早矢塚かつや・著、きくらげ・イラスト、一迅社文庫。
6月21日(日)読了。

文芸部のやり方を批判し、半ば勢いで須弥伊緒《しゅみいお》を部長として第二文芸部を発足させることとなった近藤寛二。
彼らの元に、同じく文芸部から離脱した神社の娘で体育会系口調の諏訪命《すわみこと》とクトゥルー好きのオカルト少女の愛倉葉月《まなくらはづき》が加わり、第二文芸部は4人で活動を開始する。
暫くは集まって他愛ない話をしているのが主だったがそろそろ文芸部らしい活動をしようとしたところで、伊緒が提案する。
「わたしたちで、神話を作りませんか?」
こうして、第二文芸部一同がリレー形式で一つの世界を創造することになるのだが……

『悠久展望台のカイ』で第二回MF文庫Jライトノベル大賞で佳作を受賞した早矢塚かつやの作品。この賞を受賞して他のところで書いた人って他でも受賞しまくった日日日は別として珍しいですな。
内容的には、第二文芸部の活動で創った神話世界が実際に存在し、現実世界の部員たちがその世界に神として入り込んで…… といったメタな構成の御華詩。こういうのは先に挙げた受賞作を彷彿とさせますな。
構成的には非常に面白い内容ですな。自分たちが生み出してしまった世界には確かに人が生きている。それは命を弄ぶことにはなるまいか? 自分たちが生み出したからこそ守らねばならないのではないか? 一面的にはそういったことに悩む高校生たちの御華詩。
ただ、キャラもそれなりにしっかりしていて全体の雰囲気も好みなんですが、ちょっと色々詰め込み過ぎてて後半はテンポがいいと言うよりは大急ぎで風呂敷を畳んでいるような印象だったのがちょっと残念。
とは言え、試みとしては面白いので次が出るか解りませんが出たらまた読みたいと思います。

てなところで次は『原点回帰ウォーカーズ 2』です。

文芸部発マイソロジー (一迅社文庫)

早矢塚 かつや
出版社:一迅社
発売日: 2009-05-20