖書に準えた今風の二つ名が頻発する『蟲と眼球~』。
『怪造』という架空の学問を軸に展開する『アンダカの怪造学』。

それらに比べればジャーゴンを含まない、飽くまで日常を舞台にした文学の世界に属するこの作品。今まで読んだ日日日作品で、一番よい作品だったと思います。

学生だからこそ学歴社会に対する視点がシビアで説得力があるだとか、決して新しくない、一世紀以上も前の文豪が既に歩んだ道を今の視点で描くとこうなるのか、とかなんだとか、評論じみたことは書いても楽しくありません。そういうのは文章を自由に楽しむことを阻害する、作者でさえ作者の心情を間違えるような国語のテストででもやってください。性分としてついつい分析しまくりますが、綜合しないと新しいモノは出てこないので困りモノ、そんな自戒の意味も込めて。

なんだか、こんなことを書く気分にさせられたですよ。

さて、以下は結末についての私見。ネタバレる可能性があるので見たい人だけ反転させてどうぞ。
そしてオープン部分の最後に『ゼロの使い魔』と、次の予定だけは宣言しておきます。  先ず、ハッピーエンドでよかったなぁ、と。まぁ私の『ハッピーエンド』感は若干人とズレてると自覚しての発言ですが、これだけ綺麗に着地してくれると心地よいです。  他の読んだ人がどう思ったかはしれませんが、正直、もっと悲惨な結末を予測していただけに、大分救われた気分でした。  まぁ、結末は大別して二通り(細かく分ければもっとあるかもしれませんが二元論的に抽象すれば全ては二通り)の解釈が可能となる訳ですが、どちらでもいいのでしょう。  あ、読んだ人にはこれだけで伝わると思いますが「あれは結局誰なの?」って話ですがそこにはこだわりません。可能性があるならその可能性の全てを楽しむのが読書の醍醐味でしょう。ミステリで『犯人は誰でもいい』とかいう作品も存在するご時世なのですから。  まぁ、これだけ何やら色々書きながらも、一番注目していた人物はちーちゃんでもモンちゃんでも武藤先輩でもなく、林田さん(眼鏡ッ娘)だったというと台無しでしょうか? でも、良いキャラだったなぁ……

 はい、そんなところで終わり。