上月雨音・著、東条さかな・イラスト、富士見ミステリー文庫。
8月9日(土)読了。

『僕』の元に届いた懐かしい友からの文。
その文に導かれ『僕』は志乃を大阪に残し、高校時代を過ごした福岡の両親の元へと帰る。
そして、『僕』は思い出と対峙することになる。
そもそも、切っ掛けとなった文の差出人。彼女は、既にこの世にいないのだから……

今回は、何かと志乃のストッパー、等というと生やさしい気もしますが非常に微妙なバランスを保つ役割を演じてきた語り部の『僕』の物語。何でしょう、これまでとは少し雰囲気を異にしているようで、よくよく考えれば初期のテーマに立ち返ったようにも感じられるそんな御華詩でした。何故か、読んでて麻耶雄嵩の作品を想い出しました。ミステリとしては異質なんですが、これはこれでありというか。志乃と向き合う『僕』という存在の役割がより深まる、そんな側面もあったように感じます。

こうして、必要な舞台は整った、というところでしょうか。次回はいよいよ、初期から言及されつつも詳しくは語られなかった、あの事件の御華詩。これは楽しみです。

とまぁ、そんなところで次は『人類は衰退しました 3』です。

SHI-NO-シノ-空色の未来図 (富士見ミステリー文庫)

上月 雨音
出版社:富士見書房
発売日: 2008-07-19