三原みつき・著、相音うしお・イラスト、 MF 文庫 J 。
12月29日(火)読了。
第五回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞審査員特別賞受賞作。

公立毒マムシ学園。
社会からドロップアウトギリギリの学生が集うその学園に、転校してきた五十嵐真太郎。
偏差値70オーバーでエリートコースまっしぐらの彼がそんな最悪の高校に転校したことには当然理由があった。
『一緒に東大に合格しようね』
そんな某漫画の影響受けまくりの約束を交わした幼馴染みの少女、権田原凛子がその学園に居ると噂に聞いたからだ。
しかし、想い人と再会を夢見て全てを捨てた彼を待ち受けていた現実は厳しいものだった。
「おひけえ願います!」
再会した彼女は、ヤンキーだらけのその学園で、私設の極道の女親分になっていて……

これはいいエンターテインメントでした。最初から最後まで分かり易いテーマで突っ走っていて、色んな要素を詰め込んでる割にはぶれずにそのメッセージはしっかりと伝わってくる、そんな御華詩でした。そもそも、この作品の主人公である五十嵐真太郎がそんな小説を書く必要に迫られる御華詩でもある訳で変則的にメタな要素と言えなくもないですが、そんな小難しいことを考えなくても、人を見下さずに対等に語ること、力を合わせること、弱さに諦めてしまわないこと、泥臭いベタなテーマが心に響きました。これだけばかばかしい内容でこれだけ力強くメッセージが伝わってくるのは本当に素敵な物語であります。その勢いがあとがきまで続いていて格好いいです。是非もなく、この作者の次回作は読みたいと想います。

てなところで次は『プシュケープリンセス』です。

ごくペン! (MF文庫J)

三原 みつき
出版社:メディアファクトリー
発売日: 2009-10-23