支倉凍砂・著、文倉十・イラスト、電撃文庫。
6月2日(火)読了。

当主が没し、娘が娶られる形で商人に家を則られその末に没落したボラン家。
その年若い当主フルールは、形だけの夫の下で働いていたオーラーの元、日々の糧を得るために下働きをしつつ、商人としての修行を行っていた。
そんなある日、同じ貴族の出の商人、ミルトンと出会う。
かつて晩餐会で僅かながら面識を持っていた彼をフルールは信頼し、共に一つの取引を企てる。
ミルトンの手腕により、手堅い利益を得るはずの取引に心弾ませるフルールだったが……

今回は二度目の短編集でした。
まぁ、ホロとロレンスの旅の途上の何気ない事件を描いた『狼と黄金色の約束』と『狼と若草色の寄り道』は甘々な感じの御華詩でのんびり読めましたが、今回はなんと言ってももう一匹の狼とも言えるエーブの過去を描いた『黒狼の揺り籠』がメインディッシュでしょうねぇ。
あの商人エーブがどのようにして産まれたか? その理由付けは非常に鮮烈でした。なるほどなぁ…… 本当に生々しい商人の業ですねぇ。これを知った上で本編を思い返すと何ともあの行動力に説得力が増しますね。

とまぁ、そんなところで次は『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ disk2 』です。

狼と香辛料〈11〉Side Colors2 (電撃文庫)

支倉 凍砂
出版社:アスキーメディアワークス
発売日: 2009-05-10