赤松中学・著、 bomi ・イラスト、MF文庫J。
1月4日(金)読了。
第三回 MF 文庫 J ライトノベル新人賞優秀賞受賞作。
これは、優秀賞受賞作納得の御華詩でした。いや、細かいこと抜きで、単純に「面白かった」です。
歴史が一回りして科学が旧文明の遺産となり、魔法こそが通常の技術と化している世界。
昼間は船が海に落とした積荷を拾い上げる『ひっかけ屋』、夜は自宅を開放した酒場『ノト屋』で働く少年ノト。彼は、恋心を抱く相手の居場所と気持ちを感じ取れる『恋する共感(ラビン・シンパシア)』というささやかな魔法の力で幼馴染の少女レンビアの危機をそれとなく助けながら、慎ましく日々を活きていた。
だが、彼はある夜、どうしても月を目指さねばならなくなった。
丁度その頃、王国で募集されていた『月面踏破計画』。
こうしてノトは、宙士(アストロ)ノトとしてロケットに乗って月を目指すこととなる……

とまぁ、大体こんな感じの御華詩です。

所謂『剣と魔法のファンタジー』っぽい世界観ですが、過去の遺産として『科学』が解明されないまでも認知されており『胡散臭い技術』と思われながらも活用されているというのが新鮮でした。『科学技術が再現できないから、恐らくその機械が行っていたであろう機能を魔法で実現する』という発想の魔法と科学の立場が逆転した世界観を上手く使ってSFとファンタジーの要素が綺麗に融合していて面白いです。

また、国家間の駆け引きやら『月面踏破計画』が国費を消費していることに対する国民の反対運動があったり、現実世界と同じような問題が発生してたり、異世界なのに妙に身近に感じられる世界観なのです。

プロット的にもよく出来ていて最後の最後まで楽しませてくれました。そんな訳で、細かく言うと沢山ありますが冒頭の通り単純に「面白かった」作品です。

とまぁ、心地よい読後感の中で次は『ギロチンマシン中村奈々子~高等教育編~』です。