初野晴・著、角川文庫。
7月28日(水)読了。

わたしはこんな三角関係を絶対認めない。
高校生になって九年ぶりに幼馴染みのハルタと再会したチカ。
とある事情で引きこもるハルタを引きずり出したのは、彼の明晰な頭脳を借りるため。
時は文化祭前。
毎年ジョークで届く文化祭中止を求める脅迫状が、今年は洒落にならない自体となっているようで……

久々にミステリに回帰。青春ミステリという煽りに引かれて読んでみましたが、これは大当たり。
根底には、吹奏学部の部員を増やしてコンクールの大舞台を目指すという分かり易い目的があり、事件が解決すると部員が増えるという全体を通してのテーマを持つ、連作短編。学園モノとして取り扱われるのは一癖も二癖もある学生達が繰り広げる事件の数々であり殺人事件は起こりませんが、基本は本格。日常に紛れ込んだ謎が意外性を持って解決されるカタルシス。特に、最後の『エレファンツ・ブレス』の後半はぞくっとしましたねぇ。こういう驚きがミステリの醍醐味ですな。

と、やっぱりミステリが好きと確認しながらラノベに戻り次は『狂乱家族日記 拾参さつめ』です。

退出ゲーム (角川文庫)

初野 晴
出版社:角川書店
発売日: 2010-07-24