木野裕喜・著、雪月桂・イラスト、モンスター文庫。
8月21日(月)読了。

思春期真っ盛りの蓬莱利一は、どろり濃厚スープのラーメンを親友と喰ってる最中に店にツッコンできた車に巻き込まれてその人生を閉じた。
そんな彼には、幸運にもチャンスがあった。
転生して異世界で新たな精、もとい生を得るチャンスをだ。
そうして、ゲームのようなファンタジー世界で新たな生を得たのだが、一つ大きな問題があった。
彼は、その世界ではサキュバスに転生したのである。
インキュバスではなく、サキュバス。
つまり、彼は新たな生と共に新たな性を手に入れてしまったのである。
心は思春期男子のまま、可愛い女の子として生きる彼を待つのは、果たして……

TSというものに明るくなくとも、むしろあまり触れたことの無い人にこそ向けて書かれた、作者のTSへの熱い想いが伝わってくる物語。利一=リーチの内面を通して、性別の変化に対して起こりうるあれこれが丁寧に描かれていて、色々と勉強にある作品でありました。

TSってどういうものかなぁ? という人は手に取ってみてよいのではないでしょうか? 少なくとも、私は興味深く読むことができましたゆえ。

まぁでも、一番気に入ったキャラが利一を転生させた眼鏡美人な女性職員なので、そこは己の業からは逃れられぬのですが。

ネット小説は読むペースが更新ペースに比べて致命的に遅くて途中で脱落したので、本でまとまってこうして読むことができて本当にありがたい。続きも楽しみです。

てなところで次は『イックーさん』です。