PV Vita 版を1月11日(月)クリア。
これは、あの世界線に至るまでの間に存在する物語。
絶望の淵に沈む岡部倫太郎が、立ち上がるまでの物語。

正統な続編ということで期待値を上げてしまって色々辛い評価も見受けられたりしますが、本編を補完する形ではあるので正統な続編とは言えましょう。まぁ、本当のエンディングが前作の方にあるのだから、どうやっても半端な印象になってしまうのは拭えないかもしれませんが。

個人的には小説版既読でプレイしてある程度予備知識がある状態でのプレイでも、期待以上に楽しめました。個人的には、観たかったシーンが観れた上にサプライズもあって、大満足です。

前作をプレイしたかアニメを全話観て話の構造を知っていることが前提ですが、前提を満たすのであれば、プレイして損はないゲームだと思います。

以下、ネタバレありの感想やら考察やらにつき、未プレイの方の閲覧は禁止。

 てなことでクリアした人前提なので説明はアバウトにつらつらと思ったことを書いていきます。

 先ずは個人的なご褒美ルートについて。

 元々、宗教上の理由もありますが、それだけでなく生い立ちやらなんやらひっくるめて萌郁がお気に入りのキャラです。前作は萌郁ルートがあると信じて20時間ほどオカリンのようにタイムリープ《セーブ&ロード》繰り返して萌郁ルートはないんだ……と神の摂理《ゲームの仕様》には逆らえないという絶望を味わった程度には。

 で、小説版の三冊を読んで裸眼であるにも関わらず、真帆が大好きになりました。今作でも、更に真帆の魅力は掘り下げられていて、とてもいいですな。

 そんな私にとって、萌郁と真帆のコンビが見られる『存在証明のオートマン』のシナリオはご褒美以外の何者でもありませんでした。きっとこれが、待ち望んだ萌郁ルートだったのでしょう。FBへの依存で押し殺されていた萌郁自身の想いがあふれ出た素晴らしいシナリオでありました。

 とまぁ、個別ルートについてはこの辺にして、全体の話。

 流されるままにプレイして、攻略順は、

  • 私秘鏡裏のスティグマ
  • 盟誓のリナシメント
  • 存在証明のオートマン
  • 相互再帰のマザーグース
  • 無限遠点のアルタイル
  • 交差座標のスターダスト

 となりました。結果的に、最後が『無限遠点のアルタイル』でそのまま『交差座標のスターダスト』に繋がって無駄なく綺麗に進めることが出来て良かったと思います。

 前作は全てのDメールの選択肢を網羅して総当たりでクリアしたのですが、今回はそれほどの苦労をせずにクリアできました。分岐は解り易いですね。

 なので、先ずはその分岐について個人的な考察でも。まぁ、当たるも八卦当たらぬも八卦な推測憶測ではありますが。

1.【閉時曲線のエピグラフ】スマホの電源を切るかどうか?

 今作において最も大きなターニングポイント。

 やってることは、『スマホの電源を切るかどうか?』という些細なことですが、ここに込められた意味合いは『オカリンが Amadeus と関わり続けるかどうか?』という根底に関わる選択。電源を切った場合に紅莉栖のフラッシュバックを切っ掛けに世界線変動するのは、 Amadeus に対するオカリンの拒絶がそこで決定的になったということなのでしょう。

 この選択により、精力的にはストラトフォーの立場が大きく変動します。ストラトフォーは Amadeus を通してオカリンを監視していた訳ですから、電源を切らない= Amadeus を通してストラトフォーはオカリンを管理下に置くことで他の勢力より一歩リードすることになります。その結果、他勢力との力関係が均衡して、どうにか紅莉栖の遺産を手にして出し抜こうとラウンダーとか軍隊がいたのでしょう。

 だけど、オカリンが Amadeus と関わらないことになれば、そのストラトフォーのアドバンテージが失われて均衡が破れる、ということでしょうな。

 その結果、他の勢力(恐らく中鉢博士を抱えているロシア)が抜け駆けしてタイムマシン実験を始め、世界線変動に繋がる、と。

 また、ストラトフォーの力の低下が、かがりの脱走にも繋がって、 Amadeus と決別したルートではかがりはかがり、由希は本物ってことになるのでしょう。

 ややこしいのは、ここでの世界線変動前の由希=かがり、変動後は本物、となることでしょう。

 世界線の収束において、『観測した事実に対する意味付けは違えることができる』ので、世界線の変動があっても『同じ姿で別人となる』は成立するでしょう。世界線変動前の由希=かがりであることをオカリンは観測していないので、世界線変動後に変動前の由希が本物だったことになるのはありえるでしょう。

 とまぁ、電源オン/オフという簡単なことでここまでのバタフライ効果という凄まじい選択肢ですな。

2.【二律背反のデュアル】自分で応答するか否か?

 これは、タイミング的にタイムリープに必要な要素が揃った瞬間でもあるので、自分で応答するとタイムリープが発動し、かがりが自分で応答すると紅莉栖の記憶消去が走る、ということなのでしょうな。これも、『着信』に対する意味合いの違いということのように思います。

 自分で応答した際に記憶が途切れて一気に時が飛ぶのは、タイムリープ発動時点ではそれまでのオカリンの記憶が上書きされて連続性遮断→未来でその時点のオカリンの記憶を含む記憶データを復元したことで記憶が連続した、と恐らくはそういうことなのだろうと。

3.【永劫回帰のパンドラ】着信に応答するか否か?

 これは非常に分かり易く、撤収のタイミングによって襲撃を回避するか否か? ですな。  応答すれば早くに異変に気付いて撤収する、応答しなければ撤収が遅れて襲撃に合う。

 実質、この3つの変動のみですな。

4.【軌道秩序のエクリプス】着信に応答するか否か?

 着信に応答することで、紅莉栖の助けの声を聞いてしまう。  そうなれば、応えない訳にもいかず、紅莉栖を助ける世界線に戻ってしまうということでしょうか? でもまぁ、追い返される、と。

 ただ、紅莉栖への未練があるせいで一度断ち切った Amadeus との関わりが強まり、それはストラトフォーの力に繋がるのでかがりルートへの流れになるのでしょうかねぇ。

 あくまで私見ですが、分岐はこんな感じの意味合いだったのではないかなぁ、と思います。

 あと、謎として投げっぱなしのようで見方を変えると謎でもなんでもないと思われる命題について。

Q.なぜ、かがりは紅莉栖に似ていたのか?

A.実は、そんなに似てない。

 随所に挿入される紅莉栖とかがりを重ねて見せる演出の度、あれ? そこまで似てないやん、と思ったのですよ。

 並べると、髪の色と服装が似ているぐらいで、髪型も目鼻立ちや眉毛の形に至るまで、明かな別人と解るレベルです。

 ぱっと身の雰囲気がたまたま似ていた、という観測情報を、オカリン視点で『似てる』と言われるからプレイヤーも似ていると錯覚しているだけのような気がします。まぁ、あくまで私見ですが。

 なので、かがりについては紅莉栖との類似を伏線と思わせること事態がミスリード、と思うのですよ。だから、特に言及されない。

 他は、まぁ、いいか。長くなったし。

 ともあれ、これぐらい書かずには居られなぐらい心から楽しめました。  って、実はまだ全部終わってない『線形拘束のフェノグラム』もボチボチ進めねば……