最初に結論。
いや、もう、文句なしの良作です。中でも深優・グリーアシナリオは深く心に刻まれました。

タイトルからお解り頂けるかと思いますが、以前より嵌っている「舞-HiME」のゲーム版となります。とは言え基本設定を受け継いだオリジナル・ストーリーとなっています。ただ、その中にあってアニメでもあったここぞというイベントはしっかり取り込まれたりしていて油断できません。

こういう作品は元のイメージ云々で色々言われたりするモノですが、この作品に関しては非常に上手くメディアミックスの効果が出ていたと思います。元より完全にアナザーストーリーの位置付けというのもよかったのでしょう。

ゲームオリジナルキャラの主人公と、それぞれのヒロインの視点で HiME の戦いに参加していくことになるわけですが、アニメでは語られなかった設定や、登場人物の意外な面を見ることが出来たりとファンサービスもしっかりした上で、アニメ版よりもずっと激しく切なく哀しい闘いが繰り広げられます。正直、約一名のシナリオは痛々し過ぎて見てられないぐらいのレベルでした(;^^) また、骨格のしっかりした物語なのでアニメを見ていなくても充分にこの世界を楽しむことが出来ると思います。

因みに、「 HiME 」とは本当に大切な想い人を守りたいという想いから「チャイルド」と呼ばれる使い魔的な存在を召喚し、また「エレメント」と呼ばれる武器を顕現させる能力を持つ少女達の事。本来的にはその物質化させる能力~高次物質化能力=Highly-advanced Materializing Equipment の頭文字を取って「 HiME 」です。で、アニメと同じく彼女達は故在って互いに闘うことを避けられない運命にあります。しかし、チャイルドがやられるとそのチャイルドの触媒となった想い人が死にます。問答無用で。そんな悲劇の構図の中で繰り広げられる物語が切なくも素敵なのです。
一応、分類上はヒロイン攻略型のギャルゲーとなるかもしれませんが、軟弱な気持ちで挑むと痛い目に遭います。それによく考えてみてください。ヒロイン落としてその想い人になったら、自分の命が危険にさらされるという構図で出来てるのですよ、このゲーム。だから、良質のノベルゲームとして楽しむのが吉でしょう。萌えもあるには在りますが、それよりもずっと燃え要素のが強いでしょう。

また、使われている音楽も素晴らしい。
まず、発売前からデモで嵌りまくった「阿修羅姫」(ALI PROJECT)は端的に HiME の闘いを表現しています。正に、「転生のヴィーナス 生まれ落ちた場所は この地上の何処よりも果てない 愛という戦場」なのですよ。
HiME の闘いの最後に流れる、やり切れない気持ちに染みいるエンディングの「Silent wing」(美郷あき)。ここまでやって聴くと歌詞が泣けます。
そして、挿入歌として使われる「Forutuna」「last moment」(妖精帝國)が素晴らしい。何か一種異様な雰囲気なのですがそれが作品世界に非常にマッチしていて闘いを盛り上げてくれます。どちらも非常に重要なシーンで流れるのですが、歌に聴き入って時間制限付きの選択肢選び忘れることも1回や2回では済まないです。それぐらい気に入ってしまった曲です。因みに、「last moment」は妖精帝國のサイトでサンプルを聴くことが出来ますので興味在ることは是非聴いてみてください。

気になるところも色々あったりするのですがそれを差し引いてもホントに面白かったので、べた褒めに近い状態ですがまぁ、これが嘘偽りのない私の感想でした。