有川浩・著、徒花スクモ・イラスト、メディアワークス。
5月13日(火)読了。

メディア良化法により検閲が合法化して30年。
出版された本はメディア良化委員による容赦無い取り締まりに晒されていた。
一方で、図書館は表現の自由を守るために立ち上がる。
良化委員による取り締まりと図書館の抗争は激化の一途を辿り、それが武力闘争となるのは必然とも言えた。
そんな中、かつて図書隊に助けられた一人の娘が、その門戸を叩き……

いやはや、以前から気になっていた作品ですが、アニメ化を機に読んでみて、今まで手を出さなかったことを後悔。こいつはいいですねぇ。『 R.O.D. 』とは異なる形ですが、これも本への愛が詰まった御華詩でありますな。また、作品内の世情は現在のメディアの在り方に対する痛烈な皮肉が籠もっていて非常に興味深いですな。こんな未来、絶対にあり得ないと全称命題として一笑に付せるのかどうか、考えさせられる内容でもあります。

また、そのような世界の中で、しっかりと描かれた登場人物達の姿もよいですな。決して綺麗事だけではない、正義の味方ではあれない図書隊の苦悩などが出ていてその心の動きをリアルに感じさせられます。

とまぁ、すっかり嵌り込んだところで次も引き続き『図書館内乱』なのです。

図書館戦争

有川 浩
出版社:メディアワークス
発売日: 2006-02