湊かなえ・著、集英社文庫。
5月5日(月)読了。

ある朝、雑木林の中で見つかった焼死体。
それは、地元企業の美人OL、三木典子だった。
勤め先が人気商品『白ゆき石鹸』の販売元だったことから、この事件は『白ゆき姫殺人事件』と呼ばれるようになる。
たまたま、その企業に勤める知人がいたフリー記者の赤星雄治は、いち早く貰えた情報を元に、独自に調査を開始するのだが……

現在劇場公開中の『白ゆき姫殺人事件』の原作。
基本的に関係者の証言を積み重ねた構成なのですが、だからこそ、ミステリの原則である『地の文に嘘を書いてはいけない』を完全に回避し、寧ろどれが本当でどれが嘘か? という虚実入り交じった中から真実が導き出される、というか、真実がいかに主観にねじ曲げられるか、という御華詩でありますな。

週刊誌の記事という形で事件は進展していくのですが、一方で、作中では『マンマロー』とされている、『 Twitter 』的なコミュニティツールによる情報の拡散や会話なども取り上げて、正に虚実が入り乱れるネット社会までその範疇としているのは新鮮でした。
どれも、妙に生々しいというか、ありそうなやり取りで、人間の怖さみたいなものが感じられもしますねぇ。細かい事書くとネタばれるので、曖昧なことしか書けませんが(;^^)

また、作品の性質上、出来れば映画を観る前に読んだ方がいいように思います。やはり『本』として読まれることが前提の構成なので、色々と驚きが半減してしまうかと。

てなところで、次は継続して『落第騎士の英雄譚《キャバルリィ》4』です。

白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

湊 かなえ
出版社:集英社
発売日: 2014-02-20