元長柾木・著、目黒三吉・イラスト、角川書店。
4月4日(金)読了。

殺害が日常である青年と域外者の飛鳥井全死。
全死がある日一人の少女を見初めたことからおかしな事態が始まる。
その少女、荻浦嬢瑠璃を自分のモノとするため、全死が取った行動は……

非常に好みの分かれる御華詩でしょう。そして、私には相当嵌る作品でした。
『美少女攻略ミステリ』などと銘打たれてる作品ですが、個人的にはその銘自体がミスディレクションに思えます。
ミステリはそこには無く、いや、ミステリでさえなく最初から核心が語られていてその方法論に従って読み解くのが楽しいと感じました。哲学科出身で元々メタな視点での考えは日常化している身としては『メタテキスト』の概念は非常に分かり易く馴染みやすいモノだったのでこの世界観は色々と示唆に富んだモノでした。
そんな物語が馴染み深い地域を舞台で語られたのも些末な部分を想像で補う必要性を軽減してくれて思索に耽る余裕を与えてくれたのも大きいです。語り部と全死が通う大学の風景については克明に映像が目に浮かびます。確かに下りなら阪急六甲まで15分ぐらいか、国際文化学部(旧教養部)からなら。

とまぁ、内容よりもメタな部分に惹かれたところで次は『荻浦嬢瑠璃は敗北しない』です。

飛鳥井全死は間違えない

元長 柾木
出版社:角川書店
発売日: 2005-07-08