有川浩・著、徒花スクモ・イラスト、メディアワークス。
5月18日(日)読了。

ある日巻き起こった原発に対するテロ事件。
図書館界とは別世界の話かと思われたが事態は一転。
なんと、この事件の手口がある謀略小説の内容と酷似していたのだ。
テロへの批判を煽りながらメディア良化法の権限増加が裏で行われ、作者の執筆制限にまでことは発展する。
こうして、本の守り手としての図書隊が立ち上がることとなる……

現時点で番外編が出てますが、本筋としてはこれで一区切りということで、最後の最後もいいテーマですねぇ。
検閲が事実上合法化したことによる強引な押収と、それに対抗する図書館という図式。
だけれども、それ以外の部分は現実世界と重ねることで非常に面白い思考実験となっていました。

メインの視点は郁ですが、必要に応じてその周辺のキャラに視点を移動することで物語に厚みが出ていました。後半の柴崎麻子とか手塚とかは前半に比べてずっと人間味が出てたり、郁は着実に成長してたり、堂上も変わったつもりで変わってなかったり、小牧は素直になってたり、玄田隊長はどこまで行っても玄田隊長だったり。久しぶりに深く感情移入できる作品で、最後の最後はホッとしました。アニメに釣られて原作に踏み込んで本当によかったと思える、いい読後感のシリーズでした。

とまぁ、そんなところで次もアニメからですが『狼と香辛料Ⅱ』です。こちらも一気に行きます。冊数多くて大変ですがね(;^^)

図書館革命

有川 浩
出版社:メディアワークス
発売日: 2007-11