アーネスト・クライン・著、池田真紀子・訳、SB文庫。
7月21日(月)読了。

西暦2041年。人類は深刻なエネルギー危機に見舞われていた。
多くの人々が貧困に喘ぎ、ネットワーク上に構築された『OASIS』と呼ばれる仮想世界に安息を求めて日々を過ごす。
その『OASIS』の創始者ジェームズ・ハリデーが亡くなった。『OASIS』を産み出して築き上げた莫大な遺産。彼はそれを、『OASIS』に仕込まれたイースターエッグを最初に見つけ出したモノに全て譲り渡すと遺言していた。
かくして人々は一攫千金を目指し、『OASIS』に隠されたイースターエッグ捜索に駆り立てられたのだが……

近未来の電脳世界に80年代を中心としたサブカルチャーをごった煮にして成立する少年達の冒険譚。

これは、その時代を生きてサブカルチャーに親しんだギークに取ってはニヤリとさせられる作品でありましょう。アメリカの作品で有りますが、日本作品へのリスペクトにも溢れていて、日本人でも馴染みのあれこれも登場します。また、そのセレクトが渋い。本当に、作者がそれらを愛しているのが伝わってきて、非常に心地良い物語でした。

また、一方でネットワーク上の電脳世界が限りなくリアルになった場合、現実との区別はどうなるのか? みたいな要素も含まれています。学校さえも電脳世界に移譲が可能な世界に於いて、その境界線はどこまでの意味があるのか? 主人公の恋愛事情を通して、そういった問いがあるように思えます。

映画化も決定しているので、日本で公開されたら是非鑑賞したいところ。

てなところで次は『デスニードラウンド ラウンド3』です。

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)

アーネスト・クライン
出版社:SBクリエイティブ
発売日: 2014-05-17

ゲームウォーズ(下) (SB文庫)

アーネスト・クライン
出版社:SBクリエイティブ
発売日: 2014-05-17