六塚光・著、カズアキ・イラスト、角川スニーカー文庫。
12月3日(日)読了。
円盤(レンズ)を媒介として悪魔を召喚し、その能力を己が身に付与して使役することが一般化された世界での御華詩。
比較的オーソドックスな異能力バトルモノですが、上記の円盤を目に装着する能力発現方法が非常に気になります。召喚のルビとか(;^^) だから、敢えてそれはここでは書きません。

そんな世界で、父の死の謎を追うエルバは父親が残した不思議な力を持つ円盤を持っています。それが実は魔王の分身とも言える魔神との契約に関わる特殊な円盤で…… という訳で、魔王の瞳とされるその円盤に選ばれた強い望みを持つ8人がお互いに魔神の力を用いて戦って最後に残った人間が魔王の力を得るという『八眼争覇(ディアボリック・パーティー)』がこの物語の中核となるモノですな。
『望みを叶えるためにバトルロイヤル』という構図は『自分が望みを叶えるということは他人の望みを潰す』という側面があるわけで、だからこそ、より強い意志と覚悟が求められます。その辺は押さえた内容ではありますが、どうにも主人公のエルバの『父の仇討ち』という動機の深さだけが若干弱く感じられたのが残念。まぁ、それは父への想いの深さが、エルバよりも父のかつての仕事場であるバベルヘイズ博物館の少女達の方が深く感じられる描写が多かったんで相対的にそう感じてるだけとも思えますが。

キャラクター的には多分『右手が万力』というメインヒロインの設定がインパクトを期待してるんでしょうが、正直それよりもオーラン先住民の『誰もが眼鏡を掛けている』という設定の方が印象的でした。能力の媒介が媒介なんで、この設定が無ければある種の宗教的理由から焚書にせねばならないところでした。でも、その設定が余り生きてないので、今後きっとオーラン先住民の里かなんかが出てきて、どっちを向いてもメガネ! どこまで行っても眼鏡! という展開を期待して続きも読んでいきたいと思います。

では、次は『桜乃きらほの夏色救急箱』です。