野村美月・著、竹岡美穂・イラスト、ファミ通文庫。
1月3日(木)読了。
今年最初は大好きな”文学少女”シリーズから開始です。
時間軸が少し戻って二冊目の後の番外編的な御華詩ではありましたが、今後につながるところもあったりして油断なりません。
これまで基本的には裏方に回ることの多かった理事長の孫娘、『姫』と称される姫倉麻貴がメインの御華詩。

姫倉の別荘へ、麻貴によって呼び出された遠子と心葉。
最初はのんきに過ごしていた二人は近くの街でその別荘のいわくを知る。
その山奥の別荘ではかつて惨劇があったのだ!
しかも、八十年前の事件の関係者の末裔達が当時と同じ配役で用意されていて……
果たして麻貴は何を企んでいるのか?

とまぁ、古色蒼然としたミステリのモチーフが揃えられていてミステリ好きの身としてはそれだけでワクワクしたりしながら読んでいました。時々仄めかされた『姫倉』という血に縛られた麻貴の物語と過去の惨劇に関わった先祖とを重ね合わせながら”文学少女”が読み解いた物語は切なく哀しくも美しく強い、心に残るモノでした。ネタバレを避けて見立ては明かさないようにしていますが今回もその辺は見事ですねぇ。決してただ幸福なだけではなく、そこへ至るまでに数々の不幸を身に受ける生々しい物語なのですが、だからこそ読者にとって近く感じられるのかもしれません。

やっぱり、ネタバレを気にすると抽象的になりますが、こんなところで。次は『アストロノト!』です。